ワサビノキ

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ワサビノキ
DrumstickFlower.jpg
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : アオイ類 malvids
: アブラナ目 Brassicales[1]
: ワサビノキ科 Moringaceae[2]
: ワサビノキ属 Moringa[1]
: ワサビノキ M. oleifera
学名
Moringa oleifera Lam.[3]
シノニム
  • Guilandina moringa L.
  • Hyperanthera moringa (L.) Vahl
  • Moringa pterygosperma Gaertn. nom. illeg.

ワサビノキ(学名:Moringa oleifera Lam.[3])は、ワサビノキ科唯一の属であるワサビノキ属で最も広く栽培されている種である。属名モリンガの他、ドラムスティックの木(細長くて三角型の種鞘の外観から)、西洋わさびの木(根の味が西洋わさびに似る)、ベン油ツリーまたはベンゾイル木(種子から採れるから)等と呼ばれることもある。北西部インドヒマラヤ山脈の南麓や広く熱帯・亜熱帯地域で栽培されている、自生急成長する干ばつに強い木である。その若い種子の(莢)や野菜として使用されている。

語源[編集]

属名のモリンガ(Moringa)はタミル語のムルンガイが起源[4][5]種小名oleiferaは「油を持つ」を意味し、搾油できる特徴による。

特徴[編集]

ワサビノキは、成長が速い常緑落葉樹である。高さ10 - 12メートル[6]の高さに到達するまでに成長し、幹は直径45cmにまで達する。[7]になり樹皮は白っぽい灰色で、厚いコルク層に包まれている。若い芽は、紫や緑がかった白の毛むくじゃらの樹皮を持っている。木は、中折れし垂れ下がった脆弱な枝を持ち、葉は三羽状の葉で構成されている。

花は香り高い雌雄同体で、斑に薄い縞模様のある黄色がかった白色の花びらに包まれている。花は約1 - 1.5センチメートルの長さで、幅は約2センチメートルである。そして、細い毛状の茎の上に広がって付き、後に、縦に10〜25センチほどの花房が垂れる[6]

花は、植えた後、最初の6カ月以内に咲き始める。涼しい地域では、開花は4月と6月の間にあるが、より一定の季節的な温度および一定した降雨量の下では、開花はその2倍以上または一年中発生する可能性もある[6]

果実は、20 - 45センチメートルほどの大きさの茶色の三面カプセル型でぶら下がっており、中に直径約1cmのこげ茶色の球状の種子が入っている。種子は三枚の白っぽい薄い翼を持ち、風や水に飛ばされる[7]

栽培において、多くの場合、毎年1 - 2メートルに伐採し、再成長させる。鞘や葉は手元に残す[8]

栽培[編集]

ワサビノキは、アメリカ合衆国農務省ハーディネスゾーン9と10に対応する、半乾燥、熱帯亜熱帯地域で主に栽培される。乾燥砂質土で最も良く成長し、沿岸地域等の貧しい土壌にも適応する。すべての植物と同様、最適な栽培環境かどうかによって豊作となるかが決まる。ワサビノキは、太陽や高温を好む植物で、そのため凍結や霜には弱く、乾燥地域に特に適しており、コストがかかる灌漑技術を使わずとも、雨水で成長させることができる。

ワサビノキの栽培条件
要素 条件[9]
気候 熱帯や亜熱帯で最も育つ
標高 0 – 2000 メートル
降雨 250-2000ミリメートル.

