ポリスプロシーデュラル

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ポリスプロシーデュラル: police procedural)は、推理小説のサブジャンルである。

ポリスプロシーデュラルは、犯罪捜査をする警察の活動をもっともらしく描く探偵小説のサブジャンルである。従来の探偵小説は一つの犯罪に集中するが、ポリスプロシーデュラルはしばしば一話にいくつかの関連する犯罪の捜査を描いている。従来の探偵小説はクライマックスまで犯人の正体を明らかにしない(このため、フーダニットといわれる)が、ポリスプロシーデュラルではしばしば視聴者は犯人の正体がはじめから知らされている(倒叙推理小説)。ポリスプロシーデュラルは犯罪科学検視証拠の収集、捜査令状の執行、取り調べなどの警察に関係する話題を描いている。

なお、本記事の対象は海外作品のみとし、「日本のケーサツ小説はガラパゴス進化を遂げた」[1]との見方もある日本作品については別途「警察小説」で述べる。

初期の歴史[編集]

ポリスプロシーデュラルのルーツは少なくとも1880年代の半ばまでたどることができる。ロンドン警視庁の刑事が高価なダイヤモンドの盗難事件を捜査する、 ウィルキー・コリンズの小説『月長石』(1868)がこの分野の最初の作品であるだろうと述べられている[2]

しかし、アンソニー・バウチャー(ニューヨーク・タイムズ・ブックレビューの推理小説の批評家)によって、ローレンス・トリート英語版の1945年の作品、『V as in Victim』が最初の作品であると、しばしば引用されている。その他の作品としては、ヒラリー・ウォーの『失踪者当日の服装は英語: Last Seen Wearing ... (Hillary Waugh novel)』(1952)がある。また、トリート以前の作品には、ニューヨーク市警察警視総監を退任したリチャード・エンライト英語版の『Vultures in the Dark』(1925)、『The Borrowed Shield』(1925)、南カリフォルニアの元警察巡査であるレスリー・ターナー・ホワイトwikidataの『Harness Bull』(1937)『Homicide』(1937)、ロンドン警視庁の元警視監バジル・トムソン卿の『P.C. Richardson's First Case』(1933)、バッキンガムシャー州の元長官・治安判事の短編小説集『Policeman's Lot』(1933)がある。

ポリスプロシーデュラルは第二次世界大戦後により目立つようになった。トリートのような小説家の貢献が重要であるが、推理小説のサブジャンルとしての戦後の勢いの大きな部分は、散文の分野でなく、実際の犯罪をドラマ化したり、フィクション化した、アメリカ映画の人気によるところが多い。映画評論家によって、セミドキュメンタリーsemidocumentary英語: semidocumentary映画と呼ばれた、それらの映画は実際の犯罪に関係した警察関係者の協力の下でロケで撮影され、警察の仕事を間違いなくに描くことを重視した。例としては、『裸の町 (The Naked City)』 (1948)、『情無用の街』 (1948)、『T-Men英語: T-Men』(1947)、『Border Incident英語: Border Incident』(1949)を含む。

その他の国の映画もセミドキュメンタリーのトレンドで続いた。フランスでは『犯罪河岸』(1947)がアメリカでJenny Lamourとしてリリースされた。日本映画では、相棒刑事物語分野の先駆者である、黒澤明の1949年の作品『野良犬』がある。イギリスでは、ロンドンで撮影しロンドン警視庁を描いた『兇弾英語: The Blue Lamp(1950)』や『 The Long Arm英語: The Long Arm (film)』 (1956)がある。

若いラジオ俳優のジャック・ウェッブ英語: Jack Webbを脇役にした、セミドキュメンタリー『夜歩く男英語: He Walked by Night』(1948)がイーグルライオン・フィルム(Eagle-Lion Films)から公開された。ウェッブは、この映画の成功と映画の技術アドバイザーでロサンゼルス市警察LAPDの巡査部長マーティン・ウィンの提案により、同様なセミドキュメンタリー手法によって警察の仕事を描くラジオドラマのアイディアを得た。その結果、1949年にラジオでデビューし、1951年にテレビ化された、『ドラグネット英語: Dragnet (1951 TV series)』がミステリー作家のウィリアム・L・デアンドリア英語: William L. DeAndreaキャサリン・V・フォレスト英語: Katherine V. Forrestマックス・アラン・コリンズによって、最も有名なポリスプロシーデュラルと呼ばれてきた。

