ラッセル・ワイルダー

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ラッセル・ワイルダー
Russell Wilder
生誕ラッセル・モース・ワイルダー
Russell Morse Wilder

(1885-11-24) 1885年11月24日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 オハイオ州シンシナティ
死没 (1959-12-16) 1959年12月16日(74歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ミネソタ州オルムステッド
国籍アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
教育シカゴ大学
ラッシュ医科大学
職業医師
活動期間1919年 -
著名な実績ケトジェニック・ダイエット
医学関連経歴
分野 肥満
糖尿病
インスリン
内分泌学
代謝
栄養学
所属 メイヨー・クリニック
専門 肥満
糖尿病
ケトジェニック・ダイエット
著作A Primer for Diabetic Patients
Enrichment of Flour and Bread: A History of the Movement
受賞 Howard Taylor Ricketts award(1949年)
Joseph Goldberger award(1954年)
American Bakers Association award(1956年)

ラッセル・モース・ワイルダー英語: Russell Morse Wilder, 1885年11月24日 - 1959年12月16日)は、アメリカ合衆国医師肥満糖尿病の治療に向けて、『ケトジェニック・ダイエット』( The Ketogenic Diet )という食事法を開発したことで知られる[1][2]インスリンの人体への臨床試験を初めて行った医師でもある。

経歴[編集]

1885年オハイオ州シンシナティにて、父ウィリアム・ハムリン・ワイルダー( William Hamlin Wilder )と母エラ・ワイルダー( Ella Wilder )の息子として生まれた。父ウィリアムは眼科医であった。

1903年、シカゴ・サウス・アカデミーを卒業し、シカゴ大学に入学する。1907年、同大学にて、理学の学士号を取得。1909年から1910年まで、同大学にて解剖学病理学を教える。1912年、哲学の博士号を取得し、同年、ラッシュ医科大学を卒業。1913年にシカゴ大学を卒業する。1914年、勉学と研究のため、ウィーンに滞在し、その間に膵臓ランゲルハンス島インスリン糖尿病への関心が高まる。アメリカに帰国後、シカゴの長老派教会医療センターに住み込みとして働き、常駐医となる。

1919年より、ミネソタ州にあるメイヨー・クリニックにて、医師として働き始める。1919年から1922年まで、ミネソタ大学メイヨー財団の助教授を、1922年から1929年まで准教授を務める。1929年から1931年までシカゴ大学医学部教授および医学部長を務める。1931年、メイヨー・クリニックの医学部長に就任し、内分泌学代謝栄養学の研究を発展させる。この間に、アメリカ医師会・食品評議会・医療委員会の委員も務めている。1951年から1953年まで、アメリカ国立衛生研究所内にある国立関節炎・代謝性疾患研究所の理事を務めた。

研究[編集]

メイヨー・クリニックの勤務医として着任したワイルダーは、糖尿病患者を担当するようになる。1920年代前半、ワイルダーは「ケトン食」を開発した。これは食事において、摂取エネルギーの90%を脂肪から、6%をタンパク質から摂取する(極度の高脂肪・極度の低糖質な食事)というもの[3]。元々は癲癇を治療するための食事法であったが、「肥満糖尿病に対しても有効な食事法になりうる」としてワイルダーは開発した。炭水化物とタンパク質の摂取は可能な限り抑え、大量の脂肪分を摂取することで、身体は脂肪を分解して作り出すケトン体Keto )をエネルギー源にして生存できる体質となる。この食事法は『ケトジェニック・ダイエット』( The Ketogenic Diet )として知られるようになる。

ワイルダーは、肥満の治療にも関心が高かった。1932年、肥満についての講演を行った際に、ワイルダーは以下のように述べている。

「肥満患者は、ベッドの上で安静にしていることで、より早く体重を減らせる。一方で、激しい身体活動は減量の速度を低下させる」「運動を続ければ続けるほどより多くの脂肪が消費されるはずであり、減量もそれに比例するはずだ、という患者の理屈は一見正しいように見えるが、体重計が何の進歩も示していないのを見て、患者は落胆する」[4]

内分泌学生理学栄養学代謝についても研究していたワイルダーは、「身体に過剰な量の脂肪が蓄積していく原因はインスリンにある」こと、「インスリンの過剰分泌は、肥満だけでなく糖尿病の原因にもなる」こと、「食べ物に含まれる脂肪分を摂取してもインスリンは分泌されない」ことを知っていた。低糖質・高脂肪な食事を摂取することで血中のインスリン濃度が低い状態が維持され、この時に体脂肪は減っていくという性質を利用することで体重を減らす作用をもたらすケトン食を、ワイルダーは開発したのである。

ノースカロライナ州にあるデューク大学Duke University )医療センター生活様式医療クリニック( Medical Center Lifestyle Medical Clinic )の理事、エリック・チャールズ・ウェストマン( Eric Charles Westman[5][6][7][8]や、スウェーデンの医師、アンドゥリーアス・イーエンフェルトAndreas Eenfeldt )は、体重を減らしたい人に向けて、ケトジェニック療法の実践を奨めている[9][10][11]

参考[編集]

  1. ^ Dana Sparks (2015年1月16日). “A Line in the Sand – Mayo Clinic’s Role in Early Insulin Research”. Mayo Clinic News Network. 2019年10月28日閲覧。
  2. ^ Beth Schultz (2019年4月11日). “Feeding our brains to reduce memory loss”. The Associated Press( APNEWS ). 2019年10月28日閲覧。
  3. ^ CLASSIC KETO”. Charlie Foundation. 2019年10月28日閲覧。
  4. ^ Taubes, Gary (2010). Why We Get Fat. New York City: Alfred A. Knopf. ISBN 978-0-307-27270-6 
  5. ^ Eric Charles Westman, MD. “Associate Professor of Medicine”. Duke University School of Medicine. 2019年10月23日閲覧。
  6. ^ Jeffry Gerber, MD (2018年9月22日). “Dr Eric Westman – Clinical Experience using LCHF in a Medical Setting”. denversdietdoctor.com. 2019年10月23日閲覧。
  7. ^ Eric Westman. “Dr. Westman: an expert in low carb diets, diabetes and obesity, and insulin resistance.”. healing-fast-with-keto.com. 2019年10月23日閲覧。
  8. ^ Eric Charles Westman, MD (2019年10月15日). “A ketogenic diet for beginners”. dietdoctor.com. 2019年10月23日閲覧。
  9. ^ Matrevolutionen -- Ät dig frisk med riktig mat - YouTube
  10. ^ Diet Doctor - YouTubeチャンネル
  11. ^ Matrevolutionen + get the lifestyle!” (スウェーデン語). mfgruppen.se (2013年1月). 2013年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月28日閲覧。

著書[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]