リンガ (シンボル)

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リンガ(liṅga)は、一般に男性性器男根)を指すサンスクリット語で、本来は「シンボル」の意味を持つ。

日本でもかつて性器崇拝が見られた。(神戸市西区・裸石神社

概要[編集]

特にインドでは男性器をかたどった彫像は、シヴァ神や、シヴァ神の持つエネルギーの象徴と考えられ人々に崇拝されている。リンガ像の原型は、インダス文明遺跡から出土されているが、当時から性器崇拝が存在したか否かは判然とはしないものの、リンガ像の原型になったという考え方は正しいと考えられている。「マハーバーラタ」には、豊穣多産のシンボルとしてのリンガの崇拝が記録されているが、後世にシヴァ信仰の広まりとともにより鮮明になり、大小さまざまなリンガ像が彫像され、多くのヒンドゥー教寺院に祀られるようになった[1]

通常、リンガの下にはヨーニ(女陰)が現され、人々はこの2つを祀り、白いミルクで2つの性器を清め、シヴァの精液パールヴァティー愛液として崇める習慣がある。シヴァの主要な性格は、サマディで、これは日本語の「三昧」に相当する。日本では、「博打三昧」「ゴルフ三昧」というような、悪習慣の意味で使われることが多いが、本来はシヴァ神の本質を意味するものであり、シヴァ神とは極度の偏執的な凝り性を表している。このために、性交であれ瞑想であれ、シヴァは何億年もの時をかけてひとつのことに没頭するのである。さらにそのような姿がリンガに例えられ、尽きることなく生命を生み、さらに破壊するという原理や現世の本質をあらわしている。すなわちシヴァは、この世の万物を生み出し続ける性器そのものという位置づけがなされる。シヴァは多数の別名を有するが、その一つが「マハーカーラ」で「時間を超越する者」、「時間を創出する者」という意味を持ち、すなわち「永遠」を意味する。人知を超えた存在に対する恐れの感情と、自然のメカニズムを具現化したものがシヴァである[2]

シヴァの起源ははるか太古の原始生活にまでさかのぼるといってよいだろう。例えば、かつて日本にも男根崇拝の時代があった。その名残が道祖神という形で今に伝えられている。しかし、インドの特異性は、男根崇拝の思想をさらに発展させ、性魔術であるタントラ思想を生み出したことにある。今でもインド北部カジュラーホーには、ミトゥナという男女の性交場面を現した彫刻があるが、これはタントラ思想を具現化したものと言われる。タントラ思想は仏教との融合から密教が派生し、現在でもチベットや日本に今なお強く息づいている。日本ではタントラの流れをひく密教の聖地として比叡山高野山などが有名だが、全国の身近にある稲荷もタントラの影響から発生したものである[2]

脚注[編集]

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  1. ^ kotobank > リンガとは
  2. ^ a b 柴田徹之公式サイト"シヴァという世界観"