ラグビーのポジション

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ラグビーユニオンにおいて、フィールドプレーヤー15人にはそれぞれ決まったポジションが与えられており、フォワード8人とバックス7人に大きく分けられている。

概要[編集]

ラグビーのポジション図-02.png

ポジションは、大きくフォワードバックスに分かれており、それぞれ次のように呼ばれる。フォワードの8人は、スクラムを構成する。なお、各ポジションの呼び方は国によって異なることがある。

  • フォワード (FW)
    • (最前列)3人 - フッカー (HO) (2) と、左右のプロップ (PR) (1,3)
    • (第二列)2人 - 左右のロック (LO) (4、5) ※海外ではセカンドロー (SR) と呼ばれる
    • (第三列)3人 - ナンバー・エイト (NO8) (8) と、左右のフランカー (FL) (6,7)
  • バックス (BK)
    • ハーフバック (HB) 2人 - スクラムハーフ (SH) (9) とスタンドオフ (SO) (10) ※ハーフ団とも呼ばれる。
    • スリークォーター・バック (TB) 4人 - 左右それぞれのウィングスリークォーターバック (WTB) (11,14) とセンタースリークォーターバック (CTB) (12,13)
    • フルバック (FB) (15) 1人

近年、世界各国での競技人口が増えるとともに、競争も激化し、戦術が多様化するにおいて、それぞれのポジションの役割も多様化してきている。トップレベルにおいては、各ポジションにおいて、より多くの役割をこなすことが要求され、高校・大学レベルにもそれは波及し始めている。

フォワード (FW)[編集]

フォワードとは、1番から8番までの8人の選手のこと。またフォワードは、試合中にスクラムを組むメンバーでもある。

スクラムを組む際の位置取りで、フロントローセカンドローバックローに大きく分けられる。そして与えられた役割に従って、さらに細かくプロップ (2人)、フッカー (1人)、ロック (2人)、フランカー (2人)、ナンバー8 (1人)というポジションに分けられる。

試合ではボールを獲得することが一番の役割で、敵チームと激しくボールを奪い合うために、相手選手に競り負けたり当たり負けしたりしない、身長や体重など体格的に優れ、屈強な肉体の、パワーのある選手がこのポジションを占めている。

しかし、最近では選手がオールラウンダー化する世界的流れの中で、バックスのように走力も求められるようになっている。運動量を増す現代のラグビーでは、PR・HO・LOのタイトファイブの運動量が勝負の鍵とまで言われる。

フロントロー[編集]

スクラムを組む際に最前列に位置するため、PR・HOの3名をフロントローと称する。

1・3番 プロップ (PR)
スクラムの際にフッカーと共に最前列の3名(フロントロー)を構成し、相手のフロントローと頭を交互に組み合わせて相手チームを直接押す役割を持つ。モールの際には体ごと相手を押し込み、相手陣を崩す役目を持ち、スピードを犠牲にしてもパワーがあることが要求されるポジションである。スクラムの職人。フィールドでボールに触ることはほとんどないが、ボールハンドリング能力や突破力が高ければ高いほど、勝敗に影響するポジションであり、ボールを持って突破を試みるプロップも珍しくない。
左側のプロップをルースヘッドプロップ(スクラムの際、片方の肩のみで組むため)、右側のプロップをタイトヘッドプロップ(スクラムの際、両肩に相手の体重がかかるため)という。
2番 フッカー (HO)
スクラムの要。スクラムの際のフロントローの中央に位置し、プロップ (PR) と共に相手と組み合って直接相手を押し込む。また、スクラムハーフ (SH) が投入したボールを足で引っかけて (hook) 自陣後方に送り込む役割も果たす。この役割がフッカーの名称の由来でもある。プロップに比べると体格のやや小さい選手が務めることが多く、スクラムの際に中央に来ることで両側からの押す力が中央に集まりやすくなり、スクラム全体が安定すると言われている。
また、ラインアウトの際にはボールを投入する役割となることが多い。これは、ボールを受ける側に体格の大きい選手が回ることで、競り合いに負けないようにするためだと言われている。そのため、フォワード陣の中でも特にボールの扱いの上手さ、パスの技量が求められる。
フッカーは第二のナンバーエイトと呼ばれるほど重要なポジションであり、アタック・ディフェンスともに強い選手がこのポジションに就く。

セカンドロー[編集]

