ラヴレス (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラヴレス
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインスタジオ・アルバム
リリース
録音 1989年 - 1991年
ジャンル オルタナティヴ・ロックシューゲイザー
時間
レーベル クリエイション・レコーズ
プロデュース ケヴィン・シールズ
コルム・オコーサク(#3)
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 18位(日本・2012年[1]
  • 24位(イギリス・1991年[2]
  • 154位(ベルギー・フランデレン地域 ・2012年[3]
  • 188位(ベルギー・ワロン地域・2012年[4]
  • マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン アルバム 年表
    イズント・エニシング
    (1988年)
    ラヴレス
    (1991年)
    Ep's 1988-1991
    (2012年)
    テンプレートを表示

    ラヴレス[5]』(Loveless)は、アイルランドオルタナティヴ・ロックバンドマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン1991年に発表した2作目のスタジオ・アルバムシューゲイザーというジャンルを象徴する作品として評価されており[6][7]、オーストラリアのウェブサイトSounds Better With Reverbが2013年に選出した「100 Greatest Shoegaze Albums」では1位となった[8]2012年には、オリジナル1/2インチ・アナログ・テープからのマスタリングとオリジナル・テープからのリマスターの2種類を収録した2枚組のCDがリリースされた。

    背景[編集]

    本作のレコーディングは2年半がかりで行われ、そのうち最初の2年間はクリエイション・レコーズの創設者アラン・マッギーでさえスタジオに出入りを許されなかった[9]。そして、マッギーによれば前作『イズント・エニシング』の制作費が7千ポンドだったのに対し[10]、本作には27万ポンドを費やし、クリエイション・レコーズの副社長だったディック・グリーンの家を抵当に入れてもらわなければならなくなったという[11]。また、レコーディングには19か所のスタジオが使用された[6]

    演奏はメンバー4人だけで行われたが、エンジニアのクレジットには、メンバーのケヴィン・シールズとコルム・オコーサクも含む18人の名前が記載された[12]

    反響[編集]

    本作に先行してリリースされたシングル「スーン」(1990年)は全英シングルチャートで41位に達し、続く「トゥ・ヒア・ノウズ・ホエン」は29位に達した[13]。そして、バンドは本作で自身初の全英アルバムチャート入りを果たし、最高24位に達した[2]

    アメリカではBillboard 200入りは果たせなかったが、収録曲「オンリー・シャロウ」は『ビルボード』のモダン・ロック・チャートで27位に達した[14]

    2012年には2枚組リマスターCDがヒットしており、5月19日付の全英アルバムチャートで50位を記録[2]。また、日本のオリコンチャートでは18位[1]、ベルギーのフランデレン地域で154位[3]、ベルギーのワロン地域で188位に達した[4]

    評価・影響[編集]

    ローリング・ストーン』誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では73位[15]、「90年代のベスト・アルバム100」では39位[16]、「グレイテスト・ストーナー・アルバム40」では22位[17]と、3部門にランクインしている。

    ピッチフォーク・メディアのスタッフが2003年に選出した「1990年代のトップ100アルバム」では、レディオヘッドの『OK コンピューター』に次ぐ2位にランクインした[18]

    音楽評論家のHeather Pharesはオールミュージックにおいて満点の5点を付け、「『イズント・エニシング』はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの音楽性の全体像を十分に示唆していたが、『ラヴレス』の偉大さはバンドが唯一無比の存在であることを証明した」と評している[19]

    本作はミュージシャンからの評価も高い。ブライアン・イーノは本作を最も創造的なロック・アルバムと称賛し[20]フィッシュのトレイ・アナスタシオは「'90年代に録音された最高のアルバム」「20年たって今ポピュラーなアルバムが忘れ去られたとしても、このアルバムは完全なる名盤とみなされることだろう」とコメントしている[20]。また、本作はレディオヘッドのギター・サウンドに影響を与えた作品としても知られる[6]

