モリショウビン

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モリショウビン
Todiramphus macleayii - Daintree Village.jpg
モリショウビン Todiramphus macleayii
(オーストラリア、クイーンズランド州
デインツリー英語版
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: ブッポウソウ目 Coraciiformes
: カワセミ科 Alcedinidae
亜科 : ショウビン亜科 Halcyoninae
: ナンヨウショウビン属 Todiramphus
: モリショウビン T. macleayii
学名
Todiramphus macleayii
(Jardine & Selby1830)
シノニム
Halcyon macleayii
和名
モリショウビン
英名
Forest Kingfisher
亜種
  • T. m. elizabeth
  • T. m. macleayii
  • T. m. incinctus

モリショウビン(森翡翠、: Forest Kingfisher学名: Todiramphus macleayii)は、ブッポウソウ目カワセミ科のうちショウビン亜科: Tree Kingfisher)に属する鳥類の1種であり、Macleay's Kingfisher や Blue Kingfisher の名でも知られる[2]。全長約20cm。青色と白色が目立つカワセミ類で、インドネシアニューギニアオーストラリア北・東部沿岸に生息する。他の多くのカワセミ類と同様に、無脊椎動物および小型のカエルトカゲなどを採餌する。

分類[編集]

モリショウビンは、1830年、博物学者のウィリアム・ジャーディンプリドー・ジョン・セルビーによって初めて記載された。ナンヨウショウビン属 Todiramphus に移されるまで、本種は長い間ヤマショウビン属 Halcyon に置かれ、Halcyon macleayi の旧学名で知られていた。

分布[編集]

インドネシア、パプアニューギニアソロモン諸島、およびオーストラリア北・東部に分布し、ニューサウスウェールズ州ポートスティーブンス湾英語版から北方のヨーク岬半島、それから西のトップエンドにかけてオーストラリアの海岸線上あるいはその付近に生息する。冬季に南回帰線以南で見られることはほとんどなく[3]、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州南部の南方地域では夏鳥であるが、そのほかの地域では留鳥として周年生息する[4][5]

クイーンズランド州南部からニューサウスウェールズ州には9-10月に夏鳥として渡来し、4-5月にクイーンズランド州の北方へと渡る[3]

生息場所[編集]

その名前が示唆するように、本種は開けた森林疎林に生息し[6]、オーストラリアでは、亜熱帯ないし熱帯の乾燥林や湿性低地林、マングローブ林、コバノブラシノキ属(メラレウカ、Melaleuca)林の沼地[4]渓流タコノキ属(パンダナス Pandanus)林、ユーカリ (Eucalyptus) 林、および農耕地や牧草地のほか[6]、郊外の公園や庭園などにも見られる。標高200mまでの地域に多く生息するが[7]、ニューギニアにおいては、林縁や開拓地のほか、標高およそ1,600mにかけての樹木の茂る湿った場所に生息する[6]

形態[編集]

モリショウビン雌(ノーザンテリトリーミドルポイント英語版、フォッグ・ダム〈Fogg Dam〉) - 2014年3月

全長約20cm[6][7] (18-23cm[8][9])。青色の頭頂、翼、腰、尾羽とともに[10]、白色の喉、胸、腹および下尾筒を持つ。額に白斑があり、また、眼先から耳羽にかけて黒い帯状の線がある[3]。飛翔時には翼に白斑が見られる[8]。喉からの白色が襟状に延び[9]、雄は後頸まで白いが、雌は青いことで識別される[11][12]。くちばしは黒くて下嘴の基部は淡色[10]。虹彩は暗褐色で、脚およびは暗褐色ないし暗灰色[13]。若鳥は鈍色で、上面には淡黄褐色の波形があり、白い下面も鈍い淡黄褐色で[8]、頭上は黒っぽい。

測定値[3]
基準 / 雌雄
体重
33-42 g 29-40 g
翼長
85-91 mm 82-92 mm
尾長
48-59 mm 50-57 mm
嘴長
36-42 mm 37-44 mm
跗蹠長
13-15 mm 13-14 mm

亜種[編集]

3亜種が認められている[14][15]

生態[編集]

