リー・トロッター積公式

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数学において、ソフス・リー (Sophus Lie, 1875) にちなんで名づけられたリーの積公式 (Lie product formula) は、任意の n × n あるいは複素行列 A, B に対して、

が成り立つという定理である。ここで eAA行列指数関数を表す。リー・トロッターの積公式 (Lie–Trotter product formula) (Trotter 1959) およびトロッター・加藤の定理 (Trotter–Kato theorem) (Kato 1978) はこれをある非有界線型作用素 A, B に拡張する。

定理[編集]

A, B を任意の正方行列N自然数とする場合、次の式が成立する。

ここで eA行列指数関数による A の像であり、次の式により定義される。

ただし、A0 = I である(I単位行列)。

リー・トロッター積公式は、通常の指数関数における次の規則の拡張である。

この式は、x, y が任意の実数または複素数の場合に成立する。x, y を行列 A, B で置き変え、指数関数を行列指数関数で置き変えると、この規則が成立するためには、一般に AB可換である必要がある。しかし、リー・トロッター積公式は、AB が可換でなくても一般に成立する。

この公式は、ベイカー・キャンベル・ハウスドルフの公式英語版の自明な系である。

より一般的には、A, B を行列に限定せず、任意のノルム空間 V 上の有限なノルムを持つ線形作用素としても、この公式は成立する。ここで、ノルム空間 V 上の線形作用素 A のノルム ||A|| とは次の式で定義される実数である。

応用[編集]

この公式は、量子力学における経路積分において応用されており、この公式によってシュレディンガー時間推進作用素 (そのジェネレーターがハミルトニアンである) を、運動エネルギー作用素 (の時間積分断片)とポテンシャルエネルギー作用素 (の時間積分断片) の交互の積の列に分離することが可能になっている[1]。同様のアイデアは微分方程式数値解法における分割法 (離散化) を構築する上でも使われている。

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]