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ムスタファ・アクンジュ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ムスタファ・アクンジュ
Mustafa Akıncı


任期 2015年4月30日2020年10月23日
首相 エズカン・ヨルガンジュオール英語版
オメル・カルヨンジュ英語版
フセイン・オズグルグン
トゥファン・エルヒュルマン英語版

北キプロス・トルコ共和国の旗 北キプロス
副首相
任期 1998年12月30日2001年6月8日
元首 ラウフ・デンクタシュ

北キプロス・トルコ共和国の旗 北キプロス
レフコシャ市長
任期 1976年1990年

出生 (1947-12-28) 1947年12月28日(76歳)
イギリスキプロスリマソール
政党 共同民主党
出身校 中東工科大学
配偶者 メラル・アクンジュ

ムスタファ・アクンジュMustafa Akıncı, 1947年12月28日 - )は北キプロス・トルコ共和国の政治家。28歳の時にレフコシャニコシア)のトルコ人側の市長に選出されて以来、共和国議会(北キプロスの国会)議員、副首相兼観光大臣、大統領(第4代:2015-2020)等を歴任[1]

既婚。3人の娘と2人の孫がいる[2]

経歴

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リマソールイギリス領キプロス、現在のキプロス共和国)生まれ[3]中東工科大学を卒業後、レフコシャに移り住む[2]

1975年、キプロス・トルコ共和国建国国会議員に選出[2]1976年にレフコシャの市長に選出され、1990年まで務める[2][3]。市長時代には、ギリシャ側のニコシアの市長と積極的な協力関係を築き、ニコシア下水道プロジェクトやニコシアマスタープランを共同で推進[2][3]。ニコシアマスタープランは1989年World Habitat Awards2007年アーガー・ハーン建築賞を受賞している[2]

1993年から2009年まで、北キプロスの共和国議会議員を務める[2][3]1999年から2001年まで副首相兼観光大臣[1][3]

2015年北キプロス大統領選

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2015年北キプロス大統領選挙英語版に無所属で出馬[4]。アクンジュは現職(当時)のデルヴィシュ・エロールが南北キプロスの再統合に消極的だったのに対し、再統合に積極的で[5]ファマグスタのヴェロシャ地区について「ヴェロシャを活気ある町にしよう。お互いのコミュニティが一緒にビジネスをする事で、若者が仕事を見つける事が出来る」と述べている[4](ファマグスタは南北分断までキプロス島有数のリゾート地であったが、1974年にトルコ軍が占領して以来、北キプロスの支配下にあり、元いたギリシャ人が南に逃れ、ホテルの大半が廃墟と化していた[6])。

2015年4月19日の第1回投票でアクンジュは26.9%の得票を獲得(エロールは28.2%)[7]4月26日の決選投票では60.5%の得票を得て、エロールを破り、当選[2][8]

大統領として

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大統領就任後の2015年5月15日、南北キプロスの和平交渉を再開[6]。23日には2回目の交渉を行い、南側のニコス・アナスタシアディス大統領と共に、分断された南北ニコシアの市街地を散策した[6]

一方、トルコに対しては大統領選の時から対等な関係を求めており、「母と娘ではなく、兄弟の関係を望む」と発言。それに対し、トルコの大統領のレジェップ・タイイップ・エルドアンキプロス紛争トルコ軍が介入した事などを念頭に、「トルコは殉死者を出し、これからも犠牲を払い続ける」「トルコにとって北キプロスは子供だ。私たちは今後もそのようにみなす」と宣言し、不快感を示している[9]

2020年10月11日執行の大統領選挙英語版では得票率32.4%を獲得したエルシン・タタール首相に続いて29.8%で2位となり決選投票に進んだ[10]。10月18日の決選投票で落選し同月23日に退任[11]

著作

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Belediye Başkanlığı'nda 14 yıl(市長としての14年間)、2010年発行、479ページ。

脚注

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  1. ^ a b “Presidential polls in north Cyprus”. Hurriyet Daily News(英語). (2014年10月1日). http://www.hurriyetdailynews.com/presidential-polls-in-north-cyprus.aspx?pageID=449&nID=72372&NewsCatID=425 2015年5月27日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h Mustafa Akıncı Timeline”. Mustafa Akıncı公式サイト(英語). 2015年5月27日閲覧。
  3. ^ a b c d e “Akinci: practical steps towards a solution”. Cyprus Mail(英語). (2015年4月20日). http://cyprus-mail.com/2015/04/20/akinci-practical-steps-towards-a-solution/ 2015年5月27日閲覧。 
  4. ^ a b “Akıncı: "Let Varosha become a lively town"”. KP Daily News(英語). (2015年2月8日). http://www.kpdailynews.com/index.php/cat/35/news/3094/PageName/CYPRUS_LOCAL_NEWS 2015年5月27日閲覧。 
  5. ^ 「北キプロス大統領選 左派候補が現職破る」.『読売新聞』.2015年4月27日付夕刊、3面。
  6. ^ a b c 「キプロス 再統合の機運 北の新指導者 前向き 和平交渉再開」.『読売新聞』.2015年5月25日付朝刊、4面。
  7. ^ “Turkish Cypriot leader ahead after first round of vote”. Hurriyet Daily News(英語). (2015年4月20日). http://www.hurriyetdailynews.com/turkish-cypriot-leader-ahead-after-first-round-of-vote.aspx?pageID=238&nID=81291&NewsCatID=351 2015年5月27日閲覧。 
  8. ^ “北キプロス大統領選、再統合積極派が勝利”. 産経新聞. (2015年4月27日). https://www.sankei.com/article/20150427-4LGNEYAAKNLIBFG5QYWEQHXRYI/ 2015年5月27日閲覧。 
  9. ^ 関係めぐり不調和音 北キプロス次期大統領 「対等に」 × トルコ大統領 「親子だ」.『東京新聞』.2015年4月29日付朝刊、9面
  10. ^ “Close Turkish Cypriot election result leaves peace deal in the balance”. ユーロニュース. (2020年10月11日). https://www.euronews.com/2020/10/11/close-turkish-cypriot-election-result-leaves-peace-deal-in-the-balance 2020年10月12日閲覧。 
  11. ^ “北キプロス大統領選、親トルコのタタール氏が現職破る”. AFPBB News. フランス通信社. (2020年10月19日). https://www.afpbb.com/articles/-/3310584 2020年10月21日閲覧。 

外部リンク

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公職
先代
デルヴィシュ・エロール
北キプロス・トルコ共和国の旗 北キプロス大統領
第4代:2015–2020
次代
エルシン・タタール