ミヤコジマハナワラビ

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ミヤコジマハナワラビ
ミヤコジマハナワラビ
ミヤコジマハナワラビ
分類PPG I
: 植物界 Plantae
: 維管束植物門 Tracheophyta
亜門 : 大葉植物亜門 Euphyllophytina
: 大葉シダ綱 Polypodiopsida
(Moniliformopses)
亜綱 : ハナヤスリ亜綱 Ophioglossidae
: ハナヤスリ目 Ophioglossales
: ハナヤスリ科 Ophioglossaceae
亜科 : Helminthostachyoideae C.Presl
: ミヤコジマハナワラビ属 Helminthostachys Kaulf.
: ミヤコジマハナワラビ H. zeylanica
学名
Helminthostachys zeylanica(L.) Hook.

ミヤコジマハナワラビ(宮古島花蕨、Helminthostachys zeylanica)は、ハナヤスリ科に属する真嚢シダ類の一種で、それ一種でミヤコジマハナワラビ属 Helminthostachys を構成する[1][2][3]

特徴[編集]

立ち上がった茎の先端に水平に広げたの間から、胞子葉が立ち上がる姿をしている。

根茎は地下にあり、多数の太い真っすぐな根を出す。そこから真っすぐに立ち上がる茎は厳密には担葉体(たんようたい)と呼ばれるもので、高さは20-40 cm、濃緑色でやや柔らかい。その先端には栄養葉を掌状につけるが、実際にはこれは基部で3裂した小葉が、さらにそれぞれの基部でいくつかに分かれたものである。それぞれの小葉は長楕円形で長さ6-20 cm、柔らかく、表面にはつやがある。葉の縁には不規則な鋸歯が出る。小葉はおよそ水平から斜め上に広がる。

よく育ったものでは、掌状に広がる栄養葉の間から胞子葉が出る。胞子葉は大きいものでは20 cmほどになり、数cmの柄の先には穂状に胞子嚢をつけた軸が伸びる。この軸は時に分枝を出すこともある。

分布[編集]

日本では沖永良部島以南の琉球列島に分布する。国外では南アジアからオセアニアにかけての熱帯亜熱帯域に広く分布する。

森林の中の地表に生育し、まばらな群落を作る。沖縄では低地の森林に見られるが、生育地の数は少なく、絶滅が危惧されている。

利用[編集]

中国南部では若葉を食用とするとか、薬用に利用するというが、日本では数そのものが少ないので、全く利用されていない。

分類上の位置[編集]

PPG I (2016) では、ハナヤスリ科の中でも独自の亜科、Helminthostachyoideae に置かれる[3]。この亜科の範囲は Shinohara et al. (2013) に基づく[3]。また、本種ははじめカール・フォン・リンネによってゼンマイ属Osmunda zeylanica L. として記載された[3]

脚注[編集]

  1. ^ 岩槻 1992, p. 62.
  2. ^ 海老原 2016, p. 287.
  3. ^ a b c d PPG I 2016, p. 571.

参考文献[編集]

  • 岩槻邦男『日本の野生植物 シダ』平凡社、1992年2月4日、311頁。ISBN 9784582535068 
  • 海老原淳、日本シダの会 企画・協力『日本産シダ植物標準図鑑1』学研プラス、2016年7月15日、450頁。ISBN 978-4-05-405356-4 
  • 初島住彦『琉球植物誌(追加・訂正版)』(1975)沖縄生物教育研究会