ポケットモンスター 金・銀

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ポケットモンスター 金・銀
ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイ / ゲームボーイカラー
開発元 ゲームフリーク
クリーチャーズ
発売元 任天堂
プロデューサー 出石武宏、川口孝司、石原恒和山内溥(エグゼクティブプロデューサー)
ディレクター 田尻智増田順一(サブディレクター)
デザイナー 田尻智、西野弘二、森本茂樹、増田順一、松島賢二
シナリオ 松宮稔展、松島賢二
プログラマー 渡辺哲也、森本茂樹、玉田荘介、太田健程
音楽 増田順一、一之瀬剛
美術 杉森建藤原基史、森本茂樹、にしだあつこ、吉田宏信、斉藤むねお、太田敏、吉川玲奈、奥谷順、岩下明日香、渡辺哲也
シリーズ ポケットモンスター
人数 1人(通信時2人)
メディア ゲームボーイ&カラー共通カートリッジ(ロムカセット
発売日 日本の旗1999年11月21日
オーストラリアの旗ニュージーランドの旗2000年9月4日
アメリカ合衆国の旗カナダの旗2000年10月14日
欧州連合の旗2001年4月6日
大韓民国の旗2002年4月24日
売上本数 金・銀の合計:
日本の旗730万本以上(2009年9月末時点での出荷数)[1]
世界2373万本(2009年9月末時点での出荷数)[1]
金・銀・クリスタルの3バージョン合計:
世界 2949万本[2]
その他 揮発性メモリコイン型リチウム電池によるセーブデータのバッテリーバックアップ機能搭載
コイン型リチウム電池によるリアルタイムクロック機能搭載
赤外線通信対応(ゲームボーイカラーのみ)
スーパーゲームボーイ対応
通信ケーブル対応
ポケットプリンタ対応
テンプレートを表示

ポケットモンスター 金・銀』(ポケットモンスター きん・ぎん)は、任天堂より1999年11月21日に発売されたゲームボーイロールプレイングゲーム[3]ポケットモンスター 金』と『ポケットモンスター 銀』の総称。この項目では、『ポケットモンスター 金』と『ポケットモンスター 銀』および、2000年12月14日に発売されたこれらの別バージョン[4]である『ポケットモンスター クリスタルバージョン』を扱う。

本作のリメイクについては、『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』を参照。

ニンテンドー3DSバーチャルコンソール版については、後述する「バーチャルコンソール」の節を参照。

概要

『ポケットモンスター 金』と『ポケットモンスター 銀』は『ポケットモンスター』シリーズ完全新作(別バージョンやリメイク以外の本編作品の新作)の2作目であり、『ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ』の続編でもある。パッケージのポケモンは、『金』がホウオウ、『銀』がルギア。ホウオウ、ルギアとも伝説のポケモンという設定で、今作以降のポケットモンスターシリーズのパッケージを飾るポケモンは、すべて伝説のポケモンである。ゲームボーイカラー専用ソフトという括りではないものの[注 1]、グラフィックや通信インターフェースなど全面的にゲームボーイカラーに対応しており、また、カートリッジにリアルタイムクロックを内蔵することで、現実世界と作中の時間の流れが連動する要素も盛り込まれている。

本作では『赤・緑』の舞台となった「カントー地方」の西に隣接する形で存在する「ジョウト地方」がシナリオ前半の舞台となり、後半のシナリオではカントー地方が主な舞台となる。作中では前作から3年が経過しているという設定で、オーキド博士のみならず、前作の主人公やライバル、ジムリーダーなど多数の主要な登場人物も続投している。

タイトルである『金・銀』について、プロデューサーの石原恒和は、「ピンクや紫でも良かったが、それでは前作の延長にしかならない。でも「金・銀」なら、前作の延長としての色のバリエーションでありながら、「赤・緑」とは違う“色+アルファ”が表現できたのではないか」と語っている[5]

『金』と『銀』の内容の主な違いは、特定のポケモンの出現率、出現するポケモンの種類、ポケモン図鑑のテキスト、ポケモンのグラフィックで、シナリオやキャラクターの台詞に違いはない。2バージョン同時発売されたタイトルで、バージョンごとにポケモンのグラフィックが異なっているのは本作のみ。

