ラオウ

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ラオウ(北斗の拳)は、漫画『北斗の拳』に登場する、架空の人物。

概要[編集]

世紀末覇者拳王を名乗り、拳王軍を率いて、核戦争後の荒廃した世界を恐怖と暴力で制圧した暴君。一人称は基本的に「俺」だが、「わたし」「わし」になる場面もある。

北斗神拳四兄弟の長兄にしてトキサヤカの実兄、ジャギケンシロウの義兄であり、カイオウの実弟。忘れ形見に、リュウがいる。愛馬は黒王号

戦いの際は、相手が雑魚ならば何人だろうと黒王の上からまとめて吹き飛ばす(同時に黒王も雑魚を蹴り飛ばし、踏み潰し、吹き飛ばしている)。また、レイヒューイシュレンなど、かなりの実力を持った者と戦う時ですら黒王の上からは降りずにそのまま相手をする。後半(=TVアニメ版基調では第4部最終章)[1]のケンシロウやトキ、コウリュウフドウ、心と力が甦ったジュウザ、シン86年劇場版)等、自分が認めた強者が相手の時のみ黒王から降りる。

カサンドラで数多の他流派拳法の伝承者・達人達より数々の奥義を奪っている。

作画・原哲夫が『森田一義アワー 笑っていいとも!』出演時に「ファンから不評を買ったキャラクター[2]」としてあげている[3]。2015年の『ナカイの窓』では原が苦手なキャラクターだと公言した。原因は戦闘を描いて行く内に段々と苦手になったと言う[4]

原作者の武論尊は、名前は修様という意味で付けたと語る[5]

声の出演[編集]

青年期

少年期

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「剛の拳」の使い手であり、北斗剛掌波天将奔烈などの闘気を放射、射出する技を得意とするが、その闘気はレイの挑戦を受ける際、闘気だけでレイを怯ませ、南斗究極奥義 断己相殺拳の使用を余儀なくさせてしまうほど強烈なものである。しかしリュウケンが語っているように、暗殺拳としては資質に乏しく、実力ではケンシロウを上回りながらも伝承者には成れなかった。

外見・身体的特徴など[編集]

身長210cm、体重145kg、バスト160cm、ウエスト115cm、ヒップ130cm、首周り65cm。身長は公式設定(週刊少年ジャンプ特別編集『北斗の拳 SPECIAL』の「拳聖烈伝」から)だが、劇中では演出の都合などにより3~4mほどまで巨大化している事がしばしば。

原作では銀髪だが、TVアニメでは黒髪。パチスロやフィギュアなどでは金髪である。トレードマークは耳の部分から猛牛のように前へ突き出た鋭い角付き兜と巨大なマント。額には無数のしわがある。また、アニメの成人期は眉毛がない。

なお、TVアニメ版での衣装は以下のとおりに描写されている。

  • 初登場時…(第2部風雲龍虎編)…両肩に金色の肩当で黒のタンクトップ。さらにその上にマントを羽織っており兜は針鼠を思わせる棘が出ているものを着用(全て金色)。なお86年劇場版ではデザインは同じであるが棘の部分が銀色となっている。
  • 再登場後…(第3部乱世覇道編~最終決戦(北斗錬気闘座)以外)…兜以外の変更点は特に無く、兜のみデザインが変更されている。
  • 最終決戦(北斗錬気闘座)時…両肩に黒色の肩当で、上下共に黒に近い赤い衣装となっており、従来とは明らかに異なる衣装デザインとなっている。

人物[編集]

その生い立ちや北斗神拳継承者候補となった経緯については、作中で矛盾する描写が幾つかある。しかしいずれにせよ、幼少期に両親を失い、その理不尽な経験から己の意に沿わないものは力をもってねじ伏せる、という思考を持つようになった。「ラオウとトキの二人の内、養子に迎えるのはどちらか一人」とリュウケンに崖から突き落とされるが、気絶したトキを抱えて片手で崖をよじ登ってみせたエピソードなどは彼の気質をよく表している。

そうした信念より、無抵抗を条件に助命を求めてきた村落の長を「服従のみの人生に何の意味もない」としてあっさりと殺害(アニメ版では生存)している[6]。自身に想いを寄せるあまり自害して果てたトウに対しても「自分が欲しければ、殺してでも手に入れれば良い」と言ってのけた(トウの実力でラオウを倒せないのは言うまでもないがラオウは「どんな手段を使ってでも殺せばいい」という意味で言っていた)。

