マイホームヒーロー

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マイホームヒーロー
ジャンル クライム・サスペンス
漫画
原作・原案など 山川直輝
作画 朝基まさし
出版社 講談社
掲載誌 週刊ヤングマガジン
レーベル ヤンマガKCスペシャル
発表号 2017年26号 -
巻数 既刊12巻(2020年9月現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

マイホームヒーロー』は、山川直輝原作、朝基まさし作画による日本漫画。『週刊ヤングマガジン』(講談社)にて2017年26号より連載中。

あらすじ[編集]

第一部[編集]

主人公 鳥栖哲雄は平凡なサラリーマン。推理小説オタクであり、趣味で推理小説を50本も書いてネットで公開しているほど、ミステリの殺人トリックや殺害方法を知り尽くしている。やや物騒な趣味ではあるが、これまで妻と娘の3人で幸せな家庭を築いてきた。

ある日、一人暮らし中の大学生の娘 零花に久しぶりに会った際、顔に暴力の痕跡を見つける。暴力を否定した零花と別れた直後に、路上でガラの悪い若者の集団と遭遇。彼らの会話の内容から、そのうちの一人が娘の彼氏であるらしいこと、また暴力を振るったことも聞き取れたため、尾行し確かめようとするが仲間に見つかり痛めつけられる。

翌日、会社を休み娘のマンションで手がかりを探っていた所、突然その男が訪ねてくる。とっさにクローゼットに隠れて電話を盗み聞きしているうちに、妻 歌仙の実家の財産を奪い取るために零花に近づいたことや、過去に女性を殺害していることなどが分かり驚愕する。そして自分が尾行されていたことを知らされ、それが零花の差し金であると勘違いした男は「零花も殺す」と電話相手に喚きだした。娘を守るため、哲雄はこの男を殺すことを衝動的に決意。不意を突いて急襲し撲殺した。哲雄は、偶然部屋を訪ねてきた妻と共に、推理小説で培った持ち前の知識で死体をバスルームで処理して証拠隠滅を図ろうとする。

しかし、撲殺した男 麻取延人は犯罪組織(半グレ)のメンバーで、かつ、組織上層部の凄腕の詐欺師 麻取義辰の息子であったことから、徹底した行方探しが始まる。半グレたちは延人の失踪の前後状況から哲雄を疑い、自宅を徹底マークするだけでなく盗聴器を仕掛け、さらには拉致して尋問を交えながら追い詰めていく。

歌仙と零花を守るため、偽証を続ける哲雄に、半グレの実行部隊のリーダー格の青年 間島恭一は、一週間以内に延人を発見できなければ殺すと脅迫する。反社会的勢力の闇の世界に堕ちていきながらも、緻密に筋書きを作りあげ、恭一を騙し逃れようとする哲雄……。サラリーマンと半グレ。命がけの駆け引きが幕を開ける。(第6巻 第48話まで)

第二部[編集]

恭一を延人殺害の犯人に仕立て上げ、自殺した麻取義辰の死体を山中に遺棄した哲雄。だが、哲雄の知らぬ間に鳥栖家は遺産受取人として零花を指名しており、半グレ達は零花をターゲットとして狙っていた。そんな中、4人の若い男たちが零花に接触するようになる。

そのうち、零花と同じキックボクシングジムに通っていた 金井憲広が「逃亡した恭一」と関係があったことが判明し、半グレ達に殺害される。恭一は組織を潰すべく、哲雄に半ば脅迫めいた共闘を持ちかけ、警察に自首して組織の情報を供述する。また、紫楽来 杉山と名乗る謎の占い師が零花の前に時折現れ、零花に対し将来起きる出来事を暗示する。

さらに、大学生に成りすました 石井信が、零花に金井の通夜に出ないかと新潟に誘う。しかし石井信は、半グレのメンバーであった。バイト仲間として零花に接触していた「哲雄の小説ファン」でもある高校生 小沢謙信の推理もあり、哲雄は零花を拘束していたと思われる場所を見つける。そこで石井信を始末していたのは、鳥栖家の裏側で活動しているヤクザとされている男であった。

