ランサーズ (クラウドソーシング)

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ランサーズ株式会社
LANCERS.INC
Lancers logo (crowdsourcing).png
本社の入居するビル
本社の入居するビル
種類 株式会社
市場情報
東証マザーズ 4484
2019年12月16日上場
本社所在地 日本の旗 日本
150-0002
東京都渋谷区渋谷3-10-13
TOKYU REIT渋谷Rビル9F
設立 2008年4月
業種 情報・通信業
法人番号 6021001024617 ウィキデータを編集
事業内容 クラウドソーシング事業
代表者 代表取締役社長 秋好陽介[1]
資本金 1,138,125千円 (2019/3[2])
売上高 連結 2,522,476千円 (2019/3[3])
経常利益 連結 △93,681千円 (2019/3[2])
純利益 連結 △17,629千円 (2019/3[2])
純資産 連結 993,331千円 (2019/3[2])
総資産 連結 2,348,204千円 (2019/3[2])
従業員数 連結 129名 (2019/3[2])
決算期 3月
主要子会社 パラフト株式会社
Lancers Philippine Crowdsourcing Inc. (2019/3[2])
外部リンク http://www.lancers.co.jp/
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ランサーズ株式会社は、クラウドソーシングのサービスであるLancersの運営している企業。個人間や個人法人間で請負業務のマッチングサービスを提供している。

沿革[編集]

  • 2008年4月 - 神奈川県川崎市にて、株式会社リート創業。[4]
  • 2008年12月 - クラウドソーシングプラットフォーム「ランサーズ」をリリース[2]
  • 2012年5月 - 株式会社リート から ランサーズ株式会社 に商号変更。[5]
  • 2013年6月 - 本社を渋谷に移転
  • 2014年12月 - KDDI株式会社、株式会社インテリジェンスホールディングス、株式会社コロプラグリーベンチャーズ株式会社、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ、また、GMO VenturePartners株式会社を割当先とする総額約10億円の第三者割当増資を実施[6]
  • 2015年3月 - 株式会社オプトを割当先とする第三者割当増資を実施[7]
  • 2015年12月 - フィリピンに現地法人「Lancers Phillipines,lnc」設立[2]
  • 2016年4月 - 「新しい働き方LAB」を渋谷に新設
  • 2016年8月 - セガネットワークスと合併会社「クロシードデジタル株式会社」設立[2]
  • 2017年4月 - クオント株式会社を新設分割により設立[2]
  • 2017年11月 - パラフト株式会社(現ランサーズエージェンシー株式会社)を完全子会社化[2]
  • 2018年4月 - クロシードデジタル株式会社に関わる合弁を解消[2]
  • 2018年6月 - クオント株式会社をグリー株式会社に譲渡[2]
  • 2019年5月 - シクロマーケティング株式会社を完全子会社化[2]

評価・批判[編集]

労働力の買い叩き[編集]

ランサーズにはWEB記事の執筆のような「1文字0.1~0.5円程度の安価な案件」が多数掲載されている[8]。中には「1文字0.1円」など、雇用に置き換えた場合、ほぼ確実に最低賃金水準を下回る報酬しか得られない案件も掲載されている[8]。ランサーズのようなクラウドソーシングの登場で労働力の買い叩きが構造化していったという指摘がある[9]。20万円超を稼げるのは8000人に1人程度という計算もある[9]

ランサーズを利用しているフリーランスのWEBライターは2019年の取材に「毎日休むことなく働いても、(クラウドソーシング側への)手数料を支払った後で手元に残るのは、毎月15万円から20万円くらい。執筆本数ですか? 毎月50本くらいです」と述べた[8]。ランサーズのようなクラウドソーシングが「発注者と受注者は対等でないから、『1文字0.1円』『名ばかり事業主』などが横行する」温床となっているという指摘がある[8]

キュレーションサイト問題[編集]

2016年DeNAの運営していた医療系キュレーションサイト「WELQ」に多数の不正確な医療記事が掲載され、検索エンジン上位にくる問題が発覚した[10]。他のキュレーションサイトでも同様な問題が発覚し、その背後にランサーズのようなクラウドソーシングサービスの存在が、質の低いWEB記事の量産に関わっていると指摘された[10][9]

ランサーズからキュレーションサイトの記事執筆を請け負ったライターは「記事の文字単価と質は、どうしても比例してしまうのでしょう。クラウドソーシングの登場によって1文字1円以下でライターを買い叩く土壌ができたことで、記事の質にしわ寄せがいった」とコメントしている[9]

キュレーションサイトの構築にランサーズがディレクションを直接行っていたサイトもあった[9]。ランサーズがディレクションしていたプロジェクトでは「記事管理ツールにあらかじめ書かれていた記事タイトルや見出しが用意されていたが、これがすでに間違っていて、いつか問題になると感じていた」という声もあった[9]

また、ランサーズのプロジェクトマネージメントについては「一つのプロジェクトにつき3、4人のライターと1人のディレクターが組んでいました。ディレクターはランサーズのスタッフだが、中には学生のアルバイトもいた。仕事の連絡はチャットワークスでやりとりしますが、おそらく案件数が多すぎて彼らもさばききれず、質問の返事が来ない、返事が遅れたことを詫びないなどのケースが多くありました」という実際に記事を請け負ったライターのコメントがあった[9]