『ドラグネット』がラジオで公開された同じ年に、ピューリッツァー賞の舞台脚本家であるシドニー・キングスリー英語: Sidney Kingsleyの舞台劇『探偵物語英語: Detective Story (play)』がブロードウェイで公開された。このニューヨーク市警(NYPD)管区の刑事チームの典型的な一日を真っ向から、かつ十分に調査をした脚色がポリスプロシーデュラルの発達における評価基準になった。

数年後、ポリスプロシーデュラルのトレンドを取り上げた小説家は、マサチューセッツ州警察英語: Massachusetts State Policeを十分に調査した小説を書いた、ベン・ベンソン(Ben Benson)、北イングランド警官のハリー・マーティノー(Harry Martineau)のシリーズを書いた、元巡査のモーリス・プロクター(Maurice Procter)、ニューヨーク市警の巡査たちについての小説を書いたジョナサン・クレーグ(Jonathan Craig)を含むようになった。この形式の定義された、ヒラリー・ウォーエド・マクベインジョン・クリーシーの警察小説が頻繁に出始めた。

1956年、ミステリー評論家のアントニー・バウチャーニューヨークタイムスのブックレビューの自身の定期コラムで主眼点が犯罪フィクションの人気の上昇について述べながら、そのような小説はミステリーの個別のジャンルを構成していると提案し、この新しい形式が人気が出てきたことに対する、『ドラグネット』の成功を認めながら、それを記述するのにポリスプロシーデュラル("police procedural")という新語を作り出した。

小説[編集]

エド・マクベイン[編集]

エド・マクベイン(ペンネームはエヴァン・ハンター:Evan Hunter)は、『警察嫌い英語: Cop Hater』(1956年)から始まる小説『87分署シリーズ』を多数書いている。ハンターは『87分署シリーズ』を2005年に死ぬ間際まで書き続けた。これらの小説は刑事スティーブ・キャレラを主に取り上げてているが、多くの警官が単独やチームで働く仕事を含み、必ずしもキャレラが個々の本に出てくるとは限らない。まるでポリスプロシーデュラルの普遍性を記述するかのように、マクベインの小説『87分署』の多くは、ニューヨーク市を少しだけフィクション化した設定にもかかわらず、ニューヨーク市外、またアメリカ以外でも撮影されている。黒澤明の1963年の作品『天国と地獄』は、エド・マクベインの作品『キングの身代金英語: King's Ransom (novel)』(1956)がベースで、東京が舞台となっている。コート・ダジュールが舞台の『Without Apparent Motive英語: Without Apparent Motive』(1972)は、マクベインの『Ten Plus One』(1963)がベースだ。クルド・シャブロー(Claude Chabro)の『Les Liens de sangフランス語: Les Liens de sang』(1978)はモントリオールが舞台で、『Blood Relatives英語: Blood Relatives』(1974)がベースだ。1968年の小説『警官(さつ)(Fuzz)』を基にした映画(1972)はアメリカに設定され、舞台はボストンに移動させた。

ジョン・クリーシー/ JJマリック(John Creasey /J. J. Marric)[編集]

ミステリーの別ジャンルとしてのポリスプロシーデュラルの発展の重要性で、エド・マクベインに隠れてランキングされるのがジョン・クリーシーで、スパイ小説から犯人が主人公の犯罪小説まで、多種類の多くの作品を書いた。彼は隣人で元スコットランドヤード:ロンドン警視庁)刑事が、「彼らのありのままを書く」ようにクリーシーに勧めたことが、現実的な犯罪小説を書く決断をした。その結果が『ウエスト警部 事件を担当す英語: Inspector West Takes Charge』(1940)で、ロンドン警視庁ロジャー・ウェスト英語: Roger Westを主役にした40以上の作品の最初の作品となった。ウェストの小説は、一生、スコットランドヤードの仕事を極めて現実的に注視したが、その構想はメロドラマのようなものからやっかいな法律問題を避けて通り、クリーシーはウェストが警察官としてはできない、余分な手続き上の行動がとれる”素人探偵”とした。

