ポール・トーマス・アンダーソン
Paul Thomas Anderson ポール・トーマス・アンダーソン | |||||||||||||||||||||||||||||
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![]() 2007年 | |||||||||||||||||||||||||||||
別名義 | P.T. Anderson | ||||||||||||||||||||||||||||
生年月日 | 1970年6月26日(50歳) | ||||||||||||||||||||||||||||
出生地 |
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国籍 |
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ジャンル | 映画監督・脚本家・プロデューサー | ||||||||||||||||||||||||||||
活動期間 | 1988年- | ||||||||||||||||||||||||||||
配偶者 | マーヤ・ルドルフ | ||||||||||||||||||||||||||||
主な作品 | |||||||||||||||||||||||||||||
『ブギーナイツ』 『マグノリア』 『パンチドランク・ラブ』 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 『ザ・マスター』 『ファントム・スレッド』 | |||||||||||||||||||||||||||||
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ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson, 1970年6月26日 - )は、アメリカ合衆国の映画監督、脚本家、映画プロデューサーである。世界三大映画祭すべてで監督賞を受賞している。
プロフィール[編集]
来歴[編集]
カリフォルニア州ロサンゼルス出身。父親は俳優・司会者のアーネスト・アンダーソン。9人兄弟の3番目で父と特に仲が良く、12歳でビデオカメラを買ってもらい、映画監督になる夢を支援されていた。ティーンエイジャーの頃から脚本を書き始め、ニューヨーク大学に入るがすぐに中退。テレビ番組のプロダクション・アシスタントなどを経て短編映画を製作するようになる。
1992年に撮った短編『シガレッツ&コーヒー』がサンダンス映画祭で注目され、ハリウッドから声がかかる。初監督作品は『ハードエイト』(1996年)で、第49回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品された。
監督2作目は10代の頃に書いた短編『The Dirk Diggler Story』を長編に作り直し、ポルノ業界で生きる人々の光と影を描いた『ブギーナイツ』(1997年)。このスマッシュヒットで一躍名を知られる存在となり、アカデミー脚本賞にノミネートされる。
3作目の『マグノリア』(2000年)ではトム・クルーズらスターを起用し、一風変わった10人の主人公の24時間を描く群像劇を演出。興行的にはやや振るわなかったものの批評家には高い評価を受け、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。
4作目の『パンチドランク・ラブ』(2002年)はアダム・サンドラーを主演に迎え、悲壮感を抱えた男をシリアスに演じさせて新たな一面を引き出し、カンヌ国際映画祭 監督賞を受賞した。
5作目の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007年)はベルリン国際映画祭監督賞を始め、多数の映画賞における監督賞を受賞。石油王を演じたダニエル・デイ=ルイスは、この年の米国の主要映画賞を総なめにし、第80回アカデミー賞で二度目となるアカデミー主演男優賞を受賞した。他にも最多8部門でノミネートされ、アカデミー撮影賞も受賞したが、自身がノミネートされていた作品賞・監督賞・脚色賞は『ノーカントリー』に奪われた。しかし、英国のトータル・フィルム誌など「00年代最高の映画」と推す批評家も多かった。
6作目の『ザ・マスター』(2012年)では新興宗教の教祖とそのカリスマ性に引き寄せられていく男を描いてヴェネツィア国際映画祭監督賞を受賞し、ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンが同男優賞を獲得。わずか6本のフィルモグラフィで世界三大映画祭すべてで監督賞に輝いた稀有な映画監督である。
7作目に、アメリカ最高の文学者のひとりとして知られるトマス・ピンチョンの小説『LAヴァイス』の映画製作に取り掛かり、2014年に『インヒアレント・ヴァイス』という題名で全米公開。主演は前作に続きホアキン・フェニックス。ピンチョンが自作の映画化を許可したのはこれが初めてである[1][2]。
8作目には、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でタッグを組んだダニエル・デイ=ルイスを主演に、1950年代のファッション業界を描いた『ファントム・スレッド』を監督した。本作では第90回アカデミー賞において作品賞、監督賞を含む6部門にノミネートされ、アカデミー衣装デザイン賞を受賞した。[3]。
私生活[編集]
歌手のフィオナ・アップルと交際し、彼女のPVを何本か手がけたが、現在は女優のマーヤ・ルドルフ(歌手ミニー・リパートンの娘)と事実婚関係にあり、ふたりの間には4子がある。
特徴[編集]
