レヴェランドUFO事件

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レヴェランドUFO事件の位置(テキサス州内)
レヴェランドUFO事件
テキサス州レヴェランド(Levelland)の位置

レヴェランドUFO事件(レヴェランドユーフォーじけん、Levelland UFO case)は、1957年11月2日から3日に、アメリカ合衆国テキサス州レヴェランド (Levelland) とその周辺で起きた。レヴェランドは、1957年の人口は約1万人で、テキサス州のサウス・プレーンズ (South Plains) の平坦なプレーリーに、テキサス州ラボックの西にある。この事件は、比較的短期間に多くの目撃者がかかわったために、UFO研究家によって、UFOの歴史上、最も印象的なUFO事件のひとつであると見なされている[1]。しかしながら、アメリカ空軍とUFO懐疑論者のどちらも、この事件は球電 (ball lightning) あるいは激しい雷雨 (severe electrical storm) によって起きたとしている[2][3]

報告[編集]

1957年11月2日の晩に、2人の移民労働者ペドロ・サウセド (Pedro Saucedo) とジョー・サルサ (Joe Salaz) は、レヴェランド警察署にUFOを目撃したと報告した。サウセドは、警察署で夜勤であった警察官吏A.J.ファウラー (A.J. Fowler) に、自分たちはレヴェランドの西4マイル(6キロメートル)を走っていたとき道路の近くで青い閃光が見えたと語った。彼らはトラックのエンジンが動かなくなったと主張し、ロケット形の物体が飛び立ちトラックに接近したと主張した。サウセドによれば、「わたしは怖かったからトラックから飛び降り、地べたに伏せた。わたしはジョーを呼んだが、彼は降りなかった。物体は大きな音および一陣の突風とともにトラックの真上を通過した。雷のような音で、トラックが閃光から揺れた...わたしは多くの熱を感じた」 ("I jumped out of the truck and hit the dirt because I was afraid.I called to Joe but he didn't get out.The thing passed directly over my truck with a great sound and rush of wind.It sounded like thunder and my truck rocked from the flash...I felt a lot of heat.") [2]。物体が飛び去るとトラックが再始動し、正常に動いた。ファウラーは、話がジョークであると考え、無視した[1]

1時間後、自家用車運転者ジム・ウィーラー (Jim Wheeler) は、「輝かしく照らされた、鶏卵形の、長さおよそ200フィートの物体」 ("brilliantly lit, egg-shaped object, about 200 feet long") が、レヴェランドの東4マイル(6キロメートル)の道路にあり、行く手をふさいでいると報告した。彼は、彼の乗り物が動かなくなった、車を降りたとき物体が飛び立ち、そのライトが消えたと主張した。それが飛び去ると、ウィーラーの車は再始動し、平常に動いた[1]

10時55分にレヴェランドの北西で車を走らせていた或る夫婦が、明るい閃光が空を横切るのが見え、ヘッドライトとラジオが3秒間、動かなかったと報告した。

5分後にホセ・アルヴァレス (Jose Alvarez) は、レヴェランドの北11マイル (18 km)の道路に奇妙な物体があった、車のエンジンは物体が出発するまで動かなかったと主張した[1]

12時05分(11月3日)にテキサス・テクニカル・カレッジ (Texas Technological College) (現テキサス工科大学)の学生ニューエル・ライト (Newell Wright) は、驚いた。彼がレヴェランドの西10マイル (16 km)で車を走らせていたとき「車のエンジンがぱちぱち音を発し始め、ダッシュの電流計がいっきに放電になり、それから平常に戻り、モーターがガス欠のように止まり始め……車は進んでいって停まった。それからヘッドライトが薄暗くなり、数秒後に消えた」 ("car engine began to sputter, the ammeter on the dash jumped to discharge and then back to normal, and the motor started cutting out like it was out of gas...the car rolled to a stop;then the headlights dimmed and several seconds later went out.") [1]。彼が故障を調べようと車を降りると、「長さ100フィートの」 ("100-foot-long") 鶏卵形の物体が道路にあった。それが飛び立ち、すると車のエンジンがもとのように動き始めた。

12時15分に官吏ファウラーは、別の通報を受けたが、今度はフランク・ウィリアムズ (Frank Williams) という農夫からで、彼は明るく白熱している物体が道路にあるのに遭遇し、「車がそれに近づくと、ライトが消えモーターが止まった」 ("as his car approached it, its lights went out and its motor stopped") と主張した。物体が飛び去り、すると彼の車のライトとモーターはもとのように動き始めた[1]

