マハートマー書簡

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マハートマー書簡マハトマ書簡(Mahatma Letters)とは、神智学協会に始まる近代神智学における用語である。チベットのシャンバラにあるという秘密結社グレート・ホワイト・ブラザーフッド(大白色同胞団)に属し、古代の叡智を守り伝えるというという霊的熟達者「大師(マスター)」「マハトマ(偉大な魂)」から授かったと主張される手紙である。ヘレナ・P・ブラヴァツキーは彼らから物質化によって渡されたと述べ、しばしば空中から手紙を取り出すという奇跡を演じた。神智学の信者は、マハトマは大賢者としてゴータマ(釈迦)から伝わる大宇宙の秘儀に通じているとしており、イエス・キリストやマイトレーヤ(弥勒)も含まれ、他にモリヤクートフーミといった名前を挙げている。

ブラヴァツキー以後、アルフレッド・パーシー・シネットアラン・オクタビアン・ヒュームといった神智学の信者が、同様にマハートマーからのメッセージを受け取った主張。これらのいくつかは書籍の形でまとめられることになる。

ブラヴァツキーの事例は心霊現象研究協会(心霊研究協会)のリチャード・ホジソンによる ホジソン・レポート英語版で検証が行われている[1]。神智学協会で働くエマ・クローンが、1884年に「マハートマー書簡」がブラヴァツキーによって書かれた証拠と共に、「奇跡」の手の内を暴露した(クローン事件)[2]。これを受けた心霊現象研究協会の調査で、「物質化」のトリックが解明される。マドラスの神智学協会の脱退者であるクローン夫婦の助けを得たものであるという結果が示され、虚偽性が非難された。神智学協会側はこれを否定したが、心霊現象研究協会の社会的信頼は大きく、神智学協会に大きな社会的打撃を与えた。

1986年に心霊現象研究協会ヴァーノン・ハリソン英語版が同レポートの正確性を研究し、ホジソンの調査には認知バイアスがかかっており、科学的調査とは言えないと指摘している[3]。神智学・人智学を日本に紹介する高橋巌は、1986年に心霊現象研究協会が亡きブラヴァツキーに謝罪したという伝聞を伝えている[4]。ホジソンの調査の信頼性や価値については、現在も意見が分かれている。ただし、ホジソンに誤りがあったとしても、それがブラヴァツキーが起こしたという奇跡を保証するわけではなく、ホジソン・レポートへの疑問が、マハートマー書簡の物質化という超自然現象の肯定を意味するわけではない。

参照[編集]

  1. ^ 三浦清宏『近代スピリチュアリズムの歴史 心霊研究から超心理学へ』講談社、2008年
  2. ^ 吉村正和 著 『心霊の文化史—スピリチュアルな英国近代』河出書房新社、2010年
  3. ^ Harrison, Vernon (1997). H.P. Blavatsky and the SPR : an examination of the Hodgson report of 1885. Pasadena, CA: Theosophical University Press. ISBN 9781557001177. http://books.google.com/books?id=OEVRAQAAIAAJ. 
  4. ^ H・P・ブラヴァツキー 著 『インド幻想紀行(下) ─ヒンドスタンの石窟とジャングルから』 加藤大典 翻訳、筑摩書房、2003年 所収の高橋巌による解説

関連項目[編集]

外部リンク[編集]