ほどなく、事件の真相は旧知の刑事 安元浩司に暴かれ始め、哲雄は自身の逮捕を予見する。逮捕の前に零花を歌仙に託すため、歌仙の実家がある群馬県に向かい車を走らせる。車中では零花に歌仙との出会いや結婚の経緯を語るなど、多くのページが零花の生まれる前の出来事に割かれる。

やがて、哲雄と半グレの対立の舞台は歌仙の実家のある村に移る。村に入った半グレ達は哲雄の身柄の引き渡し要求をするが、歌仙の父親 鳥栖郷一郎が教祖となっているカルト教団の関係者はこれを拒否。メンツを潰された半グレ達は哲雄の命を狙い、カルト教団相手に抗争を繰り広げていく。

登場人物[編集]

鳥栖家[編集]

哲雄とその家族[編集]

鳥栖 哲雄(とす てつお)
おもちゃメーカーの営業職をしている。47歳。ネット通であり、趣味で推理小説を執筆。ネット上にたびたび投稿し、同好の士達と交流するのを楽しみにしている。家族との会話で「うん」と答えるところを「おん」と答える口癖がある。
旧姓は苗場。両親を高校時代に交通事故で亡くしている。大学時代はのちに結婚する歌仙と同じ演劇サークルに所属し脚本を書いていた。“あんな家”から歌仙を守るため、自由を歌仙に教えるため結婚を決断している。早くして孤独の身になった影響から家族への愛情は人一倍強く、特に娘を溺愛し、毎年誕生日に娘からもらうプレゼントを大切にコレクションしている。
男(麻取延人)を撲殺した後、執筆のネタ集めで得た知識を駆使して死体を処理するなど偽装工作をして半グレ組織の追及をかわそうとするが、全て上手くいったわけではなく、組織に拉致され頭皮を切られるなど、暴力を伴う尋問を受ける。また、口封じのため敵対組織構成員の死体解体を強要され、その様子を動画撮影されるなど数々の辛苦を味わう。また不注意から自身ばかりでなく妻の歌仙にも危機が及んだりした。
しかし、基本的には頭の回転が早く咄嗟の状況判断に優れており、限られた時間の中で緻密な計画を練り、運も味方したところで間島恭一を延人殺しの犯人に仕立て上げることに成功する。
組織からの解放後、真相を知った麻取義辰に殺されかけるが切り抜け、目の前で自殺した麻取の死体を山中に埋める。平穏な日常が戻ったかに思えたが、大雨により麻取を埋めた山で土砂崩れが発生。様子を見に行ったところで偶然旧知の刑事・安元と再会。以後、警察からも疑いの目を向けられるようになり、殺人・死体損壊・死体遺棄の罪に苛まれるが、家族への愛情でそれらを乗り越えようとしている。また、麻取が貸し倉庫に隠していた多額の現金を見つけた上に手をつけ、家族を守っている。
後々の逮捕を予見しており、妻・歌仙、娘・零花に影響が及ばぬよう「離婚」を決意する。二人が自分自身を忘れてもらうよう、大切にコレクションしていた娘からのプレゼントを処分しながら、安元から物的証拠のないフェイクを含んだ「自首を促す言葉と諭し」を真に受け、警察に「自首」を決意する。自首前に離婚のサインをもらうため、零花と共に家族最後の旅として、歌仙の実家のある群馬県に車で向かう。
その車中で、自らの生い立ち、小説家志望だったこと、歌仙の実家がカルト教団であること、結婚することができた経緯を語ったのち、零花に対し親子関係が終わる覚悟で「彼氏を殺害したこと」の告白を始めようとするが、直前にラジオニュースで安元が殺害されたことを知り、いまだ危険は取り除かれていないと告白・自首を思いとどまる。
