メキシコサンショウウオ

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メキシコサンショウウオ
メキシコサンショウウオ
メキシコサンショウウオ
Ambystoma mexicanum
保全状況評価[1][2][3]
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 CR.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Caudata/Urodela
: トラフサンショウウオ科
Ambystomatidae
: トラフサンショウウオ属 Ambystoma
: メキシコサンショウウオ
A. mexicanum
学名
Ambystoma mexicanum
(Shaw & Nodder, 1798)[3]
シノニム

Gyrinus mexicanus
Shaw & Nodder, 1798[3]

和名
メキシコサンショウウオ[4]
英名
Axolotl[3][4]

メキシコサンショウウオ (Ambystoma mexicanum) は、両生綱有尾目トラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属に分類される有尾類。流通名のウーパールーパーとしても知られる。

通常は、一生を水中で生活し幼形成熟の状態で繁殖するが、ヨウ素が多い・食物が少ない・水位が低い・水質が悪いなどで水中で住みにくくなると甲状腺ホルモンの一種であるサイロキシンが活発になり変態を起こし陸上で生活できるようになる(陸化、陸上化)。

本種をはじめとした幼形成熟したトラフサンショウウオ科の個体はアホロートル([ˈæksəlɒtəl]ナワトル語:āxōlōtl [aːˈʃoːloːtɬ] ( 音声ファイル))と呼ばれる。別名ではメキシコサラマンダーとも呼ばれている。

分布[編集]

メキシコソチミルコ湖とその周辺)[4][5][6][7]固有種

種小名mexicanumは「メキシコの」の意。

形態[編集]

全長10 - 25センチメートル[4][6]。メスよりもオスの方が大型になり、メスは最大でも全長21センチメートル[4]。通常は幼生の形態を残したまま性成熟する[4]。胴体は分厚い[4]。小さい孔状の感覚器官は発達しないが、頭部に感覚器官がある個体もいる[4]。左右に3本ずつ外鰓がある[4]。その下には、4つの鰓篩英語版がある。給餌の主な方法は吸引によるものである。

上顎中央部に並ぶ歯の列(鋤口蓋骨歯列)はアルファベットの逆「U」字状[4]。四肢は短く、指趾は扁平で先端が尖る[4]。水かきはあまり発達せず、中手骨中足骨の基部にしかない[4]

体色
背面の体色は灰色で、黒褐色の斑点が入る[4]。4つの色素沈着遺伝子あり、通常は茶色/黄褐色で、金色の斑点とオリーブ色の色調がある。
飼育環境下では変異で色が変わり、リューシスティック(leucistic)とよばれるピンク色に黒目、黄色色素が抑制されるアキサンティズム英語版で砂利の迷彩色のようになるマーブル、アキサンティック(axanthic)、突然変異で色素が抜けたアルビノ、黄色いゴールデン、アルビノの反対でメラニズム英語版で黒くなったメラノイド(ブラック、ブルー)などが見られる。

生態[編集]

自然下では水温が低くヨウ素が少ない環境に生息し、サイロキシンを生成することができないため変態しない[6]

繁殖様式は卵生。11月から翌1月(4 - 5月に繁殖する個体もいる)に、水草などに1回に200 - 1,000個の卵を産む[4][7]

人間との関係[編集]

都市開発や観光開発による生息地の破壊・乾燥化・水質汚染などにより生息数は激減している[3]。以前はメキシコ盆地内のスムパンゴ湖やチャルコ湖・テスココ湖にも生息していたが、埋め立てにより生息地が消滅した[4][6]。1975年のワシントン条約発効時から、ワシントン条約附属書IIに掲載されている[2]

ペットや実験動物として飼育されることもある[6][5]。国際的な商取引が規制されているため、日本ではほぼ日本国内での飼育下繁殖個体のみが流通する[7]。飼育下では白化個体などの様々な色彩変異が品種として作出されている[4][7]。食用も可能である。

飼育下ではサイロキシンの投与や水位を下げて飼育することで変態した例もあるが[6][7]、以下では主に流通する幼形成熟個体に対しての飼育の説明を行う。アクアリウムで飼育される[7]。水棲の有尾類としては水質の悪化や高水温に対する耐性もある[7]。一方で水質が悪化すると最悪の場合には外鰓が壊死し死亡することもあるため、濾過などにより清涼な水質を維持したり夏季には高水温になることを防ぐ対策をすることが望ましい[7]。 隠れ家として流木や岩・市販の隠れ家を設置したり、水草を植えこむ[5]。底砂を敷く場合は誤飲しないように生体が飲み込めない大きいものにするか、飲み込んでも簡単に排泄されるような細かい粒のものにする[5]。 餌として魚類やエビ、ユスリカの幼虫などを与える[5]。専用の配合飼料も市販されており、飼育下では専用の配合飼料だけでなく動物食の魚類用配合飼料(水中に沈む物を使用する)にも餌付く[5][7]。 協調性が悪いため、複数飼育を行う場合は飼育頭数よりも多い数の隠れ家を用意する[7]。餌用も含めて魚類などをケージ内に混泳させると、外鰓を傷つける恐れがあるため注意が必要とされる[5][7]

実験動物[編集]

モデル生物として実験動物として扱われる。特に特徴的な研究対象としては、数か月の間に失われた付属肢全体、場合によっては重要な器官を再生する点である。

画像[編集]

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ I, II and III (valid from 28 August 2020)<https://cites.org/eng> (downroad 12/26/2020)
  2. ^ a b UNEP (2020). Ambystoma mexicanum. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Accessed 12/26/2020)
  3. ^ a b c d e IUCN SSC Amphibian Specialist Group. 2020. Ambystoma mexicanum. The IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T1095A53947343. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2020-3.RLTS.T1095A53947343.en. Downloaded on 26 December 2020.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 松井正文 「メキシコサンショウウオ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、291頁。
  5. ^ a b c d e f g 海老沼剛 「メキシコサラマンダーを飼う」『ビバリウムガイド』No.33、マリン企画、2006年、134 - 135頁。
  6. ^ a b c d e f 池田純 「メキシコサラマンダー」『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』千石正一監修 長坂拓也編著、ピーシーズ、2002年、234頁。
  7. ^ a b c d e f g h i j k 山崎利貞 「メキシコサラマンダー」『爬虫・両生類ビジュアルガイド イモリ・サンショウウオの仲間』、誠文堂新光社、2005年、40 - 41頁。

関連項目[編集]