マシュマロ
マシュマロ、マシマロ(英語: marshmallow)は、メレンゲにシロップを加え、ゼリーで固めて粉をまぶした菓子。ソフトキャンディーの一種である[1]。
歴史
[編集]アオイ科のウスベニタチアオイの英語名であるマーシュ・マロー(marsh mallow)に由来する[2]。元はこの植物の根を古代エジプトの王族がすりつぶしてのど薬として使っていた[3]。このウスベニタチアオイのエキスと蜂蜜を混ぜたのど飴から、19世紀フランスの菓子職人が砂糖を加えて菓子として完成させた。これは植物エキスの粘りを利用したものだったが、19世紀後半にはゼラチンと泡立てた卵白の粘りで代用する現在のかたちに変化している[4]。
フランス語でも、植物名 marshmallow のフランス語名 Guimauve(ギモーヴ)がそのまま菓子名になっている[2][3]。
もとは、この植物の抽出液と砂糖、卵を混合して起泡したものであった[1]。しかし、現代の製法では、この植物は使われない。現代では一般的に砂糖と水飴を煮詰めた糖液を起泡して作られる[1]。
アメリカ合衆国などでは泡立てた卵白を主体に、ゼラチンや砂糖、香料を加えてふわっとした食感にしたものが好まれる[5]。一方、フランスのギモーヴは果汁を多用する点に特徴があるとされ、フランボワーズ(ラズベリー)のギモーヴであれば、そのピュレをたっぷりと加えて作られるなど特徴が異なる[5](後述)。
日本においては、1892年(明治25年)に風月堂が初めてマシュマロを販売、その際に「真珠麿」の漢字が当てられたと当時の新聞で報じられている[6]。しかし、1887年(明治20年)創業の岡山県岡山市の下山松壽軒(つるの玉子本舗)が創業と同時に日本初のマシュマロ菓子「つるの玉子」を発売したとする説もある[7]。
製法
[編集]一般的な製法
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現代では、砂糖、卵白、ゼラチン、水飴を原料とする[8]。この配合比率を変えることで食感を変化させることができる[1]。
まず、ゼラチンを戻しておく。次に、鍋に砂糖・水あめ・水を入れて火にかけ、煮詰めて熱いシロップを作る。泡立てた卵白(メレンゲ)に、熱いシロップを糸を引くように落としながら混ぜ入れ(いわゆるイタリアンメレンゲ)、さらに、戻しておいたゼラチンを素早く混ぜ、十分に泡立てる。型にコーンスターチと粉砂糖を振っておき、生地を入れ固める[9]。成型後、くっつかないよう、デンプン(コーンスターチなど)が表面にまぶされる。
菓子メーカーの量産品では、卵白を使わず、ゼラチンとコーンスターチ、時には大豆タンパクや増粘剤などを使っていることが多い[10]。
白いマシュマロ以外に、チョコレート、イチゴ香料、バナナ香料や着色料を加えた色つきのマシュマロもある。また、中心部にジャムなどを詰めた商品もある[11]。
ギモーヴ
[編集]フランス菓子としてのギモーヴは、メレンゲ(卵白)は使用されずフルーツピューレにゼラチンを加て泡立てて固める[3]。ただしメレンゲを使う製法のほうが簡単であるため、洋菓子店によってはメレンゲを使用することもある[3]。ギモーヴはフルーツ由来の味や香りがするのに対し、マシュマロは砂糖や香料の味と香りがするといった味わいの特徴に差がある他、ギモーヴのほうが柔らかく、マシュマロのほうが弾力があるといった食感の違いもある[3]。
形状は基本的には四角形(サイコロ型)であるが、ひねった棒状にしたものもある[5]。
食べ方
[編集]マシュマロはそのまま食べる菓子であるが、北米では、キャンプファイヤやバーベキューの際にマシュマロを串に刺すなどして直火で焼いてとろけさせ、そのまま熱いうちに食べることも多い[12]。漫画『ピーナッツ』の中で、スヌーピーや彼の兄・スパイクがマシュマロを焼く場面は有名である。また映画『ゴーストバスターズ』に登場するマシュマロマンも炎で炙られてよりおいしそうに描かれている。
焼いたマシュマロをチョコレートと一緒にクラッカーではさむ、S'more(スモア:元々はSome moreと呼ばれ、後程S'moreに縮約)というデザートも食べられている。
ホワイトデー
[編集]日本独自の慣習として、バレンタインデーに女性からチョコレートを貰った返礼として、特定の日に男性から女性にそのお返しをするという風潮が生まれた。諸説あるが、菓子業界では1970年代に入ってから、個々に独自の日を定めて、ビスケットやマシュマロ、キャンデー等を「お返しの贈り物」として宣伝販売するようになった。この動きをキャンデーの販売促進に結びつけ、全国飴菓子工業協同組合(全飴協)関東地区部会が「ホワイトデー」として催事化した。1978年、全飴協の全国総会で「キャンデーを贈る日」として制定され、2年の準備期間を経て、1980年に第1回の全国規模のホワイトデーが開催された。飴の材料である砂糖が白色だったため、「白=ホワイト」からホワイトデーと命名された。
