ランス・ストロール

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ランス・ストロール
Lance Stroll 2017 Malaysia 3.jpg
ストロール (2017年マレーシアGP)
基本情報
略称表記 STR
国籍 カナダの旗 カナダ
出身地 ケベック州モントリオール
生年月日 (1998-10-29) 1998年10月29日(20歳)
F1での経歴
活動時期 2017-
所属チーム ウィリアムズ '17-
車番 18
出走回数 40
タイトル 0
優勝回数 0
表彰台(3位以内)回数 1
通算獲得ポイント 46
ポールポジション 0
ファステストラップ 0
初戦 2017年オーストラリアGP
2017年順位 12位 (40ポイント)
(記録は2018年第20戦ブラジルGP終了時)
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ランス・ストロールLance Stroll, 1998年10月29日 - )は、カナダケベック州モントリオール出身のユダヤ系カナダ人レーシングドライバー。父は実業家ローレンス・ストロール

経歴[編集]

初期の経歴 (2008年-2014年)[編集]

ストロールは、地元・ケベック州やカナダ国内のカート選手権を転戦し数々のタイトルを獲得する。2010年には、「カナディアン・ナショナル・カーティング・チャンピオンシップ - ロータックス・ジュニアクラス」やアメリカで開催されている「フロリダ・ウィンター・ツアー - ロータックス・ミニ・マックスクラス」などでシリーズタイトルに輝く。2011年からはヨーロッパへ渡り、「イタリアン・チャンピオンシップ - KF3クラス」や「WSK ファイナル・カップ - KF3クラス」へ参戦した。2012年2013年とそれぞれ上位で終えたカートレースとしては、「MGタイヤ SKUSA・スーパーナショナルズXVI」で総合優勝、「WSK マスター・シリーズ - KF3クラス」で総合4位、「23° トロフェオ・アンドレア・マルグッティ - KF3クラス」で総合2位、「WSK スーパー・マスター・シリーズ - KF3クラス」で総合5位、「CIK-FIA ワールド・チャンピオンシップ - KFクラス」で総合6位などがある。翌年は、カートからシングルシーターへステップアップする。プレマ・パワーチームから「イタリア・F4選手権」へ参戦。ルーキーイヤーながらも優勝7回を含む331ポイントの大量点を獲得し、2位と94ポイントの大差を付け選手権初出場・初タイトルを達成した。

2015年[編集]

フォーミュラ3へ参戦しているストロール。 (2015年)

年の初めにニュージーランドで開催されている「トヨタ・レーシング・シリーズ英語版」への参戦が決まり、M2 コンペティションM2 Competitions)から出走した。16レースの内4回の優勝・表彰台圏内10回を記録し、初出場でシリーズタイトルを獲得した。その後は、プレマ・パワーチームから「ヨーロッパ・F3選手権」へ出場する。最終戦ホッケンハイムリンク・レース1で初優勝を決めシーズンを通じ231ポイントを獲得、総合6位となった。11月には、同チームから「マカオグランプリ」へ出場。予選レースでは13位[1]、決勝レースでは順位を上げ8位でチェッカーを受けた[2]

ストロールは11月11日、F1に参戦しているウィリアムズF1チームからテストドライバーとして新たに契約した[3]。そのため2010年からフェラーリ・ドライバー・アカデミーFerrari Driver Academy)のメンバーだったが[4]、6年間在籍したアカデミーを離れることとなった。

2016年[編集]

プレマ・パワーチームへ残留し、2年目のヨーロッパF3選手権へ挑むことが決まる。新たに「ウェザーテック・スポーツカー選手権」へ参戦し、フォード・チップ・ガナッシ・レーシングから出走した。開幕戦のデイトナ24時間で5位入賞を果たした。またヨーロッパF3でもシリーズチャンピオンを獲得した[5]

F1での経歴[編集]

2017年[編集]

