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ミノルタ16

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ミノルタ16: Minolta-16)は、コニカミノルタの前身企業の一つである千代田光学精工、後のミノルタカメラが製造販売した、16mmフィルムを用いた極小型フィルム・カメラ製品群及びその専用フィルム・カートリッジの総称である。

概説

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千代田光学精工は、甲南カメラ研究所[注 1]から同所が開発したミカオートマット[注 2]の量産を依頼され、ミカオートマットに改良を施しコーナン16オートマットとして1950年に発売した[注 3][6]。1957年には、コーナン16オートマットを全面改良したミノルタ16を発売した。その際、フィルム装填をマガジン式から互換性のないカートリッジ式に改めた。以後、このフィルム・カートリッジを活用した製品群が発売され、独自のカメラ・システムとして発展した。しかし、110フィルムの登場などで次第に衰退し、1972年発売のミノルタ16QTを最後に開発を終了した[7]。製品は1976年まで、フィルム・カートリッジは1990年頃まで販売された[8][9]。累計販売台数は200万台に達したという[8]

  • コーナン16 オートマット – 日本では、1950年3月に発売され、価格は5,900JPYからだった[10][11]。左側面を引き出すとシャッターが現れ、同時にフィルムを1コマ分巻き上げ、シャッターの押下が可能となる[12]。画面サイズは10✕14mm[12]。レンズは25mm・F3.5[13]。単焦点。シャッターはT、B、1/25秒、1/50秒、1/100秒及び1/200秒の6速[14]。外寸は72✕23✕46mmで、重量は280g[10][15]
  • ミノルタ16 – コーナン16 オートマットの全面改良機。日本では、1957年4月に発売され、価格は6,500JPYだった[16][17]。フィルム装填を、マガジン式からカートリッジ式に変更した[7]。レンズは25mm・F3.5[18]。単焦点[18]。シャッター速度は1/25秒、1/50秒及び1/200秒の3速[15]。外寸は79✕24✕42mmで、重量は軽量化され150gとなった[18]
  • ミノルタ16 P – 日本では、1960年9月に発売され、価格は3,900JPYだった[19][20]。レンズは25mm・F3.5[21]。単焦点[15]。シャッタースピードを1/100秒単速とし、天気マークによる絞り目安表示で適正露出を得られる普及機[22]シンクロ接点を備える[23]。外寸は103✕27✕42mmで、重量は120g[15]
  • ミノルタ16 II – ミノルタ16の改良機[24]。日本では、1960年11月に発売され、価格は6,900JPYだった[15][19]。レンズは22mm・F2.8、シャッター速度はB、1/30秒、1/60秒、1/125秒、1/250秒及び1/500秒の6速となり、シンクロ接点が設けられた[25][26]。外寸及び重量に変化はない[27]
  • ミノルタ16 EE – 日本では、1962年6月に発売され、価格は9,000JPYだった[19][28]。レンズは25mm・F2.8[29]。シャッター速度はフィルム感度によって、ASA25の際は1/30秒、ASA50の際は1/60秒、ASA100の際は1/125秒、ASA200の際は1/250秒、ASA400の際は1/500秒となる[28]ゾーンフォーカスによる焦点調整及びセレン光電池式露出計によるシャッター速度優先の自動露光調節ができる[7]。外寸は110✕30✕50mmで、重量は230g[28]
  • ソノコン – 日本では、1962年11月に発売された[19]トランジスタ・ラジオ付きのカメラで、カメラの性能、機能及び操作はミノルタ16 llと同一であった[7]
  • ミノルタ16 EE-II – ミノルタ16 EEの改良機[30]。日本では、1963年12月に発売され、日本では11,300JPYだった[19][28]。米国ではMinolta 16 CdSの呼称で販売された[31]。CdS露出計に変更し、そのためボタン型水銀電池が必要となった[28][32]。シャッター速度は1/50秒及び1/100秒並びにフラッシュ発光時の1/30秒の3速になった[28]。外寸及び重量に変化はない[28]
  • ミノルタ16 MG – 日本では、1966年7月に発売され、日本での価格は13,500JPYだった[19][28]。ミノルタ16 EE-IIの後継機[33]。自動露光調節を止め、セレン光電池式露出計により表示される露出計を参考に絞りを手動で調節する[33]。レンズは20mm・F2.8[33]。単焦点(3.0m)だが、クローズアップ・レンズ(1.2m)を内蔵している[34]。外寸は102.5✕24✕39.5mmで、重量は160g[28]
  • ミノルタ16 PS – ミノルタ16 Pの改良機。日本では、1967年2月に発売され、価格は3,900JPYだった[19][35]。フラッシュ発光時のシャッター速度に1/30秒が追加された[35]。外寸及び重量に変化はない[28]
  • ミノルタ16 MG-S – ミノルタ16 MGの大幅改良機。日本では、1970年4月に発売され、価格は23,500JPYだった[20][36]。レンズは23mm・F2.8に、画面サイズは12✕17mmに変更された[7][37]。CdS露出計に変更し、シャッター速度優先の自動露光調節ができた[22]。そのためボタン型水銀電池[注 4]が必要となった[39]。外寸は107.5✕26.5✕46mmで、重量は210g[40]
  • ミノルタ16 QT – 日本では、1972年3月に発売され、日本での価格は14,000JPYだった[41]。レンズは23mm・F3.5[42]。シャッター速度は1/30秒及び1/250秒の2速[43]。ゾーンフォーカスによる焦点調整及びCdS露出計によるシャッター速度優先の自動露光調節ができた[41][43]。そのためボタン型アルカリ電池[注 5]が必要となった[41]。内蔵レンズ・キャップでレンズ前面を閉じると電源回路が切れる機能や、ファインダー内部に「O」「K」の2点ランプが点灯すれば適正露出を示す撮影情報表示機構を持つ[7][41]。外寸は109✕28✕45mmで、重量は150g[41]

