ラザフォード (ロケットエンジン)

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ラザフォード
Rutherford
原開発国 ニュージーランドの旗ニュージーランド
設計者 Rocket Lab
開発企業 Rocket Lab
目的 第1段・第2段 兼用
現況 生産中
液体燃料エンジン
推進薬 LOX / RP-1
サイクル 電動ポンプサイクル
ポンプ 2 x 電動ポンプ
構成
燃焼室 1
性能
推力 (vac.) 4,900 lbf (22 kN)
推力 (SL) 4,000 lbf (18 kN)
Isp (vac.) 333 秒 (3.27 km/s)
Isp (SL) 303 秒 (2.97 km/s)
使用
エレクトロン
リファレンス
出典 [1][2][3][4]

ラザフォード(Rutherford)はニュージーランドRocket Labが設計[5]し、アメリカ合衆国で製造[6]される液体燃料ロケットエンジンで、同社のエレクトロンに採用されている。 名称はニュージーランド出身の実験物理学者、アーネスト・ラザフォードにちなむ。 燃料としてケロシン、酸化剤として液体酸素を使用した世界初の電動ポンプサイクル採用エンジンである。エレクトロンはファルコン9と同様に第1段と第2段に同じエンジンを用いる構成を採り、第1段に9基、第2段に1基(ノズルを延長して真空中での使用に最適化されている)を使用している[3][4]。海面高度では推力 18 kN (4,000 lbf)で比推力303 秒 (2.97 km/s)、真空中では推力 22 kN (4,900 lbf) で比推力 333 s (3.27 km/s)を発揮する[1][2]

2016年3月に認定を取得[7]し 、2017年5月25日に初飛行した[8]

特徴[編集]

ラザフォードは小型の液体燃料ロケットエンジンで、シンプルかつ安価で製造できることに意を用いて設計されている。このため、第1段と第2段のエンジンを統一し、調達・輸送の効率化とスケールメリットの追求を図っている[3][4]。さらに、コスト削減のため実用エンジンとしては世界で初めて電動ポンプサイクルを採用している[2]。また、製造には3Dプリンターを広範に活用しており、電子線溶解法を用いて燃焼室、インジェクター、ポンプおよびメイン推進薬バルブを製造している[9][10][11]

他の 液体燃料ロケットエンジンと同様に、ラザフォードもタンクから燃焼室に推進剤を送り込むためにターボポンプを使用して昇圧している[2]。大量・高圧の推進剤をタンクに収めるとタンクの重量が嵩むため、ポンプを用いて昇圧するのである[12]

電動ポンプサイクルでは、燃料と推進剤のそれぞれを電動機で駆動される電動ポンプで供給する[12]。ラザフォードでは2台のブラシレスDCモーターリチウムポリマー電池で駆動している。これにより、一般的なガス発生器サイクルでは効率50%程度であるのに対し、効率95%程度を達成している[13]。一方で、電池の分だけエンジンの重量が嵩むという問題もある[12]

エンジン1基につき40,000回転・50 hp (37 kW) のモーターを2台搭載している[13]。第1段の電池は、9基のエンジン(モーターは18台)に1MWを超える電力を供給する[14]

エンジンの冷却には再生冷却を採用しており、ポンプから吐き出された燃料は燃焼室とノズルに設けられた流路を通ってから燃焼室に噴射される。

参考文献[編集]

  1. ^ a b Brügge, Norbert (2016年7月11日). “Asian space-rocket liquid-propellant engines”. B14643.de. 2016年9月20日閲覧。
  2. ^ a b c d Propulsion”. Rocket Lab. 2016年9月19日閲覧。
  3. ^ a b c Brügge, Norbert. “Electron NLV”. B14643.de. 2016年9月20日閲覧。
  4. ^ a b c Brügge, Norbert. “Electron Propulsion”. B14643.de. 2016年9月20日閲覧。
  5. ^ Rocket Lab Reveals First Battery-Powered Rocket for Commercial Launches to Space | Rocket Lab” (en-us). 2017年5月25日閲覧。
  6. ^ Rocket Lab Becomes A Space Unicorn With A $75 Million Funding Round”. Forbes (2017年5月21日). 2017年5月25日閲覧。
  7. ^ Rutherford Engine Qualified for Flight”. Rocket Lab (2016年3月). 2016年9月19日閲覧。
  8. ^ “New Zealand space launch is first from a private site”. (2017年5月25日). http://www.bbc.com/news/world-asia-39971843 2017年5月25日閲覧。 
  9. ^ Bradley, Grant (2015年4月15日). “Rocket Lab unveils world's first battery rocket engine”. The New Zealand Herald. http://www.nzherald.co.nz/business/news/article.cfm?c_id=3&objectid=11432396 2016年9月20日閲覧。 
  10. ^ Grush, Loren (2015年4月15日). “A 3D-Printed, Battery-Powered Rocket Engine”. Popular Science. 2016年9月20日閲覧。
  11. ^ Propulsion”. Rocket Lab. 2016年9月19日閲覧。
  12. ^ a b c Rachov, Pablo; Tacca, Hernán; Lentini, Diego (2013). “Electric Feed Systems for Liquid-Propellant Rockets",”. Journal of Propulsion and Power (AIAA) 29 (5): 1171–1180. doi:10.2514/1.B34714. https://www.aacademica.org/hernan.emilio.tacca/9.pdf 2016年9月16日閲覧。. 
  13. ^ a b Rocket Lab Unveils Battery-Powered Turbomachinery”. Aviation Week & Space Technology (2015年4月14日). 2016年9月16日閲覧。
  14. ^ Rocket Lab Introduction (PDF)”. Rocket Lab. 2016年9月20日閲覧。

外部リンク[編集]