メルヘンハウス

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株式会社メルヘン・ハウス
施設外観(2018年4月)
施設外観(2018年4月)
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
464-0850
名古屋市千種区今池二丁目3番14号
設立 1973年
法人番号 6180001005693 ウィキデータを編集
代表者 代表取締役 三輪哲
外部リンク メルヘンハウス - 子どもの本(絵本・童話)専門店
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メルヘンハウスは、1973年から2018年まで営業していた児童書専門の書店。名古屋市千種区今池に所在した[1]。日本国内における初の児童書専門店として知られている[1][2]。営業時には約3万冊の児童書を店内に並べていた[3]

沿革[編集]

創業[編集]

メルヘンハウスの創業者の三輪哲は、静岡県出身で、南山大学経営学部を卒業後、商社に勤務していた人物である[4]。三輪は、チャールズ・キーピング英語版の絵本『ジョゼフのにわ』の内容に感銘を受け、絵本に関心を持つようになったという[4]。そして、4年間務めた商社を辞め、渡米して児童書について学んだ[4]

三輪は、当時の日本の書店に十分な種類の絵本が置かれていないことに問題があると考えていた[4]。そこで、日本で初めての児童書専門店を開くこととを決めたのである[4]。こうして創業された書店が、メルヘンハウスである。知人たちから資金を借りてメルヘンハウスは1973年3月に開店した[5]。この当時は名古屋市千種区四谷通に店舗があった[1]。しかし、知人たちは児童書のみを扱う書店では収益が上がらないのではないかと懸念しており、実際に開店当初はほとんど客が来なかったという[5]

それでも当初の方針を変えず、収益性の高い漫画や雑誌を置かず、児童書のみを扱った[5]。店舗はわずか40平方メートル程度の狭さで、そこに約3000冊の本を並べた[3]。世間で売れている本ではなく三輪自身が検討して良質な本だと考えたものを仕入れ、会話の中から個別の顧客の嗜好を探るという試みを続けた[5]。また、メルヘンハウスでは、創業当初から絵本の「読み聞かせ」を店内で行う「おはなし玉手箱」というサービスを行っていた[4]。数年後には絵本の定期購読サービス「ブッククラブ」も始めている[4]。その他、絵本の原画展なども開催していた[6]

最盛期[編集]

このような取り組みの結果、メルヘンハウスの客は徐々に増えていった[5]。メルヘンハウスの影響によって、児童書専門店は全国的に広まるようになり、三重県四日市市の児童書専門店「メリーゴーランド」、岐阜県岐阜市の児童書専門店「おおきな木」などが開店している[7]。著名な絵本作家の加古里子も1980年以後、しばしばメルヘンハウスを訪れていたという[8]

1994年には四谷通の従来の店舗ではスペースが足りなくなり、今池2丁目に140平方メートルのより広い店舗を開いた[1]。店内では約3万冊の児童書を取り揃えていた[3]。1990年代後半に最盛期を迎え、前述の「ブッククラブ」の会員は全国1万5千人に及んだ[7]

また、大手スーパー・ユニーの「子ども図書館」の運営にも関わった[9]。この子ども図書館はユニーの店舗内などに設置されており、愛知県小牧市春日井市、豊田市、静岡県浜松市、栃木県などに展開され、最盛期では9館が存在した[9]。子供図書館では、メルヘンハウスが選書を行い、スタッフも派遣していた[9]。例えば、春日井市のサンマルシェ南館にあった子ども図書館では、児童文学を専門とする司書が常勤で務めており、蔵書数が児童書およそ1万4000冊、登録者数が1万4000人超であるなどかなりの規模のものであった[9]

閉店[編集]

しかし、インターネット通販の登場によって、メルヘンハウスの経営は思わしくなくなっていった[7]。メルヘンハウスの店舗で児童書を立ち読みし、後でインターネットで購入するような客も増えていたという[10]。閉業間際には、書籍の売上は最盛期の半分に激減していた[7]。ブッククラブの会員も5000人程度まで減り[7]、前述の子ども図書館も次々と閉鎖に追い込まれていた[9]

こうしたなか、2014年には創業者の三輪の息子・丈太郎が入社して営業企画を行うようになった[11]。また、2017年3月には店舗の外観を改め、動物のイラストを用いたより明るいものとした[12]。このイラストは、絵本作家の高畠純によって描かれたものである[13]。しかし、経営状況の厳しさを改善する策は見つからず、同年中には閉店する方針を固め、翌年の2018年3月31日にメルヘンハウスは閉店した[2]。しかし、三輪は現在も実店舗の再開を目指して活動を続けている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d 「子どもの本が充実 日本初の専門店「メルヘンハウス」」『朝日新聞』1994年2月14日付朝刊愛知面。聞蔵Ⅱビジュアルにて閲覧。
  2. ^ a b メルヘンハウス45年で幕 日本初の児童書専門店 名古屋”. 日本経済新聞 (2018年3月31日). 2018年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月1日閲覧。
  3. ^ a b c 日本初の子供の本専門店、45年の歴史に幕”. 日本経済新聞 (2018年3月16日). 2018年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月1日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 「メルヘンハウス」代表・三輪哲さんスペシャルインタビュー”. ミーテ. 公文教育研究会. 2018年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月18日閲覧。
  5. ^ a b c d e 川原田喜子「メルヘンハウスの45年(上) 夢の始まり」『中日新聞』2018年5月13日付朝刊朝刊言論4頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  6. ^ 「『子どもの本』こだわり35年 名古屋のメルヘンハウス」『中日新聞』2007年4月10日付朝刊朝文面左17頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  7. ^ a b c d e 「日本初子供の本専門店メルヘンハウス閉店へ 千種 ネット通販に押され」『中日新聞』2017年11月17日付朝刊1面1頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  8. ^ 「評伝 加古里子さん死去」『中日新聞』2018年5月8日付朝刊社会35頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  9. ^ a b c d e 「近郊ナウ こども図書館年末閉館 高蔵寺ニュータウンの住民に恩恵 ユニーの提供 惜しまれて」『中日新聞』2003年10月12日付朝刊近郊版20頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  10. ^ 川原田喜子「メルヘンハウスの45年(下) 大きな波」『中日新聞』2018年5月27日付朝刊朝刊言論4頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  11. ^ 川原田喜子「メルヘンハウスの45年(中) 父から息子へ」『中日新聞』2018年5月20日付朝刊朝刊言論6頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  12. ^ 「絵本語らう「大人の遠足」 名古屋・千種45年目「メルヘンハウス」が新企画」『中日新聞』2017年6月9日付朝刊カルチャー15頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。
  13. ^ 「絵やメッセージ感謝込め 閉店まで1週間の25日「メルヘンハウスの日」」『中日新聞』2018年3月17日付朝刊新刊なごや東総合17頁。中日新聞記事データベースにて閲覧。

外部リンク[編集]