登場するポケモン全251種類(幻のポケモンミュウセレビィ含む)のうち100種類が新しいポケモンで、そこには前作から存在するポケモンから進化したポケモン(ヤドキングなど)と、前作から存在するポケモンの進化前のポケモン(ピチューなど)も含んでいる。基本的に新ポケモンのすべてが新しい舞台であるジョウト地方に生息しているわけではなく、カントー地方の特定の場所でしか出現しないデルビルマグマッグのようなポケモンも珍しくはない。『金』と『銀』の2バージョンあれば図鑑が完成するわけではなく、フシギダネヒトカゲゼニガメをはじめとする『赤・緑』のシナリオ中のイベントで1匹しか手に入らないポケモンは、タイムカプセル(後述)を利用して本作へ連れてこなければ入手できない。

新しい技も数十種類追加された。また、前作から存在する技のうちいくつかの性能が変更されており、ゲームバランス、特に対戦に少なからぬ影響を与えた。例えば、「かみつく」はタイプが「ノーマル」から「あく」に変更され、急所率が素早さに依存しなくなり、通常の急所率の8倍で急所に当たる技「きりさく」や「はっぱカッター」などは通常の急所率の4倍程度に引下げられたり、3割の確率で相手を「こおり」(事実上の戦闘不能)状態にする「ふぶき」の命中率と追加効果の発動率が低下し、状態異常である「こおり」状態の行動不能は一定確率で回復するように変更された。

このような新しいポケモン、新しい技は本作以降も完全新作のたびに追加されている。

大韓民国ではライセンスの都合上、『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されなかったため、本作が最初に発売されたポケモンソフトとなった。

ゲームシステム

前作と共通しているシステムも多いため、『ポケットモンスター 赤・緑#ゲームシステム』も参照すること。

ここでは主に本作で導入された新要素を解説する。

  • 電話、ラジオ、タウンマップ、時計の機能が集約された腕時計型のアイテム「ポケギア」がメニュー項目として登場した。
  • 四天王、チャンピオン以外のトレーナーの一部と再戦ができるようになった。再戦可能なトレーナーからポケギアで連絡が入ることがある。シナリオの進行度合いと再戦回数によって、トレーナーの手持ちポケモンが成長するのも特徴である。
  • 一度覚えさせると原則二度と忘れさせられない「ひでんわざ」も含め、任意の技を忘れさせてくれるNPCが登場した。
  • サファリゾーンが廃止された一方で、制限時間内にあらかじめ渡された専用ボールを使って「むし」タイプのポケモンを捕まえる「むしとりたいかい」が、火、木、土曜日に開催される。何匹でも捕まえられるもののキープしておけるのは常に1匹のみで、制限時間経過時点でキープしていたポケモンの強さや珍しさをもとに採点され順位が決まる。この大会でしか手に入らないアイテムも存在している。
  • 自分の部屋を「もようがえグッズ」で自由に飾り付けることができる。グッズは後述する「ふしぎなおくりもの」で手に入る。

時計機能

カートリッジ内部に搭載されたリアルタイムクロックにより、ゲーム中では現実世界と同じように時間が流れている。ポケギアには現在の曜日と時刻が表示されるが、その表示される時刻がそのままゲーム内の時間帯、朝 (4:00〜9:59) 、昼 (10:00〜19:59) 、夜 (20:00〜3:59) となる。時刻と曜日は一度設定すると任意で変更することはできない。

この時間帯によって各フィールドにおけるポケモンの出現率と出現する種類が変わり、また曜日ごとに特定のイベントが発生する、特定の曜日と時間帯が一致した場合にのみ起きるイベントなどがある。フィールド上のグラフィックも時間帯によって明るさが変化し、朝は昼に比べ色が若干色味が薄めに表示され、夜は薄い青紫色がかった表示となる。

新しいタイプと相性の変更

2つの新しいタイプ「あく」と「はがね」が追加された。「でんき」から「でんき/はがね」に変更されたコイルレアコイル以外の新タイプを持つポケモンは、すべて本作で新登場したポケモンである。

