ミッドナイト・ラン

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ミッドナイト・ラン
Midnight Run
監督 マーティン・ブレスト
脚本 ジョージ・ギャロ
製作 マーティン・ブレスト
製作総指揮 ウィリアム・S・ギルモア
出演者 ロバート・デ・ニーロ
チャールズ・グローディン
音楽 ダニー・エルフマン
撮影 ドナルド・E・ソーリン
編集 ビリー・ウェバー
クリス・レベンゾン
配給 アメリカ合衆国の旗 ユニバーサル映画
日本の旗 UIP
公開 アメリカ合衆国の旗 1988年6月11日
日本の旗 1988年12月3日
上映時間 126分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $30,000,000 (概算)
興行収入 $38,413,606[1] アメリカ合衆国の旗
$81,613,606[1] 世界の旗
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ミッドナイト・ラン』(Midnight Run)は、1988年制作のアメリカ映画。アクション・コメディの傑作。タイトルの意味は、「一晩で終わる簡単な仕事」、「仕事は簡単」、「ちょろい仕事」というスラングである[2]

第46回ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門にて作品賞、主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)の候補になっている。

ストーリー[編集]

世間に裏切られた過去から独善的な態度しかとれなくなった賞金稼ぎ(ロバート・デ・ニーロ)と、運悪く賞金首になってしまった心優しい会計士(チャールズ・グローディン)という対照的な中年男2人が、喧嘩をしながら心を通わせていくロードムービー

ジャック・ウォルシュ(デ・ニーロ)は、かつてシカゴの警察官だったが仲間に裏切られ妻子とも離れて、今はロサンゼルス保釈金ローン会社と契約を結び、逃亡した被告人を公判までに連れ戻してくる「賞金稼ぎ」の仕事をしている。

ジョナサン・マデューカス(グローディン)、通称「デューク(公爵様)」は堅気の会計士だが、雇い主がシカゴの麻薬王であるセラノであることを知りギャングの金を横領、慈善事業に寄付をして身を隠すが丁寧に挨拶状をセラノに送りつける変わり者。

裁判までの5日間でマデューカスをロサンゼルスへ連れ戻す仕事を引き受けたウォルシュは、ニューヨークで捕まえたデュークを飛行場まで引き立てていく。しかし、ロサンゼルスまで5時間のフライトで済むはずが、トラブル続きでギャングとFBIに追われながら、車と列車のアメリカ横断逃避行へ変わっていく。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
VHS版 テレビ朝日
(追加収録部分)
ジャック・ウォルシュ ロバート・デ・ニーロ 樋浦勉 池田勝
ジョナサン・マデューカス チャールズ・グローディン 玄田哲章 羽佐間道夫
アロンゾ・モーズリー ヤフェット・コットー 渡部猛 郷里大輔
藤井隼
マービン・ドーフラー ジョン・アシュトン 村松康雄 富田耕生
ジミー・セラノ デニス・ファリーナ 大宮悌二 柴田秀勝
エディ・モスコーネ ジョー・パントリアーノ 納谷六朗 安原義人
トニー・ダーボ リチャード・フォロンジー 筈見純 渡部猛
宝亀克寿
ジョーイ ロバート・ミランダ 伊井篤史 広瀬正志
関口雄吾
ジェリー・ガイスラー ジャック・キーホー 塚田正昭 千田光男
ゲイル ウェンディ・フィリップス 弥永和子
デニース・ウォルシュ ダニエル・デュクロス 佐々木るん
シドニー フィリップ・ベイカー・ホール 辻村真人 -
山内健嗣
ビル・レッドウッド トム・マクレイスター 島香裕 麦人
ウェイトレス ローズマリー・マーフィ 安達忍
ペリー トム・アーウィン 二又一成
吹き替え版その他 達依久子
塩屋浩三
幹本雄之
中田和宏
高宮俊介
こおろぎさとみ
追加収録部分
横田大輔
すずきももこ
五阿弥ルナ
  • VHS版:DVD未収録、Amazonにて配信、民放での再放送にも使用。
  • テレビ朝日版:初回放送1992年2月2日 21:02-23:09 『日曜洋画劇場
制作:グロービジョン、演出:左近允洋(追加収録版:吉田啓介)、翻訳:額田やえ子(五十嵐江)、効果:猪飼和彦・VOX、調整:高橋久義(東田直子)、プロデューサー:猪谷敬二
こちらのバージョンは吹替えファンの間でも極めて評価が高く、吹替映画史上最高傑作と評される事もある[3]。権利元が音源を紛失してしまったため長らく再放送の機会に恵まれなかったが2018年7月8日に一般から公募した音源を元にカット部分を池田、羽佐間、富田、柴田、二又らオリジナルキャストによる追加収録(故人等、諸事情で出演が不可能なキャストには代役が立てられている)を敢行したものがムービープラスで放送された[4][5]

