ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ

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ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
ビートルズ楽曲
収録アルバム サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
英語名 Lucy in the Sky with Diamonds
リリース 1967年6月1日 (1967-06-01)
録音
ジャンル
時間 3分29秒
レーベル
作詞者 レノン=マッカートニー
作曲者 レノン=マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 収録曲
ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ
(A-2)
ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
(A-3)
ゲッティング・ベター
(A-4)
ミュージックビデオ
「Lucy In The Sky With Diamonds (Remix)」 - YouTube

ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」(英語: Lucy in the Sky with Diamonds)は、ビートルズの楽曲である。1967年に発表された8作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の3曲目に収められている。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にジョン・レノンによって作られた[2]。歌詞はレノンの息子・ジュリアンが保育園で描いた絵に影響を受けている。アルバム発売前よりタイトルの名詞の頭文字をつなげると「LSD」になるが、レノンはこの曲との関連性を否定しており、楽曲内で描かれる幻想的な情景はルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』に触発されたものとしている[3]

1967年3月にレコーディングされた本作は、ロウリー・オルガンタンブーラ英語版によるドローン効果が特徴となっている。本作は、サイケデリック音楽の典型とされている。1974年にエルトン・ジョンによってカバーされ、Billboard Hot 100では第1位を獲得した。

背景[編集]

1966年のある日、ジョン・レノンの息子ジュリアン・レノンは保育園から帰ると、ルーシーという名のクラスメートについてジョンに話した。ジュリアンはジョンに絵を見せながら「ルーシーがダイヤモンドを持って空にいるんだ」と説明した[1]。ジュリアンはその後「僕はなぜたくさん描いた絵の中からそれを選んだのか分からない。でも、その当時はルーシーに対する好意をはっきり持っていたんだ。僕はそのころよく父に保育園で描いたり作ったりした物を見せていたんだよ。この絵は父に『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』のアイディアをひらめかせたんだ」と語った[4][5]

タイトルの名詞の頭文字をつなげると「LSD」になることから、幻覚剤の効果を再現したものという憶測が広まった[1]。これについてポール・マッカートニーは否定し、上述のジュリアンが描いた絵がモチーフとなっていると主張し、レノンもこれを認めた[1][注釈 1]。また、歌詞についてレノンは、1968年に「歌詞はすべて『ジャバウォックの詩[注釈 2]』を元に書いた」とし、「絶対にルイス・キャロルになってやろうと思っていた。これまでは『きみが好きだし、きみもぼくが好き』と書くのが曲作りで、文章はそれとは異なるものと考えていた。でも、ディランたちを通じて、そのふたつはおなじものだというに気が付いた。だから同じようにすることに決めた。ああいった詩に注ぎこまれたのと同じエネルギーが曲にも注ぎこまれている」と語っている[1]

マッカートニーは、本作の「Cellophane flowers of yellow and green(黄色や緑色のセロファンの花)」と「Newspaper taxis appear on the shore(岸辺に新聞紙のタクシーがあらわれて)」というフレーズを考案しており[8][9]、「僕とジョンは言葉遊びをしていた。“岸辺に新聞紙のタクシーがあらわれて”といったフレーズは全て、あのシリーズがまだ続いていて、ありすが別の国に行ったとしたら、彼女の身に起こっていそうなことばかりだ」と語っている[1]

1968年に公開されたアニメ映画『イエロー・サブマリン』で使用されており、1999年に発表されたリミックス・アルバム『イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜』にも収録されている。なお、同アルバムには、アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の冒頭の2曲同様、ベーシックトラックがピンポン録音処理される前の音をシンクロ技術で組み合わせたバージョンが収録されている。

レコーディング[編集]

この曲のレコーディングに先立って、1967年2月28日にEMIスタジオの第2スタジオでリハーサルが行なわれ[10][1]、3月1日にレコーディングが開始された。この曲は4トラック・レコーダーで録音され、最初のテイクではトラック1にアコースティック・ギターピアノ、トラック2にポール・マッカートニーローリー・オルガン、トラック3にリンゴ・スタードラムス、トラック4にレノンのガイド・ボーカルとシェイカーが録音された[1]。この日に録音されたテイク7が採用され、レノンのガイド・ボーカルが、ジョージ・ハリスンによるタンブーラ英語版に置き換えられた[10]

3月2日に前日に録音した4つのトラックをピンポン録音して、テイク8を作成。なお、この時に録音のスピードを通常の49サイクルより僅かに遅く設定された[1]。これにより、ジョージ・ハリスンアコースティック・ギターにはフェージング効果が大量にかけられ、音色が大幅似変化することとなった[1]。その後トラック4にマッカートニーのベースとハリスンのリードギターが録音された[1]

