メイル・レイプ

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メイル・レイプ (: male rape) とは男性に対する強姦(レイプ)のこと。異性間のものもあれば同性間のものもある。男性の人権の擁護を訴えるマスキュリズムの新興により注目され始めた。メイルとは英語で男性を意味する語である。類語に逆レイプがある。

概説[編集]

加害者が男で被害者が女性である事件をレイプと呼ぶことが一般的であるため、メイル・レイプの被害者も自分が被害を受けたとはなかなか思いたがらないが、実際には男性が性被害を受けた場合にもかなりの精神的ショックを受けることが多い。メイル・レイプという用語は男性の性被害について表現するために生み出された用語である[1]

アメリカでは、FBIUniform Crime Reportは男性への強姦のデータを公表していないが、大学生を対象にした調査では男性への強姦は全体の10%にまで上っていると考えられている[2]。IseryとGehrenbeck-Shimが1997年に発表した男性被害者3635人を対象にした調査によると、そのうち591人に自殺企図が見られた[1]

日本の調査では、2004年3月に女性のためのアジア平和国民基金が発表した「高校生の性暴力被害実態調査」があるが、883人中13人で1.5%の男子が「無理矢理セックスをさせられたことがある」と答えている[3][4]

法律[編集]

アメリカ[編集]

アメリカでは、大部分の州で性犯罪の被害者の資格を両性に認めるものの、男による男性に対するレイプを「ソドミー(すなわち男色行為)」と言い換えることが多く、レイプとして認知されているとは言いがたい。さらに、2000年代初めごろのFBIの定義は女性が被害者である場合のみに限定していた。一方で、米司法統計局の定義では、未遂もレイプに含み、さらに膣性交・肛門性交・口腔性交及び器具を使った挿入と範囲が拡大されている。

イギリス[編集]

イギリスでは、もともと強姦の被害者は女性のみとされていたが、1994年11月の性犯罪法の改正でアナル・レイプが規定され、レイプの被害者として両性ともに法律上認められることになった。ノルウェーでは2000年の法改正で、相手の望まないあらゆる性的行為は強姦として扱われるようになっている。カナダでは貞操観念ではなく性的自由を保護法益とするという観念から、強姦罪という概念を解体し、性的暴行罪という刑罰に置き換えている[5]

日本[編集]

日本の法律では、強姦罪の被害者は女性に限定されていた。法改正により、男性に対する強姦も、刑法177条(強制性交等罪)の構成要件を満たすようになった。18歳未満の場合では、監護者性交等罪児童福祉法淫行条例などで処罰される事件もある。12歳以下では合意の有無も問われない。また、相手に性病などの伝染病を伝染させる目的で性交や淫らな行為などによって感染させた場合では、傷害罪#暴行によらない傷害が適用される判例もある。逆レイプ#概説も参照。

南アフリカ[編集]

南アフリカ共和国では、女性のみをレイプの被害者として認めることが法で定められている。これに対し、男性に対する強姦の頻発を受けて男女平等の考え方に反すると違憲審査が行われたが、2007年に裁判長が陪席らの意見を押し切って合憲とした[6]南アフリカ共和国#HIV/AIDSの蔓延及び逆レイプ#実際の事件の例も参照。

男の加害者による男性の強姦[編集]

メイル・レイプの被害者も、女性の被害者と全く同じく、しばしば著しい損害や、無力感をこうむることになる。男性は前立腺の圧迫により不本意なオーガズムがあるかも知れないが、身体が自分を裏切り強姦に応じる事はより悲愴感を増す。近年のケースではカトリック教会の性的虐待事件が有名である。

なお、この場合被害者は自分が同性愛者として見られる事を恐怖したり、自分が同性愛者だから被害を受けたと思ったり、これからは同性愛者として生きなくてはならないと思ったり、同性愛者の場合は自分が同性愛者だから被害に遭ってしまったのではと考えたり、一方でセクシュアリティが揺れ自分の性的方向性を確かめたくなったりする事もある[7]

また、男から性被害を受けた少年の多くは自分には男性を惹きつける力があるとか、同性愛者であるとか、女っぽいという誤った考えを持つが、性科学者の多くは幼い頃の性体験と性的指向に関係があるという考えを支持していない[8]

女の加害者による男性の強姦[編集]

女であっても圧力や詐術を用いて少年に性行為を強要することは可能である。特に法定強姦に関する範囲では、世界中では相当数が報告される。近年のケースでは埼玉児童性的虐待事件和歌山少年暴行事件などがある。アメリカ軍反テロ戦争において行ったアブグレイブ刑務所における捕虜虐待でもこの種のレイプがあったことが報道されている[9]

脚注[編集]

  1. ^ a b 男性が受ける性的被害をめぐる諸問題
  2. ^ Acquaintance Rape of College Students
  3. ^ 高校生の性暴力被害実態調査(PDF)
  4. ^ 女子高生の20人に1人がレイプ被害
  5. ^ 西村元政務次官の強姦発言と性の自己決定権
  6. ^ Court finds men can't be raped
  7. ^ 男性の性被害について
  8. ^ 男性への性的虐待についての「事実と偏見(神話)」
  9. ^ アブグレイブ収容所”. しんぶん赤旗. 日本共産党 (2004年6月22日). 2011年9月24日閲覧。

関連書籍[編集]

  • 『トラウマとジェンダー 臨床からの声』(宮地尚子、2004)ISBN 4-7724-0815-0

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

研究サイト[編集]

事例[編集]