ボディガード (1992年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボディガード
The Bodyguard
監督 ミック・ジャクソン
脚本 ローレンス・カスダン
製作 ローレンス・カスダン
ジム・ウィルソン
ケビン・コスナー
出演者 ケビン・コスナー
ホイットニー・ヒューストン
音楽 アラン・シルヴェストリ
主題歌I Will Always Love You
ホイットニー・ヒューストン
撮影 アンドリュー・ダン
編集 リチャード・A・ハリス
製作会社 TIGプロダクションズ
配給 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗 1992年11月25日
日本の旗 1992年12月5日
上映時間 130分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 アメリカ合衆国の旗 $121,945,720[1]
世界の旗 $410,945,720[1]
配給収入 日本の旗 41億1000万円[2]
テンプレートを表示

ボディガード』(原題:The Bodyguard)は、1992年製作のアメリカ映画

俳優ケビン・コスナーと女性歌手ホイットニー・ヒューストンが共演し、ヒットしたロマンティックサスペンス映画である。映画初出演となったホイットニー歌唱の主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー」や挿入歌「アイ・ハヴ・ナッシング」「ラン・トゥ・ユー」は、いずれもグラミー賞アカデミー歌曲賞にノミネートされ、主題歌に至ってはグラミー賞をはじめとしたその年のあらゆる音楽賞を総なめにした。またこれらの楽曲が収録され、デイヴィッド・フォスターの編曲したサントラ盤は、全世界で4,200万枚を売り上げる大ヒットを記録した。

あらすじ[編集]

ロナルド・レーガンの警護を担当していたアメリカ合衆国シークレットサービスのフランク・ファーマーは、非番(彼の母の葬式)の日に発生したレーガン大統領暗殺未遂事件に責任を感じて退職、以降は個人でボディーガードを営んでいた。ある日、フランクの元を人気歌手レイチェル・マロンの付き人ビルが訪れ、彼女の身辺警護を依頼する。レイチェルの元には数か月前から不審な出来事が続いており、遂には殺害を予告する脅迫状までが送り付けられてきたため、フランクに白羽の矢が立ったのである。依頼を引き受けたフランクだったが、肝心のレイチェルをはじめスタッフに危機感がなく、フランクを邪魔者扱いし、忠告を聞こうとしない。呆れたフランクは依頼を断ろうとするが、ビルに懇願されたため仕方なく引き受ける。

フランクは警備強化の為に屋敷の大改造やスタッフの教育を開始するが、レイチェル本人はフランクのやり方に不満を募らせ、スタッフのサイと共に勝手にライブハウスでの新曲発表を兼ねたライブを開催する。しかし控え室にまで脅迫状が届き、事態の深刻さに気付いたレイチェルはパニックに陥りながらも、ファンの声援を聞いて奮起する。ところがライブの最中、興奮したファンが暴徒化、危うく暴行されかけたところをフランクに救出される。無事帰宅できたレイチェルはフランクに感謝し、彼に信頼を置くようになる。一方、元々レイチェルのボディーガードを務め、彼女への好意を公言していたトニーは、フランクに出し抜かれたと逆上、フランクに襲いかかるが、返り討ちにあう。

翌日、助けられたお礼にレイチェルはフランクをデートに誘う。映画を観てバーで語り合い、フランクの自宅で二人は一夜を共にした。しかし翌朝、フランクは依頼人と深い仲になったことを後悔し、けじめをつけようとレイチェルに突き放した態度をとる。フランクに裏切られたと感じたレイチェルは、フランクのかつての同僚・ポートマンをベッドルームに連れ込んだり、無断で外出したりとフランクへの当てつけのような行動を繰り返し、責任を感じたフランクは、再びビルに降板を申し出る。だが、直後にホテルの自室で受けた脅迫電話にレイチェルは強いショックを受ける。苦しむ彼女が縋ったのは結局フランクだった。

レイチェルに危険が迫る中、フランクは彼女のスタッフに暇を出し、レイチェルと彼女の姉ニッキー、フレッチャーを連れて父ハーブの家に避難することにする。フランクの昔ばなしやチェスに興じることで一同は落ち着きを取り戻したかにみえたが、翌日、フレッチャーが勝手にボートに乗り込み、フランクが助け出した際、ボートが爆破されてしまう。もはやここにまで魔の手が迫っていた。