この新タイプの追加でタイプの相性によるタイプの強弱、つまりゲームバランスが変化したが、そのことについて開発元であるゲームフリーク森本茂樹は「前作と同じで、結局エスパーが強いという話ではおもしろくない」と語り、西野弘二は「あく」と「はがね」を追加した理由について、「一番の目的はエスパー対策」と語っている[6]

  • 「あく」タイプの技は、「エスパー」「ゴースト」に対して「こうかはばつぐん」、「かくとう」「あく」「はがね」タイプに対して「こうかはいまひとつ」となる。「あく」に対して、「かくとう」「むし」タイプの技は「こうかはばつぐん」、「ゴースト」「あく」タイプの技は「こうかはいまひとつ」、「エスパー」タイプの技は「こうかがない」となる。
  • 「はがね」タイプの技は、「こおり」「いわ」に対して「こうかはばつぐん」、「ほのお」「みず」「でんき」「はがね」タイプに対して「こうかはいまひとつ」となる。「はがね」に対して、「ほのお」「かくとう」「じめん」タイプの技は「こうかはばつぐん」、「ノーマル」「くさ」「こおり」「エスパー」「ひこう」「むし」「いわ」「ゴースト」「ドラゴン」「あく」「はがね」タイプの技は「こうかはいまひとつ」、「どく」タイプの技は「こうかがない」となる。
  • 「こおり」タイプの技が、「ほのお」に対して通常のダメージではなく、「こうかはいまひとつ」になった。
  • 「どく」タイプの技が、「むし」に対して「こうかはばつぐん」ではなく、通常のダメージを与えるようになった。
  • 「むし」タイプの技が、「どく」に対して「こうかはばつぐん」ではなく、「こうかはいまひとつ」になった。
  • 「ゴースト」タイプの技が、「エスパー」タイプに対して「こうかがない」ではなく、「こうかはばつぐん」になった。

ポケモンの能力値に関する仕様変更

特殊攻撃の攻撃力とそれに対する防御力を兼ねていた「とくしゅ」(特殊能力)が、「とくこう」(特殊攻撃力)と「とくぼう」(特殊防御力)に分割された。ただし、この2つの能力の「生まれつきの強さ」と「基礎ポイント」は共通しており、ステータス画面で実際に見ることができる「とくこう」と「とくぼう」の能力値は、両者で共通している「生まれつきの強さ」と「基礎ポイント」、ポケモンの種族ごとに設定された「とくこう」と「とくぼう」の「ポケモンの種類ごとの能力」によって算出されている。

前作から存在しているポケモンすべての「とくこう」と「とくぼう」の「種類ごとの能力」について、いずれか片方は前作での「とくしゅ」の値と同じで、もう片方は新規に値が設定されている。両方ともまったく同じ値に設定されたポケモンもいるが、高い「とくしゅ」を誇っていたポケモンは片方は以前よりも低く(例.ドククラゲのとくこう)、「とくしゅ」の低かったポケモンは片方が欠点を補うように高めに設定されている(例.エビワラーのとくぼう)傾向がある。

ポケモンの性別

ポケモンの性別は、前作ではニドラン以外では触れられておらずゲームシステムとして存在しなかった概念だが、本作から設定上・ゲームシステム上のいずれでもほとんどのポケモンにオスまたはメスの性別が存在するようになった。性別が存在するポケモンの場合、そのポケモンの「こうげき」の生まれつきの強さがある基準よりも高い場合はオス、低い場合はメスになるが、その基準はポケモンの種類ごとに異なっている。

多くのポケモンは必ずオスかメスのどちらかであるが、ルージュラ(メスのみ)やケンタロス(オスのみ)のようにどちらか片方の性別しかいない種類も存在する。ヒトデマンのようなモチーフとなった生物自体に性別のないポケモン、ビリリダマのようにそもそも生物自体がモチーフではないもの、伝説のポケモンはすべて「せいべつふめい」(性別不明)とされており、ゲーム上でも性別の表示はない。ただし性別不明は必ずしも性別が存在しないという意味ではないとされ、実際にはポケモン研究家がまだ正しく性別を判断できる段階にない場合もあるとされている。後のシリーズである『ポケットモンスター ルビー・サファイア』には、伝説のポケモンでありながらも性別が明示されたラティアスとラティオスが登場している。

