マージナル・オペレーション

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マージナル・オペレーション
小説
著者 芝村裕吏
イラスト しずまよしのり
出版社 星海社
レーベル 星海社FICTIONS
刊行期間 2012年2月15日 -
漫画
原作・原案など 芝村裕吏
作画 キムラダイスケ
出版社 講談社
掲載誌 月刊アフタヌーン
レーベル アフタヌーンKC
発表号 2013年7月号 -
巻数 既刊14巻(2020年3月現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画
ポータル 文学漫画

マージナル・オペレーション』は、芝村裕吏による日本小説星海社FICTIONS星海社)刊。挿絵はしずまよしのり。シーズン1(無印)が2013年11月14日に全5巻を以て完結[注 1]。短編集(Fシリーズ)、外伝(空白の一年)を挟み、2016年11月より、シーズン2『マージナル・オペレーション改』が刊行中[注 2]。また、キムラダイスケによるコミカライズが『月刊アフタヌーン』で2013年7月号より連載[1]

2017年8月時点で電子書籍込みでシリーズ累計100万部を超えた[2]

舞台となる世界は現実世界の少し未来では無く、同作者の「遙か凍土のカナン」から繋がる架空の歴史を経た世界となっており、特にシーズン2以降はその設定に基づく架空の国が存在する前提で世界情勢が動く展開となっている。

あらすじ[編集]

プロローグ
2020年代前半頃の物語[注 3]。ゲーム系の専門学校を卒業してから長期のニート生活の末に就職したものの、その会社が倒産して失業した新田良太(アラタ)は、金欠により家賃が払えなくなることから、偶然ネットで見かけた民間軍事会社「自由戦士社」の求人に応募して、高い適性を示したことから採用されることになる。
タジキスタンでの海外研修は、陳腐なCGの戦術シミュレーションゲームのような内容だったが、もともと記憶力・判断力に優れた凄腕のオンラインゲーマーだったアラタは、ゲーム感覚で次々にオペレート業務を的確にこなし、指導教官 トレバーに天賦の才を見出される。
しかし、その訓練は「リアルの軍事作戦」を実際にオペレートしていたものであることを知らされ、アラタは自分の指示で『無抵抗の村人』を殺害した可能性があることに苦悩するが、ギリギリで立ち直って訓練を完遂する。
キャンプモリソン編
赴任地のキャンプモリソンでは、ジブリールら年端もいかない少年兵たちが囮や弾除け同然の扱いを受け、米軍へのテロ行為を行う山賊との交戦に駆り出されて死傷者を出し続けていた。
そんな中、小隊を束ねることになった米軍出身の熟練兵 オマルの指揮下での偵察中、敵の襲撃にあったチームは絶体絶命の危機に遭遇する。管制指揮を交代したアラタは、少ない戦力を分散させず集中させる作戦を提案し、米軍の偵察機からミサイルで敵を掃討することでチームを救い、少年兵たちから「イヌワシ」と呼ばれ慕われるようになる。
キャンプモリソンが襲撃され、近隣の村の山賊に拘束されたアラタ達は、玉砕覚悟の山賊たちに『政府軍に一矢報いる作戦』を提案して、見事に完遂させる。その後、少年兵たちを率いてアジア近隣の諸国を周り、いくつかのミッションを成功に導いたことから、アラタは「子供使い」の異名で業界に知られるようになる。[注 4](原作1巻)
日本編
1年後、少年兵たちを伴って観光のために日本に入国したアラタ達は、日本政府の安全保障セクションの担当者である女性イトウさん(仮称)に、テロリスト化しつつある武闘派の新興宗教組織の壊滅を依頼される。秋葉原や遊園地などで日本での自由時間を楽しみながら、クロスボウなどの武器を購入したアラタ達は、銃器&麻薬取引現場を強襲して、麻薬を焼き払って銃器を現地調達する。
そんな中、自由戦士社のかつての上司ランソンから、戦術情報支援ツール『Iイルミネーター』を受け取る際に、突然に宗教団体の武闘派による「教祖への報復テロ事件」が発生する。アラタ達は、幼女を含めた一般市民を無差別虐殺した武闘派メンバー達を制圧。
その後、その元締め達に「手荒い警告」を行ったアラタ達は、テロを起こした武闘派集団のリーダー格シュワたちを伴い、タイへと旅立つ。(原作2巻)
タイ編
タイに入国したアラタは、華僑出身でホテル経営者の美女李世蘭から、タイの貧困層の子供を傭兵として雇用できないかと依頼される。子供使いの活躍により、子供を兵士として利用しようとする企業が現れているという。そんな中、かつて訓練施設で訓練を共にしたキシモトが現れ、その不可解な態度から自由戦士社が関与している可能性が浮上する。
子供を貧困から救うべくNGO活動をしている壮年の女性グレースの護衛をすることになったアラタ達は、敵対組織からの襲撃に遭うが、NGO内の内通者を排除。自由戦士社のタイ支部のマネージャーになっていた元指導教官トレバーと、そのサブマネージャーのキシモトが自分の命を狙っていることが確定する。かつての上司ランソンに連絡し、自由戦士社はトレバー達を解雇することになり、事態は穏便に収束したと思われた。
しかし、アラタの才能に嫉妬したトレバーは、アラタを殺害することに執着し、傭兵を雇ってソフィアハキムを拉致する。幼いハキムを殺害して狂乱するトレバーを射殺したキシモトは、ソフィアに暴行を働いてアラタ達への復讐をしようとする。日本でシュワが率いていた武闘派宗教メンバーが殺害したのは、キシモトの幼い愛娘だったのだ。アラタ達はキシモトの傭兵達を制圧し、オマルとジブリールはキシモトを射殺する。(原作3巻)
ミャンマー編
タイのストリートチルドレン達を保護するため、アラタ達はミャンマーに「キャンプハキム」を設立して、適正のある子供たちを傭兵として鍛え上げ、ミャンマーに不法侵入を図る中国人民解放軍傭兵を相手にすることになる。アラタ達のゲリラ戦略に業を煮やした中国軍は、キャンプハキムに空爆を決行し、少年兵たちに犠牲者が出てしまう。