ウィリアムズ・FW40をドライブするストロール。(2017年第15戦マレーシアGP

2016年11月3日に、F1引退を表明していたフェリペ・マッサの後任として2017年よりウィリアムズより参戦することが発表された[6]1997年にウィリアムズでチャンピオンを獲得し、2006年にF1を去ったジャック・ヴィルヌーヴ以来、11年ぶりのカナダ人F1ドライバーとなる。カーナンバーは「18」を選択した[7]。また2017年に参戦するドライバー、さらにウィリアムズチームのドライバーとしても史上最年少での参戦となる。2017年1月16日にバルテリ・ボッタスニコ・ロズベルグの後任としてメルセデスへ移籍したため、マッサが引退を撤回しチームメイトとなった[8]。ランスの父親は日本円にして約82億円の資金をウィリアムズに提供し、ペイドライバーとしての持ち込み史上最高額を更新[9]。シーズン中、ヴィルヌーヴがストロールの力量を酷評したが、チームはヴィルヌーヴのチーム内への出入りを禁じることでストロールの立場を擁護している[10]

初参戦の開幕戦オーストラリアGPの予選は19位であったが、これはフェラーリ・ドライバー・アカデミー卒業生の中では最も低い順位である。第2戦中国GPでは予選Q3入りを果たし10位スタートも、決勝は1周目にセルジオ・ペレスの接触を受けリタイア。第3戦バーレーンGPでもカルロス・サインツJr.に追突されリタイアを喫するなどデビュー3戦をリタイアで終える苦しいスタートとなった。この接触でペナルティを科されたサインツは、「相手がもう少し経験者だったならこっちの姿が見えたはずだし、コーナーでスペースを開けてくれただろう」とストロールの経験不足を指摘している[11]。チームメイトのマッサと比べて見劣りする場面が多々見られるが、母国カナダGPでは9位に入り初入賞を果たした。1996年のヴィルヌーヴ以来21年ぶりとなるカナダGPでの母国ドライバーの入賞となった。つづくアゼルバイジャンGPでは大波乱のレースをかいくぐり終盤まで2位を走行。フィニッシュ直前でボッタスにかわされたが3位に入り初表彰台を獲得し、2001年ドイツGPのヴィルヌーヴ以来16年ぶりとなるカナダ人ドライバーの表彰台となった。これで「ルーキーイヤー初表彰台最年少記録」を更新した。イタリアGPではレッドブル勢の降格もあり、フロントローを獲得。レースでも7位入賞と、時々才能を見せている。最終的にチームメイトのマッサから3ポイント少ないだけの40ポイントを獲得しランキング12位。ルーキーとしてはまずまずの成績でシーズンを終えた。なお彼がアゼルバイジャンGPで獲得した3位表彰台は、この年のトップ3チーム(メルセデス、フェラーリ、レッドブル)以外のチームのドライバーが獲得した唯一の表彰台であった。

「下位カテゴリーでの経験が生きやすい」らしく、ウィリアムズがチームとしては苦手としている市街地コース、低速コース、雨のどれかが絡むと抜群の速さを見せている。

2018年[編集]

2018年はF1開幕前の1月にデイトナ24時間レースに参戦。チームはジャッキー・チェン・DCレーシング×JOTAスポーツで、マシンはLMP2クラスのオレカ07・ギブソン。デイトナは2016年以来2年ぶりの参戦となった[12]。レース本番は一時4位にまで浮上するものの、トラブル続きで最終的に15位完走という結果となった[13]。チームメイトはマッサが引退しセルゲイ・シロトキンが加入。

F1では開幕から苦戦が続き、アゼルバイジャンGPでようやく8位入賞、イタリアGPでシロトキンを従え9位入賞。フォース・インディアをチームごと買収に成功した父の関係で、来期はフォース・インディア正ドライバーになることがすでにシーズン途中から噂されている[14]

エピソード[編集]

父親のローレンス・ストロールはトミー・ヒルフィガーマイケル・コースなど複数の大手ファッションブランドの大株主として知られる[5]

F1では新人ドライバーが慣れないサーキットへの習熟に苦しむことが多い中、父親からの資金援助を背景に、2016年から2017年にかけて、事前テストが困難な市街地コースを除くほぼ全てのF1開催サーキットで事前テストを行った[15]国際自動車連盟(FIA)のテスト規制ルールに抵触しないよう、フォーミュラ1カーは2年落ちである2014年に使用されたウィリアムズ・FW36を用いたが、ウィリアムズからはメカニック20人・エンジニア5人からなるテストチームが派遣され、メルセデスもこのテスト用にパワーユニット2台を供給している[5]。新人ドライバーがこの種のテストを参戦前にここまで大規模に行うのは、レギュレーション変更[16]以後は極めて異例の待遇である。日本も例外ではなく、鈴鹿サーキットでも日本GP直前の2017年9月にサーキット貸切でのプライベートテストを実施した[17]。実際この事前テストの結果をレース用のマシン(ウィリアムズ・FW40)にフィードバックすることも少なくなかったという[15]