性別は、ゲーム上では後述するタマゴの要素と技「メロメロ」に関わる。

タマゴ

ゲーム中で他のポケモンと同じように手持ちに加えたりボックスに預けたりできる「タマゴ」とは、たまごポケモンのタマタマラッキーに直接関係するものではなく、ポケモンの赤子が入った卵そのものを指す。設定上、誰も生まれる瞬間を見たことはなく実際にポケモンが生んだ卵そのものかどうかは定かではないとされ、ウツギ博士によって「保育器のようなものかもしれない」との仮説が唱えられたとされている[7]

ゲームシステムとしての「タマゴ」は、以下の条件を満たす組み合わせのポケモンをそれぞれ1匹ずつ育て屋夫婦に預け、ある程度フィールドを歩くと発見されるもので、さらにこのタマゴを育て屋夫婦からもらい手持ちに加え一定歩数移動することで、タマゴからメスと同じ種類の系統のポケモン(オスのポケモンとメタモンを預けた場合はオスと同じ種類の系統のポケモン)をのうち一度も進化してない種類のポケモンのレベル5[8]の個体が孵るという仕組みになっている。タマゴは、野生のポケモンを捕獲する、ゲーム中のイベントで手に入れる以外の新たなポケモン入手の手段である。

  • 同じ「タマゴグループ」に属するポケモンのオスとメス
  • オス・メスいずれかのポケモンとメタモン
  • 「せいべつふめい」のポケモンとメタモン

「タマゴグループ」とは、ポケモンのタマゴが見つかる組み合わせに関わるポケモンの分類であり、すべてのポケモンはその種類ごとにどのグループに属するかが定められている[9]。「タマゴみはっけん」に属するポケモンを預けた場合はいかなる場合もタマゴは見つからない。

タマゴグループ一覧

  • かいじゅう
  • こうぶつ
  • しょくぶつ
  • すいちゅう1
  • すいちゅう2
  • すいちゅう3
  • ドラゴン
  • ひこう
  • ひとがた
  • ふていけい
  • むし
  • ようせい
  • りくじょう
  • メタモン
  • タマゴみはっけん:伝説のポケモン、『金・銀』で新たに登場した進化前のポケモン(例、ピチュー)など。
  • せいべつふめい:性別がなくメタモンと一緒に預けないとタマゴが見つからないという事情からの便宜的なものであり、性別不明のポケモンであっても実際のゲームデータ上では上記のいずれかに設定されている。

生まれるポケモンがレベルアップで覚える技を両親が育て屋夫婦に預けられたときに覚えていた場合は、生まれてくるポケモンもその技を覚えている(親が預けられている間に育ってその技を忘れてしまっていても問題ない)。また生まれてくるポケモンの「タマゴから生まれる場合のみに覚えている技」の中に、預けたオスのポケモンが覚えている技と同じものがあれば、生まれたポケモンもその技を覚えている。例えば、「しょくぶつ」グループに属し「はなびらのまい」と「ねむりごな」を覚えているナゾノクサのオスと、「しょくぶつ」グループに属し「ねむりごな」を覚えているフシギダネのメスで見つかるタマゴからは「はなびらのまい」と「ねむりごな」を覚えたレベル5のフシギダネが孵る[10]。オスのポケモンとメタモンを預けた場合であっても、生まれてくるポケモンの「タマゴから生まれる場合のみに覚えている技」の中に、預けたオスのポケモンが覚えている技と同じものがあれば、生まれたポケモンもその技覚えている。

持ち物

手持ちポケモンであるか預けているかを問わず、ポケモン1匹ごとに道具(たいせつなものは不可)を持たせることができる。

それにより、以下のようなことができるようになった。

  • 持たせた道具を戦闘中にポケモンが自分で使用する。
  • 特定のポケモンに特定の道具を持たせて通信交換すると、持っていた道具を消費してポケモンが進化する。
  • 道具を持たせて通信交換することで、道具の交換ができる。

懐き

『ピカチュウ』版ではオーキド博士からもらったピカチュウ(IDNo.が一致する場合)のみに懐きの概念が存在したが、本作から所持している自分のポケモンすべてに懐きの度合いが存在するようになった。ポケモンの種類ごとにそのポケモンを入手したとき(捕獲、譲渡、通信交換)のなつき度の初期値が決まっており、一定歩数連れて歩く、特定のアイテムを使う、瀕死状態にするなどの行動で増減する。また、通信交換に出すと初期値に戻る。