スクラムを組む際に2列目に位置するため、このポジションをセカンドローと称する。

4・5番 ロック (LO)
FWのポジションでスクラムの際に2列目の左右に位置する。ラインアウトの際にボールを空中で奪い合う役割があることから、チームで最も背の高い選手がなる傾向がある。空中の仕事人。モールの際にはプロップと共に体ごと相手を押し崩す。このため身長と体重の双方が求められる。
スクラムの時に軸となる3番プロップの後ろになる5番ロックは、4番ロックより体格の良い選手が担当することが多い。
強くて頼りになる男の象徴という理由から、「ラグビー王国ニュージーランドでは、少年はロックを目指す」と言われる。 大きな体を生かした突進で、防御にダメージを与える。

バックロー[編集]

スクラムを組む際に最後列(3列目)に位置していたため、FL・No8の3名をバックローもしくはサードローと称する。

現在は後述の通りFLが2列目の両翼に上がるように変化しているが、呼称自体は旧来から変化していない。

6・7番 フランカー (FL)
FWのポジションでスクラムの際に3列目の左右に位置する。地上で展開される攻撃のあらゆる局面(モール、ラック、ブレイクダウン、パントキックに対するチャージダウン等)に積極的に参加して味方をサポートし、体で相手陣を押し崩す役回りである。ボールを保持して密集地のサイドを突破する役目も担う。ディフェンスにおいてはタックルマンとして大きく勇気が求められる。また、接点におけるルーズボールへの働きかけ(セービング、ジャッカル、スイープ)も重要な役割で、ロックが空中戦のスペシャリストだとすれば、フランカーは地上戦のスペシャリストであり、攻守に活躍するだけの高い身体能力、運動量が求められる。このような動きから国によってはルーズフォワード (Loose Forward) とも呼ばれる。スクラムにおいては主に6番がブラインドサイド、7番がオープンサイドに就くという形があるが、単に6番が左、7番が右という形も見られる。オープンサイドフランカーは豊富な運動量とアタッキング力、ブラインドサイドフランカーはフィジカルとディフェンス力が求められる。
8番 ナンバー8(ナンバーエイト) (NO8)
フランカーとともにスクラム時の3列目を組む。FWのリーダー
スクラムに最後に参加し、体ごと相手FW陣を押し崩す役回りである。スクラム最後尾でフロントローから送られてきたボールをキープしたり、かき出されたボールを持って自ら密集地のサイドを力尽くで突破したりする。モール形成時には、その起点となることも求められる。フランカーに似たポジションではあるが、より自由にフィールドを走り回るため、運動量、身体能力に加えて、ゲームに対する総合的な判断力が求められる。

スクラム[編集]

相手フォワードと直接組み合う最前線のフロントローはプロップ2人とそれを間でつなぐフッカー1人の計3人、2列目のセカンドローはその3人をすぐ後ろでサポートするロック2人、そして元々3列目のフランカー2人がそれぞれ2列目のロックの外側のほぼ真横に上がり、ナンバー・エイト1人が最後方に位置するようになっている(3-4-1システム)。詳細は、スクラム (ラグビー)を参照されたい。

バックス (BK)[編集]

バックスとは、フォワード以外のスクラムハーフ (1人)、スタンドオフ (1人)、センタースリークォーターバック (2人)、ウイングスリークォーターバック (2人)、フルバック (1人)の7人のプレーヤーの総称で、9番から15番までの選手のこと。

その中でも9番と10番の選手をハーフバックスもしくはハーフバック団と呼び、11番から14番までの選手はスリークォーターバックス (three quarter backs; 日本語に訳すと「4分の3のバックス」という意味)、そして15番はフルバックと言う。

また、スタンドオフとセンターをフロントスリー、ウイングとフルバックをバックスリーと呼ぶこともある。

バックスは、フォワードが獲得したボールを前に進め、最終的に得点につなげるのが役割。体格的にはフォワードに劣るが、足が速く、パスやキックなどのテクニックに優れた選手が多い。守備ではタックルで相手の攻撃を防ぐ。

ハーフバックス(ハーフ団)[編集]

ポジションを8分割したときに4/8列目と5/8列目に来るため、スクラムハーフとスタンドオフと合わせて「ハーフバックス」と呼ばれる。国によってはスタンドオフを「ファイブエイス」と分けて呼び、ハーフバックとは単にスクラムハーフを指すこともある。