1950年代中ごろ、テレビの『ドラグネット』や同様なイギリスのTVシリーズ『Fabian of the Yard英語: Fabian of the Yard』の成功に促され、クリーシーはより現実的な警官物語のシリーズを書くことを決めた。ペンネームのJ・J・マリックで、スコットランドの階級が高いの刑事、ジョージ・ギデオン英語: George Gideonがいくつかの関連しない事件を捜査する部下を指揮する忙しい一日を描いた、『ギデオン警視英語: Gideon's Day』(1955)を書いた。この小説は、クリーシーを有名にした20冊以上のシリーズの最初の作品となった。その一つ、『ギデオンと放火魔英語: Gideon's Fire』(1961)はアメリカ探偵作家クラブからエドガー賞を受賞した。ギデオン・シリーズは、他の作品以上に一つの小説にいくつかの独立した物語をはめ込む、一般的なポロスプロシーデュラル確立の助けとなった。

マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー(Maj Sjowall & Per Fredrik Wahloo)[編集]

マイ・シューヴァル英語: Maj Sjowallペール・ヴァールーは1960年代から1970年代にかけて、スウェーデンを舞台にした10冊のマルティン・ベックのポリスプロシーデュラルを立案・執筆した。シリーズを通して広範囲にキャラクターの展開した。ベックはストックホルム警視庁の刑事から殺人課主任警視に徐々に昇進し、スウェーデンの裕福な州で犯罪が退屈なポリスプロシーデュラルが背景で続いているが、リアリスティックな記述は、ジョー・ネスボスティーグ・ラーソンによって今日まで広く使われている。この作品は、スウェーデンのノアール・シーンの人気を挙げ、『笑う警官 (マルティン・ベック)』は1971年にアメリカ探偵作家クラブエドガー賞 長編賞を受賞した。また、35か国語に翻訳され、約1000万冊が売れた。シューヴァル&ヴァールー夫妻はシリーズでブラック・ユーモアを多く使い、ポリスプロシーデュラルの最良の一冊であると広く認められている。

エリザベス・リニントン/デル・シャノン/レスリー・イーガン/Dell Shannon/Lesley Egan)[編集]

ポリスプロシーデュラルの多作作家である“エリザベス・リニントン英語: Elizabeth Linington”の作品は、別名“デル・シャノン(Dell Shannon)”や“レスリー・イーガン(Lesley Egan)”と同様に、彼女の死後、流行から外れとなった。リニントンは、ロス市警LAPD中央署殺人課のルイス・メドーサ(Luis Mendoza)(1960-1986)を起用したプロスプロシーデュラル用にペンネームのデル・シャノンを用意していた。自身の名前では、ロサンゼルス市警察LAPDノース・ハリウッド署の巡査部長アイバー・マドックス(Ivor Maddox)について書いた。これらの小説は、著しく欠点があり、彼女の極右政治視点(彼女はジョン・バーチ・ソサエティの名誉会員である)からだけでなく、彼女自身が十分な調査をしたと表明したにもかかわらず、リニントン女史の作品は警察の手順を特定するのに、技術的に不完全であった。しかし、親切で優しいカリフォルニアの記述や、警官がいつもすべての犯罪を解決し、市民として尊敬される“よい人”で書かれている特長がある。

ジョルジュ・シムノン(Georges Simenon)[編集]

ジョルジュ・シムノンジュール・メグレを主人公とするメグレ警視シリーズは、主人公に重点を置かれているので、真のポリスプロシーデュラルではないが、この小説はいつも助演としての彼のスタッフを構成員として含んでいる。さらに重要なことに、メグレを誕生させる前に警察の捜査をカバーするジャーナリストであったシムノンはパリにおける法律の執行機関を正確に記述し、または少なくとも正確な記述であるとみせている。さらに、スウェーデンのマイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー(Maj Sjowall and Per Wahloo)や前述のバーンチャー英語: A. C. Baantjerのような、後のヨーロッパのプロシーデュラル作家に対するシムノンの影響は明らかである。