懐きの具合に関連する要素は以下の通り。

  • ある程度以上懐いた特定の種類のポケモンがレベルアップした時に進化する(トゲピー→トゲチックなど)。
  • ある程度以上懐いたポケモンを見せると道具をくれるNPCがいる。
  • 懐き具合が高いほど、技「おんがえし」の威力が上がり、低いほど下がる。
  • 懐き具合が低いほど、技「やつあたり」の威力が上がり、高いほど下がる。

色違いのポケモン

「いかりのみずうみ」で必ず遭遇する赤いギャラドス(通常は青)のように、体の色が通常と異なる場合がすべてのポケモンの種類に存在し得る。遭遇時には光るようなエフェクトが発生し通常との違いは一目瞭然であるが、プレイ中の本体がカラー表示でない場合は光るようなエフェクト以外では区別しづらい。

色違いであるかどうかはポケモンの生まれつきの強さと関係しており、すでに通常の色のポケモンが新たに色違いのポケモンになることは一切ない。野生のポケモン、ゲーム中で人からもらう(おや、IDNo.が他人扱いは除く)、タマゴから孵るなど入手条件は問わないものの、色違いのポケモンを目にする確率は非常に低いものとなっている。

タイムカプセル

タイムカプセル」は、エンジュシティまでシナリオを進めると利用可能になる通信交換のための新たな施設で、ここで本作『金・銀・クリスタルバージョン』と前作『赤・緑・青・ピカチュウ』のポケモンを通信交換することができる。前作から送るポケモンに制約は一切ないものの、本作から送ることができるポケモンは前作にも存在する、図鑑番号が001から151までのポケモンとなる。覚えている技にも制約があり、前作に存在しない技を覚えているポケモンをその技を忘れさせない限り送ることはできない。

前作から連れてきたポケモンは何らかの道具を持っていることが多く、何を持っているかはそのポケモンをどのように入手したかによることが多い。例えば、野生のピカチュウを捕まえて進化させたライチュウは「きのみ」を持っており、最初から野生のライチュウとして出現したものを捕獲して送った場合は「きんのはっぱ」を持っている[11]

No.001から151のポケモンに前作から存在した技でありながらも本作で初めて覚えられるようになった技(例、フシギダネのずつき)を覚えさせて前作に送ることもできる。

フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ、オムナイト、カブトとそれらの進化形や伝説のポケモンであるフリーザー、サンダー、ファイヤー、ミュウツーを入手するには、このタイムカプセルを利用して前作から連れてくることが必要となる。また前作の「わざマシン」でのみ覚えられる技(例、すてみタックル)を覚えたポケモンがほしい場合も、タイムカプセルを利用する必要がある。

ふしぎなおくりもの

ゲームボーイカラー本体の赤外線通信機能を利用した遊びで、1日5回まで(同じIDNo.のセーブデータとは1日1回まで)他の『金・銀・クリスタルバージョン』と行え、お互いにランダムに何らかの道具などが手に入る。特にここでしか手に入らない「もようがえグッズ」がある。また、最後にふしぎなおくりものをした相手のその時の手持ちポケモンを持ったトレーナーとトキワシティの「トレーナーハウス」で戦うことができる。

この遊びは本体がゲームボーイカラーの場合のみ可能となる。

ストーリー

ジョウト地方のワカバタウンに住む主人公はある日、この町でポケモンの進化についての研究を行っているウツギ博士に呼び出される。さっそく隣町ヨシノシティの先30番道路にあるポケモンじいさんの家までお使いを頼まれ、その際に博士が見つけたという新しいポケモンヒノアラシ、ワニノコ、チコリータのいずれかをもらう。ポケモンじいさんの家に偶然居合わせたオーキド博士にトレーナーとしての才能を見抜かれポケモン図鑑を渡される。帰ろうとした矢先、博士から「ポケモンが盗まれた」と、緊急の連絡が入る。帰路の途中、赤い髪の目つきの鋭い同い年くらいの少年に因縁をつけられバトルとなるも無事退けウツギ研究所に戻ると、オーキド博士にポケモン図鑑をもらったことに驚いたウツギ博士から「各地のポケモンジムをめぐりポケモンリーグに挑戦してはどうか」と提案される。

