レーダーの歴史

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レーダーの歴史1900年代に技術者が反射材を発明した時から始まる。1930年代レーダーは実用化を迎える。

20世紀以前[編集]

1887年ドイツ物理学者であるハインリヒ・ヘルツ電磁波の実験を行った。ヘルツは電磁波が物体を通過する時、異なる性質を示す事を発見した。導体によって反射する事も発見した。電磁波の存在はイギリスの物理学者であるジェームズ・クラーク・マクスウェルによって存在が予言されていたが、ヘルツははじめて電磁波を実験的に創り出す事に成功した。

20世紀[編集]

電子技術の発達により、徐々に進展する。

クリスティアン・ヒュルスマイヤー[編集]

1904年、ドイツの発明家クリスティアン・ヒュルスマイヤーChristian Hülsmeyer)はドイツとオランダで電磁波の反射で船を検出して衝突を避ける実演を行った。ダイポールアンテナとスパークギャップを用いたものだった。海軍に採用されなかったため、生産されなかった。後に彼は電波測距儀の特許を取得している。 [1]

ニコラ・テスラ[編集]

ニコラ・テスラもレーダーの開発において功績がある。

地上制御型レーダー[編集]

CRTに似たブラウン管に二次元的に表示する。

センチメートル波 レーダー[編集]

1940年代初頭、マグネトロンを使用して高出力の高周波が得られるようになり、分解能が向上したことで、より小さい物体をも検出できるようになった。イギリスはマグネトロンを早くからレーダーに応用し、バトル・オブ・ブリテンの前にはセンチメートル波レーダーを実用化、ドイツ空軍の迎撃で効果を発揮した。この成果をアメリカ合衆国にもたらしたのがen:Tizard Missionである。[2]。イギリス軍は1942年には平面座標指示画面英語版(PPIスコープ)の開発に成功し、レーダー観測員の負担を大幅に減少、最終的にパラボラアンテナを用いたレドームの開発にも成功し、大戦後期には航空機へのレーダー搭載も幅広く行われる事になった。

ドイツ[編集]

ドイツではイギリスとは対照的にレーダー開発の優先順位は低かったが、対空用のウルツブルグが開発されている。日本陸軍にもドイツのレーダー技術をベースにした技術導入が行われているが、基本的には旧来のメートル波レーダーの延長線上の技術でしかなく、観測はオシロスコープの画面に似たAスコープ方式のみであり、八木・宇田アンテナの研究も後れを取っていた。大戦後期には夜間戦闘機向けに航空機用レーダーの開発も行われたが、センチメートル波レーダーの開発が進んでいなかった事から、機種に空気抵抗の大きな八木・宇田アンテナを装備せざるを得ず、レドーム搭載の英米軍機に比べて大幅な機体の運動性能低下を招く事となった。

日本[編集]

FD-2レーダーを搭載した夜間戦闘機月光一一甲型

戦前の大日本帝國、とりわけ大日本帝國海軍では第二次世界大戦開戦時においても学究的な側面が強かった。また、陸軍、海軍と民間の研究グループの協調が少なかった。世界の実用レーダー技術の元になったのは八木秀次宇田新太郎の発明した八木・宇田アンテナと、岡部金治郎の発明した陽極分割型マグネトロンであったが、いずれも1920年代後半の発表当時には国内ではほとんど注目される事はなく、太平洋戦争の開戦までにこれらを機関技術とするマイクロ波を用いたマグネトロンパルスレーダーを開発できなかった。

それでも、大日本帝國陸軍は佐竹金次技術大佐や、それを支えた山下奉文中将などといったレーダーに理解を示していた上層部の後押しもあり、ナチス・ドイツを中心とした海外情報を元に旧式の3極管発振と非八木アンテナの長波レーダー(超短波警戒機乙)だけは実用化していたものの、当時の技術開発は外国で完成済みの兵器体系を国産化してコピーすることであり、自力で演繹的な開発は行えなかった。戦時中に改めてドイツから技術導入した対空射撃管制レーダーのウルツブルグはコヒーレントレーダーだったので単純にマグネトロンを使えず、完成したのは1945年7月だった。陸軍は1942年1月にアメリカ領フィリピン、2月にイギリス領シンガポールを陥落した時に接収した英米の対空射撃管制レーダーをコピーしているが、八木アンテナの効用が「再発見」されたのは皮肉にもこの時であり、八木アンテナの核心技術の一つである「反射器」の研究開発が大きく遅れた。やむなく八木アンテナの後方に金網を配置する事で英米では開発済みであった棒形反射器の代用としたが、十分な性能が得られず、探知性能がオリジナルに比較して大きく劣るものしか製造できなかった。陸軍は超短波警戒機乙を全国の沿岸部に配備し、本土防空戦でも利用が行われたものの、英米が大戦中に到達したマイクロ波レーダーやパラボラアンテナ平面座標指示画面英語版(PPIスコープ)の領域までは到達できなかった。

