レッドタートル ある島の物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
レッドタートル ある島の物語
The Red Turtle
監督 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
脚本 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
パスカル・フェラン
原作 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
製作 鈴木敏夫
ヴァンサン・マラヴァル
パスカル・コシュトゥ
グレゴワール・ソルラ
ベアトリス・モーデュイ
製作総指揮 ヴァレリー・シェルマン
クリストフ・ヤンコヴィッチ
出演者 (サイレント映画のため、なし)
音楽 ローラン・ペレス・デル・マール
編集 セリーヌ・ケレピキス
制作会社 プリマ・リネア・プロダクションズ[1]
製作会社 スタジオジブリ
ワイルドバンチ
ホワイノット・プロダクションズ
アルテフランス・シネマ
CN4プロダクションズ
ベルビジョン
日本テレビ
電通
博報堂DYMP
ディズニー
三菱商事
東宝
配給 フランスの旗ワイルドバンチ
日本の旗東宝
アメリカ合衆国の旗ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
公開 フランスの旗2016年5月11日カンヌ国際映画祭
フランスの旗2016年6月29日
日本の旗2016年9月17日
アメリカ合衆国の旗2017年1月20日
上映時間 81分[2]
製作国 日本の旗 日本
フランスの旗 フランス
 ベルギー
テンプレートを表示

レッドタートル ある島の物語(原題:The Red Turtle、仏題:La Tortue rouge)は、2016年に公開された日本フランスベルギー合作のアニメーション映画作品。

アニメ制作会社のプリマ・リネア・プロダクションズ(フランス)がアニメーション制作を、同じくアニメ制作会社のスタジオジブリ(日本)、ベルビジョン(ベルギー)が製作を担当する。

概要[編集]

日本フランスベルギーの3か国による合作映画である[3]スタジオジブリにとっては初の国外との共同製作による作品であり、オランダ出身のアニメーション作家、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットが監督を務める。この他、フランスの映画監督・脚本家、パスカル・フェランが脚本を担当し、高畑勲がアーティスティックプロデューサーとして製作に携わっている。

第69回カンヌ国際映画祭にてある視点部門特別賞を受賞し[4][5][6][7]、第44回アニー賞ではインデペンデント最優秀長編作品賞を受賞するなど、多数の賞に輝いている。第41回トロント国際映画祭においては、ディスカバリー部門に出品した[8]

なお、ジブリ映画は冒頭にトトロの横顔を描いたスクリーンが登場することになっており、当作も例外ではないが、他の作品がブルースクリーンであるのに対し、当作ではレッドスクリーンになっている(デザインは同一)。

あらすじ[編集]

嵐で大荒れた海に放り出され、今にも溺れそうな1人の男がいた。男は近くにあった小舟につかまり、九死に一生を得る。

男が目を覚ますと、そこはウミガメカニたちが暮らす不気味な無人島だった。男は島からの脱出を試み、竹で作ったいかだで海に出るが、何者かによりいかだを壊され、島にもどらざるをえなくなる。そのあと、再び作ったいかだで海に出た男だが、またも壊されてしまう。絶望的な状況に陥った男は、死んだアシカを見つけると再び島からの脱出を決意。だが、巨大ないかだを作って海に出た男の前に、赤い大きなウミガメが現れる。そのウミガメがいかだを壊したかどうかは不明だが、再びそれが壊され、男は島に戻る。赤いウミガメがそれを壊したと思い、激しく怒った男は、浜辺で見つけた赤いウミガメをひっくりかえし、そのまま数日放置してしまう。すると赤いウミガメは死に、男は後悔するのだった。そんなある日、赤いウミガメが消え、残った甲羅の中に意識のない1人の女が現れた。男は、正体も分からないその女を必死に看病する。数日後、男に看病された女は目覚め、2人は恋に落ちる。

数年後、無人島には息子に恵まれ幸せな生活を送る3人家族の姿があった。ある日、島に漂着したびんを見つけた息子は、島の外の絵を父親に見せられる。息子は、外の世界に興味津々な様子。息子も成長した数年後、突然津波が島を襲う。津波に飲み込まれた3人だが、なんとか再会を果たした。その後、失くしたびんを発見した息子は、外の世界へ旅立つことを決意。翌日、3匹のウミガメと共に島を出ていった。

そして、島に残った男と女は年を取り、ある日、男は月を見ながら静かに天国へと旅立つ。残された女は悲しみ、男の手をなでると赤いウミガメの姿にもどって海へと帰っていった[6][9]

登場人物[編集]

いずれも台詞は無いが、叫び声や呼吸音があるため声優が存在する。しかし、誰なのかは公表されていない。

  • 息子

製作[編集]

