ホンドテン
| ホンドテン Martes melampus melampus | |||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
井の頭自然文化園の飼育個体 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Martes melampus melampus[1] Wagner, 1840 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| ホンドテン | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Japanese marten | |||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ホンドテンの主な分布。 赤は国内移入種としての分布。 |
ホンドテン(Martes melampus melampus)は、ネコ目イタチ科イタチ亜科テン属に分類される哺乳類である。
呼称
[編集]躯体の毛色により、黄色い個体はキテン(黄貂[2])、褐色の個体はスステンと呼ばれる[3]。
キテンの語源の説として、木登りに長けた生態に着目して「黄色い貂」ではなく「木貂(雷獣)」であるという説が1924年(Kishida)に発表された。
分布
[編集]自然分布地域は本州最北部の下北半島[4]から四国や九州に至る。キテンは東北地方に多く生息し、スステンはそれよりも南に多く生息する傾向があるが、キテンは四国と九州にも生息している[5]。千葉県と愛知県では準絶滅危惧種とされている。また、長崎県対馬に生息する亜種ツシマテン(M. m. tsuensis)は国の特別天然記念物に指定されている。
国内外来種として
[編集]人為的に移入された個体が北海道(道南・道央[6])、佐渡島で野生化(英語版)して生息している[3]。北海道へのキテンの導入は、毛皮生産を目的として飼育されていた個体が放野されたことに端を発っしていることが犬飼哲夫[7]の調査により判明しており[注釈 1]、道南と道央に分布している[8]。
形態
[編集]成獣の大きさにはオスとメスでは異なり、オスはメスより若干大きい[5]。体長は約40 - 55センチメートル。尾長は約15 - 20センチメートル[2]。体重は約1.0 - 1.5キログラム[3]。
毛色は、躯体は黄色から褐色まで個体により様々である[3]。手足は黒色。尾は躯体とほぼ同色[2]。夏毛と冬毛では色が異なり、冬毛の色は夏毛の色より淡い傾向がある[9]。歯数は、切歯が上6本下6本、犬歯が上2本下2本、前臼歯が上8本下8本、後臼歯が上2本下4本、合計38本。乳頭数は、胸部は無し、腹部1対、鼠径部2対、合計6個。指趾数(指の数)は、前肢が5本、後肢が5本、合計20本[2]。
生態
[編集]冬眠はしないで1年中活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する。繁殖期以外は基本的に単独で行動する。躯体は柔軟性に富む。警戒心が強く、よく後肢で2本足立ちして周囲を見回すことがある。この行動を目蔭(まかげ)という。爪が鋭く、木登りがとても上手い[10]。穴や樹洞、建造物の床下や屋根裏に巣を作る[11]。活動場所としては沢や川付近が多い[10]。
雑食性であり、動物質のものはネズミやリス、鳥、爬虫類、両生類、昆虫類、ムカデなどを、植物質のものはヤマグワやマタタビ、サクラ、ヤマブドウ、コクワ(サルナシ)などの実を摂取する[3][11]。
鳴き声はエゾクロテンと同じである[11]。エゾクロテン#鳴き声を参照。
繁殖
[編集]交尾期は夏で、出産は翌年の春。これは交尾してから受精卵が子宮壁に定着するまでに時間的な遅れが生じるためである。巣穴の中で出産し、産仔数は2–4匹[3]。飼育下での観察では、秋田市大森山動物園の飼育個体が1995年9月5日に交尾し、翌1996年3月21日に2匹出産した記録がある[11]。
関連画像
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ 近藤(1980).
- 1 2 3 4 『野生動物調査痕跡学図鑑』, p. 377.
- 1 2 3 4 5 6 『日本の哺乳類 改訂2版』(p80)より。
- ↑ “6.野生生物”. 恐山山地森林総合調查 報告書 p,72. 林野庁 (1994年3月). 2025年6月11日閲覧。
- 1 2 「ホンドテン」(秋田市大森山動物園)より。
- ↑ 「エゾクロテンとは?」北海道ファンマガジンより。
- ↑ 門崎(1997), ナキウサギの生態.
- ↑ 『野生動物調査痕跡学図鑑』, p. 379.
- ↑ 「ホンドテン」(小諸市動物園)より。
- 1 2 『野生動物調査痕跡学図鑑』, p. 387.
- 1 2 3 4 『野生動物調査痕跡学図鑑』, p. 378.
参考文献
[編集]- “エゾクロテンとは?”. 北海道ファンマガジン (2010年1月8日). 2023年5月15日閲覧。
- 「ホンドテン」『飼育動物の紹介』2009年12月13日 更新、秋田市大森山動物園、2010年1月18日閲覧。
- 「ホンドテン」『飼育動物一覧』、小諸市動物園、2010年1月18日閲覧。
- 門崎允昭「ナキウサギの生態」『狩猟界』1997年7月号(狩猟界社)掲載、北海道野生動物研究所、2010年1月12日閲覧。
- 近藤高貴「芦生演習林におけるホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)とホンドテン(Martes melampus melampus)の食性」『大阪教育大学紀要 第III部門 自然科学』第29巻第1号、大阪教育大学、1980年11月、19-23頁、doi:10.32287/td00010472、ISSN 0373-7411、CRID 1390295414076567680、2023年5月19日閲覧。
- 出版物
- 門崎允昭『野生動物調査痕跡学図鑑』北海道出版企画センター、2009年10月20日。ISBN 978-4832809147。
- 米田政明 著「テン」、阿部永 監修、自然環境研究センター 編集 編『日本の哺乳類』(改訂2版第1刷)東海大学出版会、2008年7月5日、p81頁。ISBN 978-4486018025。