またF1デビュー当初から個人専属の広報担当をつけているのも異例で、元ウィリアムズ・アロウズザウバーの広報として30年以上F1の世界で活動し、F1界の大御所の一人であるアン・ブラッドショーを招聘できるほどの「特別待遇」で迎えられている[5][18]

レース戦績[編集]

略歴[編集]

シリーズ チーム レース 勝利 PP FL 表彰台 ポイント 順位
2014 フロリダ・ウィンター・シリーズ N/A 12 0 0 0 2 N/A
イタリア・フォーミュラ4選手権 プレマ・パワーチーム 18 7 5 11 13 331 1位
2015 トヨタ・レーシング・シリーズ M2・コンペティション 16 4 0 1 10 906 1位
FIA ヨーロッパ・フォーミュラ3選手権 プレマ・パワーチーム 32 1 0 0 6 231 5位
マカオグランプリ 1 0 0 0 0 N/A 8位
フォーミュラ1 スクーデリア・フェラーリ 開発ドライバー
2016 FIA ヨーロッパ・フォーミュラ3選手権 プレマ・パワーチーム 30 14 14 13 20 507 1位
フォーミュラ1 ウィリアムズ・マルティーニ・レーシング 開発ドライバー
2017 20 0 0 0 1 40 12位
2018 20 0 0 0 0 6 18位*
ウェザーテック・スポーツカー選手権 ジャッキー・チェン・DCR・JOTA 1 0 0 0 0 20 55位
  • * : 今シーズンの順位。(現時点)

ヨーロッパ・フォーミュラ3選手権[編集]

エントラント エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 DC ポイント
2015年 プレマ・パワーチーム メルセデス SIL
1

6
SIL
2

4
SIL
3

Ret
HOC
1

6
HOC
2

14
HOC
3

6
PAU
1

9
PAU
2

10
PAU
3

4
MNZ
1

11
MNZ
2

Ret
MNZ
3

DSQ
SPA
1

31
SPA
2

Ret
SPA
3

EX
NOR
1

8
NOR
2

4
NOR
3

26
ZAN
1

4
ZAN
2

Ret
ZAN
3

5
RBR
1

4
RBR
2

3
RBR
3

5
ALG
1

4
ALG
2

3
ALG
3

3
NÜR
1

9
NÜR
2

3
NÜR
3

2
HOC
1

1
HOC
2

6
HOC
3

Ret
5位 231
2016年 LEC
1

1
LEC
2

Ret
LEC
3

5
HUN
1

4
HUN
2

8
HUN
3

3
PAU
1

9
PAU
2

4
PAU
3

2
RBR
1

2
RBR
2

1
RBR
3

1
NOR
1

1
NOR
2

2
NOR
3

1
ZAN
1

1
ZAN
2

Ret
ZAN
3

Ret
SPA
1

1
SPA
2

Ret
SPA
3

4
NÜR
1

1
NÜR
2

1
NÜR
3

2
IMO
1

2
IMO
2

1
IMO
3

1
HOC
1

1
HOC
2

1
HOC
3

1
1位 507

デイトナ24時間レース[編集]

チーム コ・ドライバー 車両 クラス 周回数 順位 クラス
順位
2016年 アメリカ合衆国の旗 フォード・チップ・ガナッシ・レーシング オーストリアの旗 アレクサンダー・ヴルツ
ニュージーランドの旗 ブレンドン・ハートレイ
イギリスの旗 アンディ・プリオール
フォード・ライリー DP P 725 5位 5位
2018年 中華人民共和国の旗 ジャッキー・チェン・DCR・Jota スウェーデンの旗 フェリックス・ローゼンクヴィスト
スペインの旗 ダニエル・ジュンカデラ
オランダの旗 ロビン・フラインス
オレカ・07 P 777 15位 11位

F1[編集]