本作の企画は2006年に始まった[7]。プロデューサーのヴァンサン・マラヴァルはスタジオジブリ本社を訪問しドゥ・ヴィットの作品『岸辺のふたり』を紹介した際、宮崎駿からドゥ・ヴィットに会わせて欲しいという要望を受けていた。マラヴァルはこれに対し、会わせるのは難しいと答えたものの、宮崎は「もしスタジオジブリが海外のアニメーション作家をプロデュースする時は、彼(ドゥ・ヴィット)を選ぶ」と言ったという[10]

後に鈴木敏夫がドゥ・ヴィットの起用に関する正式なオファーを出し[11]、マラヴァルらプロデューサーはイギリスにいるドゥ・ヴィットの元を訪ね、映画の製作を打診した。ドゥ・ヴィットは当初この企画に乗り気ではなかったが、スタジオジブリが製作に加わることを話したところ興味を持ち[10]2015年、本作の監督に就任した[12]。ドゥ・ヴィットはスタジオジブリ本社のある東京都小金井市に一時転居してシナリオと絵コンテを完成させ、高畑勲らのチェックを受けた後、フランスに移って本格的な製作に取りかかった[11]

2015年4月時点で公表されているあらすじによれば、本作は無人島に置き去りにされた男と巨大な亀の交流を描いたものとなっている[10]。ドゥ・ヴィットはこの作品を通じて、「人間性を含めた自然への深い敬意、そして平和を思う感性と生命の無限さへの畏敬の念を伝えたい」と語っている[13][1]。また、ジブリ作品では初となる全編セリフ無しの作品となることも公表されている[12]

日本では2016年4月14日に本作のポスタービジュアルが公開された。キャッチコピーは『どこから来たのか どこへ行くのか いのちは?[14]

スタッフ[編集]

  • 監督・脚本・原作:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット[2]
  • 脚本:パスカル・フェラン
  • 製作:鈴木敏夫、ヴァンサン・マラヴァル、パスカル・コシュトゥ、グレゴワール・ソルラ、ベアトリス・モーデュイ
  • アーティスティックプロデューサー:高畑勲
  • 製作総指揮:ヴァレリー・シェルマン、クリストフ・ヤンコヴィッチ
  • プロダクションマネージャー:タンギー・オリヴィエ
  • ストーリーボード:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
  • 編集:セリーヌ・ケレピキス
  • 音楽:ローラン・ペレス・デル・マール
  • キャラクター開発:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット、エマ・マッキャン、トニ・マンギュアル・リヨベット、カロリーヌ・ピオション
  • 背景:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット、ジュリアン・ドゥ・マン
  • アニメーションスーパーバイザー:ジャン=クリストフ・リー
  • レイアウトスーパーバイザー:エリック・ブリシュ
  • 背景スーパーバイザー:ジュリアン・ドゥ・マン
  • コンポジットスーパーバイザー:ジャン=ピエール・ブシェ、アルノー・ボワ
  • 特殊効果スーパーバイザー:ムールド・ウシド
  • サウンドスーパーバイザー:ブリュノ・セズネック
  • サウンドデザイン:アレクサンドル・フルーラン、セバスティアン・マルキー
  • 音響効果:フロリアン・ファーブル
  • アニメーション制作:プリマ・リネア・プロダクションズ
  • 製作:スタジオジブリ、ワイルドバンチ、ホワイノット・プロダクションズ、アルテフランス・シネマ、CN4プロダクションズ、ベルヴィジョン・スタジオ日本テレビ放送網株式会社電通博報堂DYメディアパートナーズウォルト・ディズニー・ジャパン三菱商事株式会社 東宝
  • 配給:ワイルドバンチ(海外)、東宝(日本)

公開[編集]

フランスでは2016年5月11日より開催される第69回カンヌ国際映画祭のある視点部門における初上映の後、6月29日に一般公開された[15]

日本では9月17日に公開された[14]。初動の興行収入は3300万円で、週末興行収入ランキングではトップ10にランクインしなかった。

ソニー・ピクチャーズ・クラシックスの配給で、アカデミー賞ノミネート資格を得るための限定公開後、翌2017年1月20日からアメリカで一般公開された[16]

受賞[編集]

結果
2016 第69回カンヌ国際映画祭 ある視点部門・特別賞 受賞 [17]
ロサンゼルス映画批評家協会賞 アニメ映画賞 次点[18]
2017 第44回アニー賞[19] 長編インディペンデント作品賞 受賞
監督賞 ノミネート
音楽賞 ノミネート
脚本賞 ノミネート
視覚効果賞 ノミネート
第89回アカデミー賞 長編アニメ映画賞 ノミネート