用語[編集]

自由戦士社
世界各国で活動を行っている民間軍事会社。米国とは密接に繋がりがあるらしく、配備されている装備なども充実している。
オペレーター・オペレーター
略称はOO。アラタが就職した民間軍事会社において、主に戦術単位Pを指揮する戦術オペレーターを指す役職名。戦闘員である請負人(プライベート・オペレーター)をオペレートする人という意味。通常は基地等にある専門のオペレーションルームから、情報統合端末を通して現場の部隊を指揮する。上位の戦術単位Cを指揮する戦術オペレーター「マネージャー」の下で勤務する。
戦術単位
アラタが就職した民間軍事会社において、部隊規模を指す呼称。戦術単位Cは中隊 (100~200名規模)、戦術単位Pは小隊(10~50名規模)、戦術単位Sは分隊 (5~10名規模)に相当する。アラタ達はこの呼称に慣れ親しんだため、フリーランスとなった後も使用し続けている。
各戦術単位略号は、陸軍用語での歩兵中隊を表すCompany(カンパニー)[独自研究?]、歩兵小隊を表すPlatoon(プラトゥーン)、歩兵分隊を表すsquad(米:スコード)またはsection(英:セクション)から取られている。
最初の24人
タジキスタンの村から民間軍事会社に差し出された子供達の生き残り。民間軍事会社からも村からも見放されて行き場を失っていたところを見かねて、アラタが子供として引き取った。15歳に満たない少年少女ばかりだが、兵士としてのポテンシャルは高く、集団戦闘に長けている。
Iイルミネーター
正式名称は「インフォメーション・イルミネーター」であり、日本では「統合情報処理端末」とも訳される。軍隊や自衛隊、自由戦士社などの民間軍事会社で使われている戦闘支援システムであり、各国で独自に研究開発されている[3]。自由戦士社のIイルミネーターは米国開発のもの。作中において、日本製はまだ評価試験を終えていない段階である。
見た目はサングラスにヘッドセットが付いたような形状をしており、ディスプレイに各種の戦術情報が表示され、オペレーターとの会話・通信が可能となっている。また、オペレーター側では、パソコンやタブレット上などで「隊員たちの現在位置・周辺マップ・脈拍・体温」なども把握することが可能となっている他、ライブカメラの映像や静止画を見ることも可能となっている。
中隊・小隊・分隊間でIオペレーターを使用して相互の情報共有を図ることで、的確な状況判断と指示が可能となることから、その戦力を数倍にまで高め、人員などの損耗率を大幅に低下させ、隊を効率的に運用することができるとされる。一般的な民間軍事会社の一小隊規模においては、Iイルミネーターがないと「戦力半減」、装備すれば「戦力の9割を回復できる」とされる程の圧倒的アドバンテージが得られる。
ドンキー
分隊装備運搬用の特殊車両。キャタピラーにより走行し、リモコンを持っている者を追従して自動走行する。名称は「荷運びのロバ」にちなんでいる。1.5畳程度の収納スペースに、銃器・重火器・弾薬・爆薬・食料・飲料水・医薬品・宿営設備・燃料・日用品・傷病者などを載せて運搬することが可能であり、これにより歩兵の身体的負担は大幅に軽減され、徒歩による作戦行動範囲が大きく拡大される。
なお、キャタピラーではないものの、日本でも農業分野などにおいてドンキーとほぼ同様のものが実際に稼働しており、技術的には難しいものではない。日本総合研究所 (株式会社)からは、「DONKY」[4]なる自律多機能型農業ロボットも開発されている。

登場人物[編集]

