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マケドニア語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マケドニア語
Македонски
話される国 北マケドニア共和国の旗 北マケドニア
 ブルガリア
セルビアの旗 セルビア
モンテネグロの旗 モンテネグロ
ギリシャの旗 ギリシャ
アルバニアの旗 アルバニア
地域 バルカン半島
話者数 200万人
言語系統
表記体系 キリル文字
公的地位
公用語 北マケドニア共和国の旗 北マケドニア
少数言語として
承認
アルバニアの旗 アルバニア
統制機関 北マケドニア共和国の旗 「クルステ・ミシルコフ」マケドニア語研究所英語版マケドニア語版
言語コード
ISO 639-1 mk
ISO 639-2 mac (B)
mkd (T)
ISO 639-3 mkd
マケドニア語が主に話される地域
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マケドニア語(マケドニアご、マケドニア語: македонски јазик)は、主として北マケドニアで使用されている言語である。インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派南スラヴ語群に属する。

マケドニア語はブルガリア語と近縁で、セルビア・クロアチア語とも類似性がある。また、別系統のルーマニア語ギリシア語アルバニア語などとも共通の特徴があり、バルカン言語連合と呼ばれる。

マケドニア語は北マケドニアとアルバニア(2019年~)の公用語である他、セルビアモンテネグロギリシャでも一部で使われている。

記述の際にはキリル文字を使用する。19世紀から文学言語としての模索が始まり、1945年に当時のユーゴスラビア連邦内のマケドニア共和国で標準語として公式に制定された。

歴史

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アレクサンドロス大王で有名な古代マケドニア王国で話されていた古代マケドニア語は、古代ギリシア語に近い、あるいはその方言とされる言語であり、スラヴ語である現代のマケドニア語とは系統が異なる。現代のマケドニア語の祖先は、6世紀から7世紀にかけてバルカン半島に進出したスラヴ人が持ち込んだ言語(スラヴ祖語)である。

中世には古代教会スラヴ語の形成に重要な役割を果たした。長らくブルガリア語やセルビア語の方言とみなされるか、あるいはその影響下にあったが、近代においては民族文化運動を通じて独自の言語意識が高まり、クルステ・ミシルコフ英語版マケドニア語版の理論などを基礎として標準語としての体系が整えられた。

「マケドニア語」という名称にはギリシャとブルガリアの両方からクレームがある。ギリシャ側はマケドニア名称論争に関連して「マケドニア語」という言語名を問題視することがあったが、2019年の両国合意でギリシャ側は言語名の「マケドニア語」を容認するようになった。一方、ブルガリア側は「マケドニア語」を独立した言語ではなく、ブルガリア語の一方言とみなし、両国の国際関係および北マケドニアのEU加盟交渉などの政治面にも影響を及ぼす[1][2]

マケドニア語で使われるキリル文字

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大文字 小文字 羅文 カナ
А а a
Б б b
В в v ヴェ
Г г g
Д д d
Ѓ ѓ gj ギェ
Е е e
Ж ж zh ジェ
З з z
Ѕ ѕ dz ジェ
И и i
Ј ј j
К к k
Л л l エル
Љ љ lj リュ
М м m エム
Н н n エヌ
Њ њ nj ニュ
О о o
П п p
Р р r エル
С с s エス
Т т t
Ќ ќ kj キェ
У у u
Ф ф f エフ
Х х h
Ц ц ts ツェ
Ч ч ch チェ
Џ џ dj ジェ
Ш ш sh シェ

文法

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名詞

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マケドニア語の名詞には、男性・女性・中性の3つがある。性の区別は語尾の形によって判断される。

  • 男性名詞:ほとんどが-子音字で終わる
例)автобус(バス) весник(新聞) леб(パン) човек(人)
  • 女性名詞:で終わる
例)музика(音楽) книга(本) книжарница(本屋) маса(机)
  • 中性名詞:-оまたは-еで終わる
例)писмо(手紙) дете(子ども) кафе(コーヒー) училиште(小学校)

名詞の複数形

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◎男性名詞

男性名詞の複数形は以下の4つの変化形に分けられる。

男性名詞の複数形
1. -子音字で終わる

⇒-и

2. -аで終わる

⇒-и

3. 一音節しかない男性名詞

⇒-ови, -еви

4. -оで終わる

⇒-овци

単数 студент(学生) колега(同僚) леб(パン) татко(父)
複数 студенти колеги лебови татковци
  1. 子音字で終わるほとんどの男性名詞には、語尾にが付けられる。
    ただし、-к, -г, -хで終わる男性名詞は、それぞれ    へと変化させてからを加える。
    例)учебник—учебници(教科書) прилог—прилози(副詞) успех—успеси(成功)
    また、単数形とは全く異なる変化をする男性名詞複数形もある。例)човек—луѓе(人)
  2. 語尾が-aで終わる男性名詞はまれだが、-aが脱落してが付けられる。
  3. 一音節しかない/一つの単語に母音が一つしかない男性名詞には、語尾に-ови, -евиが付けられる。
    例)парк—паркови(公園) чај—чаеви(お茶) број—броеви(数)
    例外中の例外)брат—браќа(兄/弟)
  4. -oで終わる男性名詞(主に親族関係の言葉)は-овциが付けられる。
    例)татко—татковци(父) дедо—дедовци(祖父)

◎女性名詞

語尾の-aを-иに変化させる。例)куќа—куќи(家) мајка—мајки(母) ќерка—ќерки(娘)

◎中性名詞

中性名詞の複数形は以下の3つの変化形に分けられる。

中性名詞の複数形
-oで終わる⇒-a -eで終わる⇒-иња це, ие, ште, њеで終わる

⇒ца, иа, шта, ња

単数 писмо(手紙) кафе(コーヒー) јајце(卵) училиште(小学校)
複数 писма кафиња јајца    училишта

定冠詞

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マケドニア語の定冠詞は、名詞の語尾に直接接がれる後置冠詞である。定冠詞の形の種類は以下の4つである。ヨーロッパにおける多くの言語の定冠詞が、名詞の性・数に従うのに対し、マケドニア語においては名詞の性・数ではなく語尾の文字に依拠する特徴がある[3]

名詞の語尾パターン 子音字で終わる аで終わる о/eで終わる、и/уで終わる外来語 иで終わる
定冠詞のパターン -от -та -то -те
・универзитет (大学) ⇒

универзитетот

・Македонец (マケドニア人)⇒ Македонецот

・деца (子どもたち ※複数形) ⇒ децата

・браќа (兄弟 ※複数形)⇒ браќата

・такси (タクシー) ⇒

такусито

・луѓе (人々) ⇒ луѓето

・татковци (父 ※複数形) ⇒ татковците

・книги (本 ※複数形) ⇒ книгите

脚注

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  1. ^ Republic of North Macedonia with Macedonian language and identity, says Greek media” (英語) (2018年6月12日). 2023年3月30日閲覧。
  2. ^ 野町素己. “燻り続けるブルガリア語・マケドニア語問題は解決するか:最近の論争とその背景”. 2023年3月30日閲覧。
  3. ^ Macedonian LEARNER'S GRAMMAR BAGINNER TO UPPER-INTERMEDIATE. SKAZALK Languages. (2021). p. 31 

関連項目

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外部リンク

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