ジョゼフ・ウォンボー(Joseph Wambaugh)[編集]

最初にポリスプロシーデュラルを書いた作家ではないが、ジョゼフ・ウォンボーの成功はプロフェッショナルな経験から小説に転向する警官の手本の要因となった。ペンシルベニアのピッツバーグの警官の息子であった、ウォンボーは軍隊を退役後ロサンゼルス市警察に入った。最初の小説『センチュリアン』は1971年に出版された。これは、警察学校での訓練、パトロール、1965年のワッツ暴動を通して3人の警官を追いかけた。『ブルーナイト英語: The Blue Knight (novel)』(1971)、『クワイヤーボーイズ英語: The Choirboys (book)』(1975)、『ハリウッド警察25時(Hollywood Station)』(2006)、『メキシコ国境の影(Lines and Shadows)』(1984)、『オニオン・フィールド英語: The Onion Field』(1973)、『Lines and Shadows』(1984)、『Fire Lover』(2002)のように評価が高いノンフィクション小説、などが続いた。ウォンボーは彼の目的は警察の仕事を紹介することでなく、警官としての仕事はどんなものかがであると言っている。

トニイ・ヒラーマン(Tony Hillerman)[編集]

トニイ・ヒラーマンは、ナヴァホ族警察Navajo Tribal Police英語: Navajo Tribal Policeの警官であるジョー・リープホーン&ジム・チー(Joe Leaphorn & Jim Chee)の行動を描いた作品を含む17作品のポリスプロシーデュラルの著者である。

探偵小説作家[編集]

ポリスプロシーデュラル形式の早期のルーツを、その先祖である、警官が主人公の典型的な推理小説と区別することは難しい。全体的に、典型的、または温かみのある探偵小説の領域にまともに取り組んだ、ナイオ・マーシュや、イギリスの探偵についてのF・W・クロフツコール夫妻英語: G. D. H. ColeMargaret Cole英語: Margaret Coleの多作チームの作品は、あまり知られてないが今日のポリスプロシーデュラルの先祖かもしれない。イギリスの推理小説家で批評家のジュリアン・シモンズの犯罪小説の歴史『ブラッディ・マーダー』Bloody Murder (1972)で、初期のプロシーデュラルは探偵のとぼとぼ歩く性格を強調したので、“退屈”だと決めつけた。

テレビ番組[編集]

テレビクリエイター[編集]

TVシリーズ[編集]

米国[編集]