新田良太
通称「アラタ」。秋田県出身の日本人男性。民間軍事会社就職時は30歳。ゲームクリエイターを目指して専門学校を出たが就職口が見つからず、ようやく採用されたデザイン事務所も3年で倒産してしまい、年収につられ民間軍事会社に就職した。生来の記憶力の良さと得意としていた戦術シミュレーションゲームの経験から、適性テストで戦術オペレーターとしての才能を開花させ、米軍の下で警備任務等を行うタジキスタンの基地に配属される。
当初はコンピューターゲーム感覚で業務をこなしていたが、やがて研修時代に指揮した村落の掃討作戦がシミュレーションではなく実戦だったこと、その戦闘で女子供を含む非武装の村民までも殺害していた事を知り、自分の指揮によって人が死ぬという現実を目の当たりにする。
タジキスタンを離れた後はオマルや、彼の指揮の下で戦ったジブリールら少年兵たちと独立した傭兵業を生業とし、一年間アジア各地を巡りながら仕事を請け負い子供たちのための蓄財をしていたが、子供達の教育のためと日本を訪れた際に政府組織に目をつけられる事になった。子供達に戦闘とは無縁の生活をさせたいと願いながら、その手段として子供達を使った傭兵業で稼ぐしかない、という矛盾に悩んでいる。恋愛経験が皆無のため、ジブリールやジニからの好意を父親に対するものだと思い込んでいる。
当初は、引きこもりで能力の欠けた人間のように思われていたが、実は非凡な才能の持ち主である。短期間で英会話を習得したり、一度見ただけのイトウさんの顔を覚えていたり、複雑な地形のマップをすぐに覚えられるなど、記憶能力や空間認識力が優れている。本人は否定しているが戦術指揮の他に、戦闘後の交戦相手との和平交渉にも長けている。
その場に居ないのに全てを俯瞰し見通しているような非凡な指揮ぶりは、彼を知る者からは天空より地上を見渡す「イヌワシ」と綽名される。また、1巻以降、少年兵を率いた傭兵稼業により業界から注目を集め、2巻以降では「子供使い」の異名でその筋に知られるようになる。
本編の事後編にあたる、FI巻・FII巻によると、その後順調にバングラディシュでの廃船解体業、ミャンマー国境地域でのコーヒー農園業などを成功させ、いわゆる「子供の国」を一応の安定軌道に乗せた。
オマル
アラタが就職した民間軍事会社に勤めていた請負人(戦闘員)。アメリカ人男性で、元米軍人。1989年6月4日生まれ。現地人の少年兵で構成された戦術単位Pの隊長を務め、何度かアラタのオペレートの下で任務を遂行した。使い捨てにされて死んでいく少年兵たちの境遇に義憤を覚えており、彼らの犠牲を避けて目的を達するアラタの指揮ぶりに尊敬の念を抱く。やがて彼とは強い信頼と友情で結ばれ、ともに傭兵業を起こす相棒となる。タジキスタンを離れた後もアラタと行動を共にし、戦術単位Sの指揮を務める。
ソフィア・グリンウッド
アラタと同時に「自由戦士社」に採用されたOO(オペレーター・オペレーター)。カリフォルニア州出身の、金髪碧眼のアメリカ人女性。2001年4月30日生まれ。いわゆる身体改造趣味を持っており、エルフに憧れて耳を整形したが不況でローンが払えなくなり、カナダへ逃亡後に民間軍事会社に就職、タジキスタンでアラタと同じ基地に配属された。
陽気で人懐っこい性格の持ち主だが、自己中心的で他人を全く気遣わない言動が災いして周囲から浮いていたところを、アラタに慰められたことで一方的な好意を抱き、彼を勝手に恋人認定するまでに至った。タジキスタンでの現地住民による基地襲撃を無事に生き延びた後、ランソンと共に日本に配属されていた。
死亡していたと思っていたアラタと再会した後はその作戦行動に助力し、会社を退職して行動を共にするが、やがて人を手に掛ける行為に負担を感じ、鬱屈を抱えるようになる。タイでの自由戦士社との対立の際にハキムと共に拉致された上、キシモトによって暴行されたことで精神的ショックが限界を超え、失語症を患いタイの医療施設に入院することとなった。
原作外伝では梶田の見舞いを受けながら徐々に回復していき、物語の最後にアラタに復帰を願い出る姿が描かれている。

少年兵[編集]