実家のある村に到着早々、鳥栖洋二によって離婚届を暴かれたり、歌仙や零花と離れ離れになるなど、軟禁状態に置かれてしまう。やがて村に侵入した小沢謙信とコンタクトを取ることができるようになるが、謙信の言葉に対し「殺せば終わるんじゃない!殺したから始まったんだ!」と自らの状況を再認識、自身が招いた悪しき状態と苦闘している。
監視人の隙を突いたことで軟禁状態から逃れ、歌仙と零花を探すため村内を彷徨ったことにより、新勢力である後述の「甲斐」にも追い詰められる。
その後、村の奥にある立ち入り禁止の神社で、トランス状態に陥った「オガミメ」修行中の歌仙を発見する。自身も直前に幻覚を見たことから、お香に含まれた薬物の吸引と判断。そのような状態に陥った歌仙を見て、妻を追い込む義父鳥栖郷一郎や、自身を追って村に入り込み、自身の運命を変えてきた半グレに対し、倫理観を超えた猛烈な敵愾心を抱く。
鳥栖 歌仙(とす かせん)
専業主婦。41歳。資産家である呉服屋「和服の鳥栖」の娘だが、哲雄との結婚に反対されたことから、実家とは絶縁状態にある。
夫が人を殺したと知っても取り乱したりせず、協力して事態の隠蔽を図るなど胆の座った性格。半グレ組織に縛り上げられても気丈に応対したり、自宅に来た恭一に“下剤入りのコーヒー”を飲ませるなどの立ち振る舞いを見せた。
哲雄の発案に従い、恭一の自宅に侵入し証拠品を置くなど、恭一を延人殺しの犯人に仕立て上げることに加担している。
歌仙の母親は、神道カルト教団の「オガミメ」として祭祀を行う立場の老女であり、ガンに罹患していることから後継ぎとしての「オガミメ」を歌仙に、そして零花に継ぐように強く望んでいる。歌仙は零花に「オガミメ」を継がせないよう村に戻り話し合いを行う。
しかしながら、零花の将来を守るため、脱走と権力譲渡を想定しながら最高権力者となりうる「オガミメ」を表面的に受け入れた。哲雄と距離を置き、“毒抜き”とするカルト教団の修行に励むようになる。なお、その修行の実態は、お香に含ませた薬物吸引による人格改造だった。
幼少時からカルト教団が運営する、四方を山で閉ざされた村で自給自足の集団生活を送っていた。のちに村を脱走し哲雄と出会う。日本の貨幣社会や教育制度を全く知らず、哲雄によって一般社会に順応してきたことが明らかとなった。
鳥栖 零花(とす れいか)
哲雄・歌仙の一人娘。18歳。大学進学を機に一人暮らしを始めており、初めての彼氏となった延人からDVを受けていた。反抗期のため父親の哲雄には冷たく当たる。
自身の知らぬ間に鳥栖家の5億円以上におよぶ遺産相続人に指名されており、それがきっかけで半グレ組織に付け狙われることになる。当初は両親が危険を犯し組織と渡り合っていることに全く気付いていなかったが、徐々に闇の組織の存在に気づき始める。
自分に好意を持ってくれていた金井が死亡したことを知ると、生来の正義感から危険を冒すようになり、石井信の連れ出しに応じるなど、両親に心配を与えてしまっている。
歌仙の実家がある村に哲雄と共に到着し、一旦歌仙と面会するも、のちに引き離された歌仙を探すために村内で単独行動に出る。その後、初めて会う祖父の鳥栖郷一郎に捕まり強姦寸前の脅しに遭った結果、やむなく「オガミメ」の後継を受け入れ修行を始めてしまう。なお、受け入れは「オガミメ」の後継を産ませるため、歌仙に“種付け”を企んだ郷一郎から母親を守るためであった。
松田月夜見らの指導による修行を表面的に受け入れたものの、内心はカルト教団に対する敵対心を育み続けており、脱走したのち警察の手を借りながら父母を助けるプランを持つ。

その他の鳥栖家の人々[編集]