9番 スクラムハーフ (SH)
名前の由来は、スクラムと連携するハーフというところから。スクラムやモール、ラックに参加はしないが、そばにいて、かき出されたボールを持ってバックス陣にパスをすることを主とする役回りである。スタンドオフと同様に攻撃の起点となることから、フランスのラグビー哲学ではスクラムハーフが司令塔であるとされている。
地面にあるボールを拾うことと一連の動作でパスする(ダイビングパス等)という動作が特に多く、体が小さい選手が務めることが多い。密集地からの最初のパスを出すので、敏捷さと高度なパススキル、瞬間的な判断力、常に密集地に素早く駆けつけることができる持久力、体が小さいことを武器として大男たちの密集地のサイドを突破できるような俊敏性とステップワーク技術が要求される。
守備の際は相手スクラムハーフをマークし、密集地からパスが出たことを味方に伝えたり、相手FW陣のスクラムサイドの突破を防ぐことが要求される。体躯の大小にかかわりなく9人目のFWとして大男の突破を防がなくてはならないことから、強靭なメンタリティとフィジカルが求められる。
10番 スタンドオフ (SO) (フライハーフ (FH))
語源は、スクラムから“離れた”(=スタンドオフ)ハーフというところから。イギリスではその後、このポジションのことを「フライハーフ」 (flyhalf) と呼ぶようになったので、日本やアメリカなどで使われる「スタンドオフ」という言葉は、今ではあまり使われない。国際的にもフライハーフと呼ばれることが多い。これ以外にも、国によっては「ファースト・ファイブエイス」 (first five-eighth)[1]、「ファースト・ファイブ」 (first five)、「アウトサイド・ハーフ」 (outside half) などという呼び方がある。
スクラムやモール、ラックなどの密集からボールが出てきたときに最初にボールを受け取る役回りであり、受け取る瞬間はノーマークであるため、パス、パント、突破と様々なプレーを選択でき、そのプレーが攻撃の基点になることから、一般的に、司令塔と言われているポジションである。ボールハンドリング、パススキル、キック、ステップワークなど多種多様かつ正確巧緻な技術、瞬時の状況判断力、試合の流れを読む冷静さ、長い距離を走るスピードよりも短い距離でトップスピードに到達する俊敏性が求められる。
スクラムやモールには参加せず、守備時においては、相手のスタンドオフをマークし、プレッシャーをかけることで相手のミスの誘発やプレーを遅らせる役目を担う。

スリークォーターバック[編集]

ポジションを8分割したときに6/8=3/4(スリークォーター)に位置するため(かつては7列目にSE(セブンエイス)というポジションが存在した)、11番から14番までをスリークォーター・バックス (TB) と呼ぶ。

国によっては、12番を「セカンド・ファイブエイス」と分けて呼ぶ場合もある。

11・14番 ウイング・スリークォーターバック (WTB)
攻撃の際はラインの最も大外にてパスを貰い、ライン際を駆け抜けトライを取りに行くことこそがこのポジションの役割で、チーム随一の快足と共に、巧みなステップ、相手を抜き去る相手裏へのキック(ショートパント)の技術も要求される。トライゲッターとしてラガーマンの華でもある。
守りにおいてはFBと共にバックスリーとして相手のキック処理に関わることが多く、陣地を稼ぐためのロングキックも求められる。
12・13番 センター・スリークォーターバック (CTB)
12番をインサイドCTB、13番をアウトサイドCTBと呼ぶこともある。切込隊長。SOの外に位置し、SOからWTBへパスを中継したり、意表を突いて自らラインを突破したり、敵陣の空いたスペースにボールを蹴り入れたりと、攻撃の幅を広げる。攻撃時の接点になることが多く、そのためパススキルは勿論、自ら相手に突破を仕掛ける際のスピードに加えて当り強さも求められる。
ディフェンス時にはSOの外を突いてくる敵に対する強いタックルも求められる。自身のそばでモールやラックが発生すれば、それに参加することもよく見られる光景である。したがって、近年、フォワードに負けない体格の選手が増えている。
一般的にインサイドセンターはSOに近く、パススキルや突破力が求められ、アウトサイドセンターはWTBに近く、ランニングスピードが求められる。

フルバック[編集]

全体の最後尾 (8/8) に位置するポジションであるため、15番をフルバックと呼称する。

15番 フルバック (FB)
最後尾に位置し、バックスを統率するバックス最後の要のポジション。身体能力の高い者が務めることが多く、役割は多岐に渡る。バックス陣が攻撃を担当するラグビーにおいて、フルバックは攻撃よりはむしろ守備の担当として攻撃時でも最後尾で味方の選手に指示を出しつつ自陣のゾーンをカバーする。相手バックス陣に負けないスピードと相手FW陣に負けない当りの強さを求められる。また、最後の切り札としてオフェンスに参加することもある。特にキックの能力が不可欠である。

脚注[編集]

  1. ^ ファーストが付くのは12番の選手をセカンド・ファイブエイス (second five-eighth) と呼ぶことがあるため。