BD / DVD[編集]

2017年3月17日にBD (VWBS-8782) とDVD (VWDZ-8782) が発売された。

テレビでの放送[編集]

2018年1月1日深夜(1月2日)に、日本テレビ系列映画天国』枠にて地上波初放送された。スタジオジブリ制作の長編アニメーション作品が「金曜ロードSHOW!」枠以外で放送されるのは異例のことであり、テレビスペシャルとして1993年5月5日に放送された『海がきこえる』以来である(劇場用映画に限れば1988年4月2日に放送された『天空の城ラピュタ』の初回放送以来である)。

回数 番組名(放送枠名) 放送日 放送時間 放送分数 視聴率
1 映画天国 2018年1月1日 25:59 - 27:49 110分 1.1%
  • 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b Studio Ghibli’s ‘The Red Turtle’ Will Premiere At Cannes”. Cartoon Brew (2016年4月15日). 2016年4月20日閲覧。(英語)
  2. ^ a b The Red Turtle | Descriptions Archived 2016年6月5日, at the Wayback Machine.(フランス語)(英語)Prima Linea Productions、2016年4月20日閲覧。
  3. ^ 『レッドタートル ある島の物語』クレジット” (日本語). CREDIT. スタジオジブリ. 2017年2月12日閲覧。
  4. ^ The 2016 Official Selection”. Festival de Cannes. 2016年4月20日閲覧。
  5. ^ スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」のカンヌ国際映画祭への出品が決定しました”. スタジオジブリ公式サイト (2016年4月15日). 2016年4月20日閲覧。
  6. ^ a b スタジオジブリ新作『レッドタートル』がカンヌでスタンディングオベーション!【第69回カンヌ国際映画祭】”. シネマトゥデイ (2016年5月19日). 2016年5月23日閲覧。
  7. ^ a b ジブリ新作『レッドタートル』がカンヌで特別賞!高畑監督も喜び【第69回カンヌ国際映画祭】”. シネマトゥデイ (2016年5月22日). 2016年5月23日閲覧。
  8. ^ “スタジオジブリ製作「レッドタートル」トロント国際映画祭に出品決定”. 映画ナタリー. (2016年8月23日). http://natalie.mu/eiga/news/199215 2016年8月24日閲覧。 
  9. ^ 映画『レッドタートル ある島の物語』INTRODUCTIONより、2016年5月23日閲覧。
  10. ^ a b c Wild Bunch unveils first titles on Cannes slate”. Screen Daily (2015年4月24日). 2016/04-20閲覧。(英語)
  11. ^ a b スタジオジブリ、海外の作家を初プロデュース!「レッド・タートル」は東宝配給”. 映画.com (2015年12月10日). 2016年4月20日閲覧。
  12. ^ a b 「ジブリ最新作キタァァァ!!!」 海外会社と共同制作のジブリ新作にファンは興味津々”. ダ・ヴィンチニュース (2015年12月19日). 2016年4月20日閲覧。
  13. ^ Arte France Cinéma coproduit The Red Turtle, premier long métrage d’animation de Michael Dudok de Wit”. Arte (2014年2月18日). 2016年4月20日閲覧。(フランス語)
  14. ^ a b ジブリ「レッドタートル」がカンヌある視点部門に出品、鈴木敏夫のコメント到着”. 映画ナタリー (2016年4月14日). 2016年4月20日閲覧。
  15. ^ Le film La Tortue Rouge, coproduit par le Studio Ghibli et Wild Bunch, sortira en France le 29 juin”. Studio Ghibli France (2016年3月15日). 2016年4月20日閲覧。(フランス語)
  16. ^ “「レッドタートル」がアカデミー賞 長編アニメーション部門にノミネートされました”. STUDIO GHIBLI 最新情報. (2017年1月26日). http://www.ghibli.jp/info/011199/ 2017年10月15日閲覧。 
  17. ^ “深田晃司「淵に立つ」とジブリ新作「レッドタートル」カンヌある視点部門で受賞”. 映画ナタリー. (2016年5月22日). http://natalie.mu/eiga/news/188081 2016年5月22日閲覧。 
  18. ^ “「君の名は。」ロサンゼルス映画批評家協会賞でアニメ賞受賞”. スポニチアネックス. (2016年12月5日). http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/12/05/kiji/K20161205013852300.html 2016年12月5日閲覧。 
  19. ^ “アニー賞『君の名は。』作品賞&監督賞にノミネート!ジブリ新作も5部門”. シネマトゥデイ. (2016年11月30日). http://www.cinematoday.jp/page/N0087873 2016年11月30日閲覧。 

外部リンク[編集]