※2018年10月11日発売の『ユニバーサル思い出の復刻版BD』には2種類の吹き替え[6]を全て収録[3]

解説・トリビア[編集]

  • 本作では日本で余り馴染みのない米国の司法制度が描かれている。犯罪大国アメリカでは容疑者の数もとてつもなく多いため全ての人を拘束するとすぐに留置所が一杯になってしまうため、大半は早々に保釈される。そんな人々のために各裁判所の前にはベイルショップと呼ばれる保釈金専門の金融会社(保釈保証業者)が営業している。容疑者はそこでお金を借りて保釈保証金を裁判所に納めて保釈されるのだが、容疑者が逃亡して期日までに裁判所に出頭しないと保釈金は裁判所に没収されてしまう。それでは金融会社は大損になるので、賞金稼ぎ(バウンティハンター)と呼ばれる人を雇って雲隠れした容疑者を連れ戻してもらうのだ。
  • 池田勝と羽佐間道夫が吹き替えを担当したテレビ朝日版は、現在に至るまで絶大な人気があり、2018年発売のブルーレイに初収録される。権利問題もさることながら、吹き替え版ではジャックがFBIを騙ってデュークを逮捕するが、身柄拘束直後に「FBIというのは嘘だ」と身分を明かしているのに対し、字幕版ではデュークを連行する車の中でFBIではないと告白しているため、齟齬が生じている。吹き替え版はテレビの放送時間枠に収めるためにそのようなダイアログの編集を行なったと推測される。
  • 最初に製作権を持っていたのは、パラマウントスタジオだった。パラマウントは性的意味合いも含めて、デュークの役柄を女性に変更し、尚かつシェールの起用を提案。しかし、監督のマーティン・ブレストは「性転換」を拒否。パラマウントはデニーロとロビン・ウィリアムズのコンビにしてはどうかと提案もし、他の俳優へのデューク役のオーディションも推奨した。その中には、ブレイク前のブルース・ウィリスも含まれていた。デニーロの出演が先に決定していたため、彼と釣り合う相手役の選考が難航したとブレストは述べている。ブレストはデニーロを交えたチャールズ・グローディンのオーディションで、2人にリアルな化学反応と関係性を感じ、グローディンの起用を推し進めようとしたが、商業的成功を危惧したパラマウントは離脱。製作はユニヴァーサルへと移行した。
  • タイトルの「ミッドナイト・ラン」は、10万ドルの報酬を要求したジャックに驚いたモスコーネが、セリフで口に出している。
  • 劇中、コミカルなやりとりに利用されるアロンゾ・モーズリーのサングラスは、ポルシェ1978年製のExclusive Sunglassesである。
  • ジャックがヘリコプターを撃ち落とすときに使用したオートマティックはベレッタM92(92SB)。
  • シカゴでアロンゾ・モーズリーがスナイパーを撃つリボルバーはスミス&ウェッソンのモデル66(357コンバット・マグナム)。
  • マーヴィンがドジ1号とドジ2号に向けて発砲するショットガンはモスバーグM500
  • ジャックとデュークが川に転落して流されるシーンは、アリゾナ州の設定だが、水が冷たすぎたためニュージーランドで撮影されている。
  • ブルース・ウィリスはデューク役のオーディションを受けたが役を得られなかった。しかしその後、彼はダイ・ハードに出演し、世界的なスーパー・スターとなった。
  • 松田優作は本作鑑賞中、ジャックと娘の再会シーンで「涙が止まらなかった」と述べている。これは実生活とシンクロした部分があったからだという。
  • シカゴマフィアのボス、ジミー・セラノを演じた故デニス・ファリーナのシーンは全てラスベガスで撮影されている。彼は別作品の撮影と掛け持ちで出演しており、ラスベガスから離れられなかったためである。彼自身は元シカゴ警察の警察官であり、その後俳優に転身したという異色の経歴の持ち主である。
  • デュークがレッドの酒場で連邦捜査官になりすまし、千両役者ぶりを発揮するシーンはほとんど即興である。
  • ジャックがしきりに腕時計を気にする癖はデニーロのアイデアが採用された。
  • ジャックが吸っている煙草の銘柄はフィリップ・モリス社製造のマールボロである。尚、プライベートのデニーロ自身は大の煙草嫌いであり、劇中でも吹かしているだけで、煙を肺に吸い込んではいない。
  • ダニー・エルフマンが担当した映画のサウンドトラックは、流通枚数が多くないため、競売市場で比較的高値で取引されている。サントラに収録の「Try to believe」はエルフマン自身がボーカルを担当。劇中エンディングに流れるのは同曲のインストであるが、インスト版はサントラに未収録となっている。
  • マーヴィンは当初の脚本では、デュークの引き渡しの時に殺されてしまう予定だったが、ノックアウトされる設定に変更された。彼が生きのびたおかげでクライマックスシーンが緊張感のあるドラマティックな仕上がりとなった。
  • ヤフェット・コットーは撮影中、高熱に苦しんでいた。
  • クライマックスシーンの直前、空港でマーヴィンに喫煙か禁煙かを訪ねる職員は、監督のマーティン・ブレストである。
  • 高額紙幣1000ドル札はかつて存在したが、現在では流通していない。1969年に流通停止。デュークはかなりレアな紙幣で30万ドル分も所有していたことになる。
  • 作品と役柄にリアリティを与えるため、マーティン・ブレストとデニーロは、本物のバウンティハンターと行動を共にした。夜通しの張り込みや賞金首の取り押さえ現場にも立ち会った。所謂、「デニーロ・アプローチ」の一環である。
  • デニーロ自身が本作を「気に入っている」という根拠は、久米宏がアンカーを務めていたニュースステーションにデニーロが生出演した際のインタビューのようである。他作品のプロモーション目的の来日だったようだが、久米から「今までの出演作で一番好きな作品は何ですか?」と問われ、「ミッドナイト・ランだ」と答えた模様。ただし、この回答からかなりの歳月が経過しているため、現在も変わらずお気に入りかどうかの確証はない。
  • 二度のアカデミー賞受賞に輝くロバート・デ・ニーロにとって、この映画のジャック・ウォルシュ役は、ヴィト・コルレオーネジェイク・ラモッタといった、かつて彼が演じた役とは全く異なるコミカルキャラクターという点に魅力を感じたという。「この手の荒っぽい警官くずれの男が、最後に上手くやるストーリーはとても好きなんだ。彼がラストでとる行動は、実に感動的。私にとっては最高の役だった」と述べている。(映画パンフレットより)

