メレンゲ (菓子)

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レモン・メレンゲ・マフィン

メレンゲ(英語 meringue, フランス語 meringue, ドイツ語 die Meringe, Meringel )とは、卵(鶏卵)の卵白を泡立てた食材、およびそれを用いた菓子のこと。滑らかな食感をだすため、もしくは加熱時の膨張剤[1]として料理(主に菓子)に使用される。フランス語では「ムラング」という[2]

概要[編集]

メレンゲはスイスマイリンゲン(メイリンゲン Meiringen[3]で発明され、18世紀イタリア人のガスパリーニという料理人によって改良されたとされるが、確たる証拠はない。『メレンゲ』の名前が確認できる最も古い文献は1692年のフランスの料理本である。

メレンゲは泡立てすぎると、ぼそぼその部分とさらさらの部分、すなわちタンパク質と水分が分離してしまう(離水)。 泡だて器ボウルに油分が残っていると泡立たない。 泡立てる際に、アルミニウム等の金属製ボウルを使用すると色と臭いが付くことがあるので(やや青白くなる)、ホーロー引き、ガラスプラスチックのものを使うとよい。ただし、製のボウルを使うとメレンゲが非常に安定し、離水しにくい[4]。また、弱酸性で安定する性質を持つので、少量の酒石酸レモン果汁などを加えると、離水しにくくなる。強酸性では、タンパク質が変性してしまうため、卵白が固まってしまう。

菓子作りにおいては、味だけではなく緩衝材として砂糖を加えることにより、耐熱性、耐酸性を上げ、さらに離水を防止させている。 砂糖を加えるタイミングを変えることにより、メレンゲの質感を変えることが出来る。泡立てる初期に砂糖を加えれば、砂糖が卵白の水分を十分に吸いシロップ状になるため、卵白の粘り気が増し、泡立てにくいが、艶のある、きめの細かい安定したしっかりしたメレンゲを作ることが出来る。表現を変えれば、硬く重たいメレンゲが出来上がる。また、泡立てる中盤から後半に加えれば、泡立てやすいが、きめが粗くもろい軽いメレンゲが出来上がる。これらの違いを利用して、菓子の種類に応じて使い分けることにより、それぞれの菓子の特徴をより、細かく鮮明に表現することが出来る。

また、これを乾燥させ焼いたものの総称もメレンゲであるほか、アーモンドヘーゼルナッツの粉末と小麦粉を加えたものはシュクセ(succés)、あるいはプログレ(progrés)と呼ばれ、菓子の素材として使用される[5]

なお、モロッコのメッラー(ユダヤ教徒地区)でメレンゲはよく見かけられるという。

種類[編集]

ムラング・オルディネール(meringue ordinaire)
卵白に砂糖を加え角が立つまで泡立てたもの[2][6]。レモン汁を加えると白さが増し泡立ちが良くなる[2]。フレンチメレンゲ。ケーキなどの焼き菓子に使われる。かつてはクレーム・シブーストなどに加えられていたが、サルモネラ菌の温床であることが問題視され、生のままで使用することは禁止された[7]
ムラング・スイス(meringue suisse)
湯煎で加熱しながら卵白に砂糖を加えて泡立ててゆき、50℃くらいに達したところで火から外して仕上げたもの[8][6]。スイスメレンゲ。搾り出しで形を作る場合や、ケーキ表面のデコレーションなどに使われる。
ムラング・イタリエンヌ(meringue italienne)
固く泡立てた卵白に殺菌のため120℃くらいまで煮詰めた砂糖水(シロップ)を加えて泡立てたもの[8][6]。イタリアメレンゲ[8]あるいはイタリアンメレンゲ。マシュマロアイスクリームババロアなどの生食用。

メレンゲドール[編集]

メレンゲを絞り出して焼いた小菓子も「メレンゲ」と呼ばれる[6]。メレンゲを絞り袋で様々な形に成形して硬く焼き上げたものはメレンゲドールと呼ばれケーキ類の飾りつけに用いられる。

メレンゲを使用する主な料理[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 多量の空気を含ませており、この空気が熱により膨張することで調理品を膨張させる
  2. ^ a b c 『料理食材大事典』主婦の友社 p.841 1996年
  3. ^ コナン・ドイルが長期保養をした場所でもあり、『シャーロック・ホームズ最後の事件』でジェームズ・モリアーティととも死闘し、ライヘンバッハの滝から落下して二人とも死んだとされる場所である。
  4. ^ 銅ボウルで調製した泡立て卵白の安定性におけるオボアルブミンの役割 日本調理科学会誌 Vol.46 (2013) No.5 p.335-342
  5. ^ 大森由紀子『フランス菓子 図鑑お菓子の名前と由来』166頁 世界文化社
  6. ^ a b c d 『丸善食品総合辞典』丸善 p.1079 1998年
  7. ^ マグロンヌ・トゥーサン=サマ『お菓子の歴史』吉田春美訳、河出書房新社、2005年、pp259-260
  8. ^ a b c 『料理食材大事典』主婦の友社 p.842 1996年