幼少期の修行時代にもこうした面はあり、稽古で打ち倒したトキが涙を流すのを見て「泣くな!涙など流してはならぬ」と言い放っている。またケンシロウに対しては、彼がまだ幼いため修行はおろかリュウケンの道場に入ることも許されていなかった頃、リュウケンに無断でリンチ同然の組手を行い、これを目の当たりにしたリュウケンに「才なき者がいずれここから追放されるなら、それを分からせるのがこいつのため」と謝ることなく堂々と言い切った。

しかし、自ら片足を切断して差し出したファルコの願いを聞き入れて軍を転進させるなど、立場は違っても強い意志を持った人間に対しては敬意を払っている。また、バランに目をかけたりシャチを可愛がったりするなど、意志が強く見所のある少年にも好意を示している。

一方では慎重な部分もあり、後述するレイを含め戦う相手に「死兆星を見たか」と問い、「見た」という相手としか戦わなかった[7]。そのレイとの戦いでは、部下がレイに倒される様子を観察することで動きを見切って完勝し、サウザーに対してはケンシロウとの戦いを観察して経絡秘孔の効果が現れない彼の秘密を見極めようとしていた。

その拳を封じようと追い詰めたリュウケンが病の発作に倒れ、ただ一人恐れた拳の持ち主トキもやはり病に冒され、天下統治の妨げとなっていたサウザーをケンシロウが倒してしまうなど、その覇道は運に恵まれていた一面もある。それを当人もどこかで自覚しつつ、天を目指す自分に神は運を与え、戦いたがっていると強固な自負に変えていた。

だが、無想転生を身につけたケンシロウや、その後のフドウとの対戦などで、運や情けによって命を拾った場面では、それを屈辱として怒り狂うこともあった。

また登場初期には、「命を助ける」と約束した拳法一家を詭弁を弄して獄中死させる、拳法の技量で上回るが病身のトキ相手に失血による体力勝負に出る、信念に殉じようとするトキ相手に「汚れたヤセ犬の死と変わらん」と言い放って嘲笑うなど、卑劣な描写が目立った。

後にケンシロウ、ヒョウと同じく「北斗宗家」の血統(オウカ、リュウオウを祖先とする傍流)であったことが明かされる。ケンシロウは修行時代のラオウを「失われた北斗の男」と評したほか、三度に渡り死闘を繰り広げたことで「あなた(ラオウ)が最大の強敵(とも)だった」と評した。また、リハクはラオウが無想転生を体得したことで「北斗神拳伝承者」としての才があると認めた上で、ケンシロウと合わせて「天は2人の伝承者を生み出した」と評した。

継承者争いに敗れ、拳王へ[編集]

虎にさえ死を恐怖させてしまう剛の拳が故に、相手に死を覚悟させるケンシロウより、暗殺拳としての北斗神拳の継承者としては劣るとリュウケンにみなされた[8]

北斗神拳継承者争いでケンシロウに敗れると、その拳を封じようとしたリュウケンを惨殺し[9]「世紀末覇者 拳王」を名乗る。配下には、かつての義弟ジャギ、新秘孔究明に力を注ぐアミバ、カサンドラ獄長ウイグル等、力に惹かれた態の悪いごろつきが多く集まり、ラオウの軍団はまさに恐怖そのものであった。文字通り恐怖統治で構成された軍団なのでラオウを恐れるあまり迎合している集団であるが、ラオウの目の届く範囲では一定の秩序も保たれており、中にはリュウガのような良将も若干ではあるが存在している。

その支配形成の一つにカサンドラという収容施設を造らせ、反逆者の収容や、他流の拳法の達人から奥義を奪ったりして、それでいてどんな小さな禍根も断つというものがある[10]

ただしその反面、ラオウの人柄や理想に惹かれたザクや赤鯱、バルガやリセキのような武将や側近といった者も少なからずおり、また幼少期のシャチやバランはラオウの力を見て、その強さに心を動かされている。とりわけバランに至っては、ラオウの許可を得てラオウの北斗神拳を盗み、独力で北斗神拳を体得した。

また、ラオウという存在は拳王軍の将兵においても恐怖であり、ごろつきの類ですらラオウの目の前で命令に逆らって逃亡する者は事実上皆無であった(マミヤの村でケンシロウと引き分けに終わったのを、相打ちになって死んだと早合点した配下が「拳王の伝説が終わった」と逃げ出した一件を除く)。拳王軍の支配地域においてもラオウを頂点に治安は安定しており、メディスンシティーやアビダの村が無法地帯と化したのはいずれもラオウがケンシロウとの戦いで負傷し、療養のために隠遁してからであった。なお、アニメ版ではプーガルやモーガンの村が、アビダの村と似た状況になっている。

