ロマンチスト・エゴイスト

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ロマンチスト・エゴイスト
ポルノグラフィティスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ロックJ-POP
時間
レーベル SME Records
プロデュース 田村充義本間昭光
チャート最高順位
オリコン
  • 週間4位
  • 2000年度年間70位
ゴールドディスク
ポルノグラフィティ アルバム 年表
ロマンチスト・エゴイスト
(2000年)
foo?
2001年
『ロマンチスト・エゴイスト』収録のシングル
  1. アポロ
    リリース: 1999年9月8日
  2. ヒトリノ夜
    リリース: 2000年1月26日
ライヴ映像
「Jazz up」 - YouTube
「ライオン」 - YouTube
「憂色 〜Love is you〜」 - YouTube
「マシンガントーク」 - YouTube
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ロマンチスト・エゴイスト』(英語: Romantist Egoist)は、ポルノグラフィティの1作目のオリジナルアルバム2000年3月8日SME Recordsよりリリースされた。

概要[編集]

ポルノグラフィティの1stアルバム。収録曲のほとんどはインディーズ時代(1994年 - 1997年)とメジャーデビュー前(1997年 - 1999年)に制作され、どれも「シングル化を目指して全力で作った曲」である。そのため本作はポルノグラフィティのアイデンティティを詰め込んだインディーズベストとも言えるアルバムとなっており、デビューシングル「アポロ」、本作のリードシングル「ヒトリノ夜」など、全13曲が収録されている。

ブックレットはフォトブックレットとなっており、初回仕様のみメンバーフォトポストカードが封入されている。歌詞・クレジットは封入されている1枚の紙に記載されており、歌詞・クレジット、ケースの裏の収録曲、CDのレーベル面(表)の文字はメンバーの手書きによるもの[注釈 1]

2016年に開催されたlove up! 会員限定ライヴイベント『FANCLUB UNDERWORLD 5』では、本作の全収録曲を収録順に披露した[1]

収録曲[編集]

全編曲: ak.homma
#タイトル作詞作曲時間
1.「Jazz Up」ハルイチシラタマ
2.「Century Lovers」ハルイチak.homma
3.ヒトリノ夜ハルイチak.homma
4.「ライオン」ハルイチシラタマ
5.「憂色 〜Love is you〜」ハルイチak.homma
6.「Heart Beat」ak.hommaak.homma
7.「マシンガントーク」ak.hommaak.homma
8.「デッサン#1」ハルイチシラタマ
9.アポロ (New Apollo Project Version)ハルイチak.homma
10.「ラビュー・ラビュー」ハルイチシラタマ
11.ジレンマ (How To Play "didgeridoo" Version)ハルイチシラタマ
12.「リビドー」アキヒトak.homma
13.ロマンチスト・エゴイストハルイチRyo
合計時間:

楽曲解説[編集]