互換機

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ミノルタ16のフィルム・カートリッジを利用するカメラが他社からも発売された。

  • コーワラメラ - 1959年に興服産業が発売したラジオ放送受信機付きカメラ[45]
  • Kamra KTC-62 - 1959年にBell International[注 6]が、興服産業からラメラのOEMを受けて発売した[46]
  • ヤシカ16EE - 1964年にヤシカが発売した[47]
  • Revue 16 KB - Foto-Quelle[注 7]がミノルタカメラからミノルタ16 MGのOEMを受けて発売した[49]
  • オリンパスSC16-2 - オリンパス光学工業が発売した内視鏡用カメラ[50]
  • オリンパスSC16-3 - オリンパス光学工業が発売した内視鏡用カメラ[51]
  • オリンパスSC16-4 - オリンパス光学工業が発売した内視鏡用カメラ[29]

模造品

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  • Киев-Вега – ソ連のАрсеналが製造したミノルタ16の模造品で、製造開始は1960年と考えられ、同年出版の日本の週刊誌で報じられている[注 8][8][53]

外部リンク

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  • Minolta 16mm Variations” (英語). www.submin.com (2005年5月26日). 2024年2月24日閲覧。コーナン16オートマット及びミノルタ16各機種を解説している。
  • Minolta 16mm manuals and literature” (英語). www.submin.com (2005年5月26日). 2024年2月24日閲覧。コーナン16オートマット及びミノルタ16各機種の各種マニュアルが閲覧できる。

脚註

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註釈

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  1. ^ 甲南カメラ研究所は、大日本帝国陸軍の依頼で極小型カメラを研究していた西村雅貫がハナヤ勘兵衛の協力を得て1947年に創業した工房で、コーナン・メディカルの前身[1][2]
  2. ^ ミカオートマットについては、miyou55maneのウェブログに詳しい記事がある[3]
  3. ^ ミカオートマットの量産化改良には、宮部甫が携わった[4]。コーナン16オートマットについては、製造元を千代田光学精工、発売元を甲南カメラ研究所とする資料がある[5]
  4. ^ 使用するボタン型水銀電池について、使用説明書ではP. R. Mallory製のPX-675若くはEveready製のEPX-675を指定している[38]
  5. ^ 使用するボタン型アルカリ電池について、使用説明書ではP. R. Mallory製のPX-30を指定している[44]
  6. ^ Bell Internationalは米国の企業であるが、Bell Telephone CompanyAT&Tの前身)やBell & Howellといった名のある企業との関係はない。
  7. ^ Foto-Quelleは西ドイツの企業で、Camera-wiki.orgに詳しい記事がある[48]
  8. ^ Киев-Вега(日: キエフ・ベガ)については、www.submin.comに詳しい記事がある[52]