  • ドラグネット 正義一直線』(1951-1959、1967-1970、1989-1991&2003-2004)は1949年にラジオで、1951年にテレビで始まったポリスプロシーデュラルの先駆者である。ドラグネット(Dragnet)は、次の数10年間に多くの警察ドラマのトーンを確立した。また、組織化した構造、専門用語、法律問題などの要素の厳密で本物らしい描写は、すべてのメディアにおけるポリスプロシーデュラルの多くの同一のものと確認できるようになった技術的な正確性の標準となった。この番組は、ときどき法執行機関をとても理想化して表現して訴えるので、ジョン・フライデイ英語: Joe Friday巡査部長が主演した警官はいつも“良い人”、犯人は“悪人”で描かれ、それらの間にはモラルの柔軟性や複雑性がほとんどない。しかし、多くのエピソードは犯人を共感的に描いているが、堕落した警官には共感した描き方をしていない。さらに、ジャック・ウェッブはロサンゼルス市警察(Los Angeles Police Department)をひいき目に描いているけれども、ドラグネットが発表された当時は、多くの警官は好ましくなく、非現実的に描かれていた。さらに、この番組は、前例のないLAPDの技術的アドバイス、参加、サポートの助けを得た。テレビの初期にはLAPDを好意的に描く刺激になっていたかもしれない。ドラグネットの成功の後に、ウェッブはニューヨーク郡地区検察局のおとり捜査についての『The DA's Man英語: The DA's Man』、LAPDの制服警官2人組が無線カーで巡回する『Abam-12英語: Abam-12』、デビッド・ジャンセンがトラブルを解決する連邦捜査官を演じた『秘密捜査官オハラ』などのようなポリスプロシーデュラル番組をプロデュースし続けるようになった。
  • アンタッチャブル』(1959-1963)は、禁酒法時代にシカゴなどの地下組織と格闘している連邦捜査官エリオット・ネスの実際の生活をフィクション化した。初めの『デジル劇場(Desilu Playhouse)』の作品集の2番組が大評判となり、次の秋シーズンに続いた。その2番組は、その後にアル・カポネを倒すために買収されない捜査官を採用している、ロバート・スタックが演じるネスの実際の事件にかなり固執した『The Scarface Mob』という名前で劇場公開された。その語のエピソードはネスとそのチームがその時代のギャングの大物を追跡しながら、著者はネスに対抗する人物像がなくなり、新しい番組を製作した。このような警察や犯人の番組を連想するようになる、『クイン・マーティン英語: Quinn Martin』は自身が設立したQMプロダクションを退社し、そのファースト・シーズンの間にプロデュースした。QMプロダクションは、その後の20年以上にわたって『The New Breed英語: The New Breed (TV series)』『FBIアメリカ連邦警察』『Dan August英語: Dan August』『The Streets of San Francisco英語: The Streets of San Francisco』のようなポリスプロシーデュラル番組を製作した。このシリーズの成功1987年にアカデミー賞作品賞を受賞し、1993年に新しいテレビシリーズが地方局に配信された。
  • 刑事コロンボ』(テレビ映画、1968-2003)は反転推理小説形式を社会に広めた。ひねりを加えた特別なエピソードを除いて、ほとんどのエピソードは犯罪の遂行と犯人を見せることで始まっている。つまり、“犯人探し”の要素はない。筋立ての多くは、すでにわかっている犯人がいかに暴かれ、逮捕されるかを中心に展開する。この番組のクリエーターは、これを“ハウキャッチム(hawcatem)”を呼んだ。LAPDのコロンボ警部補はむさ苦しい容姿でとぼとぼと歩く、イタリア系アメリカ人の警官で、いつも部下や事件の犯人から見くびられている。彼の捜査の被疑者は、重要でない話に安心させられたり、混乱させられたりするが、次第にイライラする。彼の魅力のない外見やぼんやりとした風貌にもかかわらず、起訴に必要なすべての証拠を確保し、すべての事件をそつなく解決する。詳細で注意深く見る手ごわい目とひた向きなアプローチによって事件は最後に明らかになる。他の“ハウキャッチム(hawcatem)”形式のポロスプロシーデュラルには、『キャッスル 〜ミステリー作家は事件がお好き』『クリミナル・マインド FBI行動分析課』『ロー&オーダー』『LAW & ORDER:犯罪心理捜査班』『名探偵モンク』『メンタリスト (テレビドラマ)』『サイク/名探偵はサイキック?』、英国放送協会の『SHERLOCK(シャーロック)』を含む。