  1. Jazz up
    • 軽快なブラスが入ったリズム&ブルース的ポップロックチューン[2]
    • 大阪でのインディーズ時代からの楽曲で、1996年2月頃に配布されていたカセットテープ『porno graffitti』にも収録されていた。本作への収録にあたって歌詞が大きく変更され、生のブラスが加えられている[3]
    • 1stアルバムのオープニングナンバーということで「なにか特徴があった方がいい」という考えから、冒頭にはメンバーの喋り声が入れられている[1]。この喋り声は、1本のマイクの前でメンバーが家業やあだ名について話している音声をミックスしたもので[3]、岡野の「まじで?」の一言から外国人の笑い声に繋がる[1][3]
    • 歌詞中に登場する「土生港」はメンバーの故郷・因島実在する港である。同じく歌詞中に登場する「mother's sky」とは、新藤の造語で子宮という意味である。
    • ライヴではインディーズ時代からオープニングナンバーの定番であり、本作1曲目への収録は暗黙の了解とのこと[3]。デビュー後のライヴでは2001年頃を境に披露されることが減っていったが、自身初の東京ドーム公演『東京ロマンスポルノ'09 〜愛と青春の日々〜』では久々にオープニングナンバーとして披露された[4]
  2. Century Lovers
    • 「100年(世紀)と1000年の恋」がテーマの楽曲で、ベストアルバム『PORNO GRAFFITTI BEST RED'S』にも収録された。
    • デビュー曲及びシングル候補でもあったが、「モーニング娘。の『LOVEマシーン』に似過ぎた」という理由からアルバム曲として発表された[注釈 2]
    • 歌詞中に登場する「ディラン」ボブ・ディランを指し、「答えは風に舞ってる」は「Blowin' In The Wind」の歌詞からの引用[2]「ジョン」ジョン・レノンを指し、「愛とは―愛されたいと願うこと」は「Love」からの引用である[2]
    • ライヴの定番曲で[5]、演奏前には「Before Century」と呼ばれるコールアンドレスポンスが行われることが多い[注釈 3]。このコールアンドレスポンスは岡野曰く「会場が一体になるための儀式」で、岡野の「Everybody Say?」という声かけに対し[注釈 4]、オーディエンスが「フーフー」とファルセットで答えるのが基本的なスタイルである[注釈 5]。「Before Century」の長さは固定されておらず、岡野のさじ加減次第で長さが変わるため、サポートメンバーのnang-changは音源を10分以上用意しているという[6]
    • 阪神タイガース関本賢太郎が長らく使用していた登場曲「エブリバディ・セイ」は、ポルノグラフィティが提供したもので、「Before Century」が基となっている[注釈 6]。球場では岡野の『Everybody Say?』という呼びかけに対し、阪神ファンが「関本!」とコールする。
  3. ヒトリノ夜
    • 2ndシングル。
  4. ライオン
  5. 憂色 〜Love is you〜
    • 本作唯一のバラード曲。
    • 当初のタイトルは「Love is you」で[8]、本作の収録にあたって「憂色ゆうしょく」が加えられた[注釈 8]
  6. Heart Beat
    • ak.hommaが作詞を手掛けた楽曲の一つ[注釈 9]
  7. マシンガントーク
    • 前曲「Heart Beat」同様、ak.hommaが作詞を手掛けた楽曲。
    • ライヴでは岡野によるモンキーダンスが定番である。しかし、『13thライヴサーキット "ラヴ・E・メール・フロム・1999"』マリンメッセ福岡公演(2014年3月29日)で、岡野が激しいモンキーダンスを何度も繰り返した結果[9]、首付近を痛めてしまったことがある[1]。そのため近年はトレーナー判断によって岡野がモンキーダンスを行わない場合もある[1]
  8. デッサン#1
    • アメリカンハードロック風なミディアムナンバー[2]
    • インディーズ時代からの楽曲で、1997年4月27日の心斎橋クラブクアトロでの単独ライヴで配布されたカセットテープに収録されていた。当時のタイトルは「Dessin」。
    • 歌詞は当時の岡野の別れ話が新藤によって書かれている。当初はサビと大サビのみ岡野が歌詞を書いていたが、新藤曰く「どんな振られ方をしたんだ?と聞きたくなるほどあまりにひどい歌詞だったから、書きなおした[注釈 10]」。
    • 本作収録の予定はなかったが、『東京ロマンスポルノ vol.3』(1999年12月4日)で披露した際に好評だったことから急遽レコーディングされた[8]
    • サビ部分の最高音はポルノグラフィティの楽曲においては数少ないHiC音である。高音が続く楽曲のため、デビュー後のライヴでは半音下げて披露されることも多かったが、近年のライヴでは再び原曲キーで披露されるようになっている[10][1]
  9. アポロ (New Apollo Project Version)
    • 1stシングル。本作の収録曲の中で最後に出来た楽曲である[1]
    • アルバムバージョンでの収録[注釈 11]
  10. ラビュー・ラビュー
    • 本作の制作終盤にTamaが拵えてきた楽曲で[1]、ベストアルバム『PORNO GRAFFITTI BEST BLUE'S』にも収録された。
    • タイトルの由来は「Love Youラビュー Love Youラビュー」で、当初のタイトルは「プライベート・マンディー[8]
    • 全体的にレコーディングに苦労したという本作の中で、最も苦労した楽曲の一つだといい、岡野・新藤共に「あまりの辛さから泣いたことがある」と語っている[1]
  11. ジレンマ (How To Play "didgeridoo" Version)
    • 2ndシングルカップリング曲。
    • イントロに岡野と新藤によるディジュリドゥの演奏が追加されたアルバムバージョンでの収録[注釈 12]
  12. リビドー
    • 発表された楽曲としては初めて岡野が作詞を手掛けた[注釈 13]。歌詞中にはジャニス・ジョプリンが登場する。
    • リビドーとは心理学用語で性欲、性的衝動などの意味合いを持つ。
    • 当初のタイトルは「Crazy About You」で、「Tokio Graffitti」を経て「リビドー」となった。
  13. ロマンチスト・エゴイスト
    • 1stシングルカップリング曲で、本作のタイトルナンバー。
    • 表記は無いがアルバムバージョンでの収録[注釈 14]

Additional Musicians[編集]