こうしてポケモントレーナーとなった主人公は各地を巡る過程で、一度は解散したと思われた悪の組織「ロケット団」と対決することになる。途中いかりのみずうみで出会った謎のマントの男ワタルの協力を得てチョウジタウンのアジトを壊滅させ、その後さらにコガネシティのラジオ塔を占拠するロケット団の幹部たちを倒し一連の騒動を解決に導く。

ロケット団との闘いのあと、本来の目的であったすべてのジムバッジを得て目指したセキエイ高原にたどり着いた主人公を最奥で待っていたのはあのマントの男、チャンピオンのワタルであった。

登場人物

前作『赤・緑』から引き続き登場する人物も多いため、ポケットモンスター 赤・緑の登場人物も参照。

世界観

詳細は「ジョウト地方」および「カントー地方」を参照

舞台となる地方の一つ「ジョウトちほう」は近畿地方をモチーフとしており、漢字では城都または条都[12]と書く。前作同様、町の名前は色の名前に由来している。

音楽

発売日 タイトル
2009年10月28日 ニンテンドーDS ポケモン ハートゴールド&ソウルシルバー ミュージック・スーパーコンプリート

シリーズで唯一サウンドトラックが発売されていないが、リメイクである『ハートゴールド・ソウルシルバー』のサウンドトラックの3枚目のディスクに本作のBGM全曲を再現したものが収録されている。

ポケットモンスター クリスタルバージョン

ポケットモンスター クリスタルバージョン
ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイカラー
開発元 ゲームフリーク
クリーチャーズ
発売元 任天堂
プロデューサー 岩田聡、大和聡、宮本茂、石原恒和、山内溥(エグゼクティブプロデューサー)
ディレクター 田尻智(エグゼクティブディレクター)、増田順一
デザイナー 増田順一、森本茂樹、西野弘二、太田哲司、佐藤仁美、松島賢二
シナリオ 増田順一、西野弘二、松宮稔展、松島賢二
プログラマー 玉田荘介、曽我部仙史、かがや まつだ よしのり、森本茂樹、渡辺哲也、太田健程
音楽 増田順一、青木森一、一之瀬剛
美術 杉森建、藤原基史、森本茂樹、吉田宏信、太田敏、にしだあつこ、斉藤むねお、吉川玲奈、奥谷順、岩下明日香、渡辺哲也
シリーズ ポケットモンスター
人数 1人(通信時2人)
メディア カラー専用カートリッジ(ロムカセット)
発売日 日本の旗2000年12月14日
アメリカ合衆国の旗カナダの旗2001年7月29日
オーストラリアの旗ニュージーランドの旗2001年9月30日
欧州連合の旗2001年11月1日
売上本数 日本の旗185万本(2002年12月末時点)[13]
その他 揮発性メモリとコイン型リチウム電池によるセーブデータのバッテリーバックアップ機能搭載
コイン型リチウム電池によるリアルタイムクロック機能搭載
モバイルアダプタGB対応
通信ケーブル対応
ポケットプリンタ対応
赤外線通信対応
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『ポケットモンスター クリスタルバージョン』は、『金・銀』の別バージョンである。パッケージのポケモンはスイクン。『金』と『銀』との違いと同じように、『クリスタルバージョン』もポケモンの出現率、出現するポケモンの種類、図鑑のテキストがそれらとは異なるが、さらに、一部シナリオやシステムの追加・変更、フィールドマップや一部ポケモンのグラフィックの変更、女の子の主人公の追加、モバイルアダプタGBへの対応、オープニングムービーの変更などが施されている。

別バージョンとしては、前作で同様の立ち位置にある『青』と『ピカチュウ』に比べるとシナリオ、システムともに新要素、追加要素が多いのが特徴で、『金・銀』ではプレイヤー自らが発見しない限り会うことのない伝説のポケモンが本作では目立つ形でシナリオに登場する。特にパッケージにも採用されている伝説のポケモン、スイクンはシナリオの各所で関わるようになっている。