ただし、ランサーズは「WELQ」への関連について報じたネットニュースの内容を一部否定するコメントを出している[11]。ランサーズは「WELQ」についてライターの募集のみを行い、ディレクションは行っていないと主張した[10]。しかしこの件を記事にしたITmediaは取材対象者のコメント「『ランサーズの○○』と名乗る人物からマニュアルを受け取り、チャットでディレクションも受けていた」を掲載している[10]

ステルスマーケティング広告の発注[編集]

映画の口コミサイトでは、上映初日からレビュワーの評価がすべて星5が書き込まれる明らかなサクラレビューが載ること度々指摘されている[12]。またAmazon楽天市場Google マップなどで、サクラとして商品や飲食店などに高評価な口コミを書き込む行為が、クラウドソーシングサイトで売買されているという指摘がある[13]

映画のサクラレビューは配給会社から発注を受けたPR会社が、次の下請けのSNSプロモーション会社に発注し、最終的にレビューを書いているのはランサーズなどに登録した人たちだといわれる[12]。サクラレビューは数十円単位の仕事を主婦にやらせて、それを元締めが数百円で売り、PR会社が数万円の仕事にする「貧者のビジネス」という指摘がある[12]。また個人のブログを装いながら、記述内容をランサーズに発注してそのまま掲載し、アフィリエイトを稼ぐ形も指摘されている[12]

ステルスマーケティングの発注について、ランサーズは原則禁止しており、「ステルスマーケティングに類する違反チェックを従来よりおこなって(中略)不適切と判断した案件については掲載を即時中断[14]」、「口コミの内容を指定するのはモラルに反するため、『依頼ガイドライン』に即して対処している[13]」とコメントしている。

保守系の仕事依頼に関する騒動[編集]

2017年9月24日に、ランサーズに「政治系サイトのコメント欄への書き込み。保守系の思想を持っている方」という依頼が掲載された[15]。特に「安倍政治を応援している方」「テレビや新聞の左翼的な偏向報道が許せない方」「産経新聞の論調に好感を持っている方」で、報酬は20文字以上の書き込み1件につき30円であった[15]2017年10月27日、ランサーズは、利用規約および仕事依頼ガイドラインに違反するとして、当該仕事依頼の掲載を中断した[16]

新型コロナウイルスの日本政府の対策が議論の的になっていた2020年2月25日、秋好陽介ランサーズ社長が総理大臣公邸に招かれて安倍首相と会食した[17][18]。「ランサーズがネット工作をしているのではないか」という疑惑が流れ、同社の主要取引先から「内閣府」の名前が消えていると指摘されたことが騒ぎに拍車をかけた[18]。これに対して、ランサーズは2月26日に「政治関連の仕事依頼およびステルスマーケティングに類する違反チェックを従来よりおこなって(中略)不適切と判断した案件については掲載を即時中断」しているという声明をリリースしている[14]。またランサーズのWebサイトから「内閣府」を消去したのは、2019年8月末[19]。直接取引があったのは、2015年にあった「ロゴコンペのみ」だと説明した[19]

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 読売新聞 第18352号』 : “けいざいフォーカス 開拓者たち ランサーズ社長 秋好陽介さん” 2016年3月6日 9面 読売新聞社
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 新規上場申請のための有価証券報告書 2019.
  3. ^ 新規上場申請のための有価証券報告書
  4. ^ 株式会社リート”. 産業情報かわさき. かわさき新産業創造センター. 2013年9月5日閲覧。
  5. ^ リートが「ランサーズ」に商号変更。クラウドソーシング事業へ集中”. VentureNow. ベンチャーナウ (2012年5月7日). 2013年9月5日閲覧。
  6. ^ “[https://www.lancers.co.jp/news/pr/5597/ KDDI・インテリジェンス・コロプラ・グリーグループ他、 6社を割当先とする総額約10億円の第三者割当増資を実施、 ランサーズと資本業務提携を締結]”. ランサーズ株式会社. ランサーズ株式会社 (2014年12月2日). 2017年1月30日閲覧。
  7. ^ ランサーズ、オプトと資本業務提携を締結”. ランサーズ株式会社. ランサーズ株式会社 (2015年3月12日). 2017年1月30日閲覧。
  8. ^ a b c d クラウドソーシングで生活する「若者の実情」(東洋経済) 2019.
  9. ^ a b c d e f g 2020.
  10. ^ a b c d キュレーションメディア炎上騒動についてWELQ記事寄稿ライターが怒りの告発(ITmedia) 2020.
  11. ^ 一部報道記事に関するお知らせ(ランサーズ) 2016.
  12. ^ a b c d 2019.
  13. ^ a b 買われたクチコミ。Googleマップ、Amazon、楽天で横行か。 温床になっていたのは(BuzzFeed Japan) 2020.
  14. ^ a b 一部ソーシャルメディアでの発信について(ランサーズ) 2020.
  15. ^ a b クラウドソーシングで保守系コメントの書き込み発注、1件30円 「テレビや新聞の偏向報道が許せない方」に依頼 2017.
  16. ^ 政治系記事案件の掲載中断について(ランサーズ) 2017.
  17. ^ 首相動静(2月25日) 2020.
  18. ^ a b 「ネット工作?」と憶測よんだ会社が反論文 「事実と異なる部分」について社に聞いた 2020.
  19. ^ a b 安倍首相と会食のランサーズ HPに「25日時点で内閣府の文字があった」は誤り(BuzzFeed Japan) 2020.

参考文献[編集]

外部リンク[編集]