ロドニー・ブルックス

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ロドニー・アレン・ブルックス
Rodney Allen Brooks
ロドニー・ブルックス(2005年)
人物情報
生誕 (1954-12-30) 1954年12月30日(63歳)[1]
市民権 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
国籍 オーストラリアの旗 オーストラリア
出身校 フリンダース大学
スタンフォード大学
学問
研究分野 ロボティクス人工知能コンピュータビジョン
研究機関 スタンフォード大学
マサチューセッツ工科大学
学位 Ph.D計算機科学
特筆すべき概念 表象なき知能、サブサンプション・アーキテクチャ行動規範型ロボティクス英語版[2][3]
主な業績 ACRONYM[4]
Cog Project[5]
アイロボット社
リシンク・ロボティクス
主な受賞歴 エンゲルバーガー賞[6]、IEEE Robotics and Automation Award[7]
公式サイト
Rodney Brooks - Roboticist
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ロドニー・アレン・ブルックスRodney Allen Brooks, 1954年12月30日[1] - )は、オーストラリア出身のロボット研究者[8]人工知能界で物議を呼んだサブサンプション・アーキテクチャの提案者[5][2]MITコンピュータ科学・人工知能研究所教授・所長を歴任し、iRobotリシンク・ロボティクスの創業でも知られる。ルンバパックボットにはサブサンプション・アーキテクチャが実装された。スタンフォード大学Ph.Dマサチューセッツ工科大学名誉教授[8]2014年エンゲルバーガー賞(リーダーシップ部門)受賞者[6]

来歴・人物[編集]

コンピュータビジョン[編集]

1954年オーストラリアアデレードに生まれる[9]。南オーストラリアのフリンダース大学で数学を学ぶ。博士課程スタンフォード大学で、Thomas Binford英語版[9]のもとでコンピュータビジョンの研究に従事。1981年に『Symbolic Reasoning among 3-D Models and 2-D Images』のテーマで計算機科学Ph.Dを取得[9]。この間、モデルに基づく画像認識のアプローチで、「ACRONYM」というシステムを開発する[4]

学位取得後、ブルックスはカーネギーメロン大学マサチューセッツ工科大学で研究員を務め、スタンフォード大学を経て1984年にマサチューセッツ工科大学に着任[1][8]。1984年にはコンピュータビジョンの、1985年にはLISPに関する本を出版する(#著書の節も参照)。

表象なき知能[編集]

1986年にブルックスは「サブサンプション・アーキテクチャ(SA)に関する論文を発表し、「表象なき知能」を提唱した。これはロボティクス人工知能の分野に大きな影響を与えた[5][2][10]。当初は人工知能の主流派からは無視され[5]マービン・ミンスキーは「ミミズに対してなら90%正しいが、人間に対して話は別である」と批判した[10]。しかし1991年国際人工知能会議IJCAI Computers and Thought Award英語版を受賞し[5][11]、以後批判は弱まったという[5]。SAは簡単なシステムでロボットを構築できるため、宇宙ロボットで応用が検討された[5]

また、ブルックスは学生とPolly (robot)英語版など自律移動ロボットを開発するとともに[12]、上半身型のヒューマノイドロボットを開発して知能を研究する「Cogプロジェクト」を実施した[13]。また、1991年に設立したiRobot社では「Genghis」(ジンギス)という6足歩行ロボットが開発され、SAが搭載された[14]

1997年、ブルックス自身の論文の題名をタイトルにした映画「Fast, Cheap and Out of Control英語版」にも出演した[8][15]。なおこの頃の指導学生に、J. Connell英語版M. Matarić英語版C. Maley英語版Y. Matsuoka英語版、コミュニケーションロボット「JIBO」を開発したシンシア・ブリジール英語版[16]らがいる[17][9]

ロボットベンチャー[編集]

1990年に設立されていたiRobot社では、ブルックスは最高技術責任者取締役を歴任。2000年に発売されたルンバ (掃除機)にはサブサンプション・アーキテクチャが搭載された[18]。同アルゴリズムはパックボットにも搭載され、パックボットはアメリカ同時多発テロイラク戦争アフガン戦争にも投入された[1]

この頃の指導学生にヒューマノイドロボット「Dobo英語版」を開発していたAaron Edsingerがおり、EdsingerはMeka Robotics英語版を創業した[19][20][17][9]

2008年8月23日にはカナダで「Rodney's Robot Revolution」と題したドキュメンタリーが映画が公開された[21]。同年、ブルックスはアイロボット社を退社し、リシンク・ロボティクス社を設立。会長やCTO(最高技術責任者)を務めた[22]AIを研究するトヨタ自動車の子会社にも関与した[23]

ロボット掃除機ルンバサブサンプション・アーキテクチャを実装し、反射的に動く。
リシンク・ロボティクス関連人物。バクスター英語版後方にブルックスやStephen T. Jurvetson英語版も写っている。