ジブリール
タジキスタン人の少女。最初にアラタの部下となった「最初の24人」の一人であり、統率力に優れたリーダー格。近接戦闘、特にナイフの扱いに長けている。
族長の孫娘という立場ながら、政治的理由で他の子供達と一緒に民間軍事会社に差し出されていた。アラタに引き取られた後は、護衛と称してアラタの側にいることが多い。
あまり感情を表に出すことは無いものの、アラタを異性として慕っているのは周知の事実。非常に焼き餅焼きで、アラタが女性と話をしているだけでも不機嫌になるが、肝心のアラタからは単に思春期で気難しいだけだと思われている。
ジニ
タジキスタン人の少女で、「最初の24人」の一人。
ジブリールより更に格上の家の出身とのことだが、お嬢様らしいところはなく、むしろお転婆。性格は明るく活発。好奇心が強く呑み込みも早いため、様々な武器を器用に使いこなすことが出来る。
アラタに対して好意を持っているが、親友ジブリールへの配慮からか「自分は第2夫人でいい」と公言している。
イブン
タジキスタン人の少年で、「最初の24人」の一人。狙撃の名手。
真面目な努力家で、いずれはアラタの右腕となるべく、日々勉強と訓練に励んでいる。その成果は確実に表れているようで、子供達のリーダー役を任されることも多い。
ハサン
タジキスタン人の少年で、「最初の24人」の一人。隠密行動の達人。口数が少なく無愛想だが、不機嫌というわけでは無い。アラタの役に立つべく戦闘技術を磨き、一生彼について行こうと決めている。
ハキム
タジキスタン人の少年で、「最初の24人」の一人。その中でも一番年少であり、皆の弟分的な存在。
大人しく聡明な性格で、本に興味を持っている。タイにおいてアラタと彼の古巣である「自由戦士社」が敵対した際に、ソフィアとともに拉致され人質とされるが、反抗的な態度を捨てず「アラタは自分を助けになど来ない」と言い張った為に、トレバーによって射殺される。更に死体に地雷を仕掛けられ、アラタへのトラップに利用された。
「最初の24人」で初めての戦死者であり、彼の死はアラタやジブリールに深いショックを与えた。後にアラタ達が初めての訓練拠点を手に入れた際、子供たちの発案でその地は「キャンプ・ハキム」と名付けられる。
サキ
ミャンマー国境キャンプから参加の少年兵の一人。フィリピン人の少女。マニラのスラム街出身。
雇用募集時には、体格的にも健康的にも本来の募集合格基準に達していなかったが、同じスラム出身のトニーの機転(募集官の買収)と、意志の強さ等によりキャンプ参加合格者組に残る事を許された。
キャンプ参加当初は健康面の不安も有り目立たない少女であったが、栄養不足等が解消されてからは、持ち前の絵の才能や意志の強さ、明晰な頭脳等の才覚を表しつつある。
絵やイラストの素養があり、キャンプ時代には部隊徽章の元絵等を手がけた事もある。また、その観察眼の鋭さ・正確さから、偵察要員としても頭角を現し、一度ちらっと見ただけの軍用機のシルエットのスケッチを起こす等の才能を見せた。
FII巻に、その後日本の都立高校へ進学留学し学んでいる様子が描写されている、本人は美術系大学への進学を希望している模様。
