ミュラー手技

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ミュラー手技(独:Müller's maneuver )は、ある種の耳鳴り[1]やその他の医学的問題を診断するために医療で使用される手技である。

手順[編集]

強制的に息を吐いた後、口と鼻を閉じて吸気を試み、胸と肺の陰圧を大気圧以下にする、バルサルバ法の逆の方法である。

この方法は、気管や上気道などの気道の虚脱部分を探すためのものである。この方法では、患者は口を閉じて鼻孔を塞いだ状態で息を吸おうとするため、気道の虚脱が起こる。検査者は、柔軟な光ファイバースコープを下咽頭に挿入して視野を確保することで、虚脱を目撃し、気道の弱くなった部分を特定することができる。ミュラーの手技は、睡眠時無呼吸症候群の原因究明に用いられる。検査結果が陽性であるということは、上気道の閉塞部位が軟口蓋のレベル以下である可能性が高いということであり、その患者はおそらく口蓋垂形成術だけでは利益を得られないだろう。この方法は、睡眠時無呼吸症候群のMRIを行う際に、患者への鎮静剤の投与を避けることができ、非常に有効である。

ミュラー手技による閉塞部位は、通常の睡眠時の閉塞部位を確実に表しているわけではないという証拠がいくつかある。ミュラー手技を行っている間の体の位置などの他の要因がこれに影響を与える可能性がある。

ミュラーの手技は、急性期のプライマリーケアにおいて、上室性頻拍を停止させるためにも使用することができる[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ “Pulsatile tinnitus: imaging and differential diagnosis”. Dtsch Arztebl Int 110: 451–8. doi:10.3238/arztebl.2013.0451. PMC 3719451. PMID 23885280. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3719451/. 

参考文献 [編集]

  • Textbook of Medical Physiology p784 - Arthur C. Guyton
  • Sleep apnea and snoring: Surgical and non-surgical therapy. M Friedman, 2009