ライトスタッフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ライトスタッフ
The Right Stuff
監督 フィリップ・カウフマン
脚本 フィリップ・カウフマン
原作 トム・ウルフ
製作 アーウィン・ウィンクラー
ロバート・チャートフ
製作総指揮 ジェームズ・D・ブルベイカー
出演者 サム・シェパード
スコット・グレン
エド・ハリス
デニス・クエイド
音楽 ビル・コンティ
撮影 キャレブ・デシャネル
編集 トム・ロルフ
製作会社 ザ ラッド カンパニー
配給 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗 1983年10月21日
日本の旗 1984年9月1日
上映時間 160分(日本公開版)
193分(完全版)
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $27,000,000[1]
興行収入 アメリカ合衆国の旗 $21,192,102[2]
テンプレートを表示

ライトスタッフ』(原題:The Right Stuff)は、1983年アメリカ映画。有人宇宙飛行計画"マーキュリー計画"に従事した、7人の宇宙飛行士の実話を基に描いた作品[3]フィリップ・カウフマン監督。

概要[ソースを編集]

1979年に出版されたトム・ウルフによる同名のドキュメンタリー小説を原作としている。第56回アカデミー賞において作曲賞(ドラマ)、編集賞、音響効果賞、録音賞の4部門を受賞。

NASAマーキュリー計画(宇宙に人間を送り出す国家プロジェクト)を背景に、戦闘機パイロットが「ライトスタッフ己にしかない正しい資質)」に従い孤独な挑戦を続ける姿と、国家の重圧に耐えながら信頼の絆を深め合う宇宙飛行士と家族の姿とを対比して描くことで、別々の生き方の中にも勇気を持って行動する者達を称えた物語である。音速の壁に挑戦し続けた実在の人物、チャック・イェーガーサム・シェパードが演じた。

あらすじ[ソースを編集]

1947年のアメリカ、モハーベ砂漠の中のエドワーズ空軍基地

テストパイロットのチャック・イェーガーはロケット機ベルX-1を駆り危険なテスト飛行に挑む、そしてついに音速の壁を破る。その後、基地にはパイロットが続々と集まり、速度記録も上がっていくが、事故は止むことがなかった。

やがて、ソ連の世界初の人工衛星スプートニク1号打ち上げ成功の緊急ニュース(スプートニク・ショック)が届き、慌てた政府は、新たにNASAを創設して、各軍の精鋭パイロットから宇宙飛行士候補者を募ることにする。空軍のイェーガーやその仲間は大卒ではないため不適格とされたが、他の優秀なパイロットらが応募・招集され、厳しい検査を経て7人(ザ・マーキュリー セブン)が選ばれる。

NASAへの不満、意見の対立、ライバル国のユーリ・ガガーリンの世界初の有人宇宙飛行の成功等を乗り越えて、宇宙へと飛び立った飛行士達は、世間の注目を集めていった。

その頃イェーガーは、ソ連が持つ高度記録に挑むため、一人で最新鋭機NF-104を駆り上空へ飛び立つが、青空を飛び越えて星々を目の前にしたところで制御不能になり墜落。負傷しながらも脱出に成功し、生きて同僚らの元に帰る。

「ライトスタッフ」の7人の中で取り残されていたゴードン・クーパーが宇宙へ飛び立ち「アメリカ人最後の宇宙単独飛行」の記録を成し遂げた。それと同時に(最終目的であるアポロ計画へ前進するため)当初の目的を達成したマーキュリー計画は、その役目を終えて華々しく終了を迎えた。

スタッフ[ソースを編集]

キャスト[ソースを編集]

※()は日本語吹き替え

豆知識[ソースを編集]

  • 上映時間は193分(3時間13分)と長く、日本ではラスト近くのサリー・ランドによる舞いのシーンなどがカットされ30分も短縮されたが、それでも160分(2時間40分)ほどのボリュームとなっている。カットを要請されたカウフマン監督は、「黒澤明監督に編集してもらいたい」と通告したが聞き入れられなかった。ちなみに、黒澤にまつわるエピソードとして、自ら監督した映画『白痴』が公開される際、「フィルムを縦に切れ」と言って短縮を拒否したことがある。
  • ドキュメンタリー映画ではなく、あくまで娯楽用に制作された作品なので、史実とは異なる点があることに注意する必要がある。例えば、X-1はそのシリーズを通じて飛行中での墜落事故は起きていない。また、チャック・イェーガーは元々X-1のテストパイロットとして選ばれ、何度も動力飛行などを行っているので、前日に操縦を引き受けたとするのは映画の演出によるもの。ただし、落馬により肋骨を折ってしまうもリドリーの機転で事なきを得た点は事実である。
  • 初めて音速を越えた男、チャック・イェーガー本人も、テクニカルアドバイザーとして製作に参加しているほか出演もしている。パンチョの店内で時折映っており、採用係として訪れたハリー・シェアラーに話しかけるシーンもある。
  • 冒頭におけるテストパイロットの葬儀シーンで、上空に飛来した航空機編隊が見せる航空機動(飛んできた編隊機数機の内の1機が急上昇する)は、「ミッシングマン・フォーメーション」と呼ばれるものであり、「亡くなった人物を追悼する」という意味がある。ただし、NHKが「オリジナル版」として放送した3時間15分のバージョンにおいては、単機離脱、上昇の部分が切られており、ミッシングマン・フォーメーションを見ることはできない。

その他[ソースを編集]

フィリップ・カウフマンは1950-60年代の米国の人種差別に対する微妙な問題をコミカルにエピソードとして挿入している。

スコット・グレン演じるアラン・シェパード海軍中佐が、空軍の宇宙飛行士候補達の「うけ」を取ろうと米国のコメディアンビル・ドナ演じる ホセ・ヒメネスの物まねを、カリフォルニアの病院の待合室で行う。(ちなみにホセ・ヒメネスはたどたどしい英語しか話せないメキシコ人のメスティーソをからかったキャラクターである。)その場にはメキシコ人の看護人ゴンザレス(大男の アンソニー・モノスが演じている)がおり、彼に不快な感情を抱かせる。

シェパードは病院での宇宙飛行士適性検査で浣腸され、検査の後上階のトイレに駆け込む必要があるとき、医師よりゴンザレスにトイレまで連れて行ってもらうべく指示される。ゴンザレスはトイレまでのエスコートの途上、我慢の限界で爆発(排便)寸前のシェパードの首根っこを掴み、ホセ・ヒメネスの物まねがいかにメキシコ人の心を傷つけているかを諭す。普段は強気のシェパードであったがこの時はさすがに反論できず、うなだれてそのとおりであると首肯せざるを得なかった。この瞬間に限って、エリート・パイロットである宇宙飛行士候補とメキシコ人の看護人の社会的地位は完全に逆転していたわけである。

1950-60年代宇宙飛行士がホセ・ヒメネスの物まねで「うけ」を取ろうとするエピソードは『フロム・ジ・アース/人類、月に立つ』 (1998年) においてマーク・ハーモン演じるウォーリー・シラー大佐にも演じられている。

関連項目[ソースを編集]

脚注[ソースを編集]

  1. ^ The Right Stuff (1983) - The Numbers(2017年2月20日閲覧)
  2. ^ The Right Stuff - Box Office Mojo(2017年2月20日閲覧)
  3. ^ The Right Stuff Movie Review & Film Summary(1983) - Roger Ebert(2017年2月20日閲覧)

外部リンク[ソースを編集]