その夜、フランクは泣いていたニッキーから「レイチェルの殺害を依頼した」と聞かされる。幼い頃から自分の真似をしていた妹が自分を追い越し、歌手として成功したことに嫉妬を抑えきれなくなったニッキーは、レイチェルへの脅迫状の件がきっかけで長年の鬱憤が爆発。酒場で出会った男に勢いで彼女の殺害を依頼してしまい、その男の名前も知らないため連絡も取れないというのだ。その告白の直後、ニッキーは突然現れた男に射殺されてしまう。

ニッキーの葬儀が終わった後、レイチェルはノミネートされていたアカデミー賞受賞式に出席する。ニッキー射殺の手口からプロの仕業だと感じたフランクは、出席を取り止めるようレイチェルに忠告するが、レイチェルの出席の意志が揺るがないと知ると、トニーと共に警護に全力を挙げる。

フランクは会場で再びポートマンと会うが、彼が「自分の依頼主だ」と語った司会者から「そんな男は知らない」と告げられたことから、ポートマンが犯人だと確信する。ポートマンはカメラマンに扮して壇上のレイチェルを殺そうとしたが、彼女の盾として銃弾を受けたフランクに阻まれ失敗し、フランクに射殺される。

依頼をこなし終えたフランクは、新しいボディーガードと交代し、レイチェルたちと別れの挨拶を交わした。見送るフランクを見つめるレイチェルはジェット機を止め、彼の元に走り別れのキスを交わした。

こうして2人の恋は終わった。レイチェルはフランクへの愛を糧に歌を歌い、フランクは新たな仕事へと就いた。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ソフト フジテレビ テレビ朝日
フランク・ファーマー ケビン・コスナー 津嘉山正種
レイチェル・マロン ホイットニー・ヒューストン 塩田朋子 高島雅羅 塩田朋子
サイ・スペクター ゲイリー・ケンプ 島田敏 江原正士 二又一成
ビル・デヴァニー ビル・コッブス 阪脩 富田耕生 小林勝彦
グレッグ・ポートマン トーマス・アラナ 千田光男 若本規夫 金尾哲夫
ハーブ・ファーマー ラルフ・ウェイト 小島敏彦 大木民夫 加藤精三
ニッキー・マロン ミシェル・ラマー・リチャーズ 藤生聖子 吉田理保子 唐沢潤
トニー・シペリ マイク・スター 福田信昭 秋元羊介 塩屋浩三
授賞式司会者 ロバート・ウール 西村知道 堀内賢雄 佐久田修
クライヴ ナサニエル・パーカー 長島雄一 安井邦彦
ヘンリー クリストファー・バート 伊藤栄次 大滝寛
フレッチャー・マロン デヴォーン・ニクソン 小松直史 津野田なるみ 内澤祐豊
レイ・コート ジェリー・バマン 藤本譲 塚田正昭
ミネラ ジョー・ユーラ 小野健一 小室正幸
ダン トニー・ピアース 中田和宏 古澤徹
ロータリークラブ会長 バート・レムゼン 石森達幸 有本欽隆
スキップ・トーマス リチャード・シフ 小島敏彦 堀部隆一
大御所女優(カメオ出演) デビー・レイノルズ 高村章子 瀬畑奈津子
エマ エセル・アイヤー 火野カチ子 小山田詩乃
音響賞プレゼンター ロブ・サリバン 土方優人 矢崎文也
音響賞受賞者 パトリシア・ヒーリー 八木亜希子 加藤優子
少女 エイミー・ルー・デンプシー 鈴鹿千春
少女の母親 シェリー・A・ヒル 石井七央子

スタッフ[編集]

日本語版

- ソフト版 フジテレビ版 テレビ朝日版
演出 松川陸 春日正伸 福永莞爾
翻訳 伊原奈津子 飯嶋永昭 武満眞樹
調整 N/A 栗林秀年 山田太平
効果 N/A 山本洋平 リレーション
プロデューサー 小川政弘
貴島久祐子
山形淳二
制作 ワーナー・ホーム・ビデオ
プロセンスタジオ
ムービーテレビジョン

