マツダ本社工場
マツダ本社工場(マツダほんしゃこうじょう)[1]は、広島県安芸郡府中町に所在するマツダの本社併設の自動車製造工場。マツダ広島工場(マツダひろしまこうじょう)とも称される。府中町新地と広島市南区小磯町に跨がる本社地区と、広島市南区仁保沖町及び南区宇品東に所在する宇品地区(宇品工場)に分けられるが、対外的な所在地は府中町新地としている[2]。1982年に防府工場が開設されるまで、マツダとしては日本国内唯一の自動車組立工場であった。
本社工場全体での敷地面積は223万平方メートルに及ぶ[3]。
本社地区
[編集]1931年3月創業。猿猴川左岸に沿って南に敷地が広がり[注釈 1]、主たる拠点は広島市側にある。かつては猿候川対岸の南区仁保に渕崎地区(渕崎工場)が所在したが、現在はマツダE&Tの本社工場となっている。
2004年の宇品第2工場の操業再開時に車両組み立て工場としての稼働を終了させており、現在はレシプロエンジン、ディーゼルエンジンとマニュアルトランスミッションの生産拠点として機能している。施設の広さは55.1ヘクタール (136エーカー)。
宇品地区
[編集]本社地区の南西、猿猴川を挟んだ対岸の広島湾(安芸灘)に面した南区仁保沖町及び南区宇品東にあり、本社地区とは私道の東洋大橋で結ばれている。仁保沖町は第二次世界大戦後の埋立で造成された土地で、町域のほぼ全部がマツダの敷地となっている。
宇品工場内にマツダの企業博物館(マツダミュージアム)があり、マツダの歴史と共に、過去の名車と現在および将来のモデルを展示している[4]。来場者は本社地区から専用バスで移動するか、団体バスに限り関係者専用の東正門から入場できる[5]。
2箇所の主要工場がある。工場敷地内を広島高速3号線が通過する。
宇品第1工場
[編集]通称「U1」。1966年11月から自動車組立工場として操業を開始した。
宇品第2工場
[編集]通称「U2」。1964年12月にエンジン工場として操業を開始。1972年12月に自動車組立工場として操業を開始した。
欧州での車両生産開始に伴い、工場稼働率の集約化を図るために2001年9月14日付けで一旦閉鎖[6]、生産体制強化に伴い2004年5月26日付けで操業を再開した[7]。
現在の生産車種
[編集]- 宇品第1工場
- ロードスター/MX-5/ミアータ(1989年-現在)
- CX-9 (輸出) (2006–現在)
- CX-5 (2012–現在)
- フィアット・124スパイダー(2016–現在)
- アバルト・124スパイダー(2017–現在)
- CX-30 (2019–現在)
- 宇品第2工場
- CX-5 (2012–現在)
- CX-8 (2017–現在)
過去の生産車種
[編集]- マツダ号(1931年)
- K360 (1959–1969)
- R360 (1960–1966)
- ポーター(1961–1968)
- プロシード/Bシリーズ(1961–2006)
- キャロル/P360 (1962–1964)
- ファミリア/GLC/323 (1963~1982)
- ルーチェ/929 (1966–1990)
- ボンゴ/Eシリーズ(1966–2018)
- カペラ/626/モントローズ(1970–1982)
- タイタン(1971–2000)
- パークウェイ(1972年~1997年)
- シャンテ(1972–1976)
- RX-7 (1978–2002)
- MPV/Mazda8 (1989–2016)
- センティア/929 (1991~1998)
- デミオ/Mazda2 (1996–2014)
- プレマシー/Mazda5 (1999–2017)
- RX-8 (2003–2012)
- CX-7 (2006–2012)
- ビアンテ(2008–2017)
- CX-3 (2016–2022)[注釈 2]
エネルギーセンター(火力発電施設)
[編集]マツダは日本国内の自動車メーカーで唯一、生産工場内に自社で火力発電所(「エネルギーセンター」と呼称する)を設置し、生産活動に要する電力の多くを施設内で賄う態勢を採ってきた[9]。本社工場においては、宇品地区の南東側に石炭火力発電施設2基(出力合計10.6万 kW)から成るエネルギーセンターを設置し、工場の所要電力の80 %と、所要の蒸気の全量が賄われた[10]。他に、市中の電力逼迫期を中心に外部への電力販売も行われた[11]。
燃料の石炭は、宇部港の沖の山コールセンター及び徳山下松港のコールセンターから搬入された[12]。
エネルギーセンターの運営は、2008年までは直営であったが、同年4月以降は、マツダと三菱商事が合弁で設立したMCMエネルギーサービス株式会社による運営となった[13]。