  • ポリス・ストーリー』(1973-1978)は、ロスアンゼルスで展開する作品集で、LAPD巡査部長刑事ジョセフ・ウォンボーが製作した。パンチがきいていて、断固とした現実主義の作品集のこの形式は、LAPD警察の仕事を、男中心の職業における女性はどうかのか、汚職の疑いをもたれた正直ものの警官は、新人警官、潜入捜査官、退職間際のベテラン警官、勤務中に負傷で体が不自由な警官はどうかなど、多くの異なった視点から見られるようになった。作品集形式にもかかわらず、一つのエピソードに、強盗/殺人課パートナーのトニー・カラブレーゼ(Tony Calabrese)(トニー・ロビアンコ)とバート・ジェイムソン(Bert Jameson)(ドン・メレディス英語: Don Meredith)、殺人課刑事から転向した風俗取締官のチャリー・クソンカ(Charlie Czonka)(ジェームズ・ファレンティノ)、張り込み/監視スペシャリストのジョー・ラクリーダ(Joe LaFrieda)やヴィック・モロー)などの多くのキャラクターがいる。この番組から、『Police Woman (TV series)』『Joe Forrester』『潜行刑事ダン』などを含むいくつかのシリーズがスピンオフした。最後の2シーズンは1時間番組より不定期な2時間テレビドラマとなった。1988年にはライターのストライキで新しい脚本ができなくなったので、古い台本で再撮影された。
  • 刑事コジャック』(1973-1978、1989-1990)は、アビー・マン英語: Abby Mannによって製作され、テリー・サバラスが演じるニューヨーク市警察のベテラン警部補を主人公にしている。ニューヨーク市第9区で撮影され、『NYPDブルー』でも使われた。サラバスは1989年に2時間もの5本に少し出演した。そこでは、コジャックは警視正に昇進し、殺人課の責任者になっていた。ABCでは、他の探偵番組とローテーションで放送された。2005年には、ヴィング・レイムスが主演でUSAネットワークリメイクされた。コジャックの印象深い特色は彼の署名入り棒付きキャンディーだ。
  • ヒルストリート・ブルース』 (1981-1987)は、それぞれの話に絡み合った話が含まれており、ポリスプロシーデュラルの中で展開する警官や刑事の私生活と仕事の葛藤を描いた初期の作品である。この番組はよく考えたドキュメンタリー形式で、欠点があるが人情味ある警官を描き、モラルの善悪が明確でない領域を率直に扱った。場面は、特定されない東海岸や中西部の街に設定されている。スティーブン・ボッコク英語: Steven Bochcoとマイケル・コゾル(Michael Kozoll)が書いた。
  • 女刑事キャグニー&レイシー』(1982-1988)は、別々に暮らしているキャグニーとレイシーという二人のNYPDの女性刑事を中心に展開している。シャロン・グレス演じるクリスティーン・キャグニー(Christine Cagney)は誠実で、ウィットに富む、鉄仮面のキャリアウーマンである。メアリー・ベス・レイシー(Mary Beth Lacey)は見識があり、よく気が回る、働く女性である。ロレッタ・スウィットはキャグニー(テレビ映画で演じている)をオリパイロット版でジナルとしたが、『M*A*S*H』の契約では自由になることができなかった。第一シーズンでは、パイロット版で創造したキャグニーをメグ・フォスターが、タイン・デイリーがレイシーを演じた。CBSは低視聴率のため、シリーズを中止した。国中に100万本の手紙を出す手紙キャンペーンと視聴率がサマー・リターンで上昇した事実から、復活した。テレビ・ガイド誌英語: TV Guideは『Welcome Back!』(おかえりなさい!)と表紙で復活を祝福した。デイリーはレイシーを演じ続けたが、フォレスターはグレスになり、彼女は最も特徴のある女優となった。放送中に36のノミネートと14の受賞があった。シリーズの終了後に、4本のテレビ映画が放送された。
  • 特捜刑事マイアミ・バイス』(1984-1990)
  • 21ジャンプストリート』(1987から1991)
  • ロー&オーダー』は、ニューヨーク市刑事司法制度の刑事事件の2つの部分、ニューヨーク市警察殺人課刑事とニューヨーク郡地方検事局英語: New York County District Attorneyオフィスによる刑事訴追にフォーカスしたロングランシリーズである(1990-2010)。オリジナルのロー&オーダーの成功により、4か国で9つのスピンオフシリーズが影響を受けた。
警察の捜査の描写はさておき、この番組は法律ドラマ英語: Legal dramaと“犯罪病理学”のサブジャンルと位置付けられ、CSI:科学捜査班シリーズなどの他番組が影響を受けた。

