マイクロ波加熱

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マイクロ波加熱(マイクロはかねつ)とは、マイクロ波帯の電磁波を用いて物質を加熱すること。 電子レンジにおける食品の加熱が身近である。


特徴[編集]

マイクロ波加熱の特徴として、均質加熱、迅速(高速)加熱、選択加熱が挙げられる。電磁波に暴露された物質が、単位体積あたりにえるエネルギーWは、以下の式に従う。

ここで、: 複素誘電率、: 複素透磁率、E: 電界強度、H: 磁界強度である。 マイクロ波加熱は、外部熱源による加熱と異なり、熱伝導対流の影響がほとんど無視できる。 上式のE, Hを増加させることで、被加熱物質を均一に高速で加熱できるので、この特徴を指して均質加熱、迅速(高速)加熱と呼ぶ。 電磁波は電界と磁界成分で構成されているが、電界は誘電体を、磁界導体や磁性体を加熱できる。 物質ごとに上式の複素誘電率、複素透磁率が違うことを利用すれば、加熱対象をマイクロ波の照射法で選択できる。 この特徴を指して選択加熱と呼ぶ。

なお、加熱に利用されるマイクロ波の周波数には非通信用のISMバンドが利用されており、国際規格では 2.45 GHz に統一されているが、アメリカ合衆国などでは 915 MHz 帯も使用されている。

利用[編集]

マイクロ波加熱を利用した装置としては、電子レンジが一般に用いられている。焜炉などによる加熱に比べ、容器に入った食品であっても、内部から均一に急速加熱することができる。

近年、工業プロセスにおける新しい加熱法のひとつとしても注目を集めている。 マイクロ波加熱によって水分を蒸発させるマイクロ波乾燥と呼ばれる技術は、食品から建材、廃棄物処理まで、工業的に広く利用されている。

化学反応にもマイクロ波加熱は利用されている。マイクロ波の波長に応じて特定の物質のみを内部から急速に選択加熱できる。 反応速度が早くなり、また副反応が抑制され収率が向上する場合がある。 この方法はマイクロ波合成と呼ばれ、環境親和性の高いグリーンな化学として期待されている。

生体組織にマイクロ波を照射すると、発熱によってタンパク質などが変性し、凝固する。この現象はマイクロ波凝固と呼ばれ、止血治療に応用されている。

また、セラミクスの焼結や粉末冶金などの高温プロセスで、工学的な応用を目的とした探索研究が行われている。

脚注[編集]


関連項目[編集]