本編5巻での事態終息後の買い取った国籍は「タイ王国」。パスポート名は「新田サキ」。ジブリールより2歳年下。ジブリール、ソフィア、ホリー等と並んで、主人公への思慕・好意を比較的明確にしている一人。主人公を只一人「トリさん」と呼ぶ。

自由戦士社[編集]

クロード・ランソン
アラタが就職した民間軍事会社「自由戦士社」に勤めるマネージャー。壮年のアメリカ人男性で、元米軍グリーンベレー隊員。臨時交代要員として送られてきたアラタの才能にいち早く気付き彼を副官の立場に置いて様々な教えを施した。
タジキスタンでの現地住民による基地襲撃を無事に生き延びた後も同社に勤務を続け、極東マネージャーとして日本に配属されていた。彼の勤め先は日本政府とも関係を持っていたため、資材提供の依頼を受けてアラタと再会した。その後もアラタとは友好的な信頼関係を築いており、後にタイでアラタと自由戦士社が敵対した際には調停のための使者として派遣されてくる。
ミャンマー編では、自由戦士社を退職して余生を子供たちのために尽くそうと、アラタ達の村に合流してくる。以後、作戦面ではアラタのバックアップ的な存在となる。
キシモト
アラタと同時に「自由戦士社」に採用された日本人男性。明朗で面倒見の良い性格の持ち主で、訓練の「真相」を知りショックを受けるアラタに対して日本へ帰るよう勧めるなど、親身に接してくれる存在だった。研修が終了した後は、タイ支社のマネージャーとなったトレバーの補佐として勤務していたが、汚い仕事に従事し続けることで精神が摩耗した上に、日本に残していた娘がシュワの起こした宗教テロによって犠牲となってしまったことで、生きる意味を見失う。
李のバックアップを受けて、タイで活動拠点を作ろうとするアラタと「自由戦士社」が対立した際に、アラタと娘の仇であるシュワが行動を共にしている事を知り、また目の前でハキムが撃ち殺される光景を目の当たりにしたことで人格が破綻。上司であるトレバーを射殺し、ソフィアに暴行を働いた挙句、彼女を人質にしてアラタを殺害しようとルンピニー公園に呼び出すが、護衛についていたオマルとジブリールによって射殺された……と思われていた。
しかしその後、片目を失って半ば正気を失っているもののキシモトが生存し、アラタに関するこれまでの全情報を中国軍に流していたことが判明。ソフィアの入院する病院を中国軍に雇われた傭兵に包囲させるが、ランソンにより殺害される。
トレバー・ブラウン
「自由戦士社」の社員で、研修中のアラタやソフィア達の教官として戦術指揮を教えた。アラタの才能を高く評価し、ランソンには「戦場の英雄になり得る器」であると報告している。
その後、タイ支社のマネージャーとなりキシモトを補佐とするが、利益だけを重視した、ほとんど犯罪組織の協力者と変わらない活動方針を取っており、キシモトの精神状態を悪化させる主因となった。アラタ達がタイで少年兵の募集を始めようとすると、「縄張り」を守るという実利と「子供使いに勝つ」という名誉欲の為に、本社に知らせぬままアラタ達に攻撃を仕掛けたが、ことごとく撃退されてしまう。
アラタがランソンと連絡を取ったことで停戦を命じられ自由戦士社からも解雇されてしまうが、アラタの留守中に宿舎を急襲し、ソフィアとハキムを拉致して「戦争」を続行しようとする。だが、反抗的な態度を捨てないハキムをキシモトの目の前で射殺したため、直後キシモトによって自らも撃ち殺された。