テレビ映画[編集]

1994年に本作を基にしたテレビ映画が3作制作されている。キャストは全員交代しているがジャックなどの映画に登場したキャラクターが数名登場する。

  • 『ミッドナイト・ラン1 にくめない詐欺師』Another Midnight Run
  • 『ミッドナイト・ラン2 好かれる逃亡者』Midnight Runaround
  • 『ミッドナイト・ラン3 やけっぱちの美女』Midnight Run for your Life

キャスト[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b Midnight Run (1988)”. Box Office Mojo. 2009年11月29日閲覧。
  2. ^ ミッドナイトラン、ポール・モネット著、岡部宏之訳、新潮社、1988年、ISBN 978-4102276013
  3. ^ a b ミッドナイト・ラン ユニバーサル 思い出の復刻版 ブルーレイ
  4. ^ https://m.facebook.com/movieplus.jp/photos/pcb.2146080048739415/2146080008739419/?type=3&source=48&__tn__=EH-R
  5. ^ [https://bangumi.skyperfectv.co.jp/S/?uid=c15062473 ミッドナイト・ラン【地上波吹替追録版】 ◆特集:羽佐間道夫◆ ]
  6. ^ テレビ朝日版はムービープラス放送時にカット部分を追加収録を行なったものを収録。

外部リンク[編集]