一般につがいでいることが多い。つがいは毎年同じ場所で繁殖し、その縄張りを守るためにしきりに鳴く[3]

鳴き声[編集]

鋭く甲高い scissor-weeya scissoraweeya と聞こえる声や[12]kreek-kreek[6]t-reek という鳴き声が、だいたい早朝、規則的に繰り返される[4]

採食[編集]

餌を捕らえたモリショウビン雄
(クイーンズランド州ブリスベン
- 2014年10月

モリショウビンは、小さな虫、甲虫類、バッタ、トンボ(ルリボシヤンマ属 Aeshna)、クモ、幼虫、蠕虫のような無脊椎動物に加えて、小さなカエルやオタマジャクシ、トカゲも採餌する。木の枝や電線などにとまって餌を探し、急降下して捕らえる[3]。くちばしで獲物を捕らえた後、枝に打ちつけて殺すことが多い[13]

繁殖[編集]

繁殖期は、オーストラリアにおいてはおよそ9月から1月で[8]、ノーザンテリトリーでは9月から11月、クイーンズランド州では8月から12月、ニューサウスウェールズ州では10月から12月に卵を産む。また、ニューギニアにおいては1月に産卵し、1腹の雛が育てられる[3]。巣は、枯木や樹洞のほか[9]、雌雄により[3]、地上約10-12mにある樹上性のシロアリの巣の円い空洞に短い巣穴をあける。大きさ25×22mmの白い光沢のある卵を3-6個産む[5]。雛(ひな)は巣立ってその巣を離れるまでの約1か月間給餌される。

脚注[編集]

  1. ^ Todiramphus macleayii”. The IUCN Red List of Threatened Species. Version 2016.1.. 国際自然保護連合(IUCN). 2016年9月3日閲覧。
  2. ^ Forest Kingfisher”. Oriental Bird Images. Oriental Bird Club. 2016年9月3日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h Fry, Fry & Harris (1999), p. 167
  4. ^ a b c Slater, Peter (1970). A Field Guide to Australian Birds: Vol.1. Non-passerines. Adelaide: Rigby. pp. 405–06. ISBN 0-85179-102-6. 
  5. ^ a b Beruldsen, Gordon (2003). Australian Birds: Their Nests and Eggs. Kenmore Hills, Qld: self. p. 269. ISBN 0-646-42798-9. 
  6. ^ a b c d e f g h Fry, Fry & Harris (1999), p. 166
  7. ^ a b 大西敏一 『世界のカワセミハンドブック』 文一総合出版2015年、40-41頁。ISBN 978-4-8299-8120-7
  8. ^ a b c d e Pizzy, Greham (1997). Field Guide to the birds of Austraria. Australia: Angus & Robertson. pp. 318-319. ISBN 0-207-19691-5. 
  9. ^ a b c 『三省堂 世界鳥名事典』 吉井正・三省堂編修所、三省堂2005年、513-514頁。ISBN 4-385-15378-7
  10. ^ a b Simpson, Ken; Day, Nicolas; Trusler, Peter (1999). Field Guide to the Birds of Australia (6th ed.). Australia: Viking O'Neil. p. 158. ISBN 0-670-87918-5. 
  11. ^ a b c Fry, Fry & Harris (1999), pp. 166-167
  12. ^ a b c Slater, Peter; Slater, Pat; Slater, Raoul (1989) [1986]. The Slater Field Guide to Australian Birds (Revised ed.). Australia: Ken Fin. pp. 186-187. ISBN 0-947116-99-0. 
  13. ^ a b Forest Kingfisher”. Birds in Backyards. BirdLife Australia. 2016年9月3日閲覧。
  14. ^ Forest kingfisher (Todiramphus macleayii) (Jardine & Selby, 1830)”. Avibase - the world bird database. BirdLife International. 2016年9月3日閲覧。
  15. ^ a b c Clements, James F. (2007). The Clements Checklist of the Birds of the World (6th ed.). Ithaca, NY: Cornell University Press. p. 220. ISBN 978-0-8014-4501-9. 
  16. ^ Fry, Fry & Harris (1999), pp. 52-53
  17. ^ Fry, Fry & Harris (1999), pp. 52-53, 166

参考文献[編集]

外部リンク[編集]