鳥栖 胡蝶(とす こちょう)
歌仙の異母姉。零花を鳥栖家の遺産相続人と決めたうちの一人。相続人取り下げの懇願のため、20年ぶりに会いに訪れた歌仙を罵倒するなど、父親から引き継いだ呉服屋「和服の鳥栖」を実質取り仕切っている。
鳥栖 洋二(とす ようじ)
歌仙の従兄弟で郷一郎の甥。鳥栖家暗部のカギを握るヤクザで、村の用心棒役も兼ねながら、村に入った哲雄を監視する。かつては零花にとって危険な存在であった石井信を見つけて排除している。
教団の経典や教義は信じておらず、教団による薬物を使った人格改造も醒めた目で見ている。拳銃を隠し持ち、村を訪れた窪に「再び訪れたら殺す」と脅迫するなど、武闘派の片鱗を見せている。
鳥栖 郷一郎(とす ごういちろう)
歌仙の父。妻の詐術を背景に神道系カルト教団の教祖として君臨。才能もあり、自らの放つ言葉はあらゆる人を寄せ集めている。
元々は五代続く呉服屋の当主であり、聡子という女性(胡蝶の母)との婚約も決まっていたが、その後出会った天照の霊能者的な能力に惚れ込み、胡蝶を引き取って聡子と別れ、天照と共に新しい宗教団体を作る事を決意した。オイルショックなど当時の日本の情勢も相まって、原点回帰を掲げる教団の信者は増え続けた。そのため、山の奥に文明社会と切り離して信者だけで住む宗教村を作った。なお、この村自体の登記は全て郷一郎の私有地であり、市販の地図にも掲載されていない。
結婚前は童貞であったが、天照との結婚後は性欲も増していき、村の子供たちの多くは郷一郎の非嫡出子となっているなど、自身の村の独裁者的な側面を持つ。
孫の零花に対しても、「オガミメ」を産んでもらう目的で強姦まがいに脅した結果、後継を決意させている。
鳥栖 天照(とす てんしょう)
歌仙の母。カルト教団のシンボルである「オガミメ」として、霊に憑依されるなどの詐術を用い祭祀を行っている。ガンに罹患しているが教団の経典に従い、病院にかかることなく先は長くないとされている。
鳥栖 次郎(とす じろう)
郷一郎の弟で、鳥栖洋二の父親。鳥栖家および教団が外部との間でトラブルを抱えた場合、暴力で解決するためのヤクザ組織を教団の裏側で率いている。対峙した窪に「誰を相手にしているのか理解できないのか?」「俺はお前らがガキの頃からこの世界で生きている」と格と器の違いを見せつける脅しを行う。
また、社会と断絶した村の特性を生かして違法薬物の栽培を行い、それを外界との人脈を生かして売りさばいたり、マネーロンダリングを行うなど非合法な商売で教団の資産を爆発的に増やしている。
そのため、教団が拡大した理由は、非合法で得た資金による成果と考えており、教義によって拡大したと考える兄の郷一郎とは密かに教団内部で対立している。かつて何者かの謀略で、次郎一家の食事に毒が盛られたことがあり、それ以降は表面的に郷一郎に従うようになる。
しかし、内心は資金の返還を郷一郎に求め、息子の洋二と共に次世代の「オガミメ」歌仙・零花を手なずける策略を持つ。郷一郎を陥れることにより資金の返還と教団の乗っ取りを画策している。

半グレ組織[編集]