降雨量が800ミリメートル未満の場合、葉の生産に灌漑が必要

土壌の種類 ローム、砂または砂壌土
土壌pH pH 5 - 9

産地[編集]

インドがワサビノキの最大の生産国で、380平方キロメートルの地域から柔らかい果実が年間110万から130万トン生産されている。州別では、アーンドラ・プラデーシュ州が面積と生産量(156.65平方キロメートル)の両方においてトップで、カルナータカ州(102.8平方キロメートル)とタミル・ナードゥ州(74.08平方キロメートル)がこれに次ぎ、その他の州の合計面積は、46.13平方キロメートルである。南インドのタミル・ナードゥ州は、多様な地理的領域やスリランカからも紹介されている、遺伝子変形型の「ソマチット」の先駆的な州である"[10]。タミル・ナードゥ州では、ワサビノキが民話の中に出てくる。また、家庭庭園でも栽培されている。オリッサ州でも家庭庭園で育てられている。南インドやタイでは生垣としても利用されていて、地元の市場で普通に販売されている。

フィリピンでは一般的に葉をスープに利用しており、栽培されている。台湾でも、「世界野菜センター」で積極的に栽培されており、そこでは、改良された野菜の生産と消費を通じて、発展途上国の貧困や栄養不良を減らすことを使命としている。

ハイチでは防風林や土壌浸食を減らすために栽培されている。

2010年時点で、米国内ではハワイで栽培されているが、まだ初期段階である[11]

日本においては沖縄県沖縄本島宮古島石垣島等)、鹿児島県与論島熊本県大矢野島等で限定的ながら産業としての栽培が行われている。

大陸 ワサビノキが生育している国[12]
アフリカ ベナンブルキナファソカメルーンチャドコモロエリトリアエチオピアガーナケニアマダガスカルマラウィマリモーリシャスモザンビークニジェールナイジェリアセネガルセイシェルシエラレオネソマリアスーダンタンザニアトーゴザンビアジンバブエ
アジア バングラデシュミャンマーカンボジアインドインドネシアラオスマレーシアネパールパキスタンフィリピンスリランカ台湾東ティモールタイベトナムイエメン
中南米 バルバドスベリーズブラジルケイマン諸島コロンビアコスタリカキューバドミニカ共和国ハイチオランダBES諸島エルサルバドル仏領ギアナグアドループグアテマラハイチホンジュラスメキシコニカラグアパナマプエルトリコサンサルバドルスリナムトリニダードベネズエラジャマイカペルー
オセアニア フィジーグアムパラオ

栽培の慣習[編集]

ワサビノキは、毎年または多年生植物として成育する。最初の年にすべての鞘が食べられる。晩年にも、非食用の苦い鞘ができる。よって、ワサビノキは、多くの場合、商業用に毎年栽培されている。不利な場所での多年生の栽培は大きな利点がある。浸食は、多年生の栽培ではるかに少ない[13]。ワサビノキの多年生栽培はアグロフォレストリー(混農林業)でも実践されている。

土壌準備[編集]

熱帯栽培においては、土壌浸食が大きな問題である。このため、土壌に手を入れることは極力避けることが望ましい。耕起は、栽植密度が高い場合にのみ行われ、植栽密度が低い所では土に穴を掘ってそれらを埋める。この方法により土地の浸食を最小限に抑えつつ根の浸透を良好に保つことができる。穴は20 - 40センチメートル幅で、30 - 50センチメートルの深さが必要である[9]

増殖[編集]

ワサビノキは、種子や挿し木から増殖させることができる。ワサビノキの発芽率が高いので、直接の増殖が可能である。12日後の発芽率は約85%である[9]。苗床または容器による生産は非常に時間がかかる。これらの技術において、昆虫や他の害虫からより保護することができる。それらはまた、土壌浸食が問題となる分野でも使用されている。1メートルの長さと少なくとも4cmの直径の挿し木を使用することで増殖させることができる[9]。挿し木の少なくとも三分の一が土の中に埋没させなければならない。フィリピンでは、6月 - 8月の期間を最適とし、1 - 2メートルの長さの挿し木を植えて増殖させている。また、種子を、土の表面より1インチ下に植え、排水のよい土壌で年中発芽させて増殖することができる。

植栽[編集]