家族の機能不全、社会からの疎外や孤独、擬似的な父子関係といったテーマを扱うことが多い。手持ちカメラによる常に移動しながらの撮影など大胆な視覚効果が特徴。
全作品で自ら脚本も手がけ、多くの作品で製作にも名を連ねている。
マーティン・スコセッシ、ロバート・アルトマン、ジョナサン・デミ、スタンリー・キューブリック、オーソン・ウェルズといった映画監督からの影響を挙げている。特にジョナサン・デミの『メルビンとハワード』は『ハードエイト』のインスパイア元となり、『ザ・マスター』ではバイクで疾走するシーンがオマージュされている。
特定の俳優を複数回にわたって起用することが多い。5作に出演しているフィリップ・シーモア・ホフマンを始め、メローラ・ウォルターズ、ジョン・C・ライリー、フィリップ・ベイカー・ホール、ルイス・ガスマンらが3作以上で、ジュリアン・ムーア、ウィリアム・H・メイシー、ホアキン・フェニックス、ダニエル・デイ・ルイスらが2作以上で、仕事を共にしている常連俳優である。
フィルモグラフィー[編集]
- The Dirk Diggler Story (1988年) 監督・脚本・撮影
- Cigarettes & Coffee (1993年) 監督・脚本
- ハードエイト Hard Eight (1996年) 監督・脚本
- ブギーナイツ Boogie Nights (1997年) 監督・脚本・製作
- マグノリア Magnolia (1999年) 監督・脚本・製作
- パンチドランク・ラブ Punch-Drunk Love (2002年) 監督・脚本・製作
- ゼア・ウィル・ビー・ブラッド There Will Be Blood (2007年) 監督・脚本・製作
- ザ・マスター The Master (2012年) 監督・脚本・製作
- インヒアレント・ヴァイス Inherent Vice (2014年) 監督・脚本・製作
- JUNUN (2015年) 監督・撮影
- ファントム・スレッド Phantom Thread (2017年) 監督・脚本・製作・撮影
- ANIMA (2019年) 監督・製作
受賞歴[編集]
賞 | 年 | 部門 | 作品 | 結果 |
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アカデミー賞 | 1997年 | 脚本賞 | 『ブギーナイツ』 | ノミネート |
1999年 | 脚本賞 | 『マグノリア』 | ノミネート | |
2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | ノミネート | |
監督賞 | ノミネート | |||
脚色賞 | ノミネート | |||
2014年 | 脚色賞 | 『インヒアレント・ヴァイス』 | ノミネート | |
2017年 | 作品賞 | 『ファントム・スレッド』 | ノミネート | |
監督賞 | ノミネート | |||
英国アカデミー賞 | 1997年 | オリジナル脚本賞 | 『ブギーナイツ』 | ノミネート |
2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | ノミネート | |
監督賞 | ノミネート | |||
脚色賞 | ノミネート | |||
2012年 | オリジナル脚本賞 | 『ザ・マスター』 | ノミネート | |
全米映画批評家協会賞 | 1997年 | 作品賞 | 『ブギーナイツ』 | 3位 |
監督賞 | 3位 | |||
2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 | |
監督賞 | 受賞 | |||
脚本賞 | 2位 | |||
2012年 | 作品賞 | 『ザ・マスター』 | 2位 | |
監督賞 | 2位 | |||
脚本賞 | 2位 | |||
2014年 | 脚本賞 | 『インヒアレント・ヴァイス』 | 2位 | |
2017年 | 作品賞 | 『ファントム・スレッド』 | 3位 | |
監督賞 | 3位 | |||
脚本賞 | 3位 | |||
ロサンゼルス映画批評家協会賞 | 1997年 | ニュー・ジェネレーション賞 | 『ブギーナイツ』 『ハードエイト』 |
受賞 |
2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 | |
監督賞 | 受賞 | |||
脚本賞 | 次点 | |||
2012年 | 作品賞 | 『ザ・マスター』 | 次点 | |
監督賞 | 受賞 | |||
ボストン映画批評家協会賞 | 1997年 | 新人映画人賞 | 『ブギーナイツ』 | 受賞 |
2012年 | 監督賞 | 『ザ・マスター』 | 次点 | |
2017年 | 作品賞 | 『ファントム・スレッド』 | 受賞 | |
監督賞 | 受賞 | |||
英国インディペンデント映画賞 | 1998年 | 外国映画賞 | 『ブギーナイツ』 | 受賞 |
トロント映画批評家協会賞 | 1999年 | 作品賞 | 『マグノリア』 | 受賞 |
監督賞 | 受賞 | |||
脚本賞 | 受賞 | |||
2002年 | 監督賞 | 『パンチドランク・ラブ』 | 受賞 | |
2012年 | 作品賞 | 『ザ・マスター』 | 受賞 | |
監督賞 | 受賞 | |||
脚本賞 | 受賞 | |||
フロリダ映画批評家協会賞 | 1999年 | 作品賞 | 『マグノリア』 | 受賞 |
ベルリン国際映画祭 | 2000年 | 金熊賞 | 『マグノリア』 | 受賞 |
2008年 | 監督賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 | |
国際映画批評家連盟賞 | 2000年 | グランプリ | 『マグノリア』 | 受賞 |