ほかに電話を掛けてきたのは12時45分のロナルド・マーティン (Ronald Martin) と1時15分のジェームズ・ロング (James Long) で、どちらも自分の前の道路にあった明るく照らされた物体があるのを見たと報告し、またエンジンとヘッドライトは物体が飛び去るまで消え、動かなかったと主張した[1]

このときまでに、一部のレヴェランドの警察官吏は複数の報告を捜査中であった。そのなかには、保安官ウィア・クレム (Weir Clem) も居たが、彼は、午前1時30分に赤い物体が空を横切るのが見えた。

1時45分にレヴェランドの消防署長レイ・ジョーンズ (Ray Jones) にも物体が見え、車のライトとエンジンがぱちぱち音を発した。複数の報告は、どうやらその後まもなく終わったらしい[2]

11月2-3日の夜のあいだ、レヴェランド警察署はあわせて15件のUFO関係の報告を受け、官吏ファウラーは「通報しただれもが興奮していた」 ("everybody who called was very excited") ことに注意した[1]

アメリカ空軍の調査[編集]

レヴェランドの目撃は国民的な周知を受け、まもなくプロジェクト・ブルーブック (Project Blue Book) によって調査された。プロジェクト・ブルーブックは、1947年にプロジェクト・サインとして始められ、UFO報告を調査するアメリカ空軍の公式調査団であった。空軍の曹長 (sergeant) がレヴェランドに遣られ、その都市で7時間をついやして事件を調査した[2]。空軍の調査者は、目撃者のうち3人 - サウセド、ウィーラー、およびライト - にインタヴューしたのちに、そしてその日早くにその地域に雷雨があったのを知ったのちに、激しい雷雨 (severe electrical storm) - 十中八九、球電あるいはセントエルモの火 - が目撃と報告された自動車の故障の主要因であると結論づけた[2]。UFO歴史家カーティス・ピーブルス (Curtis Peebles) によれば、「空軍は、『青い光』 ('blue light') を目撃したわずか3人を見つけた……物体の一様な記述はなかった」 ("the Air Force found only three persons who had witnessed the 'blue light'...there was no uniform description of the object.") [4]。そのうえ、プロジェクト・ブルーブックは次のように考えた、「サウセドの話は信頼できない -彼はグレード・スクール (grade school) の教育しか受けておらず、 方向感覚がなく、答えが矛盾している……雷雨の条件を考慮すると、球電あるいはセントエルモの火が最も考え得る要因であるようにおもわれる」 ("Saucedo's account could not be relied upon – he had only a grade school education and had no concept of direction and was conflicting in his answers...in view of the stormy weather conditions, an electrical phenomenon such as ball lightning or St. Elmo's fire seemed to be the most probable cause.") [4]。エンジンの故障は、「濡れた電気回路」 ("wet electrical circuits") のせいにされた[4]

ドナルド・H. メンツェル (Donald H. Menzel) は、ハーバード大学の天文学者で有名なUFO懐疑論者であるが、次のような空軍の説明に同意した:「文民の円盤団メンバーらは、[空軍調査者は]地域で7時間しか過ごさず、彼が問題を真剣に受け止めていなかったことは明白で、正しい解決を見いだしたはずがないと不平をこぼした。しかしながら、もし70時間の仕事をしたとしても、より明らかな絵を作れなかったであろう……証言ははなはだしい蓋然性につながる:レヴェランドの未知の火炎は球電『であった』 (was) 」 ("members of civilian saucer groups complained that, since [the Air Force investigator] had spent only seven hours in the area, he had obviously not taken the problem seriously and could not have found the correct solution.Even seventy hours of labor, however, could not have produced a clearer picture...the evidence leads to an overwhelming probability:the fiery unknown at Levelland was ball lightning") [2]。メンツェルは、次のように主張した:「11月2日の夜、レヴェランドは、球電の形成には理想的であった。数日間、地域では異例な天候を経験していて、問題の夜は雨、雷雨、そして電光に見舞われていた」 ("in Levelland on the night of November 2 conditions were ideal for the formation of ball lightning.For several days the area had been experiencing freak weather, and on the night in question had been visited by rain, thunderstorms and lightning") [2]。メンツェルは次のことを認めた:「球電は短命で証拠として保存することはできないから、11月2日の夜の外観は絶対に証明され得ない」 ("since ball lightning is short-lived and cannot be preserved as tangible evidence, its appearance on the night of November 2 can never be absolutely proved") 。しかしながら、彼はまた「円盤の支持者だけが、あまりにささいな一連の出来事 - 立ち往生した自動車数台、雷雨の終わりの空の火炎の球 - を、国民的な謎に転換したはずである」 ("only the saucer proponents could have converted so trivial a series of events – a few stalled automobiles, balls of flame in the sky at the end of the thunderstorm – into a national mystery") と主張した[2]