海軍の状況は陸軍以上に深刻で、なまじ光学測距儀や乗組員の肉眼目視の技術が高かった事から、レーダーにあまり注目せず、むしろ逆索で感知されるだけの「闇夜の提灯」と揶揄、バトル・オブ・ブリテンでのレーダーの効用を報告していた駐英武官の進言も一蹴する有様で、ミッドウェー海戦敗北で米英のレーダー技術に触れ、急遽開発を本格化したころには技術は陸軍以上に英米に大きく離されていた。この頃開発されたものとしては国産のマグネトロンを使用したマイクロ波レーダーである二号二型電波探信儀が挙げられるが、アンテナはホーンアンテナを利用していた。この試作が1941年で、完成したのが1943年である。このレーダーは戦後、民生用の船舶レーダーにも流用されたが、同乗したGHQ側の英国武官からは「日本はこのレベルのものを使っているから戦争に負けたのだ。本国ロンドンではアンテナが回転して映像が画面に映るような、もっと良いものが市販されている」と感想を残している。

八木アンテナ、マグネトロンの技術の埋没以上に英米から突き放される要因となったのは、基礎工業力の低さにより良質な電子部品を自給できなかった事である。特に良質な銅材の不足が深刻で、耐久性の高い真空管の製造が行えず、レーダーシステムの小型化や高出力化などあらゆる側面に悪影響を及ぼした。耐震真空管の開発も行えなかった事から、基礎理論は単純なドップラーレーダーである近接信管の開発も行えないままであった。

冷戦期[編集]

第2次世界大戦後、対立軸が米国とソ連の間に移動した。双方は侵攻に備え、レーダー網を整備した。

出典[編集]

  1. ^ Christian Hülsmeyer by Radar World
  2. ^ Stephen Phelps, "The Tizard Mission: The Top-Secret Operation That Changed the Course of World War II", Westholme Pub Llc, (2010), ISBN 978-1-5941-6116-2

参考[編集]

文献[編集]

  • ES310 "Introduction to Naval Weapons Engineering.". (Radar fundementals section)
  • Yves Blanchard, "Le radar. 1904-2004 : Histoire d'un siècle d'innovations techniques et opérationnelles", éditions Ellipses, 432 pages (in French)
  • Barrett, Dick, "All you ever wanted to know about British air defence radar". The Radar Pages. (History and details of various British radar systems)
  • Bowen, E.G., Radar Days, Institute of Physics Publishing, Bristol, 1987., ISBN 0-7503-0586-X
  • Bragg, Michael., RDF1 The Location of Aircraft by Radio Methods 1935-1945, Hawkhead Publishing, Paisley 1988 ISBN 0-9531544-0-8 The history of ground radar in the UK during WWII
  • Louis Brown, A Radar History of World War 2 - Technical and Military Imperatives, 1999, Institute of Physics Publishing, Bristol & Philadelphia ISBN 0-7503-0659-9
  • Robert Buderi: The invention that changed the world: the story of radar from war to peace, Simon & Schuster, 1996. ISBN 0-349-11068-9
  • Ronald Clark, Tizard (London, 1965). An authorized biography of radar's champion in the 1930s.
  • G W A Dummer, Electronic Inventions and Discoveries
  • Sir Charles Frank, Operation Epsilon: The Farm Hall Transcripts
  • Robert Hanbury Brown, Boffin: A Personal Story of the early Days of Radar and Radio Astronomy and Quantum Optics
  • Howse, Derek, Radar At Sea The Royal Navy in World War 2, Naval Institute Press, Annapolis, Maryland, USA, 1993, ISBN 1-55750-704-X
  • R.V. Jones, Most Secret War. R.V. Jones's account of his part in British Scientific Intelligence between 1939 and 1945, working to anticipate the German's radar, radio navigation and V1/V2 developments.
  • Harry von Kroge, GEMA: Birthplace of German Radar and Sonar
  • Latham, Colin & Stobbs, Anne., Radar A Wartime Miracle, Sutton Publishing Ltd, Stroud 1996 ISBN 0-7509-1643-5 A history of radar in the UK during WWII told by the men and women who worked on it.
  • Colin Latham and Anne Stobbs, The Birth of British Radar: The Memoirs of Arnold 'Skip' Wilkins, Speedwell for the Defence Electronics History Society 2006, ISBN 0953716627
  • Sir Bernard Lovell, Echoes of War - The History of H2S
  • Pritchard, David., The Radar War Germany's Pioneering Achievement 1904-1945 Patrick Stephens Ltd, Wellingborough 1989., ISBN 1852602465
  • C. F. Rawnsley & Robert Wright, Night Fighter
  • Zimmerman, David., Britain's Shield Radar and the Defeat of the Luftwaffe, Sutton Publishing Ltd, Stroud, 2001., ISBN 0-7509-1799-7
  • Brown, Jim, Radar - how it all began, ISBN 1-85756-212-7

リンク[編集]