マシュマロもこの例に洩れず、3月14日がマシュマロデーと呼ばれていたという説もある。これは、福岡市の菓子店・石村萬盛堂が、昭和52年に「バレンタインデーのお返しにマシュマロを」というキャンペーンを百貨店と共同で行ったことに因むもので、これがホワイトデーの起源であるとしている。現在でも、石村萬盛堂は毎年ホワイトデー近くなると「ホワイトデーはマシュマロデー」というキャッチコピーでキャンペーンを行っている[13]。
出典
[編集]- 1 2 3 4 西 博史「ゼラチンとキャンディー類への利用について」『繊維学会誌』第65巻第12号、繊維学会、2009年、449-452頁、doi:10.2115/fiber.65.P_449。
- 1 2 “薬用植物園だより 2025年7月号”. 大阪医科薬科大学薬用植物園. 2025年12月12日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “製菓衛生師が教える「ギモーヴ」の作り方。マシュマロとの違いもチェック”. macaro-ni (2023年1月15日). 2023年2月5日閲覧。
- ↑ 大森由紀子『フランス菓子図鑑 お菓子の名前と由来』 64頁 世界文化社
- 1 2 3 𠮷田 菊次郎「製菓における果汁との関わり」『日本食品科学工学会誌』第71巻第7号、日本食品科学工学会、2024年、259-267頁、doi:10.3136/nskkk.NSKKK-D-24-00012。
- ↑ 「日本で最初にマシュマロを発売したのはどこか知りたい。」(大阪市立中央図書館) - レファレンス協同データベース。原典は1892年7月6日朝日新聞朝刊3ページ、1892年7月6日読売新聞朝刊2ページ、および「近代日本食文化年表」(雄山閣出版)61ページである。
- ↑ 岡山で130年続くマシュマロ和菓子「つるの玉子」、新ブランド開発に挑戦 岡山経済新聞(2017年5月22日) 2018年1月17日閲覧。
- ↑ “マシュマロは何からできているの? - マシュマロ情報サイト エイワのマシュマロ 株式会社エイワ” (2021年7月28日). 2024年5月25日閲覧。
- ↑ 『お菓子の基本大図鑑』、286頁。
- ↑ “ミニスターマシュマロ・ホワイト 250g”. buscofoods 公式オンラインストア. 2024年5月25日閲覧。
- ↑ “マシュマロのおすすめ人気ランキング39選【2024年】”. マイベスト. 2024年5月25日閲覧。
- ↑ History of Campfire Marshmallows Archived 2011-11-03 at the Wayback Machine.
- ↑ “ホワイトデーはここからはじまった / 石村萬盛堂 ホワイトデーの発祥”. www.ishimura.co.jp. 2025年3月14日閲覧。
参考文献
[編集]- 『お菓子の基本大図鑑 : ガトー・マルシェ』大阪あべの辻製菓専門学校, エコール・キュリネール国立監修、講談社、2001年。ISBN 4-06-209577-7。
関連項目
[編集]- マシュマロ実験 - 心理学の実験。
- 石村萬盛堂 - ホワイトデー発祥。マシュマロメーカー。
- エイワ (菓子メーカー) - マシュマロメーカー。
- 久保律子 - マシュマロ研究家。
- チャビーバニー - マシュマロを使った主に欧米で楽しまれるゲーム。
- 淡雪
- マシュマロマン - ゴーストバスターズのキャラクター。
- おじさんとマシュマロ
- マシュメロ - アメリカ合衆国のミュージシャン、DJ、音楽プロデューサー。
- Android - Android 6.0のコードネームがマシュマロとなっている。2015年10月6日にリリースされた。
- スタートレックV 新たなる未知へ - 劇中キャンプファイヤーでマシュマロを焼いて食べるシーンがある。
外部リンク
[編集]- 株式会社エイワ. “マシュマロ情報サイト EIWA Marshmallow”. 2012年3月15日閲覧。
- 青木繁伸 (2008年1月28日). “マシュマロウ”. Botanical Garden. 群馬大学社会情報学部. 2012年3月15日閲覧。