ライオンとユニコーン

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ウォルター・クレイン画:ライオンとユニコーン

ライオンとユニコーン(原題は "The Lion and the Unicorn")は、イギリスを中心とした英語圏の童謡であるマザー・グースの1編、およびルイス・キャロル著『鏡の国のアリス』(1871年)に登場するキャラクターである。

唄の起源[編集]

ライオンはイングランド王家の紋章を、ユニコーンスコットランド王家の紋章をそれぞれ表し、1603年エリザベス1世の死後、スコットランド王ジェームズ6世がイングランド王位を継承したことによる両国の統合に至るまでの対立を歌ったものと言われている[1][2]。ただし、「ライオンがユニコーンをやっつけて街のあちこち追いかけ回す」という歌詞からは、むしろ統合後のイングランドによるスコットランドの征服や、スコットランドの反乱とその制圧を表しているとも読み取れる。

歌詞[編集]

(英語原詞・日本語訳)[3]

The Lion and the Unicorn

The Lion and the Unicorn,
Were fighting for the crown,
The Lion beat the Unicorn,
All about the town.

Some gave them white bread,
And some gave them brown,
Some gave them plum cake,
And sent them out of town.

「ライオンとユニコーン」

ライオンとユニコーン
王冠かけて戦った
ライオンがユニコーンをやっつけて
街のあちこち追いかけ回す

白パンあげて
黒パンあげて
プラムケーキもあげてから
どちらも街から追い出した


『鏡の国のアリス』のライオンとユニコーン[編集]

ジョン・テニエル画:『鏡の国のアリス』のライオンとユニコーン
  • 『鏡の国のアリス』では、この童謡の歌詞からとられたキャラクターであるライオンとユニコーンが唄のとおりに戦い、2人はその休憩時間中にプラムケーキを切り分けようとしていたアリスのことを化け物と言ったり、ケーキの切り方に文句を言ったりした挙句、時間切れのためケーキをもらいそこねてしまう。
  • 『鏡の国のアリス』では、唄の最終節「どちらも街から追い出した」(And sent them out of town)の歌詞が、「太鼓たたいて街から追い出した」(And drummed them out of town)に変えられている。
  • マーティン・ガードナーによる『鏡の国のアリス』の注釈によると、ライオンはグラッドストンを、ユニコーンはディズレーリを戯画化したものと考えられていた。このライオンとユニコーンは、それぞれジョン・テニエルが『パンチ』誌上に掲載したグラッドストンとディズレーリの漫画にそっくりである[4]

引用作品[編集]

脚注[編集]

イギリスの紋章
  1. ^ 宮崎照代著『マザーグース英国飛行』(白泉社、1995年)、鷲津名都江著『英国への招待 マザー・グースをたずねて』(筑摩書房、1996年)、およびカーター・ディクスン著『一角獣の殺人』(創元推理文庫、2009年)の巻末解説(山口雅也「カーが書いた混沌のマザーグース・ミステリ」)、参照。
  2. ^ 統合後のイギリスの紋章は、ライオンとユニコーンが向き合ったデザインになっている。
  3. ^ ここでの日本語訳は、宮崎照代著『マザーグース英国飛行』(白泉社、1995年)、鷲津名都江著『英国への招待 マザー・グースをたずねて』(筑摩書房、1996年)、藤野紀男著『図説 マザーグース』(河出書房新社、2007年)等を参考に、記事作成者が行ったものである。細部の解釈については、諸般の訳本を参照されたい。
  4. ^ ルイス・キャロル 『鏡の国のアリス』 マーチン・ガードナー 注、高山宏 訳、東京図書、1980年10月3日、140-141頁。ISBN 4-489-01085-0
  5. ^ 引用されている唄の最終節の歌詞が「太鼓で街から追い出した」とあるので、マザー・グースからの引用ではなく『鏡の国のアリス』からの引用である。

関連項目[編集]