特徴

  • シリーズで初めて、女の子の主人公を選べるようになった。
  • モバイルアダプタGBに対応し、遠く離れた場所にいるプレイヤーとでも携帯電話とつなげることで通信が可能になった。
  • モバイルアダプタGBを利用した対戦施設「バトルタワー」が初めて登場した。
  • そのポケモンを捕まえた場所、捕まえた時のレベル、捕まえたトレーナーの性別がポケモン1匹ごとに記録されるようになった。
  • 野生として出現する、トレーナーが繰り出す、ステータス画面で確認する時にポケモンのグラフィックが動くようになった。
  • シリーズで初めて、伝説のポケモン(ライコウ、エンテイ、スイクン)専用の戦闘曲が用意された。
  • NPCから直接技を教えてもらえる「おしえわざ」が初めて登場した。
  • ジョウト地方の伝承が深く掘り下げられ、ライコウ、エンテイ、スイクンとホウオウの関係が明かされた。
  • ポケギアで連絡できるNPCとの会話において、『金・銀』では別人であってもテキストを使いまわしているせいか同じ口調で同じセリフしか言わない場合も少なくなかったが、『クリスタルバージョン』ではトレーナーごとに異なる口調で異なる内容を話すようになった。

モバイルモード

『クリスタルバージョン』は、モバイルアダプタGBをゲームボーイカラーに接続して電源を入れることで「モバイルモード」となり、これ以降は起動するたびに「モバイルシステムGB」のロゴがオープニング再生前に表示されるようになる。それと同時にタイトル画面の後に表示されるメニュー(つづきから はじめる、さいしょから はじめる、せっていを かえる)に「モバイル」と「モバイルスタジアム」が表示されるようになる。

  • モバイルモードになるとできること
    • コガネシティのポケモンコミュニケーションセンター (PCC) のBGMが変わる。
    • PCCにて、育て屋夫婦に通常では覚えられない技を覚えたポケモンが生まれるタマゴ(色違いが生まれる場合もある)と交換してもらえる「タマゴけん」がもらえる。
    • PCCのニュースマシン(モバイルでデータを受け取る)が利用できるようになる。受け取るデータは毎月異なり、単なるニュースであることもあれば、クイズが添付されており、正解すると道具がもらえることもある(わざマシンなど)。
    • PCCで全国のプレイヤーの記録を見ることができる。ポケモンを倒した数、捕まえた数など
    • バトルタワーが利用できるようになり、NPCとして登場する全国のプレイヤーのデータと7人勝ち抜き制の対戦ができる。レベル10, 20, 30といった具合に10刻みで100までポケモンのレベルで区切られた部屋(ルーム)があり、自分も同じレベルのポケモンで戦わなければならない。そのルームの7人に勝ち抜くと、自分の手持ちとトレーナーの名前のデータが登録され、後日NPCの対戦相手として登場するようになる。伝説のポケモン、幻のポケモンに対する使用制限はない(ミュウツーであれば正規のプレイで入手可能なレベル70以上のルームで使用可能といった具合だが、レベルに関しては普通のポケモンにも言える。)。
    • メニュー「モバイルスタジアム」を使ってデータを受け取り、『ポケモンスタジアム金銀』と連動することで、公式大会の上位者の対戦データを再生することができ、またそのプレイヤーのデータを使うNPCと対戦することができる。

発売延期と開発の遅れ

タイトル自体は前作の発売から間もない1996年の春に『ポケットモンスター2』として発表され、発売予定時期は1997年末とされていた[14]。しかし開発が大幅に遅れ、1997年夏のNINTENDOスペースワールド’97で体験版が出展された[15]。それ以降、『ポケットモンスター2』のタイトルロゴが変更されポケットモンスター『金・銀』1998年3月下旬発売予定となっていた。結果として発売されたのはさらにその1年以上後、『赤・緑』の発売から3年半以上が経過した時期であったが、それが本作の「前作の3年後の物語」という舞台設定とリンクしている。最終的に1999年11月まで発売が延期されたため、アニメ版が金銀編のストーリーを先行する形となった。

