メガラヤン

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地質時代新生代[* 1][* 2]
累代 基底年代
Mya[* 3]
顕生代 新生代 第四紀 完新世 メガラヤン 0.0042

ノースグリッピアン 0.0082

グリーンランディアン 0.0117

更新世 後期更新世 0.129
チバニアン 0.774
カラブリアン 1.8
ジェラシアン 2.58
新第三紀 鮮新世 ピアセンジアン 3.6
ザンクリアン 5.333
中新世 メッシニアン 7.246
トートニアン 11.63
サーラバリアン 13.82
ランギアン 15.97
バーディガリアン 20.44
アキタニアン 23.03
古第三紀 漸新世 チャッティアン 27.82
ルペリアン 33.9
始新世 プリアボニアン 37.8
バートニアン 41.2
ルテシアン 47.8
ヤプレシアン 56
暁新世 サネティアン 59.2
セランディアン 59.2
ダニアン 66
中生代 251.902

古生代 541
原生代 2500
太古代[* 4] 4000
冥王代 4600
  1. ^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
  2. ^ 基底年代の更新履歴
  3. ^ 百万年前
  4. ^ 「始生代」の新名称、日本地質学会が2018年7月に改訂

メガラヤン期[1][2][3](メガラヤンき、Meghalayan Age)は、第四紀完新世を三区分したうちの後期完新世(こうきかんしんせい、Late Holocene)にあたる最後の英語版であり[3]、言い換えると地質年代最後の時代区分である。年代層序における第四系完新統で最も上部にある英語版メガラヤン階(メガラヤンかい、Meghalayan Stage)および上部完新統(じょうぶかんしんとう、Upper Holocene)に対応する[3]。絶対年代では4250年前から2000年前を指す[4]

「メガラヤン」はインドのメガラヤ州に由来し、かつては「メーガーラヤン」[2]や「メガーラヤン」[3]とも表記されていた。

定義[編集]

国際標準模式層断面及び地点 (GSSP) はインド北東部メガラヤ州チェラプンジにある洞窟 Mawmluh Cave(洞口座標 北緯25度15分44秒 東経91度42分54秒 / 北緯25.26222度 東経91.71500度 / 25.26222; 91.71500)で、KM-A と名付けられた二次生成物石筍)の7.45 mmの深さがその下底(下限)に定義された[5][4][6]。その模式標本はスミソニアン博物館に展示されている[3][5]。Mawmluh Cave はインドで最も総延長が長く高低差が大きい洞窟の一つで、その環境は時代変化の化学的な証拠を保存するのに適している[7]4.2 kイベント英語版と呼ばれる地質年代におけるイベントは低緯度地域でよく記録が保存されているため、この場所は良く適している[5][6]

二次生成物 KM-A の記録はδ18Oの変動がモンスーンの強さの指標となることに基づいている[6]。この二次生成物 KM-A の安定同位体の分析(U-Th年代測定)から、4303年前(BP)から3888年前までの415年間に渡って、同位体の値が2段階に分けて増加していることがわかり、この中間点である4200年前(紀元前2250年、人類紀元7750年)がメガラヤン階の下底と定義された[5]δ18Oの値から、約12000年前から6000年前までモンスーンが低頻度に強まっていたが、4071年前から3888年前までの183年間モンスーンは弱まったことがわかる[5]。δ18Oの値が1.5上昇すると、モンスーンの降水量が20-30%減少する[5]。U-Th年代測定において、メガラヤン階の下底が位置する4200年前に近い3654年前と4112年前の間には、二次生成物 KM-A は直線的に成長を続けており、4200年前に気候変動があったことを支持する[5]。これはインド亜大陸から東南アジアにかけてモンスーンが弱まり、降水量が急激に減少したという気候変動を反映し、これが4.2 kイベントの始まりを示している[5]

メガラヤンは2018年7月、グリーンランディアンノースグリッピアンとともに、国際層序委員会英語版で批准された[4]。 また、国際補助標準層序はカナダローガン山氷床コアである[8]

環境[編集]