継承者争いで敗れ出奔した際、ケンシロウと別れ際に自身の実兄カイオウの存在を明かし、もし自分が再びカイオウに会う前に倒れ、ケンシロウがカイオウに会った時は自分の言葉を伝えるように頼んでいた。また同時に、「その兄がもし道を外していたのならその拳で殺せ(TVアニメ版では、「兄が歪んでいたらその手で倒してくれ」)」と言いつかい、そしてこの時に、ケンシロウといずれ拳を交えることを予見していた。

ケンシロウとの対決[編集]

第1部終盤では愛ゆえの哀しみ、強敵達との戦いゆえの哀しみを背負い、北斗神拳究極奥義 無想転生を体得したケンシロウに対し、何者にも、神すらも恐れず力で全てをねじ伏せてきたラオウが初めて恐怖を覚え、それを克服せんと苦悩していた。

最終的に自分を恐怖させたものは「愛」との結論に至り、自らが愛するユリアを手にかけ、自身も哀しみを背負って無想転生を体得。恐怖を乗り越え、万全の態勢でケンシロウを北斗練気闘座へ導き、最終決戦に臨む。

互いに無想転生を纏った空前の大激闘が繰り広げられた。しかし、愛を認めたことで究極奥義を体得したとはいえ、自分の信念を砕かれたラオウは、精彩を欠くようになり[11]、ケンシロウの拳の前に膝をついた。自分を倒したケンシロウを「弟」として褒め称え、ケンシロウもラオウを「兄さん」と呼んだ。その時、殺されたはずのユリアが目覚める。驚愕するケンシロウとユリアに、ラオウは不治の病に冒されているユリアの秘孔を突き、あと数ヶ月だったユリアの命を数年にまで延ばしたことを告げ[12]、ユリアの残る余生は二人で静かに幸せに暮らせと声をかけ、最期は自らの秘孔を突き、その間際に己が生涯を省みて「わが生涯に一片の悔いなし!!」と総括し体内の全エネルギーを天に放出して立ったまま大往生を遂げる。その後の描写から、亡骸はトキが生前望んでいたように彼の墓の隣に葬られた。

ラオウ亡き後の影響[編集]

ラオウがケンシロウとの最終決戦に挑む直前、哀しみを背負おうと最愛のユリアを涙しながら手にかけるさまは、拳王軍の面々に大いなる衝撃を与えた。実際にはユリアの延命のために秘孔を突いて仮死状態としただけであったものの、傍目にはあたかもラオウがユリアを殺したようにしか見えなかったため、ユリアの慈愛に心を打たれていた拳王軍の兵達はまだラオウが生存しているにもかかわらず次々と武器を捨て、愛する家族の元へと帰っていった。

一方、拳王軍の中でも良心や慈愛とは無縁のごろつきの類に関しては、コウケツやジンバの例から見て、野盗として悪事に走ったものとみられる。

ラオウが信を置いていた赤鯱やバルガは、それぞれ独自の勢力を興すも、赤鯱は修羅の国へ新天地を求めて攻め込んだが果たせず、バルガは時代の流れを読めずに没落し、コウケツの農奴へと転落した。

ラオウの死と拳王軍の解体は権力の空白を生み出し、これに乗じる形で天帝ルイを元首とする帝国と、その軍隊である天帝軍が誕生する。その元凶である総督ジャコウは、かつて元斗の村にラオウが侵攻した際にその本性を見抜かれ、ラオウがファルコに殺せと言ったがゆえにあわや殺されるところだったという因縁がある[13]。その因縁はジャコウがファルコに倒された後も、ジャコウの息子ジャスクがリンを人質にして北斗・元斗抹殺(ラオウとファルコが体得した拳の抹殺)を図る形で続いた。

また、かつてラオウと決別した実兄カイオウは、密かにラオウを修羅の国の救世主にでっち上げる「ラオウ伝説」を広め、この伝説でラオウを慕う民衆はラオウ襲来を聞いて狂喜し、カイオウに対して一斉蜂起に出るも、実際に修羅の国にやってきたのがケンシロウだということを知った途端に戦意が崩れて崩壊し、カイオウ配下の修羅達によって大勢が虐殺された。なお、カイオウやその配下はラオウが死亡したことを知っていた。

