マーシー級病院船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
マーシー級病院船
The hospital ship USNS Mercy (T-AH 19) June 6, 2012, in Manado, Indonesia, during Pacific Partnership 2012 120606-N-CW427-402.jpg
基本情報
艦種 病院船
運用者  アメリカ海軍
就役期間 1986年 - 就役中
前級 ヘイブン級英語版
要目
軽荷排水量 24,752トン
満載排水量 69,360トン
トン数 45,480載貨重量トン
総トン数 54,367トン
全長 272.49 m
垂線間長 260.61 m
32.23 m
吃水 9.98 m
主缶 ボイラー×2缶
主機 蒸気タービン×2基
推進器 スクリュープロペラ×1軸
出力 24,500馬力
速力 17.5ノット
航続距離 13,420海里 (17.5kt巡航時)
燃料 5,445トン
乗員 1,207名 (うち医療要員820名)+61名
レーダー AN/SPS-67 対水上捜索用
テンプレートを表示

マーシー級病院船(マーシーきゅうびょういんせん、英語: Mercy-class hospital ship)は、アメリカ海軍病院船の艦級。1,000床の病床に加えて、手術室12室やコンピュータ断層撮影(CT)装置など、充実した医療能力を備えている[1][2]

設計[編集]

本級は、アペックス・マリン社のサン・クレメンテ級タンカーを改装したもので、1983年度予算で「ワース」が改装されて「マーシー」となり、1984年度予算で「ローズ・シティー」が改装されて「コンフォート」となった。このような経緯から、基本設計はタンカー時代のものが踏襲しているものの、上部構造物は大幅に追加されている。艦橋は船体前部に移動し、船体中央部には広大なヘリコプター甲板が設けられた。また少なくとも2隻の装載艇が搭載されている[2]

主機としては、ボイラー2缶とゼネラル・エレクトリック社製蒸気タービン2基を搭載して、スクリュープロペラ1軸を駆動する方式とされた。電源としては、出力2,000キロワットのディーゼル発電機3基と出力1,500キロワットのディーゼル発電機1基、出力1,000キロワットのタービン発電機1基、出力750キロワットのディーゼル非常発電機1基が搭載された[2]

通常はアメリカ東海岸西海岸に一隻ずつ配備されて少数の民間人スタッフで維持されており、基本的に岸壁に係留されるか港湾内に停泊して待機し、外洋には機関の整備と点検のために年7日ほど航海するのみである。出動の際は別途医療スタッフや支援スタッフを招集・乗船させる手はずとなっており、出航まで5日ほどかかる予定となっている[2]

医療設備[編集]

ヘリパッドからは、3基のエレベーターで外傷初療室(casualty receiving bay, CASREC)に直行できるように配置されている。初療室は50床の収容能力があり[2]トリアージおよび初期診療が行われる。画像診断のためにポータブルX線撮影装置が使用されるほか、ソノサイト社製の超音波検査装置3基が配置されており、FAST検査などに使用される[1]

より本格的な画像診断が必要になった場合に備えて、外傷初療室に隣接して放射線科区画が設けられており、X線撮影透視室4室およびコンピュータ断層撮影(CT)1室が設けられている。CT装置としては、2009年の時点ではゼネラル・エレクトリック社製の16列式MDCT(multi-detector row CT:多列検出器型エックス線CT装置)が設置されていたが、2018年4月現在では64列のものに更新され、心臓・冠動脈CTにも対応した[3]。画像診断区画と隣接して手術室区画が設けられているが、手術室12室のうち1室は血管造影にも使用することができる[1]

病床としては1,000床を備えている。このほかに集中治療室(ICU)80床、術後回復室(PACU)20床が設定されているほか、熱傷治療室もある[2]。また歯科治療区画もあるほか、下記のような後方支援機能を備えている[1]

なお1日に30万ガロン(約136万リットル)の清水を造水することができる[1]

同型艦一覧[編集]

旧船名 # 艦名 造船所 進水 改装開始 就役
ワース
MV Worth
T-AH-19 マーシー
USNS Mercy
ナショナルスチール
・アンド・
シップビルディング
1976年 1984年7月20日 1986年11月8日
ローズ・シティー
MV Rose City
T-AH-20 コンフォート
USNS Comfort
1985年4月2日 1987年12月1日

登場作品[編集]

ザ・ラストシップ
シーズン2第4話にて、架空のマーシー級病院船「サラス」が登場。新型ウイルスの影響を避けるため洋上に避難し、そこでワクチン開発を行っていたが、ワクチンを狙う武装集団の襲撃を受ける。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e Ferrara 2009.
  2. ^ a b c d e f Wertheim 2013, p. 879.
  3. ^ Jackey Smith (2018年4月26日). “Underway Cardiac CT Performed During Pacific Partnership 2018”. 2018年6月8日閲覧。

参考文献[編集]

  • Ferrara, Stephen (2009). “Radiology afloat: The impact of diagnostic and interventional radiology during the 2005 tsunami relief effort aboard the USNS Mercy.”. Journal of Vascular and Interventional Radiology (Society of Cardiovascular and Interventional Radiology) 20 (3): 289-302. PMID 19112030. https://www.jvir.org/article/S1051-0443(08)00992-5/pdf. 
  • Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545 

関連項目[編集]