間島 恭一(まじま きょういち)
半グレ組織に所属する20歳の青年。盗聴やピッキングなど犯罪知識を豊富に有し、状況判断と行動力にも優れるため、若年ながら実働部隊のリーダーとして組織内で重要な位置にいる。延人失踪後にいち早く哲雄を疑い、拉致して尋問するなどの実力行使に出るが、独断行動と組織に判断され、指揮権を剥奪された。立場が危うくなったところで、哲雄からの提案で彼と一時的な協力関係を築き、(すでに死んでいる)延人捜索を共同で進めることになった。
実家は創業50年の大衆食堂を経営していたが、12年前に父親がヤクザと揉め自殺したことで廃業。この体験から「世の中は力こそ正義」「力がなければ正義を貫くことさえ出来ない」と考えるようになり、自身の行動規範になっている。母親とは離れて暮らすが、身の回りの面倒を見ており、組織で稼いだ金で母と一緒に食堂を再開する夢を持つ。
哲雄の策略によって延人殺しの犯人に仕立て上げられたため、組織に捕縛され殺害されそうになるが、隙をみて逃走に成功する。組織に追われる身になったが、その後は中学時代からの友人である金井に匿われていた。哲雄を通じ、金井が組織に殺害されたことを知ると、“石井信”の殺害を哲雄に要求している。ほどなく組織を壊滅させるために警察に自首し、組織の情報を供述する。
志野(しの)
半グレ組織のトップ。暴力団「間野会」に所属し、半グレ組織を作り上げた男。詐欺師の才能を見抜き、麻取義辰を組織に引き抜いた。警視庁組織犯罪対策部の一人を買収しており、警察内部の情報を得ている。
鳥栖家の財産を奪う目的で「和服の鳥栖」にあらかじめ女性部下を新入社員として送り込んでいる。窪からの依頼で鳥栖哲雄殺害のための武器を手配する傍ら、部下たちに呉服店や鳥栖胡蝶の自宅に侵入を指示し、信者の預金通帳や鳥栖家による脱税などの犯罪的証拠を手に入れている。
窪(くぼ)
半グレ組織のリーダー。志野が所属する「間野会」に出入りするフリーの殺し屋で、本職のヤクザのような雰囲気を持つ強面の中年男。恭一ら若手構成員を統率指揮する立場であると共に、相手を組み伏せる柔術や、銃器類の扱いに長けていることから、躊躇なく殺しを行う。
徹底した合理的思考の持ち主で、組織にとって利益にならないと判断すれば仲間であっても迷わず切り捨てる。延人殺しの疑いが深まった古株の恭一に対してもあっさり見切りをつけ、組織の若手構成員に恭一の殺害を命じる冷酷さを持つ。
恭一が警察に自首したことを起因に、間野会へのメンツが潰れることを恐れた志野の指示を受け、組織崩壊の立役者となった「鳥栖哲雄殺害」の結論が出る。哲雄を追って、歌仙の育った村に入るが鳥栖洋二に追い出される。状況を聞いた志野の決断と手配で、ライフル等の武器が準備されることになり本格的に哲雄の殺害に向け動き出すことになった。
部下らと共に再び村に侵入し、哲雄を匿う教祖ら鳥栖家と拳銃を向け合いながら対峙するが、事前調査不足と鳥栖次郎の肝の座った対応から全面戦争回避を決断する。代わりに、鳥栖郷一郎拉致の秘策を思い立つ。この物語のラストボス的な存在となっている。
麻取 延人(まとり のぶと)/山内 延人(やまうち のぶと)
零花の彼氏で20歳。少年院出所後に父親から誘われ、“コネ”で半グレ組織に加入した。歌仙の実家の財産を狙う組織の指示で零花に近づき、付き合いを始める。
粗暴で感情の起伏が激しく、一度怒ると手が付けられない程暴れる自己中心的な性格で、以前にも2人の女性を衝動的に殴り殺して組織にもみ消してもらったことがある。そのため、窪を始めとする組織から内心疎まれ、失踪後も本気で心配する者はいなかった。更なる娘への暴力を恐れた哲雄によって撲殺され、推理小説の執筆で培った知識を元にその死体は骨を除き跡形なく処理された。
その素行の悪さは繁華街でも有名で、入り浸っていたキャバクラなどの情報が警察によって収集されるなど、組織における存在理由はコネだけであり能力も低かった。
麻取 義辰(まとり よしたつ)/山内 義辰(やまうち よしたつ)
延人の父親で47歳。凄腕の電話詐欺師であり、電話口で何人もの人間を演じ分け言葉巧みに相手を騙し、半グレ組織の収入の多くを一人で稼ぎ出す様は窪からも一目置かれ畏れられている。立場を利用し行方不明になった息子・延人の捜索を窪に命じる。
幼いころより親の敷いたレールを歩み、ひたすら勉強し続け一流企業に就職し家庭も持ったが、勉強以外を知らない歪な育ち方をしたせいで他者との接し方がわからず、自分の家族にさえうまく愛情を表すことが出来なかった。やがて息子・延人が非行に走るなど家庭環境が悪化し、妻とも離婚。仕事も退職し抜け殻のように生きていたところを志野に見出され、組織に加入した。それまでの反動から延人を溺愛しており、自ら組織に招き入れた。
逃走した恭一から電話を受け、延人が殺されたことを内心意識しつつも、零花のマンションに赴く。部屋に居合わせた哲雄の自白によりそれが確信に変わり、哲雄を殺そうとし取っ組み合いとなるが叶わず、哲雄に呪詛の言葉を遺しつつ包丁で腹を突き刺し自殺した。
死体は哲雄によって山の中に埋められた。しかし、土砂崩れにより死体が上がった結果、警察の鑑識によって身元が割れ、本名が「山内義辰」と明らかにされた。
竹田(たけだ)
半グレ組織のメンバー。組織の最古参の一人であり、失脚した恭一に代わり延人捜索の現場指揮を任された。年の離れた恭一とは事あるごとに対立し反目しあっているが、内心では恭一のことを認めている。
恭一を逃がしたことで窪から制裁を受け、その後金井殺害の件で逮捕状の取られた部下3人の口封じを命じられる。彼らへの仲間意識から逡巡しながらも手を下したが、山中で仲間の死体を埋める際、突如現れた窪によって頭を撃ち抜かれ、殺害された。
石井 信(いしい しん)/小泉(こいずみ)
芸能人を目指していたが、竹田の招へいによって半グレ組織に見習い加入する。少女マンガに出てくるようなイケメンであるが、初対面の哲雄に対しタメ口を利くなど生意気な性格。
石井は偽名であり、本名は小泉。本物の石井信が組織に売った学生証の写真を差し替えるなど偽装し、大学生に成りすましている。竹田から延人の後釜として大学生の零花に近づくよう命じられる。
死亡した金井を引き合いに出し、通夜参列のためと零花を騙し連れ出すことに成功するが、その動きを察知した洋二ら鳥栖家の暗部に捕まり、重傷を負わされるが殺されることなく匿われていた。のちにカルト教団に洗脳された状態で、半グレ達の前に再び姿を見せる。