UFO研究家ら[編集]

有名なUFO研究家2人 - ジェームズ・E. マクドナルド (James E. McDonald) とアレン・ハイネック (J. Allen Hynek) - は、空軍の電光/雷雨の説明に反駁した。ふたりともに、目撃のあったときに地域に雷雨 (electrical storm) は無かったと主張した。1968年のアメリカ合衆国下院の委員会でマクドナルドは、次のように言った:「ひとつの有名なUFO事件はテキサス州レヴェランドでありました……2時間のあいだに10台の乗り物がべつべつに狭い地域で停められました。電光も雷雨もなく、雨の痕跡だけがありました」 ("One famous [UFO] case was at Levelland, Texas...ten vehicles were stopped within a short area, all independently in a 2-hour period.There was no lightning or thunder storm, and only a trace of rain.") [5]。ハイネックは、つぎのように書いた:「新しいソビエト人工衛星スプートニクの追跡の責任者として、わたしはいちにちぶっ続けの当番勤務ちゅうで、それに少しでも注意を払うことはできなかった。わたしは、わたしが、[空軍の]当時レヴェランド地域で雷雨 (electrical storm) が進行中であったという情報を基礎として「球電」 ('ball lightning') としての評価にいそいで意見が一致したことを自慢してはいない。これは事実ではないと示された。観測者らは空一面の雲ともやを報告したが、電光を報告しなかった」 ("as the person responsible for the tracking of the new Soviet satellite Sputnik, I was on a virtual around-the-clock duty and was unable to give it any attention whatever.I am not proud today that I hastily concurred in [the Air Force's] evaluation as 'ball lightning' on the basis of information that an electrical storm had been in progress in the Levelland area at the time.This was shown not to be the case.Observers reported overcast and mist but no lightning.") 。ハイネックは次のことに注意した:「もし少しでも考えていたならば、わたしは、球電が車をとめヘッドライトを消すことができるという証拠の欠如を認識したであろう」 ("had I given it any thought whatsoever, I would soon have recognized the absence of any evidence that ball lightning can stop cars and put out headlights") 。UFO研究家らは、空軍は目撃者15人のうち9人にインタヴューしていない、彼らはブルーブックの最終報告で言及もされていない、と主張している[6]

メディア報道[編集]

2002年3月に、ダラスを本拠とするテレビ局KDFWは、レヴェランドUFO事件にかんする報告を放送して、そのなかでレポーター リチャード・レイ (Richard Ray) はウィア・クレムの未亡人と友人らにインタヴューした[7]

読書案内[編集]

  • Clark, Jerome. The UFO Book: Encyclopedia of the Extraterrestrial. Detroit: Visible Ink Press. 1998, pp. 339–340

References[編集]

  1. ^ a b c d e f g h Joseph Allen Hynek; J. Allen Hynek (December 1, 1977). The UFO Experience. Random House Publishing Group. ISBN 978-0-345-27361-1. https://books.google.com/books?id=q2tVPgAACAAJ. 
  2. ^ a b c d e f g h Donald Howard Menzel; Lyle Gifford Boyd (1963). The world of flying saucers: a scientific examination of a major myth of the space age. Doubleday. https://books.google.com/books?id=IYNTAAAAMAAJ. 
  3. ^ “No Saucers In Reports UFOs Seen”. Montreal Gazette. (1957年11月16日). https://news.google.com/newspapers?nid=1946&dat=19571116&id=N4Y0AAAAIBAJ&sjid=dKgFAAAAIBAJ&pg=4699,3154037&hl=en 2016年2月9日閲覧。 
  4. ^ a b c Curtis Peebles (October 1, 1995). Watch the Skies!: A Chronicle of the Flying Saucer Myth. Berkley Books. ISBN 978-0-425-15117-4. https://books.google.com/books?id=zjI4X7ZOvOIC. 
  5. ^ (http://files.ncas.org/ufosymposium/mcdonald.html)
  6. ^ David Michael Jacobs (1976). The UFO Controversy in America. New American Library. https://books.google.com/books?id=d9BaAAAAYAAJ. 
  7. ^ The Tex Files: Levelland UFOs (Air date: 25 March, 2002)”. KDFW Fox 4, Dallas-Fort Worth. MYFoxKDFW.com. 2013年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月9日閲覧。