インド[編集]

イギリス[編集]

アイルランド[編集]

イタリア[編集]

ニュージーランド[編集]

オーストリア[編集]

コミック・ストリップと漫画本[編集]

コミック・ストリップの『ディック・トレイシー英語: Dick Tracy』は、しばしば早期のポリスプロシーデュラルだとされている。実際、『The Celebrated Cases of Dick Tracy英語: The Celebrated Cases of Dick Tracy』と名付けられた、トレーシーのストリップの1970年のコレクションの導入部分で、エラリー・クイーンが、トレーシー、前述のウッェブ、クレーシー、マクベインはフクション・メディアにおける、“真に”最初のプロシーデュラル・ポリスマンだと指摘してきした以上の影響力がある。

きっとトレーシーを創り出したチェスター・グールド英語: Chester Gould は現実の世界を映し出そうとしたように見える。グールドによって、「現代のシャーロック・ホームズ」として考え出されたトレーシー自身、実在の法執行者のエリオット・ネスを部分的にモデルにしている。彼の初めての、最も頻繁に出てくるライバルの大物はエリオット・ネスの実際の強敵のアルカポネがベースだ。『ディック・トレイシー』の登場人物、例えば放火魔ボリス英語: Boris Arsonフラットトップ・ジェーンズ英語: Flattop Jonesモー・ファーモン英語: Maw Famonは、それぞれジョン・デリンジャーチャールズ "プリティボーイ"フロイドケイト・バーカーから影響を受けている。

さらに重要なことは、グールドは警察の仕事を本物らしく描く試みをしている。一度、トレーシーがシカゴ・トリビューンに売られたが、ノースウェスタン大学の犯罪学教室に在籍し、シカゴ市警察(Chicago Police Department)のメンバーに会い、法執行機関の描写をより本物らしくするために、似顔絵画家のパイオニアのシカゴの元警察官のアル・バラニス(Al Valanis)をアーティスト・アシスタントと警察関係のテクニカル・アドバイザーとして雇った。

後に、グールドはスペースオペラ地球外通信英語: extraterrestrial contactsに転向し、ストリップが早期のリアルなポリスプロシーデュラル使用を使っていることを和らげたが、初期の1931年から1950年代にわたるトレーシーのストリップの検討はポリスプロシーデュラル・サブジャンルにおけるグールドの地位を明確にした。

『トレ─シー』の成功が多くの警察漫画へ導いた。ノーマン・マーシュ英語: Norman Marshダン・ダン英語: Dan Dunnのようなものは、トレーシーの厚かましい独創性のないイミテーションだ。他のダシール・ハメットアレックス・レイモンド英語: Alex Raymondの『シークレット・エージェントX-9英語: Secret Agent X-9』は、より独創性のあるアプローチをとった。さらに、エディー・サリバン英語: Eddie Sullivanチャリー・シュミット英語: Charlie Schmidtの『Radio Patrol』やウィル・グールド英語: Will Gouldの『レッド・バリー』'はその中間に向かった。最も良いポスト・トレーシーの警察漫画の一つは、アレン・サンダース英語: Allen Saunders原作・創作でアルフレッド・アンドリオラ英語: Alfred Andriola作画の『ケリー・ドレイク英語: Kerry Drake』である。『トレーシー』が大都市に場所を設定したのとは逆に、小さい町の弁護士であったケリーが主人公である。恋人が殺害された後、彼は元の職を離れ、地道に犯罪を解決するために小さな町の警察署に加わる。地区検事の人と市の警官の両者として、犯罪者と戦っていく。

他のゼイン・グレイ の『ロイヤルキングオブマウント英語: King of the Royal Mounted』を含む配信された警察漫画は当代の勤勉な警官の家庭での生活を強調した、ランク・レオナルド英語: Lank Leonardの『:ミッキー・フィン英語: Mickey Finn (comic strip)』、ラジオ-TVシリーズから漫画に移行したパイオニアをリメークした『ドラグネット』を含む。初期の警察をテーマとした漫画は“トレ─シー”と“ドレイク”のような配信された新聞漫画の復刻に向かう傾向があった。他は、ラジオに刺激された、コミックの作品集『ギャング・バスターズ英語: Gang Busters』、マクベインの小説をリメイクしたデルの『87分署(87th Precinct)』集、警官エリオット・ネスの実生活のフクション化したTVアドベンシャーを改作したアンタッチャブルのように、他のメディアの警察物語をリメイクした。