警察関係者[編集]

安元 浩司(やすもと こうじ)
警視庁組織犯罪対策部の警部補。かつて哲雄の父親の部下だった男。哲雄の両親の葬儀を取り仕切ったことから旧知の間柄。市民の敵である犯罪者には人権はないとし、窪たちの組織を壊滅させる野望を持つ。そのためには手段を選ばず、監察にバレれば一発で懲戒免職になるような違法捜査さえ平然と行う。
大雨の影響で麻取を埋めた山が崩れ、状況を見に来た哲雄と偶然現場で居合わせ、土砂崩れとは関係の無い死体が見つかったことを伝える。その後すぐに哲雄に疑いを持ちマークするようになり、これ以降哲雄は一層犯罪者としての葛藤に苛まれることになった。
のちに自首した恭一を取り調べ、金井殺害の容疑者3人の逮捕状を取るなど、組織の壊滅に向け動き始める。
石井信から取り上げたスマホを事件解決の手がかりと考え、警察に持ち込んだ零花を威圧的に取り調べたことにより、徐々に哲雄と半グレの関係を疑うようになる。やがて、哲雄と恭一の接点を見つけ出す。
部下・薬師寺の裏切りと幇助もあり、取り調べの最中にカッターナイフを隠し持った半グレメンバーによって頸部を切られ殺害された。
薬師寺 太一(やくしじ たいち)
安元の部下。犯罪者の人権を無視する言動や、違法捜査も厭わない安元の姿勢を日頃から憂いている。山内義辰の背後を調べるため、キャバクラ嬢「響」のいたキャバクラのガサ入れに安元と共に立ち会い、違法捜査を目の当たりにする。
のちに志野に買収されていたことが判明。薬師寺のリークによって、恭一の取り調べ内容や動向など、警察内部の情報が半グレ組織に渡っている。
安元殺害に関連し、預金通帳の不自然な入金や、警察内部での取り調べの結果、志野からの買収を認めたことにより逮捕。懲戒免職となった。