その他[編集]

イトウ ユキエ
日本政府内の安全保障に関わるセクションに勤める日本人の女性。作中において、宗教団体や外国の情報機関などの調査や情報収集・諜報活動をメインにしている。アラタ達に政府の下請け仕事をさせようと、接触した。
ある時は20代後半の美女、またある時は60代の壮年女性の姿で現れており、外見はもとより立ち居振る舞いまでを含めた極めて高度な変装をして任務に当たっている。名乗っている名前が本名なのか、本当はどのような人物なのか全く不明であるが、アラタにハニートラップをしかけたり、シャワー後が20代後半の姿であったことから推察して、これが実年齢だと考えられる。ミャンマー編の会議では、責任者としての立場からか60代の壮年女性の姿で出席している。
なお、本作の前史となる「遙か凍土のカナン」でも、内務省に所属する「イトウさん」なる人物が登場している。ここでも「変装の達人」として描かれており、老婆の変装をして主人公の前に姿を表しているが顔は男性のままである。両者に血縁関係があるかは不明である。
シャウイー
アラタが売春宿で出会った若い女性。彼の日本語通訳を務め、実用レベルに達するまで英会話を教えた。ミャンマー編にて再会しており、自身の名前をホー・ウィー、周囲からはホリーと呼ばれていることをアラタに明かす。
シュワ
武闘派新興宗教の元僧侶で、初老の男性。日本政府に懐柔され堕落した教祖を破滅させるため、信者たちを使嗾してテロを起こすが、日本政府に雇われたアラタ達の活躍によって計画は中途で破綻し、痛み分けのような形に終わる。その後、事態の幕引きをするための交渉を行った際にアラタに興味を覚え、数人の部下たちと共に一行に合流した。
宗教者としてと、裏社会を生きる人間としての世界観や人間観双方を併せ持った持った人物であり、アラタの相談役的な立場となる。
梶田
シュワの部下。スキンヘッドとサングラスがトレードマーク。モデルはライターのマフィア梶田[要出典]。アラタとシュワが合流した際には行動を共にしなかったが、後に原作外伝において、タイで入院生活を送るソフィアを時折見舞い、護衛する姿が描かれた。
ロイ・ケイマン
ランソンの身内の武器商人。クロス・アクシャと名乗るイケメン。在庫さえあれば、ミャンマーの奥地であろうと翌日配送可能というAmazon並みのサービスを誇る。

タイアップ[編集]

著者がシナリオを手掛けるブラウザゲーム『ガン・ブラッド・デイズ』において2012年9月12日から約1か月間、本作の主要登場キャラクターが登場する特別ミッションや、本作の主要キャラクターのユニットカードを入手できるキャンペーンが開催された[5]。本作の単行本第2巻内には、ジブリールの同巻表紙バージョンのユニットカードを入手できるシリアルコードが記載されている。