より最近では、ジョゼフ・ウォンボーのような作家の小説でみられるように、リアリズムで警察の仕事を描く試みがある。例えば、マーベル・コミックの4コマのミニシリーズの『Cops: The Job英語: Cops: The Job』では、新人警官が、最初の勤務に就いた時の法執行の体力的、感情的、精神的なストレスに対処することを学ぶ。コミック市場の中心はスーパーヒーローが登場する作品になって久しいが、コスチュームをまとった犯罪者に対し、ポリスプロシーデュラルを持ち込む試みがあった。例えば、『ゴッサム・セントラル英語: Gotham Central』はバットマンゴッサム・シティの刑事たちの動きを描いている。また、マントをまとった犯罪と戦う人は、足を踏みつけることから多くのゴッサムの刑事に嫌われていることを示唆した。一方、『メトロポリタン特捜部英語: Metropolis SCU』は、スーパーマンメトロポリス (DCコミックス)英語: Metropolis (comics)を管轄する警察の精鋭部隊である、特捜部英語: Special Victims Unitの話を語る。

スーパーヒーロー・コミックにおけるポリスプロシーデュラルの使用は、クルト・ビュジーク英語: Kurt Busiekの独創的な1994年のシリーズ『マーベルズ』と次回作の『アストロ・シティーAstro City英語: Astro City)』の成功に寄与した。両者とも、一般人が、大規模なドラマを遠くから見る、ほとんど無関係であれば最適な典型的なスーパーヒーローがでている。

ビュジークの成功の航跡において、多くの作家は彼のアプローチをまね、ミックスした結果で-ドラマに関係しないある人の物語の可能性は限られる。しかし、2000年に、『イメージ・コミック』は、ブライアン・マイケル・ベンディスのコミック『POWERSの第一作が出版した。それは、スーパーヒーローに関係した事件を捜査する殺人課の刑事の生活をフォローした。ベンディスの成功によって、マーベル・コミック社とDCコミックス社はスーパーヒーローをテーマにしたポリスプロシーデュラル『ダイレクト X英語: District X』と前述の“ゴッサム・セントラル英語: Gotham Central”が始まった。それらは、警官の仕事は、秘密の正体(secret identities)のような言葉のあや、超人間的な能力(superhuman abilities)、コスチューム、自警団の不変にちかいの存在に影響される。

“パワーズ”の刑事は、超能力犯罪を扱う「普通」(強化されていない)の人間であった。一方、アラン・ムーアジーンハ英語: Gene Haにより2000-2001年にアメリカのベスト・コミックスから出版されたミニシリーズの“トップ10”は、警官や犯罪者から市民、子供達、ペットまで、誰もが超強化され、カラフルなコスチュームで、秘密のアイデンティティを持っている多層都市「ネオポリス」にて働く警察の生活と仕事を詳細に描いている。

脚注[編集]

  1. ^ 新保博久「日本のケーサツ小説はガラパゴス進化を遂げた」『本の雑誌』2013年4月号 p.14-17
  2. ^ Wheat, Carolyn (2003) How to Write Killer Fiction: The Funhouse Of Mystery & The Roller Coaster Of Suspense. Santa Barbara, PA: Perseverence Press, ISBN 1880284626
  3. ^ Traister, Rebbeca (2007年9月15日). “show The best TV show of all time”. Salon.com. 2008年3月7日閲覧。
  4. ^ Wire, The Season 4”. Metacritic. 2008年3月7日閲覧。
  5. ^ Wire, The Season 5”. Metacritic. 2008年3月7日閲覧。
  6. ^ “The Wire: arguably the greatest television programme ever made”. Telegraph (London). (2009年4月2日). http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/5095500/The-Wire-arguably-the-greatest-television-programme-ever-made.html 2009年4月2日閲覧。 
  7. ^ Wilde, Jon (2007年7月21日). “The Wire is unmissable television”. London: guardian.co.uk. http://www.guardian.co.uk/culture/tvandradioblog/2007/jul/21/thewireisunmissabletelevis 2009年9月7日閲覧。 
  8. ^ Carey, Kevin (2007年2月13日). “A show of honesty”. London: guardian.co.uk. http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2007/feb/13/thewire 2009年9月7日閲覧。 

参考文献[編集]