エントラント シャシー エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 WDC ポイント
2017年 ウィリアムズ FW40 メルセデス M08 EQ Power+ 1.6 V6 t AUS
Ret
CHN
Ret
BHR
Ret
RUS
11
ESP
16
MON
15
CAN
9
AZE
3
AUT
10
GBR
16
HUN
14
BEL
11
ITA
7
SIN
8
MAL
8
JPN
Ret
USA
11
MEX
6
BRA
16
ABU
18
12位 40
2018年 FW41 メルセデス M09 EQ Power+ 1.6 V6 t AUS
14
BHR
14
CHN
14
AZE
8
ESP
11
MON
17
CAN
Ret
FRA
17
AUT
14
GBR
12
GER
Ret
HUN
17
BEL
13
ITA
9
SIN
14
RUS
15
JPN
17
USA
14
MEX
12
BRA
18
ABU
-
18位* 6*

(key)

  •  : リタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い。
  • * : 今シーズンの順位。(現時点)

出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ F3マカオGP:予選レース結果”. AUTO SPORT web (2015年11月22日). 2016年9月1日閲覧。
  2. ^ F3マカオGP:決勝結果”. AUTO SPORT web (2015年11月21日). 2016年9月1日閲覧。
  3. ^ ウイリアムズ、17歳ストロールの加入を発表”. AUTO SPORT web (2015年11月27日). 2016年9月1日閲覧。
  4. ^ フェラーリ、11歳のランス・ストロールを支援”. F1-Gate.com (2010年6月10日). 2016年9月1日閲覧。
  5. ^ a b c d 82億円で“パパ”がシートご購入!? F1史上最強のお坊ちゃま新人、現る。 - NumberWeb・2017年3月12日
  6. ^ ウィリアムズ、ランス・ストロールの起用を発表…ボッタスも残留”. F1-Gate.com (2016年11月3日). 2016年11月4日閲覧。
  7. ^ 2017年 F1エントリーリストが発表”. F1-Gate.com (2016年12月7日). 2016年12月7日閲覧。
  8. ^ 【正式発表】メルセデスがボッタスと契約。マッサは引退取りやめ、ウイリアムズに復帰”. AUTO SPORT web (2017年1月17日). 2017年1月17日閲覧。
  9. ^ “ランス・ストロールの父、息子のF1デビューを82億円を投じてお膳立て”. F1-Gate.com. (2016年11月5日). https://f1-gate.com/lance-stroll/f1_33686.html 2017年4月22日閲覧。 
  10. ^ “元F1王者ビルヌーブ、古巣ウィリアムズから出入り禁止”. TN. (2017年7月20日). http://www.topnews.jp/2017/07/20/news/f1/161537.html 2017年7月20日閲覧。 
  11. ^ ストロールの経験不足がクラッシュを招いたとサインツ”. ESPN F1 (2017年4月22日). 2017年4月22日閲覧。
  12. ^ ストロールがデイトナ24時間参戦。ジャッキー・チェン・DCレーシングでローゼンクビストらと共闘 - オートスポーツ・2017年12月2日
  13. ^ アロンソのデイトナ24初挑戦はブレーキ問題に苦悩 - ESPN F1・2018年1月29日
  14. ^ “ランス・ストロール 「父が僕を起用してくれることを願っている(笑)」”. f1-gate.com. (2018年8月24日). https://f1-gate.com/lance-stroll/f1_44311.html 2018年9月14日閲覧。 
  15. ^ a b 【F1】ストロールの好調の秘密はシーズン中の"テスト"のおかげ - motorsport.com 2017年6月25日
  16. ^ かつては無制限にテストを行えた。ミハエル・シューマッハや日本のエンジンメーカーもこの恩恵を受けた(詳細1詳細2)。フェルナンド・アロンソの無線発言に対し、「昔みたいにいくらでもなんでもいじれれば、たぶん、本田さんのことですから・・・」「今のレギュレーションですと、何もいじれないんでね、シーズン中になっちゃうと・・・」と2015年日本GPのフジテレビ実況で解説したのは川井一仁である。
  17. ^ ストロール、鈴鹿でプライベート・テスト - Formula Web・2017年9月16日
  18. ^ 【あなたは何しに?】ランス・ストロールの広報担当はF1歴30年以上の大ベテラン - オートスポーツ・2017年4月12日

外部リンク[編集]