マツダは、2023年に、2030年までに二酸化炭素排出量を2013年度比で69%削減し、2035年までに自社工場のカーボンニュートラルを達成する目標を公表した[14]。その一環として、工場のエネルギーセンターの燃料を2030年までにアンモニア専焼に移行する計画を併せて発表した[14][15]。
その後、アンモニア燃料の実用化見通しや、欧州の環境政策転換等を踏まえてマツダは2025年に計画を修正し、アンモニア専焼への移行は断念した[10][16]。修正後の計画では、本社工場エネルギーセンターの石炭火力発電施設を廃止し、LNGを原料とした都市ガスを使用するコジェネレーション施設に置き換えることとした[16][17]。能力は、蒸気については工場の所要全量を賄えるものとし、電力については既存施設の半分程度の5万 kWとして、不足分は外部の電力事業者から供給を受ける[17]。施設は、将来的な燃料の水素への移行や能力増強による電力内製化に向けて拡張性を持たせるものとした[10]。コジェネレーション施設は、川崎重工業製のグリーンガスエンジンやグリーンガスタービンによるシステムの採用を想定した[16][17]。2030年までの移行を想定している[10][16]。
計画修正により、2013年度比での二酸化炭素排出量削減は、当初計画の69%から日本政府の目標と同等の46%以上に引き下げた[10][16]。
脚注
[編集]- 注記
- 出典
- ↑ “会社案内”. マツダ. 2022年10月17日閲覧。
- ↑ “【MAZDA】日本での活動|地域別の活動”. マツダ. 2022年10月21日閲覧。
- ↑ “走るヨロコビの裏側に zoom-zoom ! マツダミュージアム”. しゃかいか!. 株式会社TAM. 2022年10月21日閲覧。
- ↑ Garrett, Mike (2013年9月16日). “Welcome to Hiroshima: Visiting the Home of Mazda”. SpeedHunters. 2018年5月24日閲覧。
- ↑ “【MAZDA】アクセス|マツダミュージアム”. マツダ. 2022年10月21日閲覧。
- ↑ “マツダ、宇品第2工場閉鎖/従業員らを配置転換”. 四国新聞. (2001年9月14日) 2022年10月19日閲覧。
- ↑ “マツダ…宇品第2工場を再開、本社工場は閉鎖へ”. Response. 株式会社イード (2004年4月21日). 2022年10月19日閲覧。
- ↑ “マツダが「CX-3」の生産を海外に移管する理由”. 日刊工業新聞. 2025年11月29日閲覧。
- ↑ マツダ株式会社 『自動車生産工程で発生するCO₂、どうやったら減らせる? - 高校生が問うクルマの未来 - 』(2025年12月27日閲覧)
- 1 2 3 4 5 2025年9月30日付日刊工業新聞『マツダがアンモニア発電断念 30年に自営石炭火力廃止 - 』(2025年12月27日閲覧)
- ↑ 2012年7月31日付日本経済新聞『マツダ系発電会社、中国電に売電開始』(2025年12月28日閲覧)
- ↑ 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構「令和5年度海外炭開発支援事業 海外炭開発高度化等調査 『主要産炭国からの石炭(一般炭・原料炭)輸出に関するインフラ・サプライチェーンなどの状況調査』」p.97・pp.166-177(2025年12月27日閲覧)
- ↑ マツダ株式会社 2006年1月18日付ニュースリリース『三菱商事とマツダがエネルギー供給会社を設立』(2025年12月27日閲覧)
- 1 2 マツダ株式会社 2023年12月14日付ニュースリリース『マツダ、カーボンニュートラル実現に向けた中間目標とロードマップを具体化』(2025年12月27日閲覧)
- ↑ 2024年2月21日付日経ESG『マツダがアンモニア「専焼」に挑む』(2025年12月27日閲覧)
- 1 2 3 4 5 マツダ株式会社 2025年9月30日付ニュースリリース『マツダ、カーボンニュートラル実現に向けたロードマップをアップデート』(2025年12月27日閲覧)
- 1 2 3 2025年10月1日付MONOist『マツダが工場の石炭火力発電をLNGのコジェネに、早期のCO2削減に期待』(2025年12月27日閲覧)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 日本での活動 - マツダ