書誌情報[編集]

小説[編集]

著:芝村裕吏、イラスト:しずまよしのり

  • 01 - 2012年2月15日発行、ISBN 978-4-06-138823-9
  • 02 - 2012年9月13日発行、ISBN 978-4-06-138839-0
  • 03 - 2013年2月14日発行、ISBN 978-4-06-138854-3
  • 04 - 2013年6月13日発行、ISBN 978-4-06-138863-5
  • 05 - 2013年11月14日発行、ISBN 978-4-06-138883-3
  • [F] - 2014年6月13日発行、ISBN 978-4-06-138898-7
  • [F2] - 2015年3月12日発行、ISBN 978-4-06-139915-0
  • 空白の一年[上] - 2015年9月16日発行、ISBN 978-4-06-139923-5
  • 空白の一年[下] - 2016年3月15日発行、ISBN 978-4-06-139938-9
  • 改01 - 2016年11月15日発行、ISBN 978-4-06-139955-6
  • 改02 - 2017年6月16日発行、ISBN 978-4-06-139971-6
  • 改03 - 2017年12月16日発行、ISBN 978-4-06-511003-4
  • 改04 - 2018年4月15日発行、ISBN 978-4-06-511583-1
  • 改05 - 2018年9月16日発行、ISBN 978-4-06-513375-0
  • 改06 - 2018年12月14日発行、ISBN 978-4-06-514473-2
  • 改07 - 2019年5月17日発行、ISBN 978-4-06-516316-0

漫画[編集]

  • キムラダイスケ(漫画)、芝村裕吏(原作)『マージナル・オペレーション』講談社〈アフタヌーンKC〉、既刊13巻(2019年7月23日現在)
巻数 発行日(同日発売) ISBNコード 備考 原作対応巻
1 2013年11月22日 ISBN 978-4-06-387939-1 01
2 2014年06月23日 ISBN 978-4-06-387979-7
3 2014年11月21日 ISBN 978-4-06-388012-0
4 2015年06月23日 ISBN 978-4-06-388063-2 02
5 2016年01月22日 ISBN 978-4-06-388110-3
6 2016年06月23日 ISBN 978-4-06-388145-5 03
7 2016年11月22日 ISBN 978-4-06-388212-4
8 2017年03月23日 ISBN 978-4-06-388242-1
9 2017年08月23日 ISBN 978-4-06-388283-4 通常版
ISBN 978-4-06-362382-6 ポストカードブック付き限定版[注 5]
10 2018年02月23日 ISBN 978-4-06-510950-2
04
11 2018年08月23日 ISBN 978-4-06-512327-0
12 2019年01月23日 ISBN 978-4-06-514208-0
13 2019年07月23日 ISBN 978-4-06-516361-0
14 2020年03月23日 ISBN 978-4-06-518805-7 05

遙か凍土のカナン[編集]

芝村裕吏による小説で、本作の前史とされるストーリーである。「アラタ」「ニッタ」と読みは異なるものの主人公の姓が共通で、イトウさんなる人物も登場するなど、いくつかの関連も見られる。

詳細については、「遙か凍土のカナン」を参照のこと。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 同時に新作『遙か凍土のカナン 1 公女将軍のお付き』も発売された。
  2. ^ 新シリーズ『黒剣のクロニカ01』と同時発売。
  3. ^ ただし、現実世界の近未来では無く、同作者の「遙か凍土のカナン」の物語後となる架空の歴史を経たパラレル世界の未来。
  4. ^ キャンプモリソン襲撃から一月後、イランで起きた株式会社篠山ホールディングス役員拉致事件にて、高度で苛烈な戦闘行為で役員を救出。以降はイランに本拠を置き、イラク・アフガン・シリアにて主に日本の中東進出企業に雇われ、警備に従事している。
  5. ^ カラーカバーは限定版用に書き下ろし

出典[編集]

外部リンク[編集]