小沢謙信とその関係者[編集]

小沢 謙信(おざわ けんしん)
零花のバイト先の男子高校生。ネット上の推理小説を読むのが趣味で、HNは「田字草(でんじそう)」。一連の体験をベースに小説を投稿した哲雄に対し「これは実際に体験したことではないか?」と関心を寄せている。かねてから哲雄に会うことを熱望し実現するも、それは哲雄本人から否定されている。その後も零花に近づくために同じバイト先で働き始めたり、零花のマンションに侵入し哲雄が殺人犯である証拠を見つけるなどの行動により、哲雄から警戒される。
反社会的勢力から足を洗いフリーライターになった父親を窪に殺された過去を持つことから、半グレ組織に対する敵対意識を哲雄に伝える。その後は自らの好奇心から本物の石井信を突き止めたり、偽の石井信に拉致された零花を哲雄と共に捜索に協力するなど、哲雄の右腕となる。
後述の甲斐から組織が歌仙の生まれ育った村に向かったとの情報を得ており、村に侵入し哲雄と零花の橋渡し役になる。しかし隙を突かれ、志楽久杉山に身柄を拘束されて村外退去を命じられる。零花の取り計らいもあり解放されるが、村を退去せず入り口に車両破壊用の爆弾を仕掛けるなど、組織への復讐に執念を燃やしている。
しかし、爆破のトリックを見抜かれた上に、窪に狙撃され瀕死の重傷を負ってしまう。甲斐の計らいでなんとか生き延び、哲雄と接触を試みながら軟禁状態の哲雄の解放に向けて模索を始める。
甲斐の死を目の当たりにし、ショックを受けると共に、重傷のため山林の中で横になったままの状態で哲雄と合流。哲雄からの依頼もあり半グレへの復讐を誓う。
甲斐(かい)
小沢謙信の父親の徒弟だった男。暴力団「間野会」の構成員となり、間野会の情報を謙信に伝えている。謙信と共に窪に殺害された謙信の父親の仇を討とうとしている。
間野会からの応援要員として、村に入った半グレ組織と合流し哲雄探しを行う。しかし、謙信と内通していることから、村内で見つけたターゲット、哲雄の存在を黙認する。
その後、窪により謙信との内通が露呈。直ちに窪に組み敷かれ、首の骨が音を立てるほどの力で扼殺された。

村の関係者[編集]

志楽久 杉山(しらく すぎやま)→ 初出時漢字表記[1]、紫楽来 杉山(しらく すぎやま)
自称占い師。たびたび零花の前に現れ、男難の相があるなどと助言した。本名は松田月夜見(まつだ つくよみ)。
その正体は歌仙が育った村の出身者で、祖父母や両親と共にカルト教団の信者であり、零花を監視するために上京し一人暮らしをしていた。
零花が「オガミメ」の後見を受入れたことで帰村。以降「オガミメ」修行の指導役として零花に関わる。
中津 富子(なかつ とみこ)
回想シーンに登場するカルト教団の古参信者。24年前に夫と死別している。面倒見もよく鳥栖家からも村の信者からも信望が厚い。その信望を逆手に取り、哲雄発案のシナリオで、歌仙が富子の夫の霊を降霊させ、夫の霊が富子に話しかけるという芝居を打つ。
村の信者を集めた富子は、村の信者と共に「オガミメ(歌仙)は、世界の平和と人類の安寧のために哲雄と結婚することが責務であり、結婚することで更なる力を得る」という夫の霊言を真に受け、村の信者と共に歌仙の両親である教祖夫妻に、歌仙と哲雄の結婚を認めるよう願い出ている。

