マイクロタービュランス

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マイクロタービュランス(Microturbulence)は、小さなスケールでの乱流である(大きなスケールでの乱流は、マクロタービュランスという)。

恒星[編集]

マイクロタービュランスは、恒星スペクトル中の吸収線の線幅拡大を起こす原因の1つである[1]。恒星のマイクロタービュランスは、実効温度と表面重力によって変わる[2]

マイクロタービュランスの速度は、スペクトル線の形成領域にある気体の微小な非加熱成分の速度として定義される[3]。対流は、小質量恒星においても大質量恒星においても、乱流の速度に影響を与えると考えられている。分光計で観測すると、視線方向の気体の対流の速度は、吸収帯のドップラーシフトを生みだす。対流外層を持つ小質量の恒星でマイクロタービュランスによる吸収線の線幅拡大を起こしているのは、視線方向の速度の分布である。一方、大質量の恒星では、対流は表面下の狭い領域でしか起こらず、このような表面下の対流領域は、音波重力波の放出を通じて、恒星表面の乱流を引き起こす[4]。マイクロタービュランスの強さ(記号ξで表わし、単位はkm/s-1である)は、強い線と弱い線の線幅拡大の比較で決定することができる[5]

磁気核融合[編集]

マイクロタービュランスは、トカマク型等の磁気核融合実験の際のエネルギー伝達に重要な役割を果たす[6]

出典[編集]

  1. ^ De Jager, C. (1954). “High-energy Microturbulence in the Solar Photosphere”. Nature 173 (4406): 680–1. Bibcode 1954Natur.173..680D. doi:10.1038/173680b0. http://www.nature.com/nature/journal/v173/n4406/abs/173680b0.html 2007年5月21日閲覧。. 
  2. ^ Montalban, J.; Nendwich, J.; Heiter, U.; Kupka, F.; Paunzen, E.; Smalley, B. (1999). “The Effect of the microturbulence parameter on the Color-Magnitude Diagram”. Reports on Progress in Physics 61 (S239): 77–115. Bibcode 2007IAUS..239..166M. doi:10.1017/S1743921307000361. 
  3. ^ Cantiello, M. et al. (2008). On the origin of Microturbulence in hot stars. http://www.astro.uu.nl/~cantiell/articles/liege1.pdf. 
  4. ^ Cantiello, M. et al. (2009); Langer, N.; Brott, I.; De Koter, A.; Shore, S. N.; Vink, J. S.; Voegler, A.; Lennon, D. J. et al. (2009). “Sub-surface convection zones in hot massive stars and their observable consequences”. Astronomy and Astrophysics 499 (1): 279. arXiv:0903.2049. Bibcode 2009A&A...499..279C. doi:10.1051/0004-6361/200911643. 
  5. ^ Briley, Michael (2006年7月13日). “Stellar Properties from Spectral Lines: Introduction”. University of Wisconsin. 2007年5月21日閲覧。
  6. ^ Nevins, W.M. (2006年8月21日). “The Plasma Microturbulence Project”. Lawrence Livermore National Laboratory. 2007年5月21日閲覧。

外部リンク[編集]