葉の集約的生産をするために、間隔は、15×15センチメートルあるいは20×10センチメートルで、また、間隔路地(たとえば、4メートル毎に)があれば、植林管理と収穫を容易にする。別の方法としては、スペースに播種ラインを45センチメートルほど間隔で空けて、それらのラインに5センチメートル間隔で種を捲く。一つは、ラインの間隔を30センチメートルだけ離して、そのライン上にできるだけ離して種をまく(10 - 20センチメートル)。密集させると[9]、草取りや疾病予防をすることが困難となる。

半集約的な生産では、50センチから1メートルの間隔で植えられている。これは、あまり手をかけずに良好な結果を得ることができる。

ワサビノキはまた、天然フェンスとして他の作物と共に、路地で栽培することができる。アグロフォレストリー栽培では、通常ワサビノキの列間の距離は2 - 4メートルである[9]。ハイチでは農場でフェンスや防風林として使用されている。

育成[編集]

ワサビノキの原産地である可能性が最も高いインドでは、ワサビノキの野生型品種の多様性が大きい[13]。これは育成プログラム上、良い基盤を提供する。ワサビノキを栽培品種として導入している国では、多様性は品種タイプの中で通常はるかに小さい。一方、地域によく適合した野生の種類は、ほとんどの地域で見つけることができる。

ワサビノキは様々な方法で栽培され、利用されているため、様々な育成目的が存在する。年または多年生植物の育成の目的は明らかに異なっている。実の収穫安定性は、毎年ワサビノキを栽培しているインドでは商業用栽培のためには重要な育生目的である。不利な場所での多年生栽培は大きな利点がある。浸食は多年生の栽培においてはるかに小さい[13]。ワサビノキの多年生栽培もアグロフォレストリイー(混農林業)で使用されている。パキスタンの品種では異なる場所で葉の栄養成分について試験が実施されている[14]。インドでは鞘と矮性または半矮性品種の数が多いものを選択する一方、タンザニアの育成者達は、より高いオイル含有量のものを選択することになる[15]

害虫と病気[編集]

ワサビノキは、その原産地や導入地域で深刻な病気の影響をほとんど受けない。

インドでは、樹皮を食べる毛虫や緑の葉毛虫などの様々な毛虫を含む様々な害虫が存在する。ヤガは深刻な落葉を引き起こすことが知られている。また、アブラムシカミキリムシミバエも重大な害虫となる。一部の地域では、シロアリも多少損害を引き起こす可能性がある。シロアリが土壌内に非常に多くいる場合は、多大な管理コストがかかる[6]。ワサビノキは、レベイルラ・タウリカ(Leveillula taurica、南インドにおいてパパイアに害を与えるうどんこ病原菌)の媒体であるため、これも栽培管理する必要がある。

収穫[編集]

ワサビノキの鞘(パンチハール, ネパール
モリンガの種
モリンガの葉の粉末

ワサビノキは、葉を食用に、鞘及び種をオイル抽出用に栽培される。収穫量は、季節、変化、受精、灌漑方法によって大きく異なる。ワサビノキの生産には、いくらかの補助的な肥料や灌漑を使用して、暖かい乾燥した条件下が最も相応しい[16]。ワサビノキの収穫は、ナイフ、鎌やフックが付いている錐を使って手作業で行われている[16]

果実[編集]

ワサビノキは挿し木から育ち、6 - 8カ月後には、最初の収穫を行うことができる。多くの場合、果実は最初の年には収穫できず、最初の数年間の生産量も一般的に少ない。2年くらいで300鞘、3年くらいで400 - 500鞘ほどできる。良い木は1000以上の鞘をもたらすことができる[17] 。インドでは1ヘクタール当りで、年間31トンの鞘を生産することができる[16]北インドの条件下では、夏に果実が熟成する。特に南インドでは、花や果物は、7月から9月にかけてと3月から4月にかけて、年2回収穫している[18]

[編集]