その他[編集]

響(ひびき)
延人の交際相手の一人でキャバクラ嬢。殺された他の交際相手達に比べると優しく扱われていたため、延人には好意的な感情を持っており、失踪した延人を本気で心配した数少ない人物。
哲雄に「延人が実は半グレ組織を裏切っていた」という情報を伝え、哲雄が組織の弱みを握るきっかけを与えた。
田端 敏(たばた びん)
哲雄と歌仙の大学時代の演劇サークル仲間。哲雄の発案により歌仙から依頼を受け、延人が生きているように見せる「ニセ映像」作りに参加させられた。なお、本人は本当の使用目的を知らされていない。
金井 憲広(かない のりひろ)
恭一の古くからの友人で20歳の青年。組織から逃れてきた恭一を匿い、事件の内容を知らされると「独自の正義感」から哲雄を憎むようになる。その後個人的な関心もあり、哲雄と零花の様子を監視するために上京する。 零花に近づくため同じキックボクシングジムに入門すると零花の力強さに惚れ、恋心を抱くようになる。
零花を組織から守ることを目的に「殺人事件」をネタに哲雄に脅しをかけ、自分と会うことを要求するが、その動きを察知した半グレ組織に睡眠薬を盛られた上に拉致され、拷問を受ける。組織としては脅すだけのつもりであったが、拷問の途中で偶然恭一との関係が明らかになったため、竹田の独断で殺害される。

書誌情報[編集]

  • 山川直輝(原作)、朝基まさし(作画) 『マイホームヒーロー』 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉、既刊12巻(2020年9月4日現在)
    1. 2017年9月6日発行(同日発売[2])、ISBN 978-4-06-510139-1
    2. 2017年12月6日発行(同日発売[3])、ISBN 978-4-06-510543-6
    3. 2018年3月6日発行(同日発売[4])、ISBN 978-4-06-511107-9
    4. 2018年6月6日発行(同日発売[5])、ISBN 978-4-06-511555-8
    5. 2018年9月6日発行(同日発売[6])、ISBN 978-4-06-512699-8
    6. 2019年1月4日発行(同日発売[7])、ISBN 978-4-06-514178-6
    7. 2019年4月5日発行(同日発売[8])、ISBN 978-4-06-515194-5
    8. 2019年7月5日発行(同日発売[9])、ISBN 978-4-06-516365-8
    9. 2019年11月6日発行(同日発売[10])、ISBN 978-4-06-517730-3
    10. 2020年2月6日発行(同日発売[11])、ISBN 978-4-06-518478-3
    11. 2020年6月5日発行(同日発売[12])、ISBN 978-4-06-519993-0
    12. 2020年9月4日発行(同日発売[13])、ISBN 978-4-06-520690-4

出典[編集]

  1. ^ 単行本第6巻p125
  2. ^ 『マイホームヒーロー (1) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2017年12月7日閲覧。
  3. ^ 『マイホームヒーロー (2) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2017年12月7日閲覧。
  4. ^ 『マイホームヒーロー (3) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2018年3月6日閲覧。
  5. ^ 『マイホームヒーロー (4) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2018年6月6日閲覧。
  6. ^ 『マイホームヒーロー (5) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2018年9月6日閲覧。
  7. ^ 『マイホームヒーロー (6) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2019年1月4日閲覧。
  8. ^ 『マイホームヒーロー (7) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2019年4月5日閲覧。
  9. ^ 『マイホームヒーロー (8) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2019年7月5日閲覧。
  10. ^ 『マイホームヒーロー (9) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2019年11月6日閲覧。
  11. ^ 『マイホームヒーロー (10) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2020年2月6日閲覧。
  12. ^ 『マイホームヒーロー (11) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2020年6月5日閲覧。
  13. ^ 『マイホームヒーロー (12) 』(山川直輝, 朝基まさし)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2020年9月4日閲覧。

外部リンク[編集]