主な受賞歴[編集]

(受賞)

(名誉博士)[8]

社会的活動[編集]

ロドニー・ブルックス(2005年)

(学術団体)[8]

(学術雑誌の編集委員)[8]

  • International Journal of Computer Vision - 創刊に関与。
  • Adaptive Behavior
  • Artificial Life
  • Applied Artificial Intelligence
  • Autonomous Robots
  • New Generation Computing

主な著作[編集]

著書[編集]

(単著)

(日本語への翻訳本)

論文・解説[編集]

インタビュー[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 稲葉清右衛門の寄付によるファンドで運営されている[24]。製品のみならず、それに至る技術や研究も評価される[25]

出典[編集]

  1. ^ a b c d Michael Aaron Dennis“Rodney Allen Brooks AUSTRALIAN-AMERICAN SCIENTIST”. 2018年7月3日閲覧。
  2. ^ a b c 中村仁彦非線形力学系として統合されたロボットの情報処理と制御 ―運動の制御理論から知能の制御理論へ―」、『計測と制御』第40巻第6号、2001年、426-432頁。
  3. ^ 浅田稔國吉康夫『ロボットインテリジェンス』 岩波書店〈岩波講座ロボット学4〉、2006年、78-103頁、ISBN 4000112449
  4. ^ a b 長田正『基礎ロボット工学 知能情報編』 昭晃堂、1986年、114-117頁、ISBN 4-7856-1152-9
  5. ^ a b c d e f g 五味隆志「サブサンプション・アーキテクチャ」、『日本ファジィ学会誌』第7巻第5号、1995年、909-930頁。
  6. ^ a b c Past Recipients by Year (PDF)”. Robotics Online > Joseph F. Engelberger Awards (Robotics Industry Association). 2018年7月1日閲覧。
  7. ^ a b IEEE Robotics and Automation Award Recipients”. 2018年7月1日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g Biography”. Rodney Brooks - Roboticist. MITコンピュータ科学・人工知能研究所. 2018年7月1日閲覧。
  9. ^ a b c d e Rodney Allen Brooks”. Mathematics Genealogy Project. 2018年7月3日閲覧。
  10. ^ a b c 有本卓『知能科学 ―ロボットの“知”と“巧みさ”-』 コロナ社〈ロボティクスシリーズ6〉、2007年、29-31頁、ISBN 978-4-339-045117-8。
  11. ^ a b IJCAI Award”. 国際人工知能会議. 2018年7月1日閲覧。
  12. ^ Ian Horswill (1993). Polly: A vision-based artificial agent. Proceedings of the National Conference on Artificial Intelligence 1993. pp. 824-829.
  13. ^ ブルックス 1997.
  14. ^ Photos: the robot designs in iRobot - CNET - Page 11”. cnet (2009年5月27日) 2018年7月3日閲覧。
  15. ^ Fast, Cheap & Out of Control (1997)”. インターネット・ムービー・データベース. 2018年7月1日閲覧。
  16. ^ Shinji Ikematu (2016年10月16日).“ロドニー・ブルックスがAI脅威論を否定「人間レベルに達するには500年かかる」”. ROBOTEER. 2018年7月8日閲覧。
  17. ^ a b c d Graduated PhDs”. Rodney Brooks - Roboticist. MITコンピュータ科学・人工知能研究所. 2018年7月1日閲覧。
  18. ^ ブルックス著、五味訳 2007.
  19. ^ Meka Robotics LISTING DETAILS”. Robotics Business review. 2018年7月3日閲覧。
  20. ^ Research”. Edsinger Domo. MITコンピュータ科学・人工知能研究所. 2018年7月3日閲覧。
  21. ^ Rodney's Robot Revolution (2008)”. インターネット・ムービー・データベース. 2018年7月3日閲覧。
  22. ^ Shinji Ikematu (2016年10月16日).“ロドニー・ブルックスがAI脅威論を否定「人間レベルに達するには500年かかる」”. ROBOTEER. 2018年7月8日閲覧。
  23. ^ 石橋弘彰 (2017年1月24日).“トヨタのスピードに驚くルンバの生みの親。「グーグルにもうキャッチアップしている」 ―米リシンク・ロボティクスCTOが語るロボット、IoT、自動運転の最前線―”. ニュースイッチ. 日刊工業新聞社. 2018年7月8日閲覧。
  24. ^ a b IEEE Inaba Technical Award for Innovation Leading to ProductionIEEE. 2018年7月1日閲覧。
  25. ^ ハイボット、IEEEイナバテクニカルアワードを受賞-”. HIBOT (2017年6月1日) 2018年7月1日閲覧。

外部リンク[編集]

(所属機関のサイト)

ロドニー・ブルックス - TEDカンファレンス ウィキデータを編集