新鮮な状態で、平均して年1ヘクタール当り6トンの生産を達成することができる。収穫は、雨季と乾季とでは大きく異なり、1120kg/ヘクタールに対して690kg/ヘクタールである。葉や茎は、播種した後60日で若い木から収穫でき、その年にさらにあと7回収穫できる。収穫毎に、木は地面から60センチメートル以内に切断される[19]。ある生産システムでは、葉は2週間ごとに収穫される。フォイドル・エラ(2001)によると、ワサビノキは、適切な品種、灌漑や受精を利用して集約生産をすることができる。ニカラグアでの試験では、4年に渡り、1ヘクタール当り100万本を年間に9回伐採して、新鮮な状態で平均580トン生産され、その内新鮮な葉を約174トン/ヘクタール収穫した[20]

オイル[編集]

種からのオイルの推定収穫量は、1ヘクタール当たり250リットル[16]。オイルは、食品サプリメント化粧品、髪や肌用の香粧品のベースとして使用することができる。

利用[編集]

ワサビノキ 葉, 生
100 gあたりの栄養価
エネルギー 64 kcal (270 kJ)
8.28 g
食物繊維 2.0 g
1.40 g
9.40 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(47%)
378 μg
チアミン (B1)
(22%)
0.257 mg
リボフラビン (B2)
(55%)
0.660 mg
ナイアシン (B3)
(15%)
2.220 mg
(3%)
0.125 mg
ビタミンB6
(92%)
1.200 mg
葉酸 (B9)
(10%)
40 μg
ビタミンC
(62%)
51.7 mg
ミネラル
ナトリウム
(1%)
9 mg
カリウム
(7%)
337 mg
カルシウム
(19%)
185 mg
マグネシウム
(41%)
147 mg
リン
(16%)
112 mg
鉄分
(31%)
4.00 mg
亜鉛
(6%)
0.6 mg
マンガン
(17%)
0.36 mg
他の成分
水分 78.66 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
ワサビノキ 鞘, 生
100 gあたりの栄養価
エネルギー 37 kcal (150 kJ)
8.53 g
食物繊維 3.2 g
0.20 g
2.10 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(1%)
4 μg
チアミン (B1)
(5%)
0.0530 mg
リボフラビン (B2)
(6%)
0.074 mg
ナイアシン (B3)
(4%)
0.620 mg
(16%)
0.794 mg
ビタミンB6
(9%)
0.120 mg
葉酸 (B9)
(11%)
44 μg
ビタミンC
(170%)
141.0 mg
ミネラル
ナトリウム
(3%)
42 mg
カリウム
(10%)
461 mg
カルシウム
(3%)
30 mg
マグネシウム
(13%)
45 mg
リン
(7%)
50 mg
鉄分
(3%)
0.36 mg
亜鉛
(5%)
0.45 mg
マンガン
(12%)
0.259 mg
他の成分
水分 88.20 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ワサビノキは、ほとんどの部分を食べることができる。食材としての利用法は地域ごとに広く異なる。

  •  未成熟の種鞘(ドラムスティックと呼ばれている)は、アジアやアフリカで利用されている。
  •  葉は各地で利用されるが、特に、カンボジア、フィリピン、南インド、アフリカ
  •  成熟種
  •  成熟種を圧縮して採ったオイル
  •  根

葉がワサビノキの中で最も一般的な利用部位である。花も調理して食べることができ、マッシュルームのような味だと言われている。他に若い種鞘を最も一般的に食べる地域もある[21]樹皮や樹液、根、葉、種、オイル、花を非伝統的な薬として使う国もいくつかある。ジャマイカでは、樹液を青色の色素として使う。

[編集]

新鮮なワサビノキの葉100グラム(約5杯分)の栄養成分(右、USDAのデータ参照)を表に示す。他の研究の栄養価の利用も可能[22][23]

ソニャ (ワサビノキ)の花と葉 コルカタ, 西ベンガル, インド
栄養分 通常の食品 ワサビノキ葉
β-カロテン ニンジン 8.3 mg 17.6 mg
カルシウム 牛乳 300 mg 2185 mg
パントテン酸 バナナ 358 mg 1236 mg
タンパク質 ヨーグルト 8 g 29.4 g
ビタミンC オレンジ 53 mg 52 mg