出典

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  1. ^ 李京彦「日本の地域社会における写真館文化についての考察:大阪・兵庫地域の事例を中心として」『2016年度学位(博士)論文一覧』、大阪芸術大学、2017年、2024年2月23日閲覧 
  2. ^ 沿革”. 会社案内. 株式会社コーナン・メディカル. 2024年2月23日閲覧。
  3. ^ miyou55mane (2020年10月10日). “Mica Automatの調査:見よう見まねのブログ”. Ameba (アメーバ). サイバーエージェント. 2024年2月21日閲覧。
  4. ^ 宮﨑真二「宮部甫」『写真人とその本』、一般財団法人日本カメラ財団、東京、40頁、2024年2月24日閲覧 
  5. ^ miyou55mane (2024年2月6日). “Konan-16シリーズの調査:見よう見まねのブログ”. Ameba (アメーバ). サイバーエージェント. 2024年2月21日閲覧。
  6. ^ ミノルタ16:Gallery on the WEB vol.61」『アートあざみ野』第66号、公益財団法人横浜市芸術文化振興財団、横浜、4頁、全国書誌番号:010320672024年2月23日閲覧 
  7. ^ a b c d e f 新谷壽一. “コニカミノルタの歴史的カメラ”. 吾輩は靴下をはいた猫である. 2024年2月23日閲覧。
  8. ^ a b c 新谷壽一. “ミノルタのあゆみ”. 吾輩は靴下をはいた猫である. 2024年2月23日閲覧。
  9. ^ miyou55mane (2020年11月28日). “Minolta 16QTの調査:見よう見まねのブログ”. Ameba (アメーバ). サイバーエージェント. 2024年2月21日閲覧。
  10. ^ a b コーナン16オートマット”. Old and New:ミノルタ. コニカミノルタ. 2003年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月23日閲覧。
  11. ^ miyou55mane (2020年10月22日). “Konan-16の調査(2):見よう見まねのブログ”. Ameba (アメーバ). サイバーエージェント. 2024年2月21日閲覧。
  12. ^ a b ぐりやん (2023年5月24日). “【試写散歩】Konan-16がいつの間にやら転がっていたのでORWO UN54詰めて試写してみた”. Paraíso de desejos mundanos.. 2024年2月24日閲覧。
  13. ^ foto-pooh (2015年9月30日). “Konan-16 Automat コーナン16:foto-poohのブログ 写真と模型を愛する人へ”. Ameba (アメーバ). サイバーエージェント. 2024年2月21日閲覧。
  14. ^ "A GEM OF MIDGET CAMERA". Konan-16 Automat (英語). Osaka: Chiyoda Kogaku Seiko K.K. p. 2. 2024年2月24日閲覧
  15. ^ a b c d e Neco (2011年9月28日). “カメラ資料(1)”. 写真を楽しむ(別館). 2024年2月23日閲覧。
  16. ^ 1950年代に発売された主な機種一覧”. Old and New:ミノルタ. コニカミノルタ. 2003年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月23日閲覧。
  17. ^ 住正徳. “50年前の新聞広告”. ロマンの木曜日. デイリーポータルZ. 2024年2月24日閲覧。
  18. ^ a b c miyou55mane (2020年10月18日). “Minolta-16の調査:見よう見まねのブログ”. Ameba (アメーバ). サイバーエージェント. 2024年2月21日閲覧。
  19. ^ a b c d e f g 1960年代に発売された主な機種一覧”. Old and New:ミノルタ. コニカミノルタ. 2003年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月23日閲覧。
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  21. ^ ミノルタ16仕様”. アウトドア奈良. 2024年2月25日閲覧。
  22. ^ a b 金田幸代「当館のカメラコレクションについて(その3)」『千葉県立現代産業科学館研究報告』第19号、千葉県立現代産業科学館、市川、2013年3月、ISSN 1341-2221全国書誌番号:001019712024年2月23日閲覧 
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  24. ^ ミノルタ16II 撮影までの道程:The Analog life”. Seesaaブログ(シーサー). ファンコミュニケーションズ (2015年10月30日). 2024年2月25日閲覧。
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