レジスタントプロテイン

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レジスタントプロテイン(Resistantprotein)とは、体内の消化酵素で分解されにくく食物繊維様の生理機能を有するタンパク質である。

特長[編集]

日頃から食物繊維を多く摂取することで、心筋梗塞脳梗塞動脈硬化高血圧高脂血症糖尿病等の疾病にかかりにくいことが疫学調査で確認されている。食物繊維の多くは多糖類などの炭水化物であるが、レジスタントプロテインはタンパク質でありながら食物繊維様の生理機能を示す食品成分である。

性質[編集]

食品中に含まれるタンパク質は体内で消化酵素により分解され、アミノ酸として腸管より吸収される。 しかしレジスタントプロテインは消化酵素による分解を受けにくく栄養源として吸収されにくいが、コレステロール低下作用等の効果があり健康維持に対して有効であると考えられている[1]

レジスタントプロテインを含む食品[編集]

酒粕[編集]

酒粕レジスタントプロテインはコレステロール低下作用や肥満抑制作用等の効果が確認されている。酒粕レジスタントプロテインは脂質を吸着させてそのまま体外に排泄させていると考えられている[2]

そば[編集]

そばタンパク質は血中の総コレステロール値を減少させることが確認されている。そばに含まれるレジスタントプロテインが糞中への中性ステロールの排泄を促進させ,コレステロール低下作用に寄与していることが考えられている。

絹タンパク[編集]

繭糸に含まれるタンパク質、セリシンは,レジスタントプロテインである。セリシンの摂取により大腸腫瘍の発現の抑制が報告されている。また、糞中の水分含量を高める事で便秘改善効果に対しても効果がある。さらにセリシンには高い抗酸化力があり,活性酸素の働きを抑える効果も有する[3]

大豆・凍り豆腐[編集]

大豆タンパク質は、以前よりコレステロール低下作用があることが知られていた。その要因の一つとして大豆タンパク質に含まれるレジスタントプロテインが関与していると考えられている。大豆食品の中でも凍り豆腐中のタンパク質は元の大豆タンパク質よりもレジスタントプロテインの割合が多く、その結果として凍り豆腐タンパク質が強いコレステロール調節作用を持つことが報告されている。[4]また、凍り豆腐には糖尿病の予防・改善効果があるとする論文[5]が発表された。このメカニズムとして、凍り豆腐に多く含まれるレジスタントプロテインによって胆汁酸が排泄され、腸肝循環している胆汁酸の新しい割合が増えることにより、TGR5経路を通したシグナル伝達が活性化する説が提唱されている。

利用[編集]

主に機能性食品の素材原料[6]として利用されているが、医薬品や食品以外の用途開発も検討され始めている。

脚注[編集]

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  1. ^ 1997年に広島大学の加藤範久のグループが、世界で初めてレジスタントプロテインという新しい概念を導入した論文[要出典]を発表した。
  2. ^ 脂質吸着の様子は、NHKの『ためしてガッテン』でも紹介された。
  3. ^ 活性酸素によるDNA障害の指標(8-OHdG)の減少が確認されている。
  4. ^ Biosci. Biotechnol. Biochem., 75 (3), 575-577, 2011
  5. ^ Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)44. (9) 2016:1363-1366.
  6. ^ 酵素処理した酒粕を酵母で発酵させ、レジスタントプロテインを濃縮させたもの等がある。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Trowell, H. C.: Am. J. Clin. Natr., 25, 926 (1972).
  • 桐山修八ほか:化学と生物,18, 95 (1980).
  • Kayashita, J. et al.: Nutr.Res., 15, 691 (1995).
  • Kato, N.: J. Nutr. Sci. Vitaminol., 48, 1 (2002).
  • Sasaki, M. et al.: Oncology Rep., 7, 1049 (2000).
  • Zhaorigetu, S. et al.: Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 2181 (2001).
  • Sasaki, M. et al.: Food Sci. Tech. Res., 6, 280 (2000).
  • Azuma, N. et al.: J. Nutr. Sci. Vitaminol., 46, 23 (2000).
  • 渡辺敏郎ほか:Food Style 21, 11, 51 (2007).

外部リンク[編集]