4.2 kイベントは北米ヨーロッパ西アジアから中国にかけて、そしてアフリカ、南アメリカのアンデスパタゴニア南極北太平洋中央部の記録からも裏付けられている[5]。ほとんどの中緯度および低緯度の記録から、2-3世紀に亘る乾燥化が突然始まったことが示されているが、より湿潤な状態への遷移を示している記録もある[5]。東アジアでの夏季モンスーンおよびインドの夏季モンスーンの大幅な転向または弱体化は約4200年前から発生し、オーストラリアにおける世紀規模の旱魃もインド・オーストラリアモンスーン変動とともにこの時期に始まる。北部高緯度地域では、氷河が顕著に前進する 'neo-glacial' という状態が約4200年前で顕著になり、一方、南極大陸の海面温度の低下と海氷被覆の増加は約4200年前以降に突然始まる[5]長江黄河流域や中国北部での重要な新石器時代の文明崩壊と同時期に、スペインギリシャパレスチナエジプトメソポタミアインダス川流域、チベット高原などの広い地域に亘って、天水地域(rain-fed region)の放棄、河岸のレフュジアへの生息地の移動、文明崩壊が考古学的に確認されている[5]中央アフリカでは、バンツー族の拡大の第一段階が4.2 kイベントと一致しており、アメリカ南西部やユカタン半島では農耕が大きく変化したりしたのと同じ時期である[5]国際地質科学連合事務局長のスタンレー・フィニーは、「メガラヤンの開始と、地球規模の気候変動に伴う文化の変化が一致しているという事実が、これを独特のものにしている」と語っている[9]

上限[編集]

メガラヤンは1950年以降を人新世に区分できる余地を残してある[10][9]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 国際年代層序表 日本語版”. 国際層序委員会 (2021年5月). 2021年7月13日閲覧。
  2. ^ a b 地質系統・年代の日本語記述ガイドライン_改訂履歴”. 日本地質学会. 2021年7月13日閲覧。
  3. ^ a b c d e 第四紀の定義”. 日本第四紀学会. 2021年7月13日閲覧。
  4. ^ a b c Global Boundary Stratotype Section and Points”. International Commission on Stratigraphy. 2021年7月13日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m Walker et al. 2018, pp. 213–223.
  6. ^ a b c Head & Gibbard 2015, pp. 4–35.
  7. ^ “‘Meghalayan Age’ makes the state a part of geologic history” (英語). Hindustan Times. (2018年7月18日). https://www.hindustantimes.com/science/meghalayan-age-makes-the-state-a-part-of-geologic-history/story-bvbKrd33IXgMD1o6BaSjmM.html 2018年7月26日閲覧。 
  8. ^ Formal subdivision of the Holocene Series/Epoch
  9. ^ a b Michael Irving (2018年7月19日). “Time for the Meghalayan: A new geological age has officially been declared”. 2018年7月19日閲覧。
  10. ^ International Commission on Stratigraphy. “Collapse of civilizations worldwide defines youngest unit of the Geologic Time Scale”. News and Meetings. 2018年7月15日閲覧。

参考文献[編集]

  • Head, MJ; Gibbard, PL (2015). “Formal subdivision of the Quaternary System/Period: Past, present, and future”. Quaternary International 383: 4-35. 
  • Walker, MJC; Berkelhammer, M; Björck, S; Cwynar, LC; Fisher, DA; Long, AJ; Lowe, JJ; Newnham, RM et al. (2012). “Formal subdivision of the Holocene Series/Epoch: a discussion paper by a Working Group of INTIMATE (Integration of ice-core marine and terrestrial records) and the Subcommission on Quaternary Stratigraphy (International Commission on Stratigraphy)”. Journal of Quaternary Science 27: 649-659. 
  • Walker, M; Head, MJ; Berkelhammer, M; Björck, S; Cheng, H; Cwynar, L; Fisher, D (2018). “Formal ratification of the subdivision of the Holocene Series/Epoch (Quaternary System/Period): two new Global Boundary Stratotype Sections and Points (GSSPs) and three new stages/subseries”. Episodes 41 (4): 213-223. 

外部リンク[編集]