ローランド・Fantomシリーズ

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Fantom(ファントム)は、ローランドが販売しているシンセサイザーの型番・商品名及びそれらのシリーズ名である。大きな液晶画面と、4つのノブ、D-Beamコントローラー(ディ・ビーム - )と呼ばれる独自のコントローラーなどが特徴である。Fantom-Xにはシンセサイザーとしてはじめてカラー液晶が搭載された。

シリーズ一覧[編集]

Fantom[編集]

それまでのローランドのミュージックワークステーションであったXPシリーズの後継機として発売されたモデル。2001年発売。QVGAの液晶をコルグ社のTRINITYに次いで搭載し、独自のD-Beamコントローラーを搭載していた。また、XP-80に搭載されていたスライダーに代わり、ADSRやコントロールを割り当てることができる4つのノブが搭載された。

XP-80同様、エクスパンション・ボードにより波形・音色の拡張が出来るが、従来のSR-JV80シリーズとは互換性の無いSRXシリーズも新たに搭載できるようになっている。

発売当初、テレビでいち早くパフォーマンスに使用したのは、当時活動を再開したチューリップ財津和夫も弾き語りで使用していた。小室哲哉も当時、自身のスタジオに配備したり再始動させたばかりのTM NETWORKのライブに使用、またglobeや自身のユニットGABALLで使用していた。

  • 鍵盤数:76鍵
  • 最大同時発音数:64音
  • エクスパンション・ボードスロット数:SR-JV80シリーズ用1スロット、SRXシリーズ用2スロット
  • 波形メモリー容量:64MB(16bit リニア換算時)
  • MFX数:3

Fantom-S / S88[編集]

2003年発売。上のFantomのマイナーチェンジモデルという位置づけだが、実質新製品といえる。シーケンサーはさらに進化し、サンプリングでは「スキップバック・サンプリング」と、まったく違う部分が多数ある。61鍵のFantom-Sと、ウェイテッド88鍵のFantom-S88がラインナップされた。

このシリーズより、サンプルを扱うことが出来るようになり、同時にダイナミック・パッド・バンクと呼ばれる16個のパッドが搭載された。機種名の"S"はSampling(サンプリング)を表す。

2008年現在において、後発機種が出ているにも関わらず、小室哲哉浅倉大介は自身らの機材のラインナップにFantom-Sを組み込んでいる。

一説には後発のFantom-Xシリーズより、高音域の音がキビキビした出音がするとのことで、トランス系の楽曲製作に向いているとの意見がある一方、ノイズが発生するとの意見もある。

  • 鍵盤数:61鍵 / 88鍵
  • 最大同時発音数:64音(サンプリング部と共通)
  • エクスパンション・ボード数:SRXシリーズ用4スロット
  • 波形メモリー容量:64MB
  • MFX数:3

Fantom-X6 / X7 / X8 / Xa / XR[編集]

Fantom-Sのマイナーチェンジモデル。2004年発売。主な変更点として、カラー液晶の搭載、ラインナップの拡充(76鍵モデル、XVシリーズ以来となるラック音源)、新規波形の搭載、同時発音数が128に増加、など。後にFantom-XにAudio Track Expansion、Fantom-XRにSample Tools Expansionが発売され、デジタルオーディオワークステーション(DAW)的な使い方が出来るようになった。

Fantom-X6は、JYONGRIのファーストシングル『Possession』で、彼女がキーボードを前方に傾斜させてセッティングできるオーダーメイドのスタンドにセットして使用したことで有名。Fantom-X8は主立って、テレビでは『堂本兄弟』でえなりかずきが使用している。

再結成したプリンセス プリンセスのおいて、今野登茂子はFantom-X7をフロントシンセに使用した。

2016年現在では、姫神・星吉紀がライブパフォーマンスでFantom-X6を使用。複数台セットすることもある。

  • 鍵盤数:61鍵 / 76鍵/ 88鍵(ウェイテッド鍵盤)
  • 最大同時発音数:128音(サンプリング部と共通)
  • エクスパンション・ボード数:SRXシリーズ用4スロット(Fantom-XRは6スロット)
  • 波形メモリー数:128MB(うち64MBはFantom-Sと同一)
  • MFX数:3

Fantom-G6 / G7 / G8[編集]

Fantom-Xの後継機。2008年発売。世界初となるワイドVGA液晶の搭載、パッチ変更の際リリース音が消失しない、新エクスパンション・ボードARXシリーズの増設が可能になるなど、ライブ演奏面が強化された。また、この機種で再びスライダーが搭載され、ノブとの併用が可能になった。2011年にFantom-G7が生産終了し、G6とG8も2012年4月をもって生産終了した。これと前後して、シーケンス部分とサンプラーをオミットして音色作成とライブパフォーマンスに重きを置いたJUPITER-80、モジュールとしてINTEGRA-7がリリースされ、これらが実質的な後継のフラッグシップシンセとなった。ローランドのミュージックワークステーションとしては、2014年2月にミドルモデルクラスのFAシリーズにラインナップを移した。

Gシリーズでは大幅に容量が増加、USBマウス対応になるなどの強化が見られる。

小室哲哉は本シリーズのリリース当初、TM NETOWRKのライブでピアノ音色の演奏をメインにFantom-G8を使用。その後のライブでは、同社V-Synth GT等と共にFantom-G7を使用していた。さらに、その後のTM NETWORK等のライブや創作環境においてはFantom-G6を使用。複数展開させたソフトシンセをオペレートすべく、特注の半透明オレンジ色のプラスチック製ボードをシンセ本体右側に搭載し、その上でマウスを操作しながら使用している。

補足ながら小室の機材変遷にあっては、メインシンセをKORG KRONOSや特別バージョンまで開発させたYAMAHA MOTIF XFへ使用を切り替えたにも関わらず、結局Fantom-G6へ使用を戻す傾向となっている。

  • 鍵盤数:61鍵/ 76鍵/ 88鍵(ウェイテッド鍵盤、G8はPHAⅡアイボリー・フィール鍵盤)
  • 最大同時発音数:128音(サンプリング部と共通)
  • エクスパンション・ボード数:ARXシリーズ用2スロット
  • 波形メモリー数:256MB
  • 16パート個別のマルチエフェクトをインサート可能であり2008年11月11日時点で世界No.1のハードウェアDAWである。

D-Beamコントローラー[編集]

Rolandのシンセにのみ搭載されているコントローラーで、赤外線を出し、跳ね返ってくる時間と距離をパラメータとして制御するものである。ソロシンセをこれに割り当て、テルミンのように演奏したり、コントロールチェンジを割り当て、ベンダー他のコントローラーと同様に扱うといったことができる。

Fantomシリーズだけでなく、V-Synth、JUNO-D等にも搭載されている。また、シンセサイザー以外にもギターシミュレーターVG-99にも搭載されている。