開発当初は『赤・緑』同様ゲームボーイ用ソフトとして発売予定だったが、開発の遅れによりゲームボーイカラーが先に発売されたため、ゲームボーイ&カラー共通カートリッジに変更された。このため、当初公開されたゲーム画面のスクリーンショットは『赤・緑』と同程度のグラフィックだったが、製品版におけるゲーム画面ではグラフィックが向上している。

当時ハル研究所社長であった岩田聡がプログラマーとしてグラフィックの圧縮に貢献しており、VC版(後述)『金・銀』のポケモンを『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』へ連れて行き、モリモトとのバトル時に手持ちに入れていると特別なメッセージを聞くことができる[16]

発表初期には、スピードアップアイテムの変更として自転車スケートボード(アイテム名は「スケボー」)になると幾つかの雑誌で発表され、公式イラストも登場したが、結局変更されず、自転車のままだった。また同時に「相手トレーナーのポケモンを捕獲できるようになる」というシステムも発表されたが、こちらも廃案となった(このアイデアは後年『ポケモンコロシアム』の「スナッチ」として採用された)。

当時任天堂はゲームボーイ用ロムカセットを台湾で製造していたが、発売同年9月に起こった921大地震で製造工場は大打撃を受けた。そのため、同年11月1日に予定していたニンテンドウパワー用GBメモリカートリッジの発売を翌年3月1日に延期し、全製造ラインを本作に回すという緊急の処置を取った。だが、需要に対して供給は全く追いつかず、発売1ヶ月ほどは深刻な品薄状況が続いた。しかし、そのような事態に見舞われながらも本作は1999年ゲーム売り上げ本数1位となった。

バッテリーバックアップ機能に関する問題

バッテリーバックアップ機能を持つGBカートリッジの例に漏れず、本作のカートリッジも内蔵のコイン型リチウム電池が切れるとセーブデータは消えてしまい、新しくゲームを始めてもセーブデータを記録できなくなる。さらにこの電池はリアルタイムクロックの維持にも使用されているため、通常のバッテリーバックアップ機能付きソフトよりも消耗が激しい。パッケージ内に同梱されている印刷物では電池寿命はおよそ2年とされており、製造販売元の任天堂は有料で電池交換を行っていたが、すでに電池交換サービスは終了している[17]

バーチャルコンソール

ポケットモンスター 金・銀・クリスタルバージョン
ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ニンテンドー3DS バーチャルコンソール
開発元 ゲームフリーク
発売元 任天堂
販売元 任天堂
シリーズ ポケットモンスター
人数 1人(通信時2人)
メディア ダウンロード
発売日 金・銀
日本の旗2017年9月22日
クリスタルバージョン
日本の旗2018年1月26日
対象年齢 金・銀・クリスタルバージョン
CEROA(全年齢対象)[18][注 2]
売上本数 金・銀
日本の旗 9万9069本(2017年11月23日)[19]
クリスタルバージョン
日本の旗 1万6290本(2018年02月15日)[20]
その他 ワイヤレス通信機能を利用したローカルプレイ対応
ポケモンバンク対応
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2017年6月6日Pokémon Directにて、2017年9月22日にニンテンドー3DS用バーチャルコンソールソフトとして『金』『銀』の2バージョンが配信されることが発表された[21]。先行して同年9月14日から「あらかじめダウンロード」を開始した[22]。ゲームボーイカラー版の画面を再現[23][注 3]オリジナル版同様に、VC版『金・銀』同士の対戦・交換や、VC版『赤・緑・青・ピカチュウ』との交換が可能。また、ポケモンバンクに対応しており、VC版で捕まえたポケモンを『ポケットモンスター サン・ムーン』や『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』へ連れていくことができる[24]

2018年1月26日にVC版『クリスタルバージョン』が配信。こちらもポケモンバンクに対応する[25]

ただし金銀にあったポケットプリンタやクリスタルバージョンのモバイルアダプタGBの機能は使用することができなくなっている。

脚注

注釈

  1. ^ 韓国版のみゲームボーイカラー専用となっている。
  2. ^ CEROレーティングは公式サイトには記載されておらず、右記出典でメーカー公式情報を確認可能。
  3. ^ ゲームボーイでのプレイ時の画面(モノクロ)は再現されていない。

出典

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関連項目

外部リンク