    収録曲[編集]

    特記なき楽曲は作詞・作曲:ケヴィン・シールズ。

    1. オンリー・シャロウ - "Only Shallow" - 4:17
      • 作詞:ビリンダ・ブッチャー/作曲:ケヴィン・シールズ
    2. ルーマー - "Loomer" - 2:38
      • 作詞:ビリンダ・ブッチャー/作曲:ケヴィン・シールズ
    3. タッチト - "Touched" - 0:56
      • 作曲:コルム・オコーサク
    4. トゥ・ヒア・ノウズ・ホエン - "To Here Knows When" - 5:31
      • 作詞:ビリンダ・ブッチャー、ケヴィン・シールズ/作曲:ケヴィン・シールズ
    5. ホエン・ユー・スリープ - "When You Sleep" - 4:11
    6. アイ・オンリー・セッド - "I Only Said" - 5:34
    7. カム・イン・アローン - "Come in Alone" - 3:58
    8. サムタイムズ - "Sometimes" - 5:19
    9. ブロウン・ア・ウィッシュ - "Blown a Wish" - 3:36
      • 作詞:ビリンダ・ブッチャー/作曲:ケヴィン・シールズ
    10. ホワット・ユー・ウォント - "What You Want" - 5:33
    11. スーン - "Soon" - 6:59

    他メディアでの使用例[編集]

    本作収録曲「サムタイムズ」は、2003年公開の映画『ロスト・イン・トランスレーション』のサウンドトラックで使用された[21]

    参加ミュージシャン[編集]

    脚注・出典[編集]

    1. ^ a b ORICON STYLE
    2. ^ a b c MY BLOODY VALENTINE | Artist | Official Charts - 「Albums」をクリックすれば表示される
    3. ^ a b ultratop.be - My Bloody Valentine - Loveless
    4. ^ a b ultratop.be - My Bloody Valentine - Loveless
    5. ^ 日本初回盤(COCY-9243)には『愛なき世界』という邦題が付いていたが、1998年再発盤(ESCA 7703)より原題のカタカナ表記に変更された
    6. ^ a b c My Bloody Valentine's "Loveless" is a classic album - Las Vegas Music Shopping | Examiner.com - 2013年9月8日閲覧
    7. ^ Essentials: My Bloody Valentine 'mbv' | DEW MAGAZINE - 2013年9月8日閲覧
    8. ^ 100 Greatest Shoegaze Albums | Sounds Better With Reverb - 2013年9月8日閲覧
    9. ^ 『クリエイション・レコーズ物語』(パオロ・ヒューイット:著/伊藤英嗣:訳・監修/ 太田出版/2003年/ ISBN 4-87233-759-X)p.175
    10. ^ 『クリエイション・レコーズ物語』p.178
    11. ^ 『クリエイション・レコーズ物語』p.176
    12. ^ My Bloody Valentine - Loveless (CD, Album) at Discogs
    13. ^ MY BLOODY VALENTINE | Artist | Official Charts
    14. ^ Loveless - My Bloody Valentine | Awards | AllMusic
    15. ^ ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選 | 2020年改訂版 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)”. Rolling Stone Japan (2020年9月23日). 2021年7月3日閲覧。
    16. ^ 100 Best Albums of the Nineties: My Bloody Valentine, 'Loveless' | Rolling Stone
    17. ^ The 40 Greatest Stoner Albums: My Bloody Valentine, 'Loveless' | Rolling Stone
    18. ^ Staff Lists: Top 100 Albums of the 1990s | Features | Pitchfork
    19. ^ Loveless – My Bloody Valentine | AllMusic - Review by Heather Phares
    20. ^ a b A love letter to guitar-based rock music - by Jim DeRogatis, Chicago Sun-Times, December 2, 2001 - 2013年9月8日閲覧
    21. ^ Lost in Translation (2003) - Soundtracks - IMDb