評価[編集]

レビュー・アグリゲーターRotten Tomatoesでは48件のレビューで支持率は35%、平均点は5.00/10となった[3]Metacriticでは20件のレビューを基に加重平均値が39/100となった[4]

エピソード[編集]

  • 2人がデートで見た映画(映画館の名前は「アタシ」(「シアター」のもじり))は、黒澤明監督作品の『用心棒』であった。これはタイトルから引用されたものと思われるが、原作者のローレンス・カスダンが熱烈な黒澤ファンであったため、黒澤監督へのオマージュとしてワンシーンを映画の中に取り入れたと、主人公フランクを演じたケビン・コスナーがインタビューで明かしている[5]。フランクのボディーガードとしての信念が、この映画に登場する浪人サムライ)の生き方に影響を受けているということが劇中では表現されており、フランクの自宅には日本刀も飾られている。
  • 映画館のあとに訪れたバーで2人でチークダンスを踊ったとき、そこに流れていた音楽はカントリーソングの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」(カントリーが原曲)であった。そのときレイチェルは「とても暗い歌ね」と話し、フランクは「誰かが誰かを捨てる…よくある話だ」と答えている。彼女はラストシーンでフランクを想いこの曲を歌っているが、ここで、本作の主題歌は映画内の設定においてもカバーソングであったことが示唆されている。なおこの主題歌は、映画製作の慣例と異なり、撮影現場でホイットニー・ヒューストンのツアーバンドを呼び寄せて撮影したライブ録音であり、クライブ・デイビスの意向で無編集・無修正であった[6]
  • 人気歌手レイチェルを演じたホイットニーであるが、この役は、本人の実生活を想起させるという点でも話題となった[5]。この映画のヒットを受けて、ホイットニーは劇中同様に主題歌や挿入歌を大規模な授賞式で受賞、歌唱する場面が多々あり、当時模倣犯の可能性を考慮して警備が厳重になっていたとも伝えられている。ホイットニーはレイチェル役に対して「彼女は自尊心を持った女性。自分で全てを決断する女性の役は滅多にありません。しかし、そういった女性を私はよく知っています。母がそうでしたから」と、同じく歌手であった母・シシーとその存在を重ね合わせていたことをインタビューで明かしている[5]。また劇中ではレイチェルの姉もシンガーだったことが説明されているが、人気者になった妹と姉の関係は、ホイットニーと彼女の母シシーの関係を想起させるものでもあった[5]
  • オリジナルはローレンス・カスダンがスティーブ・マックイーンを主人公に想定して執筆された。共演はダイアナ・ロス。だがマックイーンが降りた後に、ライアン・オニール主演で企画が進行するも映画化は実現しなかった。一説に、黒人白人のロマンスを本格的に描くことが困難な時代背景であったからと言われている[5]。それから15年後の1992年、ケヴィン・コスナーとホイットニー・ヒューストンとの共演で完成する。なお、本作でのコスナーはマックイーンを意識しており、ファッションや短いクールカットの髪型、リアクションや身のこなしなどにマックイーンのイメージが投影されている[5]
  • 2012年2月11日にホイットニーが急死、18日に行なわれた葬儀で、コスナーは17分にもわたる弔辞を読み上げ、彼女を讃えた[7]
  • ポスター映像ソフトジャケットに使われている写真でコスナーに抱きかかえられコスナーの肩に顔をうずめている女性は、ホイットニーではないボディダブルだとコスナーがテレビ番組「エンターテインメントウィークリー」のインタビューで語っている。撮影時にホイットニーは家に勝手に帰ってしまったとの事[8]

舞台[編集]

2012年11月から、イギリスウエストエンドにあるアデルフィ劇場にてミュージカル版の上演が行われた。

ヘザー・ヘッドリーがレイチェル・マロン役を演じる。脚本は、アレクサンダー・ディネラリスが担当[9]

脚注[編集]

外部リンク[編集]