リヴィアタン・メルビレイ

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Livyatan melvillei
生息年代: 12–13 Ma
Livyatan melvillei.jpg
想像図。ケトテリウム(右)を捕食しようとしているところ。
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
上科 : マッコウクジラ上科 Physeteroidea
: incertae sedis
: Livyatan
Lambert et al., 2010
: L. melvillei
学名
Livyatan melvillei
(Lambert et al., 2010)
シノニム

Leviathan melvillei
Lambert et al., 2010

リヴィアタン・メルビレイ (Livyatan melvillei) はマッコウクジラ上科に属する化石クジラ類。中新世中期、1200-1300万年前に生息していた[1]リヴァイアサン・メルビレイレヴィアタン・メルビレイレビアタン・メルビレイリビアタン・メルビレイなどともよばれる。

発見[編集]

2008年11月、ペルーの都市イカの南南西35 km、Pisco累層の堆積物中から発見された[2]化石は頭骨の一部であり、歯・下顎が付随していた[2]。発見者はロッテルダム自然史博物館の研究者 Klaas Postであり、2008年11月の野外調査最終日、偶然の発見であった[1]

化石はリマで処理され[1]、現地の博物館で保存されている[3]

命名[編集]

最初に与えられた学名は旧約聖書の怪物レヴィアタン(リヴァイアサン)に因む Leviathan melvillei であった。種小名白鯨の著者ハーマン・メルヴィルへの献名である[4]。だが、属名 Leviathanマストドンの一属の下位異物同名 (Leviathan Koch, 1841) であったことが判明した。通常、下位異物同名は新名に置換されなければならない[5]ため、2010年8月、旧約聖書本来の綴りに基づいた Livyatan という属名が提唱された[6]

形態[編集]

歯の化石

全長は13.5-17.5 mと推定され、これは現生のマッコウクジラの雄とほぼ同じである[2]。頭骨の長さは3 mほどであるが、現生種と違い、両顎に機能的な歯が存在する[2]。また、現生種と比べ顎が頑丈であり、側頭窩もかなり大きい[2](マッコウクジラの歯はもっと小さく、ほとんどが下顎にある)。本種は史上最大級の捕食者であり、クジラの専門家はこれに関して "四肢動物最大の歯型" と表現している[2]。歯の長さは36 cmに達するが、これも捕食に用いるものとしては、知られている動物の内で最大である[2]。捕食用途に限定しなければ、ゾウセイウチなどの牙の方が大きい。

体長推定[編集]

体長推定にはマッコウクジラ上科の種が2種用いられ[2]、現生マッコウクジラを用いた場合は全長13.5 m[2]、化石種の Zygophyseter varolai を用いた場合は17.5 m という結果が得られている[2]

頭骨[編集]

頭骨の凹みからは、大量の鯨蝋を保持していたことが推定される。現生マッコウクジラでは、この器官は深海への潜水・浮上の補助に用いられる。だが本種は表層で大型の獲物を捕食していたようであるため、この器官には別の機能があったと推定される。おそらくはエコロケーション、繁殖の際のディスプレー、獲物への頭突きなどに用いていたのであろう[1]

[編集]

発掘場所の近くからはヒゲクジラアカボウクジライルカサメウミガメアザラシ海鳥などの化石が見つかっている[2]

本種は当時の海で、メガロドンと共に頂点捕食者であったと考えられ[2][7][8]、中新世の海洋生態系を構成する重要な種であったと思われる[2]。また本種の出現した時期は、ヒゲクジラ類の巨大化・分布拡大の時期と一致している[2]

これらから考えると、アザラシ[4]、イルカ[4]、または7–10 mに達するヒゲクジラ類[2]などを捕食していたのであろう。生態は現在のシャチに似ていると考えられるが、体や口、歯が大きいため、単独で大きな獲物をとらえることができたと考えられる。

出典[編集]

  1. ^ a b c d Fang, Janet (2010年6月30日). “Call me Leviathan melvillei”. nature news (Nature). http://www.nature.com/news/2010/100630/full/news.2010.322.html 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Lambert, Olivier; Giovanni Bianucci, Klaas Post, Christian de Muizon, Rodolfo Salas-Gismondi, Mario Urbina, and Jelle Reumer (1 July 2010). “The giant bite of a new raptorial sperm whale from the Miocene epoch of Peru”. Nature (Peru: Nature) 466 (7302): 105–108. doi:10.1038/nature09067. PMID 20596020. http://www.nature.com/nature/journal/v466/n7302/abs/nature09067.html 2010年7月2日閲覧。. 
  3. ^ Sample, Ian (2010年6月30日). “Fossil sperm whale with huge teeth found in Peruvian desert”. guardian.co.uk. http://www.guardian.co.uk/science/2010/jun/30/fossil-sperm-whale-huge-teeth 
  4. ^ a b c Ghosh, Pallab (2010年6月30日). “'Sea monster' whale fossil unearthed”. BBC News (BBC). http://news.bbc.co.uk/2/hi/science_and_environment/10461066.stm 
  5. ^ ICZN 1999 Article 60
  6. ^ Lambert, O.; Bianucci, G.; Post, K.; de Muizon, C.; Salas-Gismondi, R.; Urbina, M.; Reumer, J. (2010). “The giant bite of a new raptorial sperm whale from the Miocene epoch of Peru [Corrigendum]”. Nature 466 (7310): 1134. doi:10.1038/nature09381. 
  7. ^ “New Leviathan Whale Was Prehistoric "Jaws"?”. National Geographic Daily News (National Geographic). (2010年6月30日). http://news.nationalgeographic.com/news/2010/06/photogalleries/100630-leviathan-mellvillei-sperm-whale-fossils-science/#whale02-scientists-skull-desert_22738_600x450.jpg 
  8. ^ クジラもぺろり、古代の巨大マッコウクジラは「海の殺し屋」

外部リンク[編集]

ニュース等[編集]

動画[編集]