マルク・ブロック

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マルク・ブロック
Marc Bloch
人物情報
生誕 (1886-07-06) 1886年7月6日
フランスの旗 フランス共和国 リヨン
死没 (1944-06-16) 1944年6月16日(57歳没)
フランスの旗 フランス国
サン=ディディエ=ド=フォルマン, アン県
出身校 高等師範学校
学問
時代 中世史
学派 アナール学派
研究分野 歴史学
研究機関 ストラスブール大学
パリ大学
影響を
与えた人物
リュシアン・フェーヴル
脚注
レジオンドヌール勲章シュヴァリエ
クロワ・ド・ゲール 1914-1918
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マルク・ブロック(Marc Léopold Benjamin Bloch、1886年7月6日 - 1944年6月16日)は、フランス歴史学者アナール学派の初期の重要な代表者の1人。ストラスブール大学教授(1936年にパリ大学教授)。

経歴[編集]

古代史学者ギュスターヴ英語版の子としてリヨンに生まれ、各地の高校で教鞭をとった後、1919年ストラスブール大学の中世史教授となる。翌年、『農奴』により文学博士を取得。リュシアン・フェーヴルと共に、『社会経済史年報』を創刊。これによりアナール学派の基礎を築いた。日本歴史学者である朝河貫一とも書簡を交わす等、交流があった。

第二次世界大戦が勃発すると、ブロックは当時53歳の高齢をおして出征。フランス降伏の後もレジスタンス運動を続けたが、故郷リヨンにおいてドイツ軍に捕縛され、銃殺刑に処せられた。

著書(邦訳)[編集]

  • 『奇妙な敗北 フランス抵抗史家の日記』井上幸治訳(東京大学出版会, 1955年、新版1970年)
  • 『歴史のための弁明 歴史家の仕事』讃井鉄男訳(岩波書店, 1956年、新版1980年)
  • 『フランス農村史の基本性格』河野健二飯沼二郎訳(創文社, 1959年)
  • 『領地制史論』渡辺国広訳(慶應通信, 1969年)
  • 封建社会 1・2』新村猛森岡敬一郎大高順雄神沢栄三 訳(みすず書房, 1973-77年、新版2006年)
  • 『比較史の方法』高橋清徳訳(創文社, 1978年、講談社学術文庫, 2017年)
  • 『西欧中世の自然経済と貨幣経済』森本芳樹訳(創文社, 1982年)
  • 封建社会堀米庸三監訳(岩波書店, 1995年、新版2008年)
  • 『王の奇跡 王権の超自然的性格に関する研究, 特にフランスとイギリスの場合』井上泰男渡辺昌美訳(刀水書房, 1998年)
  • 『歴史のための弁明 歴史家の仕事』松村剛訳(岩波書店, 2004年)
  • 『奇妙な敗北 1940年の証言』平野千果子訳(岩波書店, 2007年)
  • 叢書『アナール 1929-2010 歴史の対象と方法』
     エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ & アンドレ・ビュルギエールフランス語版監修
     浜名優美監訳(藤原書店, 2010年11月-2011年6月)
    • 第I巻:1929-1945 「第1章:『アナール』創刊の辞 読者に (1929年)」(浜名優美訳)
      「第6章:中世における金の問題 (金貨鋳造 / 銀の自給自足と金の欠乏 / 西方世界の金貨不足 / ベザント、マンクス、マラボタン / アラブ通貨の流通 / 模倣貨 / 金貨鋳造の再開 / 国際的な交換手段としての金 / 経済史は同時に社会史でなければならない, 1933年)」(平澤勝行訳)
      「第7章:水車の出現と普及 (回転石臼から製粉水車へ / 中世 ― 製粉水車の普及 / 手回し石臼から修道院、領主の製粉水車へ, 1935年)」(平澤勝行訳)
    • 第II巻:1946-1957 「第2章:古代奴隷制の終焉 (奴隷の供給源としての戦争 / 自由を得た奴隷 ― 神の法に反する奴隷制 / 自由の概念と隷属の概念の変化 / 「奴隷」という言葉の来歴, 1947年)」(平澤勝行訳)

関連文献[編集]

  • キャロル・フィンク『マルク・ブロック 歴史のなかの生涯』 河原温訳、平凡社、1994年
  • 二宮宏之『マルク・ブロックを読む』 岩波セミナーブックス、2005年/岩波現代文庫、2016年

関連項目[編集]