葉は、ワサビノキの中で最も栄養価の高い部分で、ビタミンBビタミンC、プロビタミンAβ-カロテン)、ビタミンKマンガンタンパク質、その他本質的栄養分の重要な供給源である[24][25]。 特定の栄養素を豊富に有する一般食品と重量100グラムあたりで比較すると、調理されたワサビノキの葉はそれらと同等以上の量を多種含有しているため、多種の食材を摂取するのに匹敵する。

葉のカルシウムの一部がシュウ酸カルシウム[26]の結晶となるが、ホウレンソウよりも25 - 45倍低いレベルで、無視できる量である。

葉はホウレンソウ同様に調理できる。ホウレンソウの代替として使用されていることに加えて、その葉は一般的に乾燥させ、粉末に粉砕され、スープやソースで使用されている。日本では葉の粉末をうどんに練りこんだモリンガクッキーに練りこんだ製品、配合した青汁、錠剤状に加工した食品等も製造されている。ほとんどの食品と同じように、140度以上でワサビノキを加熱すると栄養価の一部が破壊される。

ドラムスティック[編集]

売られている鞘

"ドラムスティック"と呼ばれる未成熟種子の鞘は、一般的に南アジアで消費されている。これらは湯通ししてから、柔らかくなるまでカレーの中で調理される[27]。種の鞘や果実を煮て調理する場合でも、特にビタミンC[28]は高いまま残り、また、食物繊維やカリウム、マグネシウム、マンガンのよい供給源である[28]

[編集]

種子はより成熟した鞘から取り出して、エンドウ豆のように食べたり、ナッツのようにローストしたりする。高水準のビタミンCや、ビタミンBや食物ミネラルの適度な量を含む。

種油[編集]

成熟した種子から、その高濃度のベヘン酸からベン・オイルと呼ばれる食用油を38 - 40%採ることができる。精製油は透明かつ無臭で、酸敗臭を防ぐ。オイル抽出後に残った種子ケーキは肥料として、または水を浄化するための凝集剤として使用することができる[29]。モリンガ種子油はまた、バイオ燃料としての使用も可能である[30]

[編集]

根は、ポリフェノールの重要な内容物から採れる強い香味品質を持つ調味料として使用されたりしている。

栄養失調の軽減[編集]

ワサビノキは、特に幼児授乳中の母親の間で、栄養失調防止の為に利用されている。特に「生命の木インターナショナル」、「キリスト教宣同盟」、「教会ワールドサービス」、「飢餓問題組織」、および「西アフリカのためのボランティア・パートナーシップ」といったNGO団体は、“熱帯地域のための自然栄養”としてワサビノキを提唱している[23]。ある著者は、「ワサビノキの栄養特性については現在非常によく知られており、飢餓が差し迫っている状況でワサビノキの葉の粉末を消費することによって実現される実質的な健康上の恩恵はほとんど疑いの余地はない」と述べている[23][31][32]。 一般的に他の食品が不足する乾季の終わり頃に、ワサビノキの葉はよく茂っており、熱帯の食物源として特に有望である[32]。さらに、ワサビノキは、乾燥、半乾燥環境下でもよく成長するので、それは特に乾季期間中における消費に適している。

2007年に、フィリピンの上院議員ローレン・レガルタはワサビノキの普及のための運動をした。彼女は、増殖のための重点作物としてワサビノキを作ることを政府に要請した[33][34]

国別の料理[編集]

ミャンマーのスープ

ワサビノキには、各地で様々な料理方法がある。缶詰にして保存されたり、輸出されたりもする。

バングラデシュでは、ココナッツケシの実、マスタードと混ぜて様々なカレーが作られている。また、ドラムスティックを余分な処理や調理をせずに、適度な柔らかさになるまで煮ている。カツレツや他の料理に味を追加するために使用されるが、カレーサンバル、コルマ、ダールにも使用されている。若い種子を含むドラムスティックの果肉は、スープに使用される。若い葉は、エビと炒めたり、魚のスープのトッピングとして使われたりしている。