クレジット[編集]

  • Producer: 田村充義tmf), 本間昭光(bluesofa)
  • Recording Engineer: 青柳延幸, 山内隆義, 天童淳, 長野勝宏, 中山佳敬
  • Mixing Engineer: 山内隆義
  • Assistant Engineer: 山本優, 安田博城, 高津輝幸(Victor), 藤田直之, 永山尚(Sunrise), 岸田充善(Sound Inn), 氏家明宏(Amuse), 甲斐俊郎, 塩田修, 金森信英(信濃町Sony
  • Recording Stadio: Victor, Sony, Amuse, Sunrise, Sound Inn
  • Pre Production: bluesofa studio
  • Studio Coordination: 沢辺優子, 疋田静花(Victor)
  • Musician Coordination: 安部佳代(bluesofa), 里見勉(内田音楽事務所)
  • Mastering Engineer: 前田康二(Bernie Grundman Mastering)
  • A&R: 八木昭二(SME)
  • Promotion Team: ポルノグラフィティを売り出そうとする人々(SME, Amuse)
  • Sales Promotion: 北山知之, 村山美穂子(SME)
  • Artist Management: 福岡毅, 新井”Q”厚太(Amuse)
  • Management Desk: 三本木恵子, 嶋村佳永子(Amuse)
  • Fanclub "love up!": 近藤友里(Amuse)
  • Executive Producer: 畠中達郎(Amuse), 佐藤康広(SME)
  • Supervisor: 大里洋吉, 山本久(Amuse), 野中規雄(SME)
  • Our Mother: 品田ちひろ
  • Special Thanks: 渋生田裕美, 三橋秀代, 長美郁, 中西亮輔, 時宗明良, 毛谷村伸也, Birthplace"因島"Family&Friends
  • Art Direction Design: 牧鉄馬
  • Photograph: 大川直人
  • Hair&Make up: 渋谷雅子
  • Styling: 大川裕子
  • Products Coordination: 渡辺くみこ(SME)

収録作品[編集]

タイトル 収録作品
Jazz up
Century Lovers
ヒトリノ夜
ライオン
  • ライヴ映像
憂色 〜Love is you〜
  • ライヴ映像
    • ライヴDVD/BD『FANCLUB UNDERWORLD 5 Live in Zepp DiverCity 2016』
Heart Beat
マシンガントーク
デッサン#1
  • ライヴ映像
    • ライヴDVD/BD『神戸・横浜ロマンスポルノ'14 〜惑ワ不ノ森〜 Live at YOKOHAMA STADIUM』
    • ライヴDVD/BD『FANCLUB UNDERWORLD 5 Live in Zepp DiverCity 2016』
アポロ (New Apollo Project Version)
ラビュー・ラビュー
  • アルバム
  • ライヴ映像
    • ライヴDVD/BD『神戸・横浜ロマンスポルノ'14 〜惑ワ不ノ森〜 Live at YOKOHAMA STADIUM』
    • ライヴDVD/BD『FANCLUB UNDERWORLD 5 Live in Zepp DiverCity 2016』
ジレンマ (How To Play "didgeridoo" Version)
リビドー
  • ライヴ映像
    • ライヴDVD/VHS『Tour 08452 〜Welcome to my heart〜』
    • ライヴDVD/BD『"ロイヤル ストレート フラッシュ" LIVE IN YOYOGI DAIICHI TAIIKUKAN 2009』
    • ライヴDVD/BD『FANCLUB UNDERWORLD 5 Live in Zepp DiverCity 2016』
    • 51stシングル『テーマソング[注釈 18]
ロマンチスト・エゴイスト

