ポール・ケリー (ギャング)

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ポール・ケリーPaul Kelly1876年 - 1936年)はアメリカ合衆国のイタリア系ギャング。本名はパオロ・アントニオ・ヴァッカレリ(Paolo Antonio Vaccarelli)。シチリア生まれ。

来歴[編集]

ボクサー上がり[編集]

1890年代前半渡米し、バンタム級プロボクサーを経てニューヨーク市マンハッタンロウアー・イースト・サイドでストリートギャングになり、自前のギャングを組織した。賭博、売春や組織的なスリ・略奪を統率、また政治組織タマニーホールの裏仕事を請け負って政敵の妨害工作を行った[1]。1900年代初頭、バワリーのニューブリトンを拠点に勢力を拡大した。1904年、イーストマンズと小競り合いを起こし、対立した[2]ファイブ・ポインツ・ギャングジャック・シロッコとは提携していたが、仲間割れして抗争した。

最盛期[編集]

ニューブリトン・アスレティッククラブ(New Brighton Athletic Club)[3]では拳闘マッチが行われ、連日盛況だった[4]。隣に開店したリトル・ナポリ・カフェ(Little Naples Café)は、ギャングの巣窟になった。チック・トリッカー、ルーイ・ザ・ランプ、キッド・グリッフォ、ラフ・ハウス・ホーガン、ビフ・エリソンといった名だたるギャングが出入りし、喧嘩が絶えず、時としてガンファイトも起こった[4]。用心棒にジャック・マクマナスを雇った。この場所は彼のアジトでもあり、武闘団やポン引き、ボクサー崩れを必要に応じて派遣する「ポール・ケリー協会」(Paul Kelly Association)の本部が置かれた[1][4]

1905年、元ファイブポインターでアイリッシュ系ギャング「ゴファーズ」の頭領となったビフ・エリソンの襲撃で負傷した[1]。警察の追放キャンペーンやタマニーホールの圧力により拠点をバワリーよりハーレムブルックリンに移すとともに、勢力は衰えた[1]

後期キャリア[編集]

1910年代は東海岸港湾組合 (I.L.A) の仕事、1920年代は同組合のスト調停の委員長、また労働争議の武闘団を指揮した[1]

エピソード[編集]

  • 独学で語学を学びフランス語、イタリア語、スペイン語が話せたという[4]
  • ダンディなギャングで、お洒落だった[4]
  • イーストマンズの副ボスで、183センチ110キロの巨漢ジェイク・シムスキーを左フック一発で倒した伝説がある[4]
  • 駆け出しの頃のジョニー・トーリオを可愛がり、若い頃のトーリオはケリーに影響を受けた。
  • ロサンジェルスベースの俳優・コメデイアンのグレッグ・ヴァッカレロ(Greg Vaccariello) は又甥にあたる[5]

ギャング神話[編集]

長年、ファイブ・ポインツ・ギャングのボスと信じられてきたが、近年の調査でポール・ケリーは自前のギャングのボスに過ぎず、ファイブ・ポインツとむしろ争っていたことが判明した[2]。その調査によれば、当時の新聞も、ケリーのギャングとファイブポインツを明確に別のものとして報じている上、ケリーの活動の場はファイブポインツのセクションとは異なる場所だった。イーストマンズとの抗争は小競り合い程度で、伝説と化した1902年の有名なイーストマンズとファイブポインツの抗争はケリーのギャングとは無関係だったが、月日を経てミックスされて神話が形成されたという。ファイブポインツのボス又は有力メンバーとして、後にリトルイタリー地盤の政治家になるジオヴァンニ・"ジミー・ケリー"・ディサルヴィオとジャック・シロッコを挙げている[2][6]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e Paul Kelly La Cosa Nostra Database
  2. ^ a b c Eric Ferrara (2011), Manhattan Mafia Guide: Hits, Homes & Headquarters, p76
  3. ^ 彼が57 Great Jones Street にオープンしたスポーツクラブ
  4. ^ a b c d e f Paul Kelly’s Little Naples Café and New Brighton Athletic Club
  5. ^ A few questions with Greg Vaccariello Dead Guys In Suits, 2008
  6. ^ 後年ジェノヴェーゼ一家に属したアンソニー・カルファノがディサルヴィオの娘と結婚している。David Critchley(2008), The Origin of Organized Crime in America: The New York City Mafia, 1891–1931, p125

関連書籍[編集]

  • ロバート・J・シェーンバーグ『ミスター・カポネ』、関口篤訳

外部リンク[編集]