ルクレティウス
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ティトゥス・ルクレティウス・カルス(ラテン語: Titus Lucretius Carus, 紀元前94年頃 - 紀元前55年頃[1])は、共和政ローマ期の詩人・哲学者。ルクレーティウスなどとも表記される。
生涯
[編集]生涯は不詳で[2]、後世のヒエロニュムスによれば、媚薬を飲んで発狂自殺したとされるが、異教批判的な文脈で書かれているため疑わしい[3]。ルクルスが晩年に媚薬を飲んで痴呆化したという逸話と混同している可能性もある[4]。
思想
[編集]『事物の本性について』でエピクロスの思想を述べた。詩の形式でエピクロスの宇宙論を著述した。
説明の付かない自然現象を見て恐怖を感じ、そこに神々の干渉を見ることから人間の不幸が始まったと論じ、死によってすべては消滅するとの立場から、死後の罰への恐怖から人間を解き放とうとした。6巻7400行からなる六歩格詩『事物の本性について』(ラテン語: De rerum natura[5])で唯物論的自然哲学と無神論を説いた。
影響
[編集]ルクレティウスの著作は長い間知られていなかった。1417年にイタリア・ルネサンスの人文主義者ポッジョ・ブラッチョリーニにより、ドイツの修道院で『事物の本性について』の写本が再発見された[6]。同書はルネサンス哲学の展開に大きな影響を与え、原子論が発展する原動力となった。
日本語訳
[編集]- 『物の本質について』(樋口勝彦訳、岩波文庫、初版1961年)ISBN 978-4003360514
- 『事物の本性について・宇宙論』(藤沢令夫・岩田義一[7]訳、ちくま学芸文庫、2025年)ISBN 978-4480513014
- 元版:筑摩書房〈世界古典文学全集21[8]〉、初版1965年。ISBN 978-4480203212
- 『万物の根源/世界の起源を求めて』(塚谷肇訳、近代文藝社、2006年)ISBN 978-4773374193
- 『事物の本性について』上・下(瀬口昌久訳、岩波文庫、2026年6月)ISBN 978-4003360583, 978-4003360590 - 新訳版
- 『事物の本性について』(山下太郎訳、京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2026年6月)ISBN 978-4814006694
参考文献
[編集]- Greenblatt, Stephen (2011), The Swerve, New York: WW. Norton and Company
- スティーヴン・グリーンブラット 著、河野純治 訳『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』柏書房、2012年。ISBN 978-4760141760。
- 新版『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』ちくま学芸文庫、2025年。ISBN 9784480513328。
- スティーヴン・グリーンブラット 著、河野純治 訳『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』柏書房、2012年。ISBN 978-4760141760。
- 小池澄夫; 瀬口昌久『ルクレティウス『事物の本性について』 : 愉しや、嵐の海に』岩波書店〈書物誕生:あたらしい古典入門〉、2020年。ISBN 9784000283045。
- 寺田寅彦(1929年)『ルクレチウスと科学』:新字新仮名 - 青空文庫
脚注
[編集]- ↑ 斎藤忍随、平凡社、改訂新版 世界大百科事典『ルクレティウス』 - コトバンク
- ↑ 松原國師「ル(ー)クレーティウス」『西洋古典学事典』京都大学学術出版会、2010年、1352-1353頁。ISBN 9784876989256。
- ↑ グリーンブラット 2012, p. 71-72.
- ↑ 小池; 瀬口 2020, p. 59-60.
- ↑ 『デ・レルム・ナトゥーラ』 - コトバンク
- ↑ Greenblatt, p.44 (2009)
- ↑ 旧版は「ルクレチゥス 宇宙論」岩田義一訳、田中美知太郎校訂(世界大思想全集 哲学・文芸思想篇3 河出書房新社、1959年)
岩田義一(1916‐2000)は、数学史研究者。 - ↑ ウェルギリウス『アエネーイス』泉井久之助訳と併収
関連項目
[編集]- (6240) ルクレティウス・カルス - ルクレティウスにちなんで命名された
- 無神論
- 無からは何も生じない
- エピクロス主義
- ローマ哲学
外部リンク
[編集]- ルクレティウス『物の本質について』「第一巻」(樋口勝彦訳) - ARCHIVE
- Lucretius - スタンフォード哲学百科事典「ルクレティウス」の項目。
- Lucretius - インターネット哲学百科事典「ルクレティウス」の項目。
- 『ルクレティウス』 - コトバンク
- 『ルクレチウス』 - コトバンク