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 歌詞の文字は作詞を手掛けたメンバーがそれぞれ書いている。ただし、ak.hommaが担当した「Heart Beat」「マシンガントーク」の2曲は岡野が、クレジットはTamaがそれぞれ書いている。
  2. ^ 「LOVEマシーン」のリリースは1999年9月9日であるが、同年3月頃に本楽曲はレコーディングされているため、岡野曰く「僕らのほうが前からフーフー言ってました(笑)」。シングル化を止めたのは、新藤曰く「そのことでヘンな色眼鏡かけられて見られるのもどうかなと思ったから」[3]
  3. ^ 当初は「Before Century」という名称はなかったが、2005年頃に命名された。この名称は公式サイトやライヴDVD/Blu-rayでも使用・記載されている。また、「『Before Century』のあとに『Century Lovers』に行かなくても盛り上がるのではないか?」というアイデアから、「Before Century」の後に他の楽曲を演奏することもある[6]
  4. ^ 後に3rdシングル『ミュージック・アワー』に収録されたライヴ音源で確認できるように、当初の岡野の声かけは「Everybody、みんなで声出せ!」であったが、遅くとも2004年頃から「Everybody Say?」に変更されている。『"NIPPONロマンスポルノ'19 〜神vs神〜"』ではこの旧バージョンの声かけが久々に行われた[5]
  5. ^ ファルセットについては「言いにくいから似たような言葉であればなんでもいい」とされている。『FANCLUB UNDERWORLD 5』ではファンからの要望に応え、新藤がオリジナルのコールアンドレスポンスを行い、観客が「Yeah!Yeah!」と応えるという例もあった。
  6. ^ 関本とは『5th Anniversary Special Live "PURPLE'S"』大阪公演(2004年12月)に同僚の福原忍と共に来場したことがきっかけで親交がある。
  7. ^ 本作収録にあたり歌詞やアレンジが大幅に変更されている。
  8. ^ タイトルの読み方は「らぶいずゆー」で、「憂色」の部分は読まないとされている。『FANCLUB UNDERWORLD 5』では岡野が「ゆうしょく らぶいずゆー」と曲紹介をした[1]
  9. ^ 発表された楽曲に限ると、ak.hommaが作詞を手掛けたポルノグラフィティの楽曲は「Heart Beat」と次曲の「マシンガントーク」のみである。
  10. ^ 岡野が書いた歌詞には「セロリが嫌いなことだけ」「僕と君との幸せを考える それは僕自身を切り刻むことなんだ」というフレーズがあった。
  11. ^ シングルバージョンとは異なり、イントロが無線機越しの英語の音声で始まり、カウントダウンを経て、シングルバージョンのイントロであるロケットの発射音に移る。また、アウトロもシングルバージョンではフェードアウトして終わるが、フェードアウト開始地点で音が途切れて終わる。
  12. ^ ディジュリドゥとはオーストラリアの先住民・アボリジニの楽器。当時メンバーが出演した東海テレビの番組の企画内でディジュリドゥを演奏できるようになり、その記念として「ジレンマ」に演奏が収められた[1]。なお、Tamaは具合が悪かったためディジュリドゥのレコーディングに参加していない[8]
  13. ^ この楽曲も当初はak.hommaが作詞を担当していたが、岡野が「せっかくなので書かせてください」と直訴したという[1]
  14. ^ シングルバージョンよりイントロがフェードインして3~4秒ほど短めになっている。
  15. ^ a b c メドレー収録。
  16. ^ "NIPPONロマンスポルノ'19 〜神vs神〜" DAY1』『"NIPPONロマンスポルノ'19 〜神vs神〜" DAY2』に収録。
  17. ^ "NIPPONロマンスポルノ'19 〜神vs神〜" DAY1』『"NIPPONロマンスポルノ'19 〜神vs神〜" DAY2』にメドレー収録。
  18. ^ 特典映像の『CYBERロマンスポルノ'20 〜REUNION〜』に収録。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m FANCLUB UNDERWORLD 5 Live in Zepp DiverCity 2016』. SME Records. 2016年10月26日.
  2. ^ a b c d ポルノグラフィティの最大の特徴をロックへの敬愛と共に捧げた『ロマンチスト・エゴイスト』 | OKMusic”. okmusic.jp. 2022年4月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e 『PATi・PATi』ソニー・マガジンズ、2000年4月。 
  4. ^ ポルノグラフィティ、初の東京ドーム大成功”. BARKS. 2022年4月22日閲覧。
  5. ^ a b ポルノグラフィティ、東京ドームライブで20周年に乾杯 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)”. Rolling Stone Japan (2019年9月12日). 2022年4月22日閲覧。
  6. ^ a b 5th Anniversary Special Live "PURPLE'S" IN TOKYO TAIIKUKAN 2004』副音声. SME Records. 2005年3月24日.
  7. ^ 『GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES「新藤晴一 ポルノグラフィティ」』リットーミュージック、2019年1月19日。 
  8. ^ a b c d 『ポルノグラフィティ ワイラノクロニクル―B.PASS SPECIAL EDITION』シンコーミュージック、2001年3月1日。 
  9. ^ 13thライヴサーキット "ラヴ・E・メール・フロム・1999" Live in MARINE MESSE FUKUOKA』. SME Records. 2014年8月6日.
  10. ^ 神戸・横浜ロマンスポルノ'14 〜惑ワ不ノ森〜 Live at YOKOHAMA STADIUM』. SME Records. 2015年2月25日.