加えて、幼い頃にカイオウが受けた仕打ち[14]を知っていたラオウは、もし自分がカイオウに会う前に死んだ場合には、「弟は誰よりも兄の悲しみを知り、尊敬していた」と伝えるよう、ケンシロウに遺言を残していた。

母親は不明だが、ラオウにはリュウという実子がおり、修羅の国から戻ってきたケンシロウは、北斗神拳の真髄とラオウの生き様を説いた後、拳王時代の最も信頼出来るラオウの忠臣バルガにリュウを預けた。

ラオウ昇魂式[編集]

ラオウの死を描いたアニメ映画『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 激闘の章』の公開10日前の2007年4月18日東京高輪にある真言宗高野山東京別院で「ラオウ昇魂式」が行われた。遺族代表として、武論尊原哲夫らが参列し、葬儀委員長は谷村新司が務めた。また映画でラオウの声を担当した宇梶剛士が弔辞を読み、声優として参加した角田信朗がラオウに捧げる演舞を披露した。これに伴い、ラオウは正式に故人となった。

なお、漫画のキャラクターの葬儀が本物の寺院(宗教施設)で営まれるのは初めての事である[15]。ラオウを供養する為として日本中から多くのファンが集まり、海外のファンも訪れた程であった。しかし、雑誌『PCangel』内のライターによるコーナーでこの件に対し「ラオウは最期に『天へ帰るに人の手は借りぬ』と言っているのに葬儀を行う(本人以外の人間が葬る)のはおかしい」、「ただの映画の宣伝に過ぎない」との記述があり批判的意見も少なからずあった。

モデル[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 正確に記述するとTVアニメ版第2部での対戦時ではトキが来るまでは黒王号に跨ったままで、トキ到着以降は地に降りているが、ケンシロウがトキの秘孔呪縛を自力で解除し、直後の再戦以降そのままの流れである。
  2. ^ 理由は一通の葉書に「何だこの毬栗頭は」という文句が来たのが原因。
  3. ^ 2010年10月25日『森田一義アワー 笑っていいとも!』「コレが私の3段階」より。
  4. ^ 2015年6月4日放送回『ナカイの窓』より。
  5. ^ 『北斗の拳 データFILE 奥義秘伝書』53ページ
  6. ^ ただしこの描写は、ラオウが捕まえた子供の命よりも、自分や村人全体の命を重んじた村落の長に対しての怒りが主な理由であり、ラオウは子供には危害を加えていない。
  7. ^ トキとの決戦にて、北斗神拳の伝説にある「互角の強者が戦う時、両者の頭上に死兆星が輝く」の通りに己が頭上に死兆星が輝く光景を目にしてからは、相手に死兆星について問い掛ける事は無くなっている。
  8. ^ ラオウ本人は、自身の剛拳に暗殺拳としての資質がないことにも、虎がケンシロウを見て死を覚悟したことにも気付いていなかった。
  9. ^ 天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』では、リュウケンは、ラオウに殺されたのではなく、己の病から来る発作により命を落とし、その死の間際には、ラオウに対して「覇道を捨てよ」と遺言を残す。なお原作でも、リュウケンは実力でラオウを圧倒していたが、自身の発作によって逆転されそのまま敗死した。
  10. ^ 天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』では、拳法家から奥義を奪ったのは私欲のためでなく、乱世の最中に貴重な拳法を失わせないよう、集大成である一つの系譜に記すためとされている。
  11. ^ リンやバットに「ケンシロウと同じ清々しさを感じる」といわれ、事実、闘気を最大限に活かした剛の拳を活用せずに、緩急をつけた戦いが目立っていた。ケンシロウも後に「拳では勝っていたのに負けたのは愛を認めて非情になれなかったから」と振り返っている。
  12. ^ アニメ版ではラオウが自らの闘気をユリアに分け与え、ユリアの延命を図ったとケンシロウが気付くシーンがある。
  13. ^ ジャコウはファルコの母親に育てられており、「自分を殺せば母親も悲しむ」と命乞いをしたことから、結局、命は奪われなかった。
  14. ^ 目の前で愛する母親が死ぬ、ラオウとトキを人質に取られてヒョウにわざと負けるようジュウケイから強要される、弟達とは違い北斗神拳を学ぶことを許されず修羅の国に残されるなど。
  15. ^ 過去にも『あしたのジョー』の力石徹や『タッチ』の上杉和也など架空の人物の葬儀が実際に行われた事があったが、場所は寺院(宗教施設)ではない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]