2008年 | グランプリ | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 | |
2018年 | グランプリ | 『ファントム・スレッド』 | 受賞 | |
ゴールデン・ビートル賞 | 2000年 | 外国映画賞 | 『マグノリア』 | 受賞 |
カンヌ国際映画祭 | 2002年 | 監督賞 | 『パンチドランク・ラブ』 | 受賞 |
ゴールデングローブ賞 | 2007年 | 作品賞 (ドラマ部門) | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | ノミネート |
全米監督協会賞 | 2007年 | 長編映画監督賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | ノミネート |
ニューヨーク映画批評家協会賞 | 2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 次点 |
監督賞 | 次点 | |||
2012年 | 作品賞 | 『ザ・マスター』 | 次点 | |
監督賞 | 次点 | |||
2017年 | 脚本賞 | 『ファントム・スレッド』 | 受賞 | |
ニューヨーク映画批評家オンライン賞 | 2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
監督賞 | 受賞 | |||
サンディエゴ映画批評家協会賞 | 2007年 | 監督賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
脚色賞 | 受賞 | |||
2012年 | 脚本賞 | 『ザ・マスター』 | 受賞 | |
カンザスシティ映画批評家協会賞 | 2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
監督賞 | 受賞 | |||
2012年 | 作品賞 | 『ザ・マスター』 | 受賞 | |
オリジナル脚本賞 | 受賞 | |||
オースティン映画批評家協会賞 | 2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
監督賞 | 受賞 | |||
2012年 | 監督賞 | 『ザ・マスター』 | 受賞 | |
ロンドン映画批評家協会賞 | 2007年 | 監督賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
ダブリン映画批評家協会賞 | 2007年 | 作品賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
監督賞 | 受賞 | |||
フランス映画批評家協会賞 | 2008年 | 外国語映画賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
ボディル賞 | 2009年 | アメリカ映画賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | 受賞 |
セザール賞 | 2009年 | 外国映画賞 | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | ノミネート |
ヴェネツィア国際映画祭 | 2012年 | 銀獅子賞 | 『ザ・マスター』 | 受賞 |
国際映画批評家連盟賞 | 受賞 | |||
オンライン映画批評家協会賞 | 2012年 | 監督賞 | 『ザ・マスター』 | 受賞 |
サンフランシスコ映画批評家協会賞 | 2012年 | 作品賞 | 『ザ・マスター』 | 受賞 |
2014年 | 脚色賞 | 『インヒアレント・ヴァイス』 | 受賞 | |
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 | 2014年 | 脚色賞 | 『インヒアレント・ヴァイス』 | 受賞 |
2017年 | オリジナル脚本賞 | 『ファントム・スレッド』 | 受賞 | |
インディペンデント・スピリット賞 | 2014年 | ロバート・アルトマン賞 | 『インヒアレント・ヴァイス』 | 受賞 |
ユタ映画批評家協会賞 | 2014年 | 脚色賞 | 『インヒアレント・ヴァイス』 | 受賞 |
脚注[編集]
- ^ Brooks, Brian (2014年8月24日). “New York Film Festival to Debut 30 Features in 2014 Main Slate”. Film Society of Lincoln Center. 2018年7月2日閲覧。
- ^ Lim, Dennis (2012年12月27日). “A Director Continues His Quest”. NYTimes.com. en:The New York Times Company. 2018年7月2日閲覧。
- ^ “アカデミー賞に3度輝く名優が電撃引退。最後の主演作『ファントム・スレッド』を目に焼き付けろ!”. NewsWalker (2018年1月21日). 2018年2月1日閲覧。
外部リンク[編集]
- オフィシャルブログ"Cigarettes & Red Vines" (英語)
- ポール・トーマス・アンダーソン - allcinema
- ポール・トーマス・アンダーソン - KINENOTE
- Paul Thomas Anderson - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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