ムベ

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ムベ(郁子)
Mube02.jpg
ムベの実
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キンポウゲ目 Ranunculales
: アケビ科 Lardizabalaceae
: ムベ属 Stauntonia
: ムベ S. hexaphylla
学名
Stauntonia hexaphylla (Thunb.) Decne.[1]
和名
ムベ(郁子)

ムベ(郁子[2]、野木瓜[2]学名Stauntonia hexaphylla)は、アケビ科ムベ属の常緑つる性木本植物。アケビに似ていて常緑なので、別名トキワアケビ(常磐木通)ともいう[3][2]。方言名はグベ(長崎県諫早地方)、フユビ(島根県隠岐郡)、ウンベ(鹿児島県) イノチナガ、コッコなど。

分布・生育地[編集]

日本関東地方南部以西の本州四国九州沖縄[3] その他メディアで取り上げられる地域は京都府福知山市夜久野地区、日本国外では朝鮮半島南部[3]台湾中国に分布する。暖地の山地や山野、海岸近くに自生する[3][2]。また自然分布以外では、日よけ棚などに庭に植えられることもある[3]

形態・生態[編集]

常緑つる性の木本で、樹皮は淡褐色から茶褐色で皮目があり、成木では縦に浅く裂けて剥がれる[2]。若い枝は緑色をしており、皮目がよく目立つ[2]は柄のある掌状複葉で、小葉はふつう5枚つくが[2]、若い枝では3枚、成熟した枝では5 - 7枚つく[3]。小葉の葉身は厚い革質で、深緑で艶があり、裏側はやや色が薄い。裏面には、特徴的な網状の葉脈を見ることが出来る。

花期は4 - 5月[3]雌雄同株で、花には雌雄がある[3]。花は芳香を発し、花冠は薄い黄色で細長く、雄花・雌花とも萼片が6枚あり[3]、剥いたバナナの皮のようでアケビの花とは趣が異なる。

10月に5 - 7センチメートル (cm) の果実が赤紫に熟す。この果実は同じ科のアケビに似ているが、果皮はアケビに比べると薄く柔らかく、熟しても心皮の縫合線に沿って裂けることはない[3]。果皮の内側には、乳白色の非常に固い層がある。その内側に、胎座に由来する半透明の果肉をまとった小さな黒い種子が多数あり、その間には甘い果汁が満たされている。果肉は甘く食用になるが[3]、種がしっかり着いており、種子をより分けて食べるのは難しい。自然状態ではニホンザルが好んで食べ、種子散布に寄与しているようである。

冬芽は長さ6 - 8ミリメートル (mm) の円錐形で、緑色から赤茶色の10 - 16枚からなる芽鱗に包まれる[2]。冬芽の下にある葉痕は半円形で、葉柄がちぎれたようにも見え、維管束痕ははっきりしない[2]

利用[編集]

主に盆栽や日陰棚にしたてる。新芽と果実は食用となる。日本では伝統的に果樹として重んじられ、宮中に献上する習慣もある。 アケビ等に比較して果実が小さく、果肉も甘いが食べにくいので商業的価値はほとんどないが、現在でも生産農家はあり、皇室のほか、天智天皇を祭る近江神宮靖国神社に献上している[4]

茎や根は野木瓜(やもっか)という生薬で利尿剤となる。

脚注[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Stauntonia hexaphylla (Thunb.) Decne.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年9月19日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 228.
  3. ^ a b c d e f g h i j k 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 112.
  4. ^ 和野康宏 (2015年11月16日). “不老不死の実「ムベ」 古代から皇室に献上された伝説の果実求め全国から人が絶えず…”. 産経WEST. 産経新聞社. 2021年9月19日閲覧。

参考文献[編集]

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、228頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 平野隆久監修 永岡書店編 『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、112頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]