その後、トラック2とトラック3にダブルトラッキングされたレノンのボーカルと、マッカートニーのハーモニーが録音された。なお、レノンのボーカルは、テープレコーダーの回転速度を45サイクルに落とし、マッカートニーのハーモニーは、48.5サイクルで回して録音された[1]。これにより、後のモノラル・ミックスやステレオ・ミックス作成時に通常のスピードで再生すると、録音時よりもテンポが少し速くなり、キーも少し高く聴こえるようになった[1]

本作のモノラル・ミックスは3月2日に11パターンも制作されたが、最終的に3月3日に制作されたモノラル・ミックスが採用された。なお、ステレオ・ミックスは4月7日に制作された[11]

レコーディング・セッション時のアウトテイクが正式にリリースされており、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』にはテイク6、7、8を組み合わせた音源が収録され[1]、2017年に発売された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド -50周年記念エディション-〈6枚組スーパー・デラックス〉』にはテイク5と1967年3月2日に制作された初期段階のモノラル・ミックスが収録された[1]

演奏[編集]

特記がない限り、2017年に発売された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (50周年記念エディション)』に掲載されたクレジットに準拠[1]

カバー・バージョン[編集]

ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
エルトン・ジョンシングル
B面 ワン・デイ
リリース
録音 1974年夏
ジャンル サイケデリック・ポップ
時間
レーベル
作詞・作曲 レノン=マッカートニー
プロデュース ガス・ダッジョン
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間1位アメリカ[14]カナダ[15]
  • 週間3位オーストラリア[16]
  • 週間10位イギリス[17]
  • 週間11位ニュージーランド[18]
  • 年間7位(カナダ)[19]
  • 年間33位(オーストラリア)[20]
  • 年間34位(US Billboard Hot 100)[21]
  • エルトン・ジョン シングル 年表
    • ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
    • (1974年 (1974)
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    多くのビートルズ・ナンバーと同様に、この曲も多くのアーティストによってカヴァーされた。俳優のウィリアム・シャトナーが1986年にカヴァーしたものは、発表当時成功しなかったが、数十年後に[いつ?]インターネット上で有名になった。シャトナーのヴァージョンはビートルズのカヴァーの中でも史上最悪の楽曲とされ[22]、シャトナー本人も自伝でそうした評価があることは認めている[23]。1974年にエルトン・ジョンが発表したヴァージョンにはジョン・レノンがバック・ヴォーカルとギターで参加し、1975年1月のBillboard Hot 100で2週連続1位、イギリスでは最高位10位を獲得した。

    2001年公開の映画『アイ・アム・サム』のサウンドトラックでは、ブラック・クロウズエイミー・マンの2組がこの曲をカバーした。

    ザ・フレーミング・リップスは、2014年に発売したカバー・アルバム『With a Little Help From My Fwends[注釈 3]』で、マイリー・サイラスモービーをゲストに迎えて本作をカバー。同年11月18日には配信限定シングルとしてもリリースされた。

    その他にはナタリー・コールマリリン・マンソンザ・フレーミング・リップスがカバーしているほか、日本では伊藤銀次[注釈 4]HYDEPUFFYなどがカヴァーしている。

    影響[編集]

    レノンは、同年に発表したビートルズの楽曲「アイ・アム・ザ・ウォルラス」でも、空を飛ぶルーシー(Lucy in the sky)を登場させている。

    この曲は人類学上の発見にも影響を与えた。1974年11月24日にドナルド・ヨハンソンとトム・グレイはエチオピアアワッシュ川下流域で318万年前の化石人類アウストラロピテクス・アファレンシスの女性の骨格を発見した。その作業時に本作が流れていたことから、その化石人骨は「ルーシー」と名付けられた[25][26]

    2004年2月13日に、ハーバード大学の天文学者は白色矮星ケンタウルス座V886星の発見を発表した。ケンタウルス座V886星は炭素で構成され、最大で1034カラット (2×1030kg、太陽質量程度) が結晶化してダイヤモンドになっていると考えられた事から、彼らはその星を本曲に因んで「ルーシー」と名付けた。

    アーサー・C・クラークのSF小説『2010年宇宙の旅』では、木星モノリスの力で太陽化して「ルシファー」と命名されるが、続編『2061年宇宙の旅』では木星の核に存在した超巨大ダイヤモンドがルシファー誕生の際に宇宙に飛散したとされ、本曲に触れるくだりがある。

    ジェシー・ネルソン監督の映画『アイ・アム・サム』では、サムが生まれた娘に本曲からインスパイアを受けルーシー・ダイアモンドと名付けている。

    2011年に行われたオークションで、レノンの手書きによる歌詞が出品され、23万ドルで落札された[27]

    収録アルバム[編集]

    脚注[編集]

    [脚注の使い方]

    注釈[編集]

    1. ^ ただし、マッカートニーは後にこの曲を含めビートルズは「薬物」からのインスパイアを受けていたと語っている[6][7]
    2. ^ 鏡の国のアリス』に登場するナンセンス詩のひとつ。
    3. ^ 『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録の前曲をカバーしたアルバム[24]
    4. ^ 1988年のトリビュート・アルバム『抱きしめたい』に収録。

    出典[編集]

    1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Sgt. Pepper 2017, p. 11.
    2. ^ Compton, Todd (2017). Who Wrote the Beatle Songs? A History of Lennon-McCartney. San Jose: Pahreah Press. p. 180. ISBN 978-0-9988997-0-1 
    3. ^ Sheff 2000, p. 182.
    4. ^ “The Beatles' Lucy in the Sky dies, aged 46”. The Guardian (Guardian Media Group). (2009年9月28日). https://www.theguardian.com/music/2009/sep/28/beatles-lucy-in-sky-dies 2020年8月6日閲覧。 
    5. ^ Kral, Georgia (2009年6月9日). “Julian Lennon Aids Real-Life 'Lucy'”. Spinner. AOL. 2020年8月6日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年9月30日閲覧。
    6. ^ “ポール・マッカートニー、日本での逮捕を語る” (日本語). BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2004年6月3日). https://www.barks.jp/news/?id=1000000595 2018年11月15日閲覧。 
    7. ^ “McCartney: Of Course Those Songs Were About Drugs”. Washington Post. Associated Press (Washington, D.C.): p. C02. (2004年6月3日) 
    8. ^ The Beatles 2000, p. 242.
    9. ^ McCartney, Paul (1997年10月12日). Sunday Supplement. インタビュアー:Michael Parkinson. London: BBC Radio 2 
    10. ^ a b Winn 2009, p. 91.
    11. ^ Winn 2009, p. 92.
    12. ^ Ultimate Classic Rock”. 2018年9月30日閲覧。
    13. ^ Gold & Platinum”. The Recording Industry Association of America. 2020年8月6日閲覧。
    14. ^ The Hot 100 Chart”. Billboard (1975年1月4日). 2020年8月6日閲覧。
    15. ^ Lucy in the sky with diamonds in Canadian Top Singles Chart”. RPM. Library and Archives Canada. 2014年12月13日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2020年8月6日閲覧。
    16. ^ Kent, David (1993) (doc). Australian Chart Book 1970-1992. Australian Chart Book, St Ives, N.S.W. ISBN 0-646-11917-6 
    17. ^ Official Singles Chart Top 50 (08 December 1974 - 14 December 1974)”. Official Charts Company (1974年12月14日). 2020年8月6日閲覧。
    18. ^ ELTON JOHN - LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS (SONG)”. charts.org.nz. 2020年8月6日閲覧。
    19. ^ Item Display - RPM - Library and Archives Canada”. collectionscanada.gc.ca. 2020年8月6日閲覧。
    20. ^ Top 100 End of Year AMR Charts - 1980s”. australian-charts.com. 2020年8月6日閲覧。
    21. ^ Top 100 Hits of 1975/Top 100 Songs of 1975”. Music Outfitters. 2020年8月6日閲覧。
    22. ^ Icons: William Shatner
    23. ^ Shatner 2008, p. 4.
    24. ^ “フレーミング・リップス『サージェント・ペパーズ』カバー・アルバム詳細があきらかに”. OTOTOY (オトトイ). (2014年8月5日). https://ototoy.jp/news/76131 2020年8月6日閲覧。 
    25. ^ Johanson & Edey 1981, p. 22.
    26. ^ 仲野徹 (2020年4月19日). “未来のルーシー 中沢新一、山極寿一著 青土社”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社. 2020年8月6日閲覧。
    27. ^ Morgan, David (2011年5月17日). “Lennon's "Lucy in the Sky" lyrics sell for $230K”. CBS News (CBS Interactive Inc). オリジナルの2013年8月25日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20130825003400/http://www.cbsnews.com/2100-207_162-20063652.html 2020年8月6日閲覧。 

    参考文献[編集]

    関連項目[編集]

    外部リンク[編集]