南インドスリランカジャワでは、様々なサンバルを調理するために使用されたり、揚げたり、ココナッツケシの実、マスタードと混ぜ合わせてカレーを作ったりする。マハーラーシュトラ州では、鞘は甘酸っぱいカレーに使用されている。また、グジャラート州ラジャスタン州では、鞘をスパイシーなカレーを調理するのに使用されている。細かく刻んだ柔らかいドラムスティックの葉は、野菜料理やサラダに添えて使用されている。また、コリアンダーの代わりに、あるいは一緒に使用されている。一部の地域では、花を集めて、ベサンと共に調理してパコラを作っている。

モルディブでは、葉は乾燥した鰹節(モルディブ・フィッシュ)やタマネギ、乾燥した唐辛子と共に炒めたり、混ぜ合わせたりする。これはサンバルと同様に、ご飯とカレーと一緒に食べる。一部地域では、ワサビノキの葉やを使ってスープが作られており、特に、ラマダン期間には、朝食に食べられている。また、オムレツの材料としても一般的である。鞘はマイルドなカレーを調理するのに使用されている。

インドとパキスタンパンジャブ地方では、ソニャーナの花と呼んで、まず、茎から分離し、煮て、潰して、調理される。凝固させることは、特定の味や好きな料理を作るためにそのレシピの重要な要素である。

カンボジアでは、ダムラムと呼ぶワサビノキの葉を使用した、コルコ(混合野菜スープ)などの伝統的な料理もある。好まれている野菜なので、カンボジアでは伝統的に彼らの住居の近くでワサビノキを育てていまる。

タイでは緑の鞘や葉、花は、カレーや、炒め物、スープ、オムレツ、サラダなどの様々なタイ料理に使用されている。最も伝統的な料理の一つは、ドラムスティック鞘と魚で作った酸味味のタイカレーである。

フィリピンでは、カムンガイ、マルンガイまたはマルンガイと呼び、一般的に葉を出汁に加えてシンプルなスープとする。葉はまた、典型的な伝統的な鶏肉料理チノラの材料として使われ、鶏肉出汁、青パパイアや他の野菜と共に調理される。またはウータンと呼ばれる野菜料理で使用することができる。葉はまた、オリーブオイルと塩で調理し、フィリピン料理で人気が高いペスト風のパスタソースとする。

モリンガのジュースは、レモンジュースと混ぜて飲んだり、アイスキャンデーを作るのにも利用される。

薬用[編集]

ワサビノキは、研究室内実験において、様々な潜在的な薬効を示しているが、人間に対しては、脂質プロファイルに小さな影響を与える可能性が示唆されているいくつかの弱い証拠がある程度である[35]

発展途上国において、ワサビノキは、栄養改善や食料安全強化、地域開発促進、持続可能なランドケアなどの可能性を秘めている[31]。また、家畜用飼料や微量栄養液体、自然駆虫、可能な補助薬として使用することができる。ワサビノキは、フィリピンのシッダ医学やアーユルヴェーダ伝統薬を含む、民間療法で使用されている[36][37]。アーユルヴェーダの伝統医学では、葉は血圧と血糖値に影響を与えると考えられている[32][38]。アフリカやインドネシア、フィリピンでは、ワサビノキの葉は、授乳を高めると信じられており、授乳中の母親に与えられている[31][39]

水の浄化[編集]

ワサビノキのオイルを採る為に種を圧搾した時の副産物である圧縮実や種果実には、沈殿を促進する作用があり、飲用の水を浄化するために使われている。

ワサビノキ抽出物も、原始的な水のろ過システムに使用されている[35]

その他[編集]

このほか、ポルボロン(乳白色、粉末スナック)、バイオ燃料、ベン油の製造にも利用される。

参照文献[編集]

  1. ^ a b 大場秀章(編著) 『植物分類表』 アボック